自己破産しても財産は残せるの?

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はじめに

自己破産にはネガティブな印象がつきまといます。そのためさまざまな誤解をもっている人が多くいます。昔の映画などで家に押しかけられ家具や衣類までもっていかれるシーンが描かれていたこともあり全財産を失うと信じている人もいます。
しかし実際には生活に必要なものまでもっていかれるようなことはありません。現金でさえある程度まで残すことが認められています。自動車など比較的高価なものを残せるケースもあります。
アメリカでは破産はフレッシュスタートとも呼ばれポジティブなイメージで捉えられています。新たにやり直すには元手が必要となります。それはアメリカであろうと日本であろうと変わりはありません。そのため身ぐるみを剥がされるというのは完全な誤解といえます。
ここでは一般的な誤解を解くともに具体的にどのような財産が残せるのかについて見ていきたいと思います。

制度の概要

自己破産をする目的は借金などの債務から解放してもらうことにあります。そのため破産は債務者のための制度と考えている方が多いと思います。たしかに生活を圧迫している債務をなくすことで経済的な更生を図ることは重要な目的といえます。
しかしこの制度は債務者の財産を精算し債権者に公平に分配することも大きな目的です。そのため経済的価値のある物は処分されることが原則といえます。
しかし財産のすべてを失ってしまってはもう一つの目的である生活再建を果たすことができなくなってしまいます。
それゆえ一定の財産については処分せずに済むことになっています。

まず押さえておかなければならないのは手続きには同時廃止と管財事件の2つがある点です。というのも同時廃止となったときには手続きが終了してしまうため財産の処分はそもそもなされないからです。
本来であれば管財人が選任され財産の有無や内容を調査して必要に応じて処分換金し債権者に配当することになるのですが費用が賄えないケースではこのような手続きを省略してしまうのです。
したがってこの場合にはいま持っている財産はそのまま残せることになります。
具体的にどのようなケースで省略されるのかについては裁判所ごとに判断が違うため一概にはいえないですが、概ね20万円未満の財産しか保有していない場合といえます。そのためあまりに保有している財産が少ないのであれば財産が処分されないだけでなく手続きそのものが簡素化されています。

ただし例外的に免責不許可事由があったり事業を営んでいたりするなど調査が必要と判断されると管財事件となります。

残せる財産の種類

管財事件になったとしてもすべての財産を処分されるわけではありません。そこで具体的にどのようなものを残すことができるのかを知っておくことが大切です。

破産手続きの開始時に持っていた差し押さえ可能な財産は破産財団と呼ばれます。これが権利者へ配分するための原資となります。管財人が管理を行うため債務者は勝手に処分することができなくなります。言い換えるとそれ以外のものは基本的に債務者の管理下にあることになります。債務者が自由にすることができるため自由財産と言われます。これにはいくつか種類があるため順番に見ていきます。

現金

まず知っておいたほうがいいのが99万円までの現金です。破産についてよく知らない人は1円も残らないと思っていることも多くそれなりに残せることに驚くかもしれません。個人の自己破産の場合には生活再建が重要な目的となっているためある程度の現金を残しておく必要があるからです。
このことからもわかるように完済の見込みがないのに無理に返済を続けると手持ちの現金を不必要に減らしてしまい、本来残すことができたはずのお金を失ってしまうこともあります。手続きにも費用がかかります。返済が難しいと感じた時点で速やかに弁護士に相談することが大切です。

差押禁止財産

お金を返さないでいると強制執行を受けることがあります。しかし生活に必要なものであるなど執行の対象にすべきでないものもあります。そういったものについては法律上差し押さえが認められていません。破産においても同じ扱いとなっています。

具体的には生活に必要な衣類や家具、寝具、1か月分の食料や燃料、業務上必要な道具などがあります。
債権についても制限があり給料や年金等の4分の3部分については差し押さえができないことになっています。

前記のように手続き開始時に持っていた財産については差押えを禁止しているものを除き弁済に回されるのが原則です。しかし債務者の実際の生活状況によっては今後の生活に支障が出ることが考えられます。例えば病気や障害のある人の場合にはそうでない人よりも必要な物が多いですし、電車やバスもないような環境であれば自動車は不可欠な物といえます。
このように事情に応じて処分しない財産を増やしてもらう事もできます(自由財産の拡張)。
一般的に認められやすいものとしては20万円以下の預金や生命保険返戻金、自動車が代表的です。

このほかにも管財人が権利を放棄したものについては自由財産となります。買い手がつく見込みのないものや管理が難しかったりコストがかかりすぎたりするものなど処分に困るものは権利を放棄してもらえることがあります。
例えば不動産であっても交通が不便なところや共有持分、竹林などは買い手を見つけることはおろか管理さえ容易ではありません。動産であっても特殊な大型機械など保管場所や管理コスト、買い手の有無などを考えると権利が放棄される可能性があります。
本来債権者に対する配当を多くするのが管財人の役割ですから無駄な出費によって財産を減らすわけにはいかないからです。

新得財産

債務者が気になることの一つとして新たに取得した財産はどうなるかというものがあります。つまり手続き開始後に手に入れたお金やその他の物の権利はどうなるかという問題です。結論としてこれらは新得財産と呼ばれ処分されることはありません。

具体例

預金

一般的に誤解されやすいものとして預貯金があります。現金と混同してしまう人が多いのです。預貯金はあくまで金融機関に対する債権(支払ってくださいと要求できる権利)であってお金そのものではありません。そのため前記した現金と取り扱いが異なります。つまり99万円以下であっても原則として自由財産とはならないのです。
例えば預金として100万円をもっているが現金やその他の財産をもっていないときには自由財産がほとんどないことになります。
しかしこれでは生活再建に問題が出るため多くの裁判所では少なくとも20万円は自由財産の拡張を認めています。それ以上に認めてもらえる可能性もありますが裁判所やケースによって異なるため注意が必要です。
事前にATMから下ろしておけばいいのかと思われるかもしれませんが目的や時期によっては現金として扱われないことがあるので気をつけなければなりません。

退職金

受け取り済みであるか否かによって取り扱いが異なります。
すでに受け取っているのであれば単に現金または預金として考えていきます。
まだ退職していない場合や退職済みであっても受け取っていないケースが問題となります。退職金は4分の3部分については執行できないことになっています。ですが退職金はまとまったお金であることが多く4分の1であってもかなりの額になります。
近いうちに職場をやめるつもりであるときにのみ考えるべきことでありやめる予定がないときには関係がないと思われるかもしれません。ですが退職前であっても将来的にはもらうことができる以上財産的価値があるため処分の対象となっています。
退職しなければもらえないはずのお金ですから今会社をやめたとしたらもらえるはずの金額を割り出し差し押さえが可能な部分を除いた分をあらかじめ用意することになります。
ただ不確定な要素が強いため自由財産の拡張がかなりの額について認められる可能性があり実際の負担はそれほど多くはありません。

生命保険

保険の解約返戻金は差押え禁止債権には当たりません。ですが多くの裁判所で少なくとも20万円以下のものであれば自由財産が拡張される取り扱いとなっています。裁判所やケースによってはそれ以上でも認めてもらえる可能性もあります。

その他の債務整理

債務整理にはほかにもいろいろな種類があります。債務の額や過払い金の有無、残したい財産があるかなどケースによって使い分けることになります。

任意整理は債権者と交渉することで利息をカットしたり返済期間を伸ばしたりすることで返済の負担を減らす方法です。この方法であれば財産の処分を強制されることがないため住宅や自動車など残したいものを維持することができます。債務の減額の程度は大きくありませんが比較的少額の債務を解決するのに適した方法です。

個人再生は債務を大きく減らすことが可能な手続きですがこれも財産の処分を強制されることはありません。住宅ローンを維持したままそれ以外の負債をかなり圧縮できるため住宅を維持したいが債務を大きく減らしたいようなときには選択肢に入ります。

債務を根本的になくすためには破産がもっとも効果的といえます。すでに見てきたようにたとえ破産を選んだとしてもそれなりの財産は維持できます。どの方法をとるべきかについては簡単に決められることではありません。それぞれの事情によって異なるからです。そのため弁護士に相談し自分に最も合った方法をとることが何よりも大切といえます。

まとめ

  • 破産手続開始時に持っていた財産は原則として処分されることになりますが生活に必要な財産の保有は認められています。
  • 現金であれば99万円まで自動車や保険の返戻金など高価なものについては20万円までは保有が認められることが多いです。そのほか衣類や家具など生活用品や仕事道具などについても手元に残すことができます。
  • 具体的な状況によってはさらに多くの財産を残すことが認められることがあります。
  • 新しく手に入れた財産については処分されることはありません。
  • 任意整理や個人再生などほかの債務整理手続きであれば財産の処分は強制されません。残したい高価な財産があれば他の方法も検討します。
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