内容証明郵便 ないようしょうめいゆうびん

内容証明郵便とは、特殊な郵便形式で、郵便を送達したことが郵便局に記録される郵便を言います。これにより、送達した日、送達した郵便の内容が記録されるため郵送先の相手による、郵便を受け取っていないという反論を封じることができます。

また、一般的に内容証明郵便は、裁判を起こすということの考えているという強い意思を相手に示す効果があり、これを受け取った相手は、内容証明郵便が届くということは相当程度深刻な問題に発展すると自覚することが期待されます。そのため、内容証明郵便を送ることによって、訴訟に進展する前に相手による任意の債務履行が期待できることもあります。

■内容証明郵便とは

債権回収の手続で頻繁に利用される手続の方法のひとつが、「内容証明郵便」による督促です。

一般に通常の通信や初期段階の督促などでは、普通郵便や簡易書留を利用することがほとんどです。ただ、こういった通常の郵便では「どのような内容の文書を送ったか」を証明することはできません。

つまり、もし相手が「そんな内容の手紙は受け取っていない」と主張したり、違う内容を主張してきた場合には「言った・言わない」の水掛け論になってしまう可能性があるのです。

これを防ぐ手段が内容証明郵便です。

内容証明郵便では、「いつ、誰が、誰に、どういう内容の文書を送ったか」を郵便局(日本郵便株式会社)が証明してくれます。

具体的には、相手に送る文書(内容文書)1通と、それと同じ内容の文書(謄本)を2通、つまり合計3通の文書を用意して、1通を相手に郵送、1通を差出人が保管、1通を郵便局が保管します。

そして郵便局はこの謄本を5年間保管して、その間、その文書が確かに郵送されたという事実と、その文書の内容を証明してくれるのです。

■債権回収に使われる理由

内容証明郵便が債権回収手段として広く使われる理由には、大きく分けて3つあります。

1)裁判に発展した場合の証拠になる
すでに書いた通り、内容証明郵便は「言った・言わない」の水掛け論を防止する効果があります。ですから債権が発生した原因や金額、これまでの交渉の過程を内容証明郵便として送付しておくことで、少なくとも「コチラ側の言い分」については証明することができます。

ただし注意する必要があるのは、内容証明郵便は「その内容が真実かどうか」までは証明してくれないということです。つまり、文書に記載した債権の発生原因が事実かどうか、金額が正当なものかどうかなどは、また別の証拠で証明する必要があります。

それともうひとつ、文書の内容次第では、内容証明郵便は自分にとって不利な証拠になる可能性もあります。もし、カン違いやケアレスミスなどで債権の発生原因や金額を間違って記載してしまった場合、裁判でそれを相手方に利用されないとも限りません。

とはいえ債権回収手続が裁判にまで発展すると、そこに至るまでに適切な督促通知をしてきたかどうかが非常に重視されます。ですから、内容証明郵便で督促の経緯を証明できるかどうかは、裁判の勝敗を分けるほど重要になると言っても過言ではありません。

2)確定日付を得る
内容証明郵便には、文書が作成されて相手に通知された日付、つまり「確定日付」を得る効果があります。特に債権を第三者に譲り渡す場合、二重譲渡の問題を避ける(債務者が弁済する相手をはっきりさせる)ために確定日付を得ておくことは重要です。

また債務を履行しない相手との契約を解除する場合にも、契約解除のタイミングをはっきりさせるために確定日付を得ておく必要があります。

3)相手に心理的な圧力をかけられる
内容証明郵便は一般的な郵便や簡易書留と体裁が違います。特に債務者にとって、いつもと雰囲気の違う、形式張った督促状が届くのは決して気持ちのよいものではありません。

内容証明郵便を送られた相手が気の小さい人であったり、内容証明郵便に不慣れな人であれば、文書を受け取っただけでプレッシャーに耐えきれなくなり、支払いに応じるかもしれません。

また内容証明郵便について相手がよく知っている場合でも、効果はあります。

そのような相手なら、内容証明郵便による督促が裁判手続に向けた事前準備(証拠づくり)になることも当然知っています。ですから裁判を起こされるかもしれないという具体的な不安がプレッシャーになり、やはり支払いに応じる可能性があるのです。

ただ相手の性格次第では、内容証明郵便をまったくプレッシャーに感じないこともあります。また相手が親族や友人といった近い間柄の人である場合、内容証明郵便によるプレッシャーが人間関係まで壊してしまう危険もあります。

内容証明郵便は、こうしたメリット・デメリットをしっかり考えた上で使う必要があるでしょう。

■内容証明郵便の出し方

内容証明郵便を出すには、いくつかの条件や決まりがあります。

1)受け付け窓口
内容証明郵便を受け付けているのは、集配郵便局と日本郵便株式会社の支社が指定した郵便局です。すべての郵便局が受け付けてくれるわけではないので、まずは最寄りの郵便局が内容証明郵便の差し出しに対応しているかどうかを確認する必要があります。

2)用意するもの
・相手に送付する文書(内容文書)
・内容文書と同じ内容の文書(謄本)×2通
・差出人(自分)と受取人(相手)双方の住所・氏名を書いた封筒
・郵便料金(基本料金+一般書留の加算料金+内容証明の加算料金)
※内容証明の加算料金は1枚で430円、以降1枚増えるごとに+260円

内容証明郵便は「一般書留」にする必要があるので、上記の通り一般書留の料金が加算されます。なお必須ではありませんが「配達証明」も一緒に付けておくのが一般的です。この場合は「配達証明の加算料金」が必要です。

3)内容文書の書き方
基本的に、内容文書の書き方には決まりがありません。手書きorワープロ書き、縦書きor横書き、文字数や行数、内容や文体など、自由に作成することができます。ただし図面や返信用封筒、有価証券などの文書以外のものを同封することはできません。

4)謄本の書き方
内容文書と違い、謄本の書き方には決まりがあります。具体的には以下の通りです。
・縦書きの場合…26行×20文字以内
・横書きの場合…26行×20文字以内/40行×13文字以内/20行×26文字以内

ただし一般的には、内容文書も謄本も、カーボン紙による転写やコピー機による複写、もしくはワープロで作成したものを複数枚印刷して用意します。このほうが文書を作成する労力が省けますし、郵便局の窓口で内容をチェックしてもらう際も短時間で済むというメリットがあります。

その他詳しい手順については、郵便局のWEBサイトを確認してください→
http://www.post.japanpost.jp/service/fuka_service/syomei/index.html

■内容証明郵便の具体例

一般的な債権回収の文例と、そのポイントをご紹介します。

----------具体例----------

(タイトル)通知書

(本文)当社は平成◯◯年◯月◯日、貴社に対し◯◯を金◯◯円で売り渡し、平成◯◯年◯月◯日を支払期限といたしました。しかしながら右期限が過ぎた後も、当社の再三の請求にもかかわらず、今日に至るまで代金をお支払いただいておりません。つきましては本書面の到着後10日以内に、上記金◯◯円の全額をお支払いただくよう請求いたします。万一期限内のお支払がない場合は、訴訟等の法的手段を取らせていただくことになりますのでご了承ください。

(日付)平成◯◯年◯月◯日
(差出人住所)◯◯県◯◯市◯◯番
(差出人)◯◯株式会社 代表取締役 ◯◯◯◯(印)

(受取人住所)◯◯県◯◯市◯◯番
(受取人)◯◯株式会社 代表取締役 ◯◯◯◯殿

----------ここまで----------

文書作成のポイントは以下の通りです。
・債権者(差出人)債務者(受取人)の住所氏名(法人の場合は法人名も)を明記する
・契約日など、債権の発生日付を明記する
・商品の売買など、債権の発生原因を明記する
・債権の額を明記する
・支払期限を明記する

タイトルについては特に決まりはありませんが、債権回収が目的の場合は「通知書」もしくは「貸金返還請求書」などとするのが一般的です。また自分と相手の住所は、できるだけ都道府県から記載した方がよいでしょう。

また上記の例は「です・ます調」で作成しましたが、あえて命令口調の文章にすることで、相手により強いインパクトを与えることもできます。

■電子内容証明サービス

WindowsパソコンとMicrosoft Word、そしてインターネット環境のある人なら、電子内容証明サービス『e内容証明』を利用することもできます。

これはインターネット上から24時間いつでも内容証明郵便を送ることができるサービスで、通常の紙の内容証明郵便に比べて作成条件や準備するものが少なく、手軽に利用できます。もちろん、効力は通常の内容証明郵便と変わりません。

詳しくは郵便局のWEBサイトから確認してください→
https://e-naiyo.post.japanpost.jp/enaiyo_kaiin/enaiyo/enkn110/engm111.xhtml#

■弁護士が作ればより効果的に

最後になりますが、内容証明郵便をより効果的に利用するコツをお伝えします。それは「弁護士の名前で作成してもらう」ことです。

本来、内容証明郵便は差出人本人が自分で作成できるものです。ただ、もし自分に不利な内容を書いた場合はそれがそのまま相手側に有利な証拠となってしまうので、作成の際は注意が必要です。また相手にプレッシャーをかけるという意味でも状況に応じて内容や文体を選ぶ必要があるため、専門知識を持った弁護士に任せた方が安心・確実と言えるでしょう。

さらに万一裁判に発展した場合、迅速・確実に裁判手続きを勧めるには弁護士の専門知識が必要です。

なにより、「弁護士の名前」で届く内容証明郵便の督促状には、相当なインパクトがあります。心理的な圧力をかけるのが目的であれば、これ以上の効果はありません。

このようにさまざまな理由から、内容証明郵便を作成する際には専門家である弁護士を活用することをお勧めいたします。

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