おまとめローンとは?カードローンをまとめて返済するメリット・デメリットを解説
2023/04/17 03:27
目次
カードローンなどの返済に悩んでいる方は、「おまとめローン」に興味があると思います。
おまとめローンはメリットがある一方で、新規のローンが組みづらくなるなどのデメリットもあります。
この記事では、おまとめローンをわかりやすく解説した上で、その人に合った借金を解決する方法をお教えします。
おまとめローンとは
おまとめローンとは、複数のカードローンなどの借金を一本化するサービスのことです。金利や手数料を安くできることや、返済先が一つになるため返済のスケジュールが立てやすくなるなど、利点がいろいろあるので人気があります。
例えば、A社から30万円、B社から50万円、C社から40万円など、複数社から借りていると金利が高くなりがちです。しかも返済期日が異なると、いつも返済に追われている感じになり混乱してしまいます。おまとめローンはこういった問題を解決してくれます。
おまとめローンのメリット
複数のカードローンを一つにすると次のようなメリットがあります。
・借金を一本化することで管理がしやすくなる ・金利や手数料を下げることができる ・年収の3分の1を超えていても借りることができる |
ひとつひとつ詳しく解説していきます。
借金を一本化し管理しやすくなる
借金を一本化するとスッキリわかりやすくなります。色々な所から借金していると、どのカードに、いつ、いくら支払わないといけないのか、分からなくなってきます。混乱してしまって、うっかり滞納してしまうこともあります。
また、借金を完済するためには計画的に返済しないといけませんが、借金が複数に分かれていると返済計画も立てにくくなります。利息の計算も複雑になります。ひどいときには自分の借金がいくらあるのか分からなくなることもあります。
このように、おまとめローンを利用することで、借金を管理しやすくなるメリットがあります。
<関連記事>借金返済ができないとどうなる?対処法や債務整理について徹底解説
金利を下げられる
おまとめローンを利用すると金利を下げることもできます。
借入額が少ないほど金利は高くなる傾向があります。
カードローンなどの利率を規制する「利息制限法」という法律があります。
この法律では、「10万円~100万円未満」のカードローンについては年利18%まで、「100万円以上」では15%までしか利息を取ってはいけないことになっています。
例えば、A社20万円、B社40万円、C社50万円のカードローンを利用していた場合には、利息は最大18%とることができます。実際に18%の金利をとっているカードローンは多いです。
おまとめローンを利用すると合計金額が110万円になるため15%が上限となります。
借金返済のコツは無理なく返済を継続していくことです。毎月の返済の負担を減らせれば無理のない返済をしやすくなります。
年収3分の1を超えて借り入れできる
貸金業者は、年収の3分の1を超えるローンを組むことが原則として禁止されています。これを「総量規制」といいます。
貸金業者とは、クレジットカード会社や消費者金融などのことで、銀行や信用金庫などは含まれません。
年収3分の1というのは、1社ではなくすべての貸金業者からの借金の合計額です。
例えば、年収300万円の人が、A社から50万円、B社から50万円借りているとC社から借り入れすることができません。
このような規制がある理由は、債務者(消費者)を守るためです。返済できないのに借りてしまう人がいるため、どうやっても借りられないようにしているのです。
ですが、C社からの借り入れが、「おまとめローン」の場合には借りることができるのです。
なぜなら、借りようとしている人に一方的に有利な内容なら規制する必要がないからです。借金が一本化されて金利も安くなるなら何も問題はありません。
そのため、おまとめローンは総量規制にかからず新規のローンを組むことができるというメリットがあります。
おまとめローンのデメリット
おまとめローンは良いことばかりではありません。気をつけて利用しないとリスクがあります。
カードローンをおまとめすると次のようなデメリットがあります。
・借金がなくなるわけではない ・審査が厳しい ・返済期間が長くなる可能性がある ・追加借入ができない |
ひとつひとつ詳しく解説していきます。
借金が無くなるわけではない
おまとめローンによって借金が一本化されたり、金利を下げたりできても、借金そのものが無くなるわけではありません。金利が下がることで日々の返済が多少楽になるにしても、それで完済の目処が立たないのであれば、根本的な解決にはなりません。
問題の解決を先送りにすることで、かえって借金の悩みを長引かせることにもなります。
大切なことはおまとめローンを利用することで無理なく完済できるかどうかを検討し、問題がなければおまとめローンの利用を検討し、返済の見通しがつかないなど、無理のある返済プランなら債務整理を検討してください。
審査が厳しい
おまとめローンにも審査があります。
すでに返済が苦しい状態にある人の場合には、おまとめローンの審査に通るのは簡単ではありません。
ローン会社からすれば、すでに返済がギリギリの人に融資することはリスクが高いからです。
「滞納が長引いていたり」、「入金がたびたび遅れていたりしている」ときは、ブラックリストに載っている可能性もあります。その場合には審査は特に厳しくなります。
返済期間が長くなる可能性がある
おまとめローンを利用する際は契約条件が変更されます。
ありがちなのが、返済を楽にしようとして毎月の返済額を減らしてしまうことです。あたりまえのことですが、返済額を減らしてしまうとトータルでの返済期間が長くなることがあります。利息が減ったとしても多少の変化にすぎないため、返済額を減らしすぎるとカードローンの完済まで余計に時間がかかる可能性があります。
場合によってはトータルでの返済額が多くなることもあります。
追加借入ができない
普通のカードローンについては、限度額の範囲で何度も借りたり返したりができます。
ですが「おまとめローン」の場合には、返済専用のローンのため追加で借り入れすることが基本的にできません。
他社のカードローンを利用すればいいと思われるかもしれませんが、すでにおまとめローンを利用していると、信用情報機関を通じて他社にも情報が伝わります。
「信用情報機関」とは、個人の借金などの情報を収集している組織をいいます。
信用情報として、利用しているローンの「商品名」も登録されるので分かってしまうのです。
「のりかえローン」、「借り換え専用」、「おまとめ上手」などの商品名が記載されていると、返済に困っていると判断されて審査が厳しくなる可能性があります。
おまとめローンに失敗するケース
おまとめローンを利用しても借金返済に失敗してしまうこともあります。
代表的なケースをご紹介します。
おまとめローンが不完全なケース
おまとめローンは、今あるカードローンなどの借金を、別のローンで返済するものです。
そのため、今の借金を返せるだけの「おまとめローン」を組むことができなければ、カードローンを一本化することができないため、計画は失敗してしまいます。
例えば、A社80万円、B社70万円、C社50万円、合計200万円の借金がある場合に、D社のおまとめローンを申し込んだところ150万円の融資を受けたとします。
A社とB社に全額返済したとしてもC社の50万円が残るため借金は一本化できません。C社の金利は高いまま残ることになり負担は大して変わりません。
おまとめローンでは、他社の借り入れ状況も審査の対象となります。そのため全額返済できないローンは審査が通らないはずです。
ですが実際には完済できないローンが組まれてしまうことがあります。
例えば、上記のC社が信用情報機関に加盟していないときは、おまとめローン会社が借金の存在を把握できないことがあります。
他にもおまとめ専用ローンではなく、「フリーローン」という使途を限定しないカードローンでは不十分な金額が融資される可能性があります。
このように、おまとめローンを不十分な金額で利用することは返済計画が失敗する原因となります。
また、おまとめローンを利用することで、クレジットカードの発行や更新が難しくなることもあるので注意が必要です。
完済後に再び借りてしまうケース
おまとめローンを利用すれば、これまでのカードローンを完済することができます。
完済すると利用枠が復活するため再び借りてしまい、多重債務状態に戻ることがあります。
おまとめローンを利用するときには、規約により、おまとめ対象のカードローンは解約することになります。そのため、本来は完済後に借りようとしても無理なはずです。
ですが、「フリーローン」のような使途を限定しないおまとめローンを利用するときには解約が必須ではありません。そのため、おまとめローンの返済に困ったときに再び借りてしまうことがあるのです。
また、おまとめローンを利用しているときには、新規で他社のカードローンを組むことは難しくなりますが、不可能ではありません。
そのため、他社からキャッシングしてしまい、せっかく「おまとめローン」を利用したのに多重債務に逆戻りしてしまうことがあります。
返済計画に無理があるケース
おまとめローンを利用したからといって完済できるとは限りません。
債務整理と違って金利は高いまま残っているからです。
実は、おまとめローンを利用しても金利が下がるとは限りません。特に、銀行系のカードローンを利用していると金利が初めから低いことが多いため、金利がほとんど変わらないか、場合によっては高くなってしまうこともあります。
返済計画をうまく立てられたと思っても、それが無理のある内容では失敗してしまいます。
カードローンの返済のコツは無理のない返済プランにあります。余裕のない返済計画は途中で破綻する可能性が高いです。
突然の支出や、収入の減少により返済が滞ってしまうような返済計画はよくありません。わずかであっても貯金できる余裕のある計画を立てることが大切です。
おまとめローンを利用してしまうと新規の借り入れが難しくなるため、お金に困ったときにキャッシングで乗り切ることができなくなります。
綱渡りのような返済計画では、おまとめローンの失敗につながります。
<関連記事>借金返済方法のコツは?注意点や早く終わらせる方法など徹底解説
おまとめローンに失敗したときの解決策
おまとめローンでは元本は減りませんし、金利も多少下がったとしても返済に大きな影響を与えるほどではありません。
おまとめローンがうまくいかないときには「債務整理」が必要です。
債務整理とは、利息をなくしたり、元本そのものを減らしたりすることで、借金の悩みを根本的に解決する方法です。
債務整理には、「任意整理」、「個人再生」、「自己破産」などの種類があります。
それぞれに特徴があるのでカンタンに説明します。
任意整理
任意整理は、弁護士がカード会社と交渉して利息をなくしてもらうものです。
おまとめローンでは金利が多少安くなることはありますが、依然として高金利であることが多く、根本的な解決にはなりません。利息が残っていると返済しても元本がなかなか減らないので借金がいつまでも残るからです。
任意整理であれば利息がなくなるので確実に借金を減らせます。話し合いをするだけですから家族にも秘密にできますし、財産の処分もする必要がありません。借金が少ないうちであれば任意整理が利用できます。
個人再生
個人再生は、返済計画を裁判所に提出して認められると、借金を5分の1~10分の1にまで減額してもらえるものです。利息だけでなく元本が大幅に減るので、おまとめローンとは比較にならないほど返済が楽になります。
自己破産
自己破産をすると借金がすべてなくなります。借金をなくして再スタートするには一番確実な方法です。その代わり、マイホームや自動車などの高価な財産は処分することになります。現金や預金、家財道具などはかなり残すことができるので心配はいりません。
債務整理をすると「ブラックリスト」に載ることを心配されるかもしれません。
ブラックリストというのは、信用情報に事故情報が記録されることをいいます。
事故情報は延滞を続けているだけでも記録されてしまうので、債務整理だけを心配する理由はありません。むしろ早く債務整理をしたほうがブラックリストの抹消が早くなります。
ブラックリストは掲載される期間が決まっていて、多くの場合5年で抹消されるからです。
おまとめローンでは借金の根本的な解決はできません。返済に苦しんでいる方には債務整理が必要です。
おまとめローンが向いている人
おまとめローンの利用が向いているのは、そのままでも返済可能だけれど、返済の負担を少しでも軽くしたい人です。
これに対して、返済が困難で「借金が増え続けていたり」、「滞納していたりする人」は、おまとめローンには向いていません。根本的な解決が必要だからです。
債務整理が必要かどうかは専門家でないと判断が難しいです。一度弁護士にご相談ください。
<関連記事>債務整理後の生活への影響は?仕事や住宅ローンへの影響など解説
まとめ
・おまとめローンは複数のカードローンなどの債務を一つにまとめる金融商品です。
・メリットとして、借金を一本化することで管理しやすくなることや、利息を下げることで返済の負担を軽くできることがあります。
・デメリットとして、借金がなくなるわけではないこと、審査が厳しいこと、返済額や期間が長くなる可能性や、新規のローンが組みづらくなることがあります。
・おまとめローンは失敗することがあります。余裕のない返済計画は失敗の原因となります。
・すでに滞納している人や、借金が増え続けている人は、おまとめローンではなく債務整理が必要です。
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カードローンの返済に悩んでいる方へ。
おまとめローンでは借金の根本的な解決にはなりません。
すでに「滞納している人」、「借金が増え続けている人」には「おまとめローン」はおすすめできません。
そのような状況にある人は、おまとめローンの返済にも行き詰まる可能性が高いからです。
借金が増える前にカードローンに強い弁護士にご相談ください。
借金が増えてしまうと債務整理の手段が限られてしまいます。
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本記事の監修弁護士 前田 祥夢(東京弁護士会所属)