債権回収が難しい場合にはできるだけ早く弁護士に相談することが大切です。

ですが弁護士に相談することをためらう方も多くいます。その理由の一つが弁護士報酬(費用)です。

弁護士報酬がどのくらいかかるのか分からないため相談することをためらうのです。

 

この記事では、弁護士報酬の仕組みから費用の目安まで詳しく解説していきます。

 

弁護士費用の種類

弁護士費用の内訳について説明します。

 

法律相談料

法律相談料とは、具体的に案件を弁護士に依頼する前に、案件の展望などの見通しをアドバイスしてもらうことについて発生する金銭のことを言います。

債権回収の場合、債権が回収できそうかどうか、どれくらいの期間で回収できそうか、どれくらいの費用がかかることになりそうかの相談についても、この法律相談の中でアドバイスを受けることとなります。

債権回収を迅速に行えるかどうかは、弁護士一人一人の経験やスキルによるところも大きいため、不必要な時間と費用を削減し効率的な債権回収を実現するには、法律相談を通じて信頼できる弁護士に出会うことが重要です。

そのため、弁護士に依頼して債権回収を行おうとしている場合はもちろん、事前の法律相談を通じて依頼する弁護士を吟味する必要がありますし、弁護士への依頼を考えていなくても、債権回収の展望について具体的に知ることができるため、法律相談は積極的に利用すべきシステムと言えます。

法律相談は基本的にタイムチャージ制が採用されていることが多いです。この場合、1時間の相談あたり〜円と言う形で、支払うべき金額が決定されます。弁護士報酬アンケートによると1時間1万円の相談料設定が55.7%で一番多く、全体でみると5,000円〜1万円の相談料が約92%の割合を占めています。

タイムチャージ制という点から考えると、相談者は必要事項をあらかじめ準備した上で、法律相談に臨んだ方が無駄に時間を浪費することなく効果的にアドバイスを受けることができます。

また、弁護士がより具体的にアドバイスできるように債権の存在を示す証拠となるような資料を持参することも大切です。

 

着手金

着手金とは、弁護士に対して案件を依頼する場合に支払う金銭です。

この着手金は依頼受任に対して支払われるため、案件が成功するか失敗するかどうかに関わりはなく、仮に案件が失敗したとしても返金されることはありません。

弁護士への報酬が案件の成功時のみ支払われるという仕組みになっていると、案件の処理には時間や労力を使うにもかかわらず、失敗してしまった場合は一切費やした時間や労力の対価を受け取れなくなってしまいます。

この場合、弁護士は案件失敗時に生じる徒労のリスクを避けるために失敗可能性のある案件は受任しない選択をとってしまい、結果的に多くの人が弁護士へ依頼する機会を失ってしまうことになります。そういった事態を避けるために、依頼受任の対価として着手金が設定されることがあります。

着手金が実際にどれほどの金額になるかについては、回収すべき債権の額や案件の複雑さ、労力の程度で幅があります。

弁護士会が作成している報酬アンケートによると、300万円の貸金債権の回収において着手金額で最も多いのは20万円の43.9%となっており、全体的に見ると着手金15万円〜20万円が約70%を占めています。

もちろん、回収を依頼する債権の額や回収の難易度によっても着手金は変動する為、必ずこの金額になるというものではありません。債権回収に早期段階で取り組めば証拠が散逸する前に債権回収に望める為、債権回収の難易度も下がり、着手金の低下も見込めます。そういった意味でも債権回収について早期かつ迅速に取り組むというのは重要と言えます。

 

報酬金

報酬金とは、依頼した案件が成功した結果債権回収が実現できた場合に、支払うことになる金銭のことを言います。この報酬金は依頼した案件が全部成功した時はもちろん、一部しか成功しなかった場合も、成功した割合に応じて発生することになります。なお、全く成功しなかった場合には支払う必要はありません。

報酬金も着手金同様、具体的に固定化された金額が設定されているわけではなく、債権の額や回収の難易度によって相当程度の幅があることになります。

弁護士報酬アンケートによると、300万円の貸金債権回収であれば30万円の報酬金設定の割合が50.2%となっています。全体的に見ると、20万円〜30万円の報酬金が約69%を占めています。

他方、債権回収を実現する方法は多種多様なものがあり、訴訟を通じて回収する場合や交渉を通じて回収する場合もあるため、債権回収の方法によっては、より安い報酬金となる可能性もあります。

 

手数料

手数料というのは、特に争いがない事案における事務処理を任せた場合にかかる費用のことです。例えば、契約書の作成、会社設立、遺言執行などを依頼した場合に発生します。

 

顧問料

債権回収の依頼が定期的に発生するのであれば、弁護士との間で顧問契約を締結することもできます。

顧問契約とは、専門家による一定のサービスを受けられる契約のことです。

何度も法律相談を行い、その度に相談料を支払うよりは、月額一定額を支払うことにより安定的にアドバイスを受けられるという点で法人にとってはメリットがあります。

もっとも、訴訟などを行う場合は別途報酬が発生することも多いので、顧問契約を通じて受けられるサービスの内容は弁護士に確認することが必要です。

顧問契約料について、弁護士報酬アンケートによると5万円の契約料が32.2%でもっとも多く、その次に3万円で30.3%となっています。顧問契約料については弁護士の専門性や経験の豊富さによって金額が大きく変動するので、5万円ないし3万円を一つの基準として考えた上で、実際に確認し、検討することが重要と言えます。

最近では、1万円ほどの費用で顧問契約可能な事務所も存在します。

 

<関連記事>法人での顧問契約とは?弁護士事務所と契約するメリットを解説

 

日当

出張が必要なケースでは日当が請求されることがあります。

長距離の移動や宿泊を伴う業務の場合、移動や拘束される時間への対価が必要となるからです。

 

実費

実費とは、案件を処理していくにあたって発生する支出費用のことを言います。

例えば、裁判を通じて債権回収を行う場合は、裁判所に収める印紙代や予納郵券、記録謄写費用などがあります。また案件によっては契約書が真正であること証明するための鑑定料なども実費として必要となります。

さらに、債権回収のために提起した訴訟を管轄する裁判所が遠方になったりすると、遠方への裁判所への出張費用も発生します。

実費のうち印紙代などは、ある程度事前に把握することもできますが、鑑定料や出張費用については弁護士に依頼する段階では予測することができないこともあります。特に、契約の成立不成立レベルで債務者ともめているような案件においては、鑑定を通じて証拠を作成しなければならないため、鑑定料等の実費が高額になる可能性もあります。

こういった予想外の実費の発生は、依頼者にとっては不安材料となるため、弁護士に債権回収を依頼する前に法律相談を通して、具体的な展望を示してもらった上で、予想外の出費発生の可能性について意見をもらうことも必要です。

特に、債務者との争いが深刻となっている場合、債務者の所在地が遠方にある場合などには意見をもらう必要が高くなります。

 

預かり金

弁護士に債権回収を依頼し弁護士が債権回収に成功した場合、回収した債権は直接依頼者に支払われるわけではなく、一旦弁護士の下に渡され、預かり金という形で管理されます。

その上で、発生した報酬金や実費を計算し、請求書を作成した上で、預かり金から請求額を差し引いて依頼者に送金するという形が主流です。また、発生する実費の見通しの立たない段階では、案件の受任時に着手金と同時に幾らかの預かり金を依頼者に出してもらい、発生する実費は逐一その預かり金の中から支出していくという場合もあります。

預かり金は弁護士に代理してもらって債権回収をするというシステム上発生することが避けられない仕組みであり、弁護士が円滑に業務を行っていく上でも重要なものとなっています。

 

債権回収の弁護士費用

弁護士費用は依頼内容によって変わります。

ここでは一般的な債権回収における弁護士費用の目安についてまとめておきます。

 

法律相談料

5,000円~1万円(1時間)

※無料の場合もあります。

成功報酬金

回収額の10~30%

 

※成功報酬金は着手金とのバランスによって決まります。着手金が低ければ成功報酬金が高くなりやすく、着手金が高ければ成功報酬金は低くなりやすいといえます。

 

<着手金の目安>300万円の貸金債権の場合)

 

内容証明作成・送付

3万円前後

和解交渉(裁判外)

5万円~17万円

支払督促

5万円~

民事調停

10万円~33万円

仮差押え

15万円~40万円

訴訟

15万円~30万円

強制執行(債権執行)

5万円~10万円

強制執行(動産執行)

10万円~

強制執行(不動産執行)

事案により大きく異なる

 

着手金は事案によって異なります。請求額が多いほど金額は高くなります。費用に不安をお持ちであれば着手金0円の弁護士に相談された方がいいでしょう。

 

<関連記事>債権回収は弁護士に依頼した方がよいのか?メリット、注意点をしっかり、分かりやすく解説

 

まとめ

・弁護士報酬の主なものは、法律相談料、着手金、成功報酬金があります。法律相談料や着手金については無料のケースもあります。

・弁護士費用は、ケースや事務所によって大きく異なるため、正式に依頼する前によく確認することが大切です。

 

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※法的手続きやご依頼の状況により一部例外がございます。くわしくは弁護士費用のページをご覧ください。

 

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