不正競争防止法5つのポイント!不正競争行為における債権回収等のコツと対処法

目次

はじめに

ポイント1~権利利益侵害の類型

勝手に名前等を使われた場合(間違えさせようとするとき(2条1項1号))

勝手に名前等を使われた場合(全国的に有名な名称等の不正な利用(2条1項2号))

デザイン等が似ている場合(2条1項3号)

企業秘密(営業秘密)が使われている場合等(2条1項4~10号)

コピーガード等除去(2条1項11~12号)

信用を害すること(2条1項15号)

商品やサービスの内容等を偽ること(2条1項14号)

ポイント2~権利侵害等の対抗策

差止め

損害賠償

信用回復請求

関税法

混同を防ぐための表示の要求

ポイント3~未然に防ぐ

秘密管理... 7

ポイント4~違反する側にならないために

品質などについて誤った認識をさせること

ライバル企業からの転職者

商標に関する代理人

外国国旗の無断利用等

ポイント5~外国や国際機関との関係など

外国国旗等の無断利用

外国公務員等への賄賂

まとめ

■はじめに

企業活動を行っていく場合、取引先企業や消費者など顧客に対する関係だけではなく、ライバル企業との関係も問題となります。

 

ライバル企業の存在は、同じ業界における技術向上や業界全体の知名度の向上、市場拡大につながるなど、有益なものとなりえます。

 

しかし、それはあくまでも正しいルールに則った、公正な競争が行われる範囲において妥当します。

 

仮に、自社で多大な時間と多額の費用をかけて生み出したノウハウを、企業スパイによって盗まれ利用されたり、自社の技術者を引き抜かれ技術が流出利用されたりした場合、多大な損害を被ることになります。

 

それは現金や商品を盗まれるよりも遥かに大きな損害となりえます。

もしも、そのような行為が許容され野放しになれば、誰も新しい技術を生み出そうとはしなくなるでしょう。

 

一方で、顧客である一般消費者からみると、企業がウソの表示をして商品を販売したり、サービスを提供したりしているような場合、十分な知識や情報、能力をもたない立場では、安心して商品を購入したり、サービスを受けたりすることができません。

もしも、そのような行為が放置されれば、必要なコストをかけて活動している企業が、ウソの表示をすることでコストを削減している企業と不利な条件で競争することを強いられることになります。また、正当な企業活動を行っている者も信用されなくなり、経済活動そのものが成り立たなくなるかもしれません。

 

これらのような問題に対処するため、正しいルールを整備し、企業の権利利益を保護し、もって国民の経済活動を守るための法律のひとつとして、不正競争防止法が存在します。

 

ここでは、権利侵害をされた場合や、権利侵害をする側になってしまわないよう気をつけるべきポイントを中心に見ていきたいと思います。

 

■ポイント1~権利利益侵害の類型

・勝手に名前等を使われた場合(間違えさせようとするとき(2条1項1号))

誰かが使っている有名な(取引の相手方などに広く知られている程度)屋号、会社名、商品名やロゴなどと同じ、またはそっくりなものを使うことで、その誰かが販売したり提供したりしているサービスなどと間違えさせる行為は禁止されています。

 

他人の事業などと間違える恐れがあれば良いので、名前など名称でなくともよく、形状などにより間違えさせる恐れがあれば問題になりえます。

 

例えば、大阪にある大きな動くカニの看板に似た看板を使用したケースが問題となったことがあります。

これはその動く大きなカニの看板はそのお店を表すことでとても有名でしたので、そっくりな看板を使用することはそのお店と間違えさせる恐れがあるということです。

 

ただし、普通に使われる名前だったり、慣用的な表現を一般的な範囲で用いたりすることは許されます。(後述する別のケースでも基本的に同様です。)

例えば、商品名として「ソース」「リンゴ酢」などの表現、サービスを表す看板として、温泉マークを用いることなどが考えられます。

 

他にも、自分の名前を普通に使用する場合や、その名称等が有名になる前から利用していた場合に、間違えさせてやろうと思わずに利用し続けるときも許されています。

 

ただし、その場合、最終的には裁判官によって判断されますので、内心ではやましい気持ちが一切なくても、不正な利用だと判断されてしまう恐れも否定できませんので、有名な名称などを使うときには注意が必要です。

 

違反すると民事上だけではなく、刑事上の責任を問われることがあります。

 

よくわからないときには弁護士に相談してください。

 

・勝手に名前等を使われた場合(全国的に有名な名称等の不正な利用(2条1項2号))

前記の場合と異なり、取引相手など特定の人達だけではなく、全国的に有名な名称等でなければなりません。そして、自分の営業や商品等を表すものとして示し利用しなければなりません。

 

また、他の人の営業などに間違えさせる必要はありません。

例えば、「三菱」を「三菱信販」や「三菱ホーム」という会社名として使用したケースで問題となったことがあります。業態等が酷似しているなどのケースであれば、前記の1号に当てはまる可能性もあったかもしれません。

 

他に、「シャネル」という名称を使った性風俗店が問題になったケースもあります。シャネルのイメージにタダ乗りし、かつイメージを損なう点で問題があるわけです。

さすがにこのケースでは、誤認の恐れはないと思いますので前記した1号の適用は難しいと思います(ただし、原告は1号も主張していたようです。)。

 

気をつけなければならないのは、あくまで商品や営業を表すものが禁止の対象になっているということです。

例えば、許諾を得ずに名称等を利用されたとして、実在の競走馬の名称をゲーム中の馬の名称として利用したゲームソフトの製造販売業者に対し、販売停止や損害賠償請求を競走馬のオーナー等が求めた事案で、最高裁判所は、差止めや損害賠償請求はできないとしました。

 

この事案は、ゲームソフトの中で名称が利用されているだけであり、ゲームソフト自体の名称が問題となっているわけではありません。

 

なお、人の名前の場合には、民法等の他の法律に基づいて損害賠償請求等ができることがありえます。また、馬の名前など物の名前であっても(動物は法律上基本的に物として扱われています。)、利用のされ方によっては損害賠償請求等ができる可能性は完全には否定されないと思います。

 

例外的に許容される場合や犯罪になることは1号と同様です。

 

・デザイン等が似ている場合(2条1項3号)

他の人が作った商品の形、態様を真似して実質的に同じ形、態様の物を作り出して販売等することも許されません。ただし、その商品の機能を守るために欠くことができないものや、よくある形状であるようなときなどは別です。

 

例えば、たまごっちという、たまご型液晶小型ゲーム機に似せた、たまご型ゲーム機が問題になったことがあります。

 

ただし、我が国内で一番始めに売り出されてから3年が経った場合や、問題となっている商品を手に入れた時に真似をした商品だと知らず、かつ、ちょっとした注意をしてもそのことに気づかなかったときには適用されません。

 

なお、3号に違反した場合も刑罰が課されます。

 

・企業秘密(営業秘密)が使われている場合等(2条1項4~10号)

企業秘密を盗んだり、盗まれたことを知っていたり、ちょっとした注意により不正があったことを知ることができたのに、これを怠って盗まれた企業秘密を入手したりすることなども禁止されています。

 

ここで企業秘密とは、秘密扱いで管理がなされた企業の活動上、役に立つ(有用性)営業や技術に関する情報の中で、公になっていないもの(非公知性)のことです。

 

秘密管理性の要件については、当該情報に適法にアクセスできる使用人などが、当該情報について、秘匿されるべきものであると判別できることが重要と考えられます。

「極秘」などの赤インクのハンコが押されていたり、物理的に鍵がかけられたロッカーや部屋に保管されたファイル等であったりすれば、秘密であることが通常は明らかといえるでしょう。

 

有用性の要件は、商品品質データの改竄や汚職、犯罪等の内部告発をすることまで違法とするわけにはいきませんから、こういった反社会的な内容を保護の対象から外すことが主な狙いであり、普通はこの要件を満たすと考えられます。

 

非公知性の要件は、一般的に知られている限り保護すべき秘密に当たらないから当たり前の要件と言えます。

 

例えば、環境プラントの設計図面がライバル企業に渡った事案で、データが記録されたメディアのケースに持ち出し禁止と記載されていたことから、秘密管理性が肯定され、他の要件も満たしたことから損害賠償請求等が認められたことがあります。

 

これらの行為にも刑罰が課されます。

 

・コピーガード等除去(2条1項11~12号)

音楽や映画、ゲームソフトなどには無断でコピーされないようにするために特別な加工がされています。また、テレビ放送についても無断で視聴されないように特別な手法が施されています。

 

これらの特別な加工等が無効にされてしまえばそれらのソフトウェアが無断で利用されることとなり、ひいてはそのようなサービス自体が行えなくなってしまいます。

 

そこで、このようなコピーガード等の技術を無効化してしまう装置やプログラムの提供等を行うことも禁止されています。

 

民事上の制裁だけではなく刑事上も罰せられます。

 

・インターネットアドレス(ドメイン)が紛らわしい場合(2条1項13号)

インターネットのアドレスは企業などの顔となりうるもので、勝手に自社の名称等と類似したドメインの使用をされると損害を被ることがあります。

 

また、ドメインをたまたま取得できただけの者に、本来の会社が受けるべき利益を与える理由もありません。

 

そこで、他の企業などの名前や商品名などを表すようなドメインを獲得したり、利用したりする行為も禁止されています。

 

例えば、有名企業の名前を使ったドメインを登録し、これを買い取るよう法外な値段で要求したケースでは、使用の差止めや登録の抹消、損害賠償請求が認められたことがあります。

 

刑事罰の規定は置かれていませんが、刑法上の犯罪としての要件を満たす限り、恐喝罪などに問われる可能性はあります。

 

・信用を害すること(2条1項15号)

ライバル会社の商品の品質などについて嘘の情報を流すことなども禁止されます。

 

これも刑事罰の規定はありませんが、刑法上の信用毀損罪等に当たる可能性があります。

 

・商品やサービスの内容等を偽ること(2条1項14号)

商品の品質などについて誤った認識をさせるような表記があったために取引をしてしまったような場合です。同時に詐欺罪が成立することもあります。

これについてはポイント4でも解説します。

 

■ポイント2~権利侵害等の対抗策

・差止め

権利利益が侵害された場合やその恐れがある場合、まず、被害の拡大を防がなければなりません。

そのため、上記で述べたような不正やその恐れがあれば、その行為の差止め等を求めることができます。

 

ただし、侵害等の事実と侵害等を行っている人を知った時から3年間放置していたときは消滅時効により請求できなくなります。

また、知らなくても20年間経った場合にも、請求できなくなりますので注意してください。

 

・損害賠償

知っていながらあえて前記したような不正なことをして権利利益を侵害されたときは、損害賠償請求できます。不注意で損害を与えた者に対しても同様です。

ただし、前記した消滅時効にかかった後に使用されたような場合には請求できませんので注意が必要です。

 

・信用回復請求

信用を害された場合、信用を回復するために必要なことを、害した者に命じるよう裁判所に対し求めることができます。例えば、訂正広告を求めるようなことです。

 

・関税法

輸入品について問題となる場合は、関税法に基づいて輸入を停止するよう手続をとることもできます。

 

・混同を防ぐための表示の要求

前記した例外的に商品名等を利用できる場合(自己の氏名の利用、有名になる前から利用していたとき)、なんの制限もないまま使用されると問題となりますので、いずれの企業の商品やサービスなのか、区別をつけるための表記をするよう求めることができます。

 

■ポイント3~未然に防ぐ

・秘密管理

企業秘密が外部にもれないようにするためには、まず、なにが秘密なのかをその情報を取り扱う人間に周知徹底することが重要と言えます。

 

万が一、外部に漏れた場合であっても、秘密として管理されていなかったとして言い逃れられる可能性を封じることができます。

 

使用人などが、その情報が秘密であるということをはっきりと分かるようにしておくことが大切です。

そのためには、物理的に施錠したところに保管したり、パスワードで保護したり、持ち出し厳禁などの表示をしたり、秘密を取り扱う担当者との間で特別な契約書を交わしたりといったことなどを実施します。

これにより、秘密情報であるということが誰の目にも明らかとなるからです。

 

■ポイント4~違反する側にならないために

・品質などについて誤った認識をさせること

商品やサービスの内容などについて誤った認識をするような表記をしたりするなどの行為は禁止されています。原産地を偽ったりすることがよく問題になります。

 

これは刑事罰も科される重大な違法行為です。

 

例えば、牛肉100%のひき肉等とうたいながら、豚肉を混ぜて販売したケースが問題となりました。このケースではお金をだましとってもいますから詐欺罪にも問われ、かつての社長は懲役刑を言い渡されました。

 

・ライバル企業からの転職者

これまで見てきたケースでは、ほとんどが悪意かそれに近いような過失があるような場合でしたが、意図せずに加害者になってしまうケースもありえます。

 

例えば、使用人の中に、ライバル企業から転職してきた技術者がいる場合に、その者が良かれと思って前職の研究データを提供するようなケースです。

 

また、そのような秘密が提供されないとしても、先行する商品に似たような商品を販売したような場合に、たまたまその企業に在籍したことのある使用人がいたようなとき、問い合わせを受けたり、相手方が納得するような根拠を示せないと、場合によっては法的な請求を受けたりすることも考えられなくはありません。

 

「きっと我社にいた元社員が漏らした秘密の情報を基に作ったに違いない。」などと思われることも考えられなくはないのです。

 

そのような場合に備えて、独自に開発したものであることを証明するため、会議の議事録や開発者のノートなど、できるだけ詳細なものを廃棄せずにある程度の期間保存するなどの対策を取ることが望ましいと思います。

 

・商標に関する代理人

世界貿易機関に加盟する国等の商標に関する権利をもっている者の代理人が無断で当該商標を利用したりすることも禁止されています。ただし、刑事罰は定められていません。

 

・外国国旗の無断利用等

これについてはポイント5で説明します。

 

判断が難しいケースもありますので、個別のケースについては弁護士に相談してください。

 

■ポイント5~外国や国際機関との関係など

・外国国旗等の無断利用

外国の国旗や紋章などを商品の標識等として無断で利用することは禁止されています。

商標としての利用が禁止されているわけです。刑罰も科されます。

 

・外国公務員等への賄賂

公務員に賄賂を送ることは犯罪に当たることを多くの人が知っています。

これは刑法により規制されています。

ただし、外国の公務員は刑法上に規定がありません。

そこで、刑法上規定がないため、外国の公務員に対して賄賂を送っても処罰されないと思っている人がいますが、これは誤りです。

 

不正競争防止法では、外国公務員等に対し、国際的な商取引について不正な利益を得るために賄賂を贈ることが禁止され、これに違反した場合、犯罪として処罰されることになっています。

 

■まとめ

・不正競争防止法を理解するには、権利利益侵害の類型、侵害への対抗策、秘密漏洩の防止、うっかり加害者にならないようにすることなどがポイントになります。

勝手に商品名などを利用されたり、企業秘密を盗まれたり、品質などを誤認させられたりなどしたときは、対抗策をとることができます。

・対抗策としては、販売の差止めや損害賠償請求、輸入の停止などが可能です。

・企業秘密を守るには、退職者や企業スパイに対応するため、秘密の情報かそうでないかの区別がはっきりするよう情報を管理することが大切です。

・外国の国旗を勝手に商標として使うことは犯罪にあたります。

・外国の公務員等に対して国際的な商取引に関して、営業上の不正な利益のために賄賂を贈ることは犯罪です。

以上に述べたことは、すべてのケースに当てはまるとは限らず、個別のケースでは判断の難しいこともあります。また、例外規定やさまざまな取引形態など要件が異なると結論も異なることがあります。詳しくは弁護士に相談してください。

 

なお、裁判になった場合、秘密が公にならないよう配慮する取扱いが法律上規定されています。

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