債権回収の手数料はいくら?弁護士と個人の債権回収費用を例で解説

目次

債権回収の手続きと依頼の流れ!債権回収費用の前に基礎知識

債権回収では「費用負担の軽減」「債権回収の確率を高める」の両立を

債権回収を弁護士に頼むメリットと費用!安心・負担軽減・回収率

債権回収の手数料を方法ごと試算!弁護士に依頼する場合

債権回収の着手金無料サービスもあり!活用を

債権回収を個人でするメリットと費用は?費用倒れ対策に

債権回収の手数料を方法ごと試算!個人で回収する場合

・債権回収代行を個人に無料でお願いすることで手数料軽減できる?

最後に

 

事業を営んでいると、売掛金や未払金等回収できない債権が発生することがあります。お金を回収できないとその分だけ利益がマイナスになるわけですから、事業主や経理担当にとっては「回収できていない債権をどうするか」「債権回収の対策をどうするか」は頭の痛い問題です。きっちり回収したいと考えるはずです。

 

しかし、債権回収では「手数料」がネックになります。未払いの債権を回収するためには、自分(自社)回収か、それとも弁護士に回収を依頼するかに関わらず費用が発生します。せっかく債権を回収することができても、費用の方が高額になっては意味がありません。債権回収では「債権を回収すること」だけでなく「自分(自社)にどれだけ費用負担が発生するか」も重要な問題です。債権額と費用のバランスを考え金額面でプラスにすることこそが「債権回収の真の意味での成功」と言えるのではないでしょうか。

 

自分(自社)で債権回収をする場合と弁護士に債権回収を依頼する場合では、どのくらいの費用が必要になるのでしょうか。メリットとデメリットも合わせて解説します。債権回収をスタートする前に、費用の目安の算出方法と重要ポイントをおさえておきましょう。

 

■債権回収の手続きと依頼の流れ!債権回収費用の前に基礎知識

 

債権回収にどれくらいの費用がかかるのかを解説する前に、基礎知識として「債権回収がどのように行われるのか」についてお話しましょう。債権回収を弁護士に依頼する場合と個人で債権回収をする場合とを問わず、基本的な流れは大体同じです。

 

債権を一言で言うと「貸したお金(物)を返してもらう権利」のことです。返してもらうことのできる権利ですから、「返してください」というかたちで権利行使をすることができます。ただ、この権利行使は訴訟や調停など、ルールに則った債権それぞれの金額や事情に合った方法を選択する必要があります。債務者の会社や自宅から無理矢理金銭を持ってきてしまっては、窃盗罪をはじめとした犯罪に該当する可能性があります。返してもらう権利があったとしても「一定の方法」に則って債権の回収をすることになります。

 

債権回収の主な方法は次のようなものです。どの方法で債権回収をするかによって詳細な流れは異なります。ただ、「債権の未払いが発生する→債権回収の方法を決める→方法ごとの手続き(行動)をする→債権を回収する」という基本的な流れは変わりません。

 

催促・・・電話や手紙(ハガキ)で債務者に返済を促す。債権回収に向けて穏便に話し合う。

示談交渉・・・債権回収のために直接相手(債務者)と話し合いをする。

裁判所での手続きを活用する・・・通常訴訟や調停、少額訴訟や支払督促、強制執行などの裁判所で可能な方法で債権の回収を行う。

 

債権回収の方法は複数あります。費用を考える上では債権回収にどの方法を用いるかも重要になってきます。

 

・債権回収では「費用負担の軽減」「債権回収の確率を高める」の両立を

 

債権回収のためにどの方法を選ぶかによって、費用の目安も変わってきます。債権を回収してもその分だけ費用がたくさんかかってしまえば費用倒れになります。だからこそ、あらかじめ「債権を回収できてもマイナスになる金額ラインはどこか」を把握しておき、なるべく費用負担の軽い方法を選択する必要があります。しかし、気をつけなければならないのは、「費用負担が軽い=債権を高い確率で回収できる方法、良い債権回収方法」ではないということです。

 

例えば、手紙による返済の催促は、費用の最低ラインを考えるとハガキなら52円、封書なら82円です。計算するまでもなく、訴訟するよりずっと費用負担が軽くなります。しかし、債権回収の費用負担自体は軽くても、実際に回収できなければ意味がありません。

 

今まで回収できていないような債権が「返してください」と手紙で催促したくらいで回収できることはまずありません。「費用が安いか」「費用面での負担が軽減できるか」だけでなく、現在の債権の状況や債務者の態度に合わせて「債権回収の確率を高める現実的な方法であるかどうか」「より効果的な債権回収方法はどれか」も合わせて考える必要があります。

 

費用だけで選択するのではなく、弁護士に依頼した場合と個人で行う場合のそれぞれの負担やメリットを想定し「手数料の安さだけで判断しない。費用面も合わせて総合的に考え、より良い方法を選ぶこと」が債権回収を成功させるコツです。

 

■債権回収を弁護士に頼むメリットと費用!安心・負担軽減・回収率

 

債権回収を弁護士に依頼するメリットは、「債権回収の確率が高い」「手続きの負担が軽減される」「法的な知識や債権回収の経験が豊富なため、安心して任せることができる」「弁護士が介入することにより債務者に精神的な威圧を与えることができる」「適切なアドバイスがもらえる」「債権に時効などの差し迫った状況にないかチェックしてもらえる」などです。

 

債権回収の費用は方法によって異なります。方法によって異なるからといって、最も安く済みそうな方法を選択しても、回収できなければマイナスです。相手の態度や経済状況を考え、費用や方法のバランスを考え「より良い方法とは何だろうか」と悩む時に弁護士は強い味方になります。弁護士は債権回収の経験と法的な知識により、債権者に最も合っており、債権回収の確率が高い方法を提案することができます。

 

弁護士へ債権回収を依頼すると高い回収率と適切なサポートを見込むことができます。しかし、サポートや債権回収を弁護士に依頼するとその分だけ弁護士費用が発生します。弁護士費用は「着手金+経費(実費)+報酬」の合計になります。

 

弁護士に債権回収を依頼すると、個人で債権の回収をするより手数料の合計額が高額になりがちであるというデメリットがあります。

 

・債権回収の手数料を方法ごと試算!弁護士に依頼する場合

 

弁護士に債権回収を依頼する場合、弁護士費用が必要になります。どんな債権回収方法でも計算の基本は「弁護士費用(着手金+報酬+その他別途発生する実費や経費)」となります。その他、別途発生する実費や経費とは、裁判所などに弁護士が足を運ぶための交通費や相談料などになります。

 

債権回収の依頼によって発生する弁護士費用に加えて、債権回収に必要な手続き費用(裁判所での手続きに必要な印紙や切手などの費用)が加算されます。

 

理解しやすいように、簡単にいくつか弁護士費用の試算例をご紹介します。

 

実際の弁護士費用はケースバイケース、それぞれの弁護士事務所によって異なります。費用の参考、手数料の把握の仕方としてご紹介する一例となります。弁護士に実際に債権回収を依頼する場合は試算により大体の手数料を想定した上で詳しい見積もりを算出してもらい、手数料の気になるところを弁護士に確認するようにしましょう。

 

  • 弁護士による返済催促や示談交渉の手数料

 

手数料の考え方は「実費+弁護士費用(着手金、報酬)」になります。弁護士費用に関しては、手紙や電話によって債務者の返済を催促する場合はいくらと法律で決まっているわけではありません。それぞれの弁護士事務所でケースごとの大まかな料金が決まっており、回収の難易度や債権額などによって算出されます。

 

債権額によっても料金が異なります。多くの事務所では「債権額〇万円以上は〇%」というかたちで、債権額に対するパーセンテージで費用を提示しています。また、債権額が少額な場合より、債権額が高額なケースの方が基本的にパーセンテージは小さくなります。

 

「着手金+報酬+その他別途発生する実費や経費」という基本的な計算式を用い、例を挙げて考えてみます。

 

債権額は300万円です。着手金を弁護士に確認すると、債権額が300万円の場合は20万円になるとのことでした。相談費用は5,000円です。報酬は経済的利益の15%とのことでした。債務者が300万円全額を必ず返済できるとは限りません。

 

相手に対しては内容証明郵便で督促し、示談交渉で回収することが決まりました。交渉の末、300万円全額を返済してもらうことができました。

 

料金の試算は、「着手金20万円」+「相談料5,000円×回数(今回は1回のみ)」+「報酬として債権額300万円(経済的利益)の15%」+「経費として内容証明郵便代金(枚数によって内容証明郵便代金が異なる)」+「経費として交渉の際の弁護士の交通費(債務者の会社に足を運んでいるため)」+「消費税」となります。

 

弁護士へ依頼すると、ケースバイケースによって報酬や経費が変わってきます。事務所ごとの報酬のパーセンテージだけでなく、案件の難しさによっても料金が変わってくる可能性があります。例として挙げた具体的な料金計算例も、あくまで一例に過ぎません。自分で大体の料金を試算するだけでなく、弁護士に見積書を作成してもらうことをお勧めいたします。また、「どこからどこまでが経費かよくわからない」などの疑問がある場合は、依頼前に弁護士へと確認しておきましょう。

 

  • 弁護士による裁判所手続きの手数料

 

あらかじめある程度の料金を把握したい場合、「弁護士費用(着手金、報酬、相談料)」+「実費」で試算するのは同じです。ただし、裁判所で行う少額訴訟や通常訴訟、支払督促、調停、強制執行の場合、裁判所を利用しない示談交渉などよりも経費が大きく変わってくる可能性があります。

 

弁護士費用も裁判所でどんな手続をとるかで変わってきます。報酬は多くの事務所がパーセンテージで提示していますが、着手金は手続きや前後の状況によって変わるケースがあります。例えば裁判所手続きに移る前に示談交渉も依頼していたというケースでは、着手金の割引などを行う弁護士もあります。相談料についても、裁判などの依頼を正式に受けた時点で通常料金と算出方法が変わってくる場合があります。

 

債権額300万円で相談料は5,000円、裁判所での通常訴訟をするケースで簡単に考えてみましょう。着手金は裁判の場合は30万円、報酬は経済的利益の15%と提示されました。また、相談料は裁判受任後の分は不要と言われました。債権300万円を全額回収できたと仮定します。

 

簡単な料金の試算は、「着手金30万円」+「相談料5,000円×回数(裁判受任前の1回のみ)」+「報酬として債権額300万円(経済的利益)の15%」+「経費として印紙と切手代(注・債権額によって異なる。裁判所手続きによっても異なる。裁判所のHPで必要な印紙代必要となる切手代を確認可能)」+「経費として裁判の際の弁護士の交通費(裁判所に足を運ぶため)」+「消費税」となります。この他にも実費が発生したら加算されることになります。

 

裁判所でどんな手続をとるか明確にした後に見積書を作成してもらい、経費などで疑問があれば確認しておくようにしましょう。また、弁護士と顧問契約や債権回収の契約を結んでいた場合は費用がかなり変わります。多数の債権回収案件がある場合は個別に依頼するのではなく、顧問契約を結ぶのも一つの方法です。

 

・債権回収の着手金無料サービスもあり!活用を

 

法律事務所の中には、着手金無料サービスや初回相談無料サービスを行っている事務所もあります。

債権回収を得意としている弁護士事務所はクライアントの債権回収手数料の事情にも通じているため、他の分野を得意としている弁護士より弁護士費用の軽減、ひいては債権回収手数料の負担軽減を考える場合は、債権回収を得意としている弁護士事務所で話を聞き、見積もりを作ってもらうといいでしょう。サービスの活用や依頼する弁護士事務所をよく選ぶことにより、費用の軽減をはかることが可能です。

 

■債権回収を個人でするメリットと費用は?費用倒れ対策に

 

個人で債権回収をする最大のメリットは「費用倒れを防止できる可能性が高いこと」です。

 

例えば10万円の未回収債権があったとします。弁護士に相談すると「着手金が10万円です。この他に経費(切手代など)、報酬として経済的利益15%が必要になります」と言われました。債権を回収してもマイナスになってしまいます。その点、自分で債権を回収すると費用倒れを防ぐことができる可能性があります。個人で債権回収をする最大のメリットは、やはり「マイナスを防ぐことができる」ことではないでしょうか。

 

しかし、個人で債権回収をする場合、手数料をおさえることができるからと言っても、「後から費用が必要になる可能性」が考えられます。自分で債権の請求をしてみたら債務者が応じず、けっきょく訴訟になってしまい、いわゆる「安物買いの銭失い」のような状態になることがあるのです。また、請求している間に時効が問題になってしまい、回収が難しくなる可能性も考えられます。

 

個人での債権回収では、債権回収における費用をおさえることができ、結果的に「費用倒れの可能性もおさえられること」が最大のメリットです。ただし、費用を抑えるために自分で債権回収に乗り出したらかえって大事になってしまったり、回収が困難になったりして、最終的に大きな債権回収費用が必要になるというリスクもあります。

 

「時効」「債権ごとの有効な回収方法を見定めることが難しい」「本来の業務の他に債権回収に時間を取られ、気を砕かなければならない」「手続きが面倒である」というデメリットもあります。少額の債権を弁護士に依頼すると即座に費用倒れの危険性があるわけではありません。額の小さな債権でも、まずは弁護士を頼ることをお勧めします。弁護士に費用倒れの境界線を判断してもらうことが重要です。

 

・債権回収の手数料を方法ごと試算!個人で回収する場合

 

個人で債権回収する場合の手数料について考えてみましょう。

 

弁護士に債権回収を依頼するケースとの違いは「弁護士費用がない」という点です。ただ、弁護士が各種手続きや連絡を代理してくれませんので、全て自分(自社)の手間になります。手数料に加えて「自分(自社)だけで手続きをするとしたらどれだけの時間がかかるか」も合わせて考える必要があります。

 

また、基本的に債権回収を個人・自社で行う場合でも、金額の大きな債権や特定の種類の債権(アパートの賃料など)だけを弁護士に依頼して回収してもらうこともできます。基本は自分で回収手続きをし、一部の債権のみ弁護士に回収依頼を出すケースでは、前述した債権回収を弁護士に依頼するケースでの手数料と個人で回収する際の手数料を合わせて考える必要があります。

 

  • 個人(自社)で返済催促や交渉をするための手数料

 

弁護士に依頼せず、個人または自社で債権回収を進める場合は、基本的に「債権回収手続きに必要な手数料+その他の経費」になります。基本的な計算式は裁判所の手続きに進むケースでも同じように考えることができます。「債権回収手続きに必要な手数料」とは切手代や印紙代などのことです。裁判所や郵便局など手続きに必要な場所に足を運ぶための車のガソリン代などが「その他の経費」にあたります。

 

  • 個人(自社)で裁判所手続きをするための手数料

 

裁判所の手続きは、通常訴訟なのかそれとも調停なのかなど、手続きによって手数料が変わってきます。債権額によっても違いが出ます。個人で裁判所を使って債権回収をはかる場合は、「裁判所の手数料(印紙や切手)+経費(裁判所までの交通費など)」が基本になります。

 

簡単に例を挙げてみましょう。債権額は300万円で、債務者は一人。支払督促の手続きをすると仮定します。

 

支払督促の手続きをする場合、必要な切手は債務者一人につき1,082円になります。申立書が9枚以上になる場合は、債務者一人につき48円が加算されます。切手代の他に、裁判所の使用料ともいえる手数料を印紙で納める必要があります。支払督促を債務者一人に送付する場合は、裁判所の手数料一覧の300万円の欄を確認します。印紙は1万円と記載されています。300万円の債権額なら、単純計算で1万数千円くらいの金額で支払督促ができる計算になります。

 

もちろん交通費などが加算されてもっと多くなる可能性もあります。債権額が大きくなるとその分だけ印紙代も高くなります。債権額と裁判所の手数料を確認することで大体の手数料目安を算出することができます。

 

・債権回収代行を個人に無料でお願いすることで手数料軽減できる?

 

個人(債権者)が債権回収をすれば弁護士費用をおさえることが可能です。ただし、弁護士に依頼しないということは、債権回収に必要な手続きは全て自分で行わなければならないということです。「手続きが面倒である」「本来の業務の他に債権回収に時間を取られ、気を砕かなければならない」というデメリットがあることは既にお話ししました。

 

では、自分以外の個人に仕事として依頼してみるのはどうでしょうか。個人に無料で債権回収を代行してもらうのです。この方法なら弁護士に依頼するより金銭的に負担が小さくなります。

 

しかし、個人に債権回収代行をお願いすることには問題があります。債権回収を代行できるのは弁護士や認定司法書士、法務省の許可を受けている債権回収業者だけです。

弁護士は、日本弁護士連合会(日弁連)のサイトから、弁護士としての登録があるかどうかを確認することができます。法務省の許可を受けている債権回収業者も、法務省のホームページから確認することができます。

 

債権回収の手数料を少なくするためであっても、違法な業者や資格を偽る個人や事務所に依頼しないように、しっかりと事前に確認しましょう。

 

■最後に

 

債権は回収してはじめてプラスになります。回収できなければ、手数料をおさえても意味がありません。手数料負担が多いと費用倒れの心配もありますが、反対に債権回収手数料にだけ重点を置いてしまうと、そもそも債権を回収できなかったというリスクが発生する可能性があります。

 

債権回収は手数料だけを見るのではなく「債権回収の確率が高いか」「債権回収の方法が自分の所持する債権に合っているか」をよく確認する必要があります。経験豊かな債権回収を得意とした弁護士であれば、費用倒れについてアドバイスしつつ、債権に合った回収方法を提案してくれます。

 

弁護士への債権回収の依頼は、回収の可能性を高めてくれるというメリットもあります。まずは弁護士に相談し、手数料や回収方法などの気になる疑問点に明快な答を得るところからはじめてみてはいかがでしょうか。

債権回収に関する最新記事

債権回収に関する人気記事

  1. 仮差押

    仮差押

  2. 医療機関での診療報酬の未払いについて

    医療機関での診療報酬の未払いについて

  3. 支払督促手続き

    支払督促手続き

  4. 差し押さえ(強制執行)

    差し押さえ(強制執行)

  5. 債権回収を確実にする3つの予防法務

    債権回収を確実にする3つの予防法務

投稿日:

Copyright© 債権回収に強い弁護士事務所|あすなろ法律事務所 , 2018 AllRights Reserved Powered by micata2.