契約書作成の注意事項まとめ

債権の発生原因の一つとして契約がありますが、契約をする際には、後のトラブルを防止するために契約書を作成することがあります。しかし、契約書に不備があった場合、契約書の効力が認められないケースがあります。
今回は、契約書の作成についての注意点をまとめてみました。
目次
法律に反してないか
日付について
署名、押印について
契約内容に応じた要素を入れる
・売買契約書の場合・金銭消費貸借契約書の場合

印紙
複数枚に渡る場合

公正証書で契約書
最終チェック
まとめ

法律に反していないか

基本ではありますが、契約内容が法律に反した内容が入っている場合、契約自体が無効とされるケースがあります。
どのような契約もできるのが民法上の原則ですが、法に反している場合はその限りではありません。
例えば、金銭消費貸借契約で違法な金利の場合などはもちろん、法律が改正されていることを知らず、古い書式のまま契約書を使ってしまっている場合があります。
契約書を作成する際には、法律に反していない内容なのかを確認しておく必要があります。
部分的に無効とされるケースもありますが、全体として無効とされてしまう場合もありますので、関連法令を確認の上、契約書を作成するようにしましょう。

日付について

日付のない契約書だからといって、直ちに契約が無効となるわけではありませんが、後の紛争の際に、その契約書がいつ作成されたかが問題となるケースがあります。
例えば、売買契約が成立した場合、売り主は、引き渡しまでの間、「善管注意義務」を負います。「善管注意義務」とは、善良なる管理者の注意義務ということで、自分のものとして管理する注意義務よりも高度な注意義務が求められます。仮に、契約の成立の日以降に、善管注意義務違反があったとしたら、売り主は責任を負うわけです。このように、日付を記載することは、契約書作成において非常に重要な意味を持つことになります。
また、金銭消費貸借契約の場合、いつ、お金を貸したかによって、利息の計算が変わることなども考えられます。決して、日付が空白の契約書による契約はしないようにしましょう。

署名、押印について

契約書には、当事者の自筆による署名、もしくは押印が必要になります。つまり、押印さえされていれば、当事者の名前はPC打ちでも構わないというのが原則です。
現代では、契約書はPCで作られることも多く、場合によっては、名前の部分もPCですでに記載されているケースがあります。その場合、印鑑だけ押してもらうことになります。

確かに、民事訴訟法228条4項は「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」と規定しています。

つまり、印鑑が押してあれば、署名がなくとも、文書は真正に成立したものと考えられますねという判断が及ぶということです。しかし、契約書の成立という点でいえば、それで構わないのですが、文書が偽造されたなど、文書の真正が争われるケースがあります。
例えば、個人対個人の契約の場合、押印は個人の苗字の印鑑を押すことになりますが、日本は印鑑社会ですので、100円で人の苗字の印鑑は買えてしまいます。
そのため、押印が三文判だったりすると、その文書が偽造されたものではないかが裁判上問題になるのです。
契約書として不備のないようなものを作りたいと考えるなら、契約書は、自筆で署名をしてもらい、押印をしてもらうことが望ましいです。ただし、実印での押印の場合(印鑑証明書添付)や、相手が法人の場合は、記名押印で対応しても争いの余地は無いと考えます。

契約内容に応じた要素をいれる

契約書には、契約内容を正確に盛り込む必要があります。契約内容によって、最低限必要な内容があり、その内容が書かれていないと、契約書としての効力が認められない場合があり注意が必要です。
今回は、売買契約と消費貸借契約を例にとって説明します。
『売買契約書の場合』
例えば、甲さんが乙さんに絵画Aを100万円で売る売買契約を締結したとします。

売買契約については、民法第555条に「売買は、当事者の一方がある財産権相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」と規定されています。

ということは、少なくとも、①目的物がなんなのか、②財産移転の約束、③代金支払いの約束について書かれている必要があります。
例えば、以下のようになります。
「甲は、乙に、絵画Aを(①)、代金100万円で(③)、売ることとする(②)」
このような内容が書かれていれば、売買契約は成立していることになります。
しかし、例えば、
「甲は、乙に、代金100万円で(③)、売ることとする(②)」
上記のようにしか書かれていなかった場合、何が売られたのか(①)が書かれていないので、売買契約が成立しているとは言えないわけです。このように、契約書に記載する契約内容は、正確に記載されている必要があります。
『消費貸借契約書の場合』
例えば、甲さんが乙さんに100万円を貸すこととしたとします。

消費貸借契約は民法587条に「消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる」と規定されています。金銭消費貸借契約の場合は、借主が将来の弁済を約束して、貸主が借主へ金銭を交付した段階で有効に成立することになります。

ということは、少なくとも、①返還の約束、②金銭を貸し付けたことが書かれていることが必要です(②については、実際に貸付がされていなくても、貸し付ける旨が書かれていれば、契約としては成立していると考えられる場合があります。)
例えば以下のようになります。
「甲は、乙に。金100万円を貸し渡した」
貸し渡したという表現は、お金を貸すという目的で渡したということですので、最低限この程度書かれていれば、金銭消費貸借契約が成立したといえます。
しかし、例えば
「甲は、乙に、金100万円渡した」
上記のように書かれていた場合、100万円を渡したのは貸したのか、あげたのかがわかりません。
つまり、返還義務のない贈与契約なのかもしれないという判断がされる可能性があるわけです。
これでは、仮に契約書を交わしたとしても、返還を求めることが出来るかどうかが危うくなってしまいます。
仮に、贈与であるという判断がされてしまえば、100万円はあげたことになってしまうので、返還を請求することができなくなってしまいます。このように、契約書の文言は、注意して規定する必要があります。また、金銭消費貸借契約の場合は、返還するのはいつなのか、利息はどうするのかなどを契約内容に入れることができます。
金銭消費貸借契約は成立したとして、返還期や利息の定めがどうなっているのかというのはと当然問題になりますので、そういった合意があるのであれば、しっかりと契約書の内容に含めることが重要になります。

印紙

契約書によっては、金額や内容によって印紙を貼らなければならないものがあります。
金額によって印紙税の額が違いますので、文書ごとの確認が必要です。
仮に、印紙を貼らなかった場合、契約書自体が無効になるわけではありませんが、張り付けなかった場合、3倍額の懈怠税がかかる可能性があることも注意しなくてはいけません。
『複数枚に渡る場合』
契約書の内容が多い場合、複数枚に渡ってしまう場合があります。その場合は、複数枚の文書が連続していることを示すために、各ページに契約当事者が割印をする必要があります。
しかし、枚数が多い場合は、文書を製本テープでとめて、製本テープにかかるように割印をすることでも可能です。契約書の見栄えを良くしたいのであれば、製本テープでまとめて割印する方がおすすめです。

公正証書で契約書

契約書は私人同士が自由に作成することができますが、公証人役場で公正証書として作成することが当事者のメリットになるケースがあります。
公正証書とは、公証人が作成する公文書のことを指します。公証人は、裁判官などを長年勤めた人が法務大臣から任命されてなるもので、法律の専門家であり、準公務員です。そのため、契約書を公正証書とすることで、契約書としての証明力が上がります。
通常、差押をするためには、調停・裁判で和解・勝訴するなど債務名義を取得する必要がありますが、「強制執行認諾条項」を定めた公正証書とすることで、直ちに差押の手続きを行うことができます。裁判手続きをしなくとも、不履行時には直ちに差押できることはメリットが高いといえます。

最終チェック

契約書が完成した場合、弁護士や司法書士、行政書士などの法律の専門家に契約書の内容を確認してもらうことで、より安心できます。素人では見つけにくいミス・瑕疵も、専門家であれば直ちに修正してもらえるメリットがあります。
そのため、普段から多くの契約書を使う企業は定期的に内容をチェックしてもらうことで、最新の法令にも対応した内容に改変しておけるというメリットがあります。

まとめ

現在では、様々な契約書のテンプレートなどがネットで簡単に手に入る時代です。しかし、内容をしっかりと確認しておかないと、思わぬ落とし穴に落ちてしまうかもしれません。
特に、契約内容に応じた要素を入れるという点については、各契約ごとに盛り込むべき要素が異なってきます。今回は、売買契約と消費貸借契約に限って書きましたが、他にも、請負契約や、賃貸借契約など、契約の種類ごとに契約成立に必要な要素は変わってきます。せっかく契約書を作ったのに、意味がなかったということにならないように、十分に注意して契約書を作るようにしましょう。

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