2回目の自己破産はできる?条件や注意点など分かりやすく解説!
2023/12/07 05:41
目次
2回目の自己破産ができるのか不安に思っている方は多くいらっしゃいます。
自己破産により返済義務を免除してもらうことができますが、いくつか条件や注意点が存在します。
この記事では、2回目の自己破産が可能なのか、その条件や注意点などを解説していきます。
2回目の自己破産は可能か
2回目の自己破産は可能です。
自己破産に回数制限はないからです。
ただし、自己破産の手続きが1回目と比べて2回目の方が条件や手続きが厳しくなります。自己破産をすると、借金などの返済義務を免責してもらうことができますが、免責のハードルが上がってしまうのです。
2回目の自己破産ができる条件
自己破産で借金をなくしてもらうためには、裁判所から「免責」をもらうことが必要です。「免責」されると借金などの支払い義務が原則としてなくなります。
免責をもらうには2つの条件のどちらかを満たす必要があります。
1つ目の条件は、「免責不許可事由」にあたらないことです。2回目の自己破産であっても免責不許可事由にあたらなければ免責してもらえます(権利免責)。
2つ目の条件は、裁判所による「裁量免責」を受ける方法です。免責不許可事由があっても裁判官の裁量で免責を認めてもらえることがあります。
免責不許可事由にあたらなければ2回目の自己破産であっても免責されることになるので、まずは免責不許可事由にあたるかを確認することが重要です。
免責不許可事由については、「自己破産ができない確率は?免責不許可の具体例や対処法など解説!」をご覧ください。
免責不許可事由があっても裁判所の裁量により免責されることがあるので、あきらめる必要はありません。
ただし、2回目の自己破産の場合には、以下のケースに気をつけてください。
前回の自己破産から7年以上経過しているか
前に自己破産して免責許可が下りてから7年以内である場合、免責不許可事由にあたります。
ただし、7年以内に2回目の自己破産をする場合でも、裁判所が裁量で免責を認めてくれることがあります。2回目の自己破産の理由や反省の状況などをもとに、裁判所が免責をするか決定します。
前回の自己破産と同じ原因でないか
2回目の自己破産の原因が、1回目と同じ免責不許可事由にあたるときは免責されにくいです。
例えば、ギャンブルや浪費が借金の主な原因のときには、免責不許可事由にあたります。そのため、免責してもらえるかどうかは、裁判所の裁量に任されることになります。
1回目の自己破産のときには、ギャンブルや浪費が原因でも裁量で免責してもらえることも多いですが、2回目も同じギャンブルや浪費が原因のときには、反省していないと判断されて、免責が得られにくくなります。
このようなケースでも免責されることがあるので弁護士に相談されることをおすすめします。
2回目の自己破産の注意点
1回目と2回目の自己破産では注意すべきことが異なります。
破産管財人の選定が必要となる
自己破産には2種類あり、「同時廃止」と「管財事件」に分かれています。
同時廃止の場合には手続きが簡易的ですが、管財事件の場合には、破産者の財産を管理する「破産管財人」という専門家によって調査が行われることになります。
2回目の自己破産の場合には、免責不許可事由の有無や内容などをくわしく調査する必要があるため管財人が選任されることが多くなります。
そのため、2回目の自己破産の場合には、免責は簡単には認められません。
同時廃止と管財事件との違いについては、「自己破産をするには?やり方・手続きの流れや費用など詳しく解説」をご参照ください。
費用が1回目より高くなりやすい
破産管財人は外部の専門家であることから、自己破産を申請する際には管財人に対する費用も別途かかります。そのため、2回目の自己破産の方が費用も高くなりやすいといえます。
費用については、「借金救済制度とは?利用するメリット・デメリットを解説」をご参照ください。
手続きの期間が長くなりやすい
破産管財人による調査の関係上、管財事件の方が同時廃止よりも時間が長くかかります。同時廃止のときは破産決定と同時に破産手続きが終了するので早く終わりますが、破産管財人が選ばれると、財産の調査や処分などが必要となるので、どうしても時間がかかるからです。
2回目の免責の判断基準
2回目の自己破産であっても免責不許可事由にあたらなければ免責してもらえます。
一方で、ギャンブルなど免責不許可事由にあたる場合には、裁判所の裁量により免責を受けられるかが決まります。そのため、裁判官に悪い印象を与えないようにすることが重要です。
2回目の自己破産にやむを得ない事情があること
免責不許可事由があったとしても、返済ができない事情にやむを得ない点があれば裁判官が理解を示してくれる可能性があります。
例えば、病気やケガなどにより収入が減ったり、支出が増えたりしたことで借金などの債務の返済が行き詰まったのであれば、裁判官の印象がそれほど悪くならない可能性があります。
2回目の自己破産を十分に反省していること
2回目の自己破産が浪費など免責不許可事由にあたる場合であっても、反省し改善しようとしている努力が認められれば免責が認められる可能性があります。
裁判官としては、安易に免責を認めてしまうことで同じことを繰り返すのではないかと心配しているため、生活の改善点など具体的な努力を示すことで十分に反省していることを伝えることが必要です。
2回目の自己破産ができない場合の対処法
2回目の自己破産が免責不許可事由にあたり、裁判所の裁量による免責も認められないことがあります。そのような場合の対処法について解説します。
即時抗告
自己破産の免責が下りないことに対して、異議申し立てをすることができます。
ただし、この即時抗告が出来る期間は免責不許可決定が出てから1週間以内にしなければならないため、迅速な判断が必要となります。
最初から専門家に任せることで、迅速に対応することが可能です。そのため、自己破産においては弁護士のサポートが重要となります。
個人再生
個人再生とは、自己破産同様、裁判所を介して借金を減らしてもらう手続きです。
自己破産と異なり、借金を0にすることは出来ませんが、借金を大きく減額することができますし、持ち家などの資産を残したまま手続きを行うことができます。
任意整理や自己破産同様、手続きが煩雑となっているため、弁護士に依頼して行うことが強く推奨されます。
<関連記事>借金問題を解決する方法とは?解決したいときの相談先や手続きを詳しく解説!
任意整理
「任意整理」とは、貸金業者などの借入先と交渉を行うことで、利息をカットしたうえで借金を3~5年程度の分割払いにしてもらうものです。債務整理の中でも特に簡単な手続きといえます。
裁判所を介さずに行う手続きのため、免責不許可事由の有無といったことは関係なく、話し合いで借金を減らすことができます。
ただし、あまりに借金の額が多すぎたり、借金をしてからそれほど日が経っていなかったりした場合は、交渉に応じてもらえないケースもあるため注意が必要です。
<関連記事>任意整理とは?メリット・デメリットや費用について詳しく解説
特定調停
特定調停は任意整理と似ています。
貸主と交渉して返済条件を緩くしてもらえるよう交渉する点では同じです。
任意整理と違うのは、裁判所で話し合う点で、裁判官や調停委員が交渉の仲介をしてくれます。
裁判所が仲介をしてくれるため、弁護士に依頼せずとも進めることが出来るというメリットがあります。
ただし、特定調停も話し合いで解決する手続きのため、債権者が交渉に応じてくれないとうまくいきません。また、こちらに不利な調停が成立することもあります。
特に問題なのは、強制執行を受ける可能性がある点です。話し合いがまとまると「調停調書」というものが作られます。
普通、財産を差し押さえるためには確定判決書や公正証書が必要となりますが、調停調書は確定判決書と同じような効力を持ちます。そのため、調停調書が作られてしまうと、こちらが調停の約束を破ると強制執行をされてしまうおそれがあるのです。
そのため、任意整理を利用することが一般的です。特定調停を利用したいときには事前に弁護士に相談されることをおすすめします。
<関連記事>借金返済の相談はどこでできる?無料で借金相談ができる8つの窓口をご紹介
まとめ
・2回目の自己破産は可能です。免責不許可事由にあたらなければ2回目であっても免責してもらえます。
・前回の免責から7年以内のときは、免責不許可事由にあたります。
・2回目の自己破産が免責不許可事由にあたるときでも、裁判所の裁量により免責が認められる可能性があります。ただし、1回目の自己破産よりも判断が厳しくなります。
・2回目の自己破産が難しいときでも個人再生や任意整理などの対処法があります。
債務整理でお悩みなら 弁護士法人 東京新橋法律事務所
借金などの債務にお困りの方へ。
2回目の自己破産も不可能ではありません。
また、債務整理の方法は自己破産だけではありません。
自己破産が適切なのかを含め、一度専門の弁護士にご相談されることをおすすめします。
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本記事の監修弁護士 前田 祥夢(東京弁護士会所属)