クレジットカードのブラックリストとは?確認方法や対処法をご紹介
2023/04/24 03:34
目次
クレジットカードを滞納していると「ブラックリスト」に載ると言われています。
このブラックリストとはどのようなものなのでしょうか。
この記事では、ブラックリストの正体と、その確認方法や、掲載されないようにする方法、抹消されるまでの期間などを解説します。
ブラックリストとは
「ブラックリスト」というのは、信用情報機関に「信用に問題があります」と記録されている状態のことです。「ブラックリスト」というリスト自体があるわけではありません。
「延滞」などの信用に問題のある情報を「事故情報」といい、こういった情報が掲載されています。
「信用情報機関」というのは、一般人の借金やカードの利用状況などを集めて、加盟している企業に情報を提供している組織のことです。
信用情報機関は複数ありますが、加盟している企業は銀行などの金融機関や、消費者金融、信販会社などがあります。
消費者金融やカード会社などはローンやクレジットカードの申し込みを受けても無条件に融資やカードを発行してくれるわけではありません。
「お金を貸しても大丈夫かな」、「カードを作っても返済してくれるかな」ということを確認しています。これを「審査」といいます。
そのような審査の一つとして「信用情報機関」を利用しているのです。
「お金を貸したのに返してもらえない」企業があると、その企業が信用情報機関に報告することで、会員である他の企業も知ることができるのです。
もし事故情報が記録されていると、金融会社やカード会社は融資やカードの発行を断ることが多いです。すでに持っているクレジットカードについては更新の拒否や、強制解約となることもあります。
ブラックリストに載る条件
ブラックリストに載るとクレジットカードが使えなくなったり、住宅ローンや自動車ローンを組めなくなったりします。そのため生活にも影響が出ることになります。
では、どのような原因でブラックリスト入りしてしまうのか見ていきます。
61日以上あるいは3か月以上の延滞や滞納
入金が少し遅れただけでは事故情報としてブラックリスト入りするわけではありません。「CIC」と「JICC」という信用情報会社では、支払いを「61日以上」もしくは「3か月以上」滞納すると事故情報として記録されることになっています。
信用情報は本人も開示請求できますが、開示された情報には「異動」という情報が記録されます。「異動」とは、返済がきちんと行われていないという意味です。
厳密には、信用情報には入金日にきちんと入金されたかという情報も記録されているので、支払いが少し遅れただけでも記録として残ります。ただし、一時的なものであれば大した問題にならないことも多いです。
ですが61日以上の延滞になると、さすがに「うっかりミス」とはいえません。そのため「異動」という事故情報が記録されるのです。
携帯「端末」料金の延滞
携帯電話やスマートフォンを分割払いで購入した場合には、その支払いが遅れるとブラックリストに載ることがあります。
これも61日以上もしくは3か月以上の滞納で「異動」情報が記録されます。
これに対して通話料金の場合には、信用情報機関に記録されません。
信用情報機関に記録される情報は、「クレジットカード」や「ローン」、「割賦販売(分割払い)」などに決まっていて、通話料金は含まれないからです。
もちろん料金の支払いにクレジットカードを使っていて、その代金の支払いを滞納したら記録されてしまいます。
奨学金返済の延滞や滞納
奨学金の支払いを滞納したときにもブラックリストに載ることがあります。ただし、すべての奨学金の延滞が事故情報として記録されるわけではありません。
信用情報機関は、加盟している団体しか利用できないので、加盟していない団体の奨学金を滞納したとしても登録されないからです。
多くの学生は「日本学生支援機構(JSSO)」を利用していると思います。日本学生支援機構は信用情報機関である「全国銀行個人信用情報センター(KSC)」に加盟しています。
日本学生支援機構の場合には3か月以上の延滞があると事故情報として記録する扱いです。
遅延や延滞による保証会社による代位弁済
クレジットカードやローンの支払いを滞納すると保証会社が代わりに弁済することがあります。これを「代位弁済」といいます。クレジットカード会社などが系列企業の保証会社に支払いを保証させてリスクを分散しているのです。
代位弁済がされると「異動」情報としてブラックリストに記録されることになります。弁済されたのにブラックリストに載るなんておかしいと思うかもしれません。ですが支払うべきものを支払わなかったことに変わりはないからです。
保証会社に返済する責任も消えないので気をつけてください。
クレジットカードの短期解約の繰り返し
解約した事実も信用情報に記録されます。もっとも、自分から解約したとしても基本的に問題にはなりません。
ですが契約した直後に解約することを繰り返していたらどうでしょうか。クレジットカード会社やお店が、いろいろなキャンペーンを実施しているため契約をした直後に解約してしまう人がいると思います。これをいくつもやってしまったらどうなるでしょう。
クレジットカードの審査担当者が短期解約を繰り返しているのに気づいたら、おそらく発行をためらうでしょう。キャンペーンまでしてカードを発行してもらいたい理由はそのカードを利用してもらいたいからです。発行にはコストがかかるため短期で解約されたら赤字になってしまいます。
そのため短期解約を繰り返すと、その事実は一種のブラックリストともいえます。
クレジットカード強制解約の事実
強制解約も信用情報に記録されます(日本信用情報機構の「異動参考情報」欄)。
カード会社からの強制解約には理由が必要であり、カードの利用規約に違反しないと強制解約はされません。代表的な解約理由は、「支払いの長期滞納」です。
そのため、「強制解約」が記録されているとクレジットカード会社は新規の契約を断るケースが多いです。
借金返済中に過払い金請求を行った
借金の完済を前提に「過払い金請求」をしたとしてもブラックリストには載りません。
過払い金請求とは、違法な高金利をとっていたクレジットカード会社や消費者金融などに払いすぎた利息の返還を求めるもので、こちらの信用情報とは関係ないからです。
これに対して、借金が残っている中で過払い金請求をするときには注意が必要です。適法な金利で計算し直したら借金がなくなると思っていたのに借金が残ってしまうことがあるのです。このようなケースだと「任意整理」という「債務整理」をしたことになるのですが、債務整理の事実は信用情報に記載されてしまうからです。
そのため、過払い金請求をするときには計算を間違えないように弁護士に相談するようにしましょう。
自己破産を行った
自己破産などの「債務整理」をしたときも異動情報としてブラックリストに載ります。
債務整理には、「自己破産」のほかに、「任意整理」や「個人再生」というものもあります。任意整理や個人再生については記録しない信用情報機関もあります。
<関連記事>債務整理後の生活への影響は?仕事や住宅ローンへの影響など解説
ブラックリストの確認方法
ブラックリストに載っているか心配なときは、信用情報機関に「情報開示請求」をすれば分かります。
信用情報機関は、「CIC」、「日本信用情報機構(JICC)」、「全国銀行個人信用情報センター(KSC)」の3社あるので、自分の信用情報が載っている可能性のあるところに請求します。
加盟している企業、団体はそれぞれの信用情報機関で検索できます。複数の信用情報機関に加盟していることも多いです。
信用情報機関 |
主な加盟企業 |
請求方法 |
シー・アイ・シー(CIC) |
・クレジットカード会社 ・消費者金融 |
500円(インターネット) 1,500円(郵送) |
日本信用情報機構(JICC) |
・消費者金融が多い ・金融機関 ・クレジットカード会社 ・保証会社 |
1,000円(スマホ、郵送) |
全国銀行個人信用情報センター(KSC) |
・銀行 ・信用金庫 ・農協等の金融機関 ・日本学生支援機構 |
1,000円(インターネット) 1,124円~1,200円(郵送) |
※2023年4月11日現在。
情報開示請求した事実は公開されません。そのためクレジットカードの発行やローンの申込みに悪影響を与えることはありません。
CICへの開示請求
CICに情報開示請求する方法は、インターネットと郵送の2つの方法があります。
※訪問請求は廃止されました。
インターネット請求
クレジットカードかスマホによるキャリア決済で利用できます。
料金は500円です。
1.受付番号の取得
クレジット契約で利用した電話番号から専用の番号(「0570-021-717」、受付時間8:00~21:45)に電話して受付番号を取得します。
2.認証コードの取得(キャリア決済の場合のみ)
3.必要事項を入力
4.利用手数料の決済
5.開示情報の閲覧
という流れです。
CIC情報開示WEBサイトから申し込みます。
郵送請求
開示手数料(1,500円)がかかります。コンビニで開示利用券をマルチコピー機などで購入するか郵便局で定額小為替を購入します(購入手数料が別途必要)。
1.信用情報開示申込書をダウンロードして印刷、記入し返送します。
コンビニのマルチコピー機で印刷することもできます。
2.本人確認書類を2点添付します。
送付先は「CIC(郵送で開示する)」を参照してください。
日本信用情報機構(JICC)への開示請求
JICCへの開示請求は、スマホと郵送による方法があります。
手数料として1,000円かかります。
スマホ請求
スマホアプリをダウンロードし案内に従って必要事項を入力し手数料を支払います。
クレジットカード、オンライン収納代行、携帯キャリア決済が利用できます。
本人確認書類2点が必要ですが、アプリで撮影し送信します。
郵送請求
JICCのWEBサイトで申込書に記入し、PDFにしたものを印刷して郵送します。印刷できない方はスマホアプリかコンビニのマルチコピー機で取り寄せできます。
クレジットカードでの支払いか定額小為替で支払います。
全国銀行個人信用情報センター(KSC)への開示請求
インターネットか郵送で請求できます。
インターネット請求
手数料1,000円で請求できます。本人確認書類をWEB上で送信し手続きします。
クレジットカード、PayPay、キャリア決済が利用できます。
メールアドレスの登録が必要であり、SMS認証も要求されます。
WEBサイトで必要事項を入力し手数料を支払うことで開示報告書をダウンロード出来ます。
郵送請求
コンビニのマルチコピー機で本人開示手続き利用券を購入します。金額は1,124年~1,200円です。
申込書をダウンロードして印刷するかコンビニのマルチコピー機でプリントし、必要事項を記入し本人確認書と利用券を一緒に郵送します。
ブラックリスト解除までの期間
ブラックリストが抹消されるまでの期間は、原因や情報機関の種類によって異なります。
延滞(滞納)が原因の場合
延滞(滞納)によりブラックリストに記録されてしまった場合には、契約終了日から5年で抹消されます。
代位弁済の場合
保証会社が代わりに弁済した場合にもブラックリストになりますが、この情報も契約終了日から5年で抹消されます。
強制解約の場合
強制解約の事実はJICCに記録されます。この記録は契約終了後5年で抹消されます。
債務整理の場合
任意整理、個人再生、自己破産といった債務整理が原因の場合には、5~7年で抹消されます。信用情報機関によって期間が違います。
CICとJICCについては契約終了日から5年で抹消されます。
ただし、JICCについては2019年9月30日以前の契約の場合、債務整理を行った日から5年で抹消されます(任意整理であれば受任通知の送付日から5年)。
KSCについては「自己破産」と「個人再生」について、手続き開始決定日から7年で抹消されます。任意整理についてはKSCでは記録されません。
以前は10年間記録されていましたが2022年11月4日から7年に期間が短縮されています。
<ブラックリスト期間(まとめ)>
|
CIC |
JICC |
KSC |
申込情報 |
照会日から6か月 |
照会日から6か月 |
照会日から6か月 |
延滞情報 |
契約終了から5年 |
契約終了から5年※2 |
契約終了から5年 |
代位弁済 |
契約終了から5年 |
契約終了から5年※2 |
契約終了から5年 |
強制解約 |
― |
契約終了から5年 |
― |
任意整理 |
―※1 |
完済から5年※3 |
― |
個人再生 |
―※1 |
完済から5年※3 |
開始決定から7年 |
自己破産 |
免責から5年 |
免責から5年 |
開始決定から7年 |
※1 「任意整理」や「個人再生」の事実そのものは記載されませんが、延滞情報は残るため完済してから5年は事故情報が残ります。
※2 2019年9月30日以前の契約については異なることがあります。
※3 2019年9月30日以前の契約については債務整理から5年で抹消されます。
基本的に契約終了から5年で抹消される。破産と個人再生の場合はKSCだけ7年と覚えておけばいいでしょう。
債務の滞納は根本的な解決が必要
クレジットカードの利用料金や借金は放っておいてもいいことはありません。
返済が難しかったり、滞納してしまったりしているときには債務整理が必要です。
債務整理には、「任意整理」、「個人再生」、「自己破産」などいろいろな方法があります。個人の事情に合わせて最適な方法が用意されています。
家族に秘密で行う方法、マイホームを残して借金を大幅に減らす方法、借金を全部なくしてしまう方法などがあります。
「債務整理をするとブラックリストに入ってしまうからイヤだ」と思われるかもしれません。
ですが、延滞しただけでもブラックリストに入ってしまいます。
むしろ債務整理を早くしたほうが早くブラックリストから抹消されるので影響は小さくなります。
現在、返済が難しい人は遅かれ早かれ債務整理をする可能性が高いです。
債務整理が必要かどうかだけでも、一度弁護士に相談することをおすすめします。
<関連記事>クレジットカードの債務整理は可能?債務整理前の注意点など解説
まとめ
・「ブラックリスト」とは、信用情報機関に事故情報が記録されることです。事故情報とは、延滞や強制解約、債務整理などのことです。
・信用情報機関は3つあり、自分の情報を開示請求することでブラックリストに載っているか確認できます。
・ブラックリストはいつまでも残るわけではありません。5~7年で自動的に抹消されます。
・債務整理すると事故情報として記録されますが、延滞するだけでも記録されるため早く債務整理したほうが得策です。
・債務整理の必要があるのか専門家である弁護士に相談することが大切です。
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本記事の監修弁護士 前田 祥夢(東京弁護士会所属)