任意整理を失敗しやすいケースは?ポイントや対処法について解説

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任意整理には失敗しやすいケースがあるため状況に応じた対処法を知っておくことが大切です。任意整理は債権者との話し合いで債務の負担を軽くする方法であるため交渉に応じてもらいやすくすることがポイントとなります。

この記事では任意整理に失敗しない対処法やポイントを解説していきます。

任意整理が失敗しやすいケース

任意整理に失敗する場合も少なくありません。失敗するケースにはいくつか特徴があります。

返済能力がない

任意整理は利息をカットした上で元本を分割払いにしてもらう方法です。分割払いの期間には目安があり一般的には35年程度での完済を目指します。これより長い返済計画となってしまうと金融業者が交渉に応じてくれない可能性が高くなります。支出や収入を改善できる見込みが無いのであれば他の債務整理の方法を検討していきます。

高齢

任意整理は債権者との話し合いによって借金の負担を減らす方法であるため特別な条件があるわけではありません。安定した十分な収入があれば年齢や職業などに関係なく可能でありアルバイトやパートの人であっても利用できます。

高齢者の場合には収入が年金のみというケースも多く返済の見込みが低いと判断されることがあります。ですが年金は安定した収入であるため借金額が多くなければ任意整理できる可能性は十分あります。

2回目の任意整理

ここでの2回目の任意整理というのは任意整理中に支払いが難しくなったため同じ債権者と再和解することです。つまり毎月の支払額をさらに減らし期間を伸ばしてもらえるよう再交渉することです。

一般的に再和解は1回目より交渉が難しくなります。返済期間が伸びても利息が発生しない以上債権者にメリットがないですし、また同じことを繰り返すのではないかと思われやすいからです。

ただし、2回目の任意整理も一般的に行われており不可能ではないので最初からあきらめる必要はありません。

専門家に依頼せず自身で交渉する

任意整理は債務者本人が自分で行うこともできます。ですが実際には金融業者は法律専門家でなければ相手をしてくれないことが多いといえます。また任意整理は利息の引き直し計算など専門知識が必要なため自分で交渉すると不利な内容で和解が成立することもあります。

取り立てをストップできない点にも注意が必要です。弁護士が受任通知を送付すると法律上貸金業者は取り立てができなくなりますが本人が交渉する場合にはこのような規定がないからです。

借入をしてから一度も返済していない

借金をしたのに一度も返済していないと任意整理が失敗しやすくなります。ある程度返済していれば利息分の利益が生じているため顧客として交渉に応じてもらいやすくなりますがそうでなければ債権者には和解する理由が特にないからです。

ケースによっては初めから返済するつもりがなかったのではないかと疑われることもあります。もし返済するつもりが当初からなかったと判断されると自己破産したとしても免責が認められないこともあります。

返済はしていたとしても返済額が少ないケースも同様なので注意が必要です。

<関連記事>任意整理ができない原因は?任意整理の条件や対処法などについて解説

任意整理ができない場合の対処法

任意整理がうまくいかないケースでも適切な対処法をとることで可能にすることもできます。

債務整理に特化した専門家に依頼する

医師に専門分野があるように弁護士にも専門分野が存在します。任意整理がうまくいくようにするには任意整理に関する専門知識・経験を持つ弁護士に相談することが大切です。任意整理は債権者との交渉能力が要求されます。金融会社によって交渉のやり方も変えていかなければなりません。金融業者によっては任意整理に全く応じない会社も存在しますし一定の条件を満たしたケースのみ和解に応じる会社もあります。

さまざまな金融会社と交渉実績のある法律事務所に依頼することで任意整理の失敗を防ぐことができ、より有利な和解を成立させることが可能です。

できれば任意整理以外の債務整理に関する実績も豊富な事務所が望ましいです。さまざまな解決手段を検討した上で最適な方法を提案してもらえるからです。

自身の収支状況を知り無理な任意整理はやめる

任意整理は自己破産と異なり返済の継続が必要です。返済期間は3年長くても5年が一般的ですがその間毎月確実に返済し続けなければなりません。和解契約には通常2回支払いが遅れたら一括返済する旨の条項が盛り込まれています。そのため支払いが2か月遅延すると任意整理に失敗することになります。

これを防ぐには返済にある程度余裕を持たせることが有効な対処法となります。病気や怪我など予期しない突然の出費や収入減にも対応できるように貯蓄できる程度の余裕があった方が失敗しにくくなります。それが難しい場合には他の債務整理の方法も検討してみることをおすすめします。

嘘や隠し事をしない

弁護士は依頼人からの情報をもとに債権者と交渉することになります。収入や支出、資産の状況などから無理なく返済していけるか判断し返済計画を立て債権者と和解することになります。もし基本的な情報に嘘があったり正確でなかったりすると交渉の前提が崩れることになります。結果として無理のある返済計画となり返済が滞り任意整理が失敗する原因となります。

また、弁護士は依頼人との信頼関係を重視するため重要な事実を隠していることが発覚すると辞任されてしまうこともあります。その場合最初から交渉をやり直さざるを得なくなり費用や時間が余計にかかることになります。

任意整理に失敗しないポイントは

任意整理に失敗しないためにはいくつか押さえておくべきポイントがあります。

できるだけ早い時期に任意整理する

債務整理全般に言えることですが返済に困ったらなるべく早い段階で対処することが大切です。借金には利息があり放っておくと借金はどんどん増えていってしまうからです。借金が増えるほど債務整理の手段は限られてしまいます。任意整理の場合には5年以内に完済できる金額が目安でありそれ以上増えると自己破産や個人再生など他の方法をとらざるを得なくなります。

また、任意整理は債権者との話し合いで借金の負担を軽くしてもらう方法であるため延滞が長引くと印象が悪くなり交渉が難しくなります。

任意整理するときには口座残高をゼロにしておく

弁護士が受任通知を消費者金融に送付すると取り立てが停止されることになります。しかし、実際に口座引き落としが止まるまでには事務手続きが必要であり直ちに止まるわけではありません。そのため引き落とされては困る場合には対処法として預金を全額移しておき口座残高を空にしておく方法が有効です。ただし相手が債務名義を持っているなど現実に強制執行されるおそれがあるときには強制執行妨害罪に問われるおそれがあるため事前に弁護士にご相談ください。

また、銀行系ローンを任意整理の対象にすると口座が凍結されることがあり預金を引き落とすことができなくなることがあります。そのため給料を受け取れなくなったり家賃や公共料金の支払いができなくなったりするため支払い方法を事前に変更しておくことも大切です。

任意整理後も支払いが厳しくなったら早めに相談

任意整理したとしても生活状況の変化により約束した毎月の返済に支障が出ることもあります。このような場合には2度目の任意整理や自己破産、個人再生など他の債務整理方法を検討することになります。

2回目の任意整理は条件が厳しくなりますが不可能ではありません。その場合すでに滞納してしまっていると印象が悪くなるためなるべく滞納する前に交渉することが大切です。そのため返済が厳しいと感じたらなるべく早く弁護士にご相談ください。

任意整理が向いていないケースについては、こちらの記事「任意整理しない方が良い場合は?任意整理の概要とリスクを解説」をご参照ください。

まとめ

任意整理に失敗しやすいケースは返済能力に問題があることが多いため無理のない返済計画を立てることがポイントです。滞納が長くなると債権者との交渉が難しくなります。早めに弁護士に相談することが任意整理に失敗しない最高の対処法です。

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本記事の監修弁護士  前田 祥夢(東京弁護士会所属)

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