差し押さえとは?差し押さえ対象・対象外のものを詳しく解説

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差押えはどのような財産でも対象となるわけではありません。差押え対象外となる財産もあります。債務者が法人か個人かによって異なります。

 

この記事では、強制執行による差押えについて、対象となる財産や対象外となる財産について解説します。

 

差し押さえとは

差押えとは、債務者(お金を支払う義務のある人)がお金を期限までに支払わないときに、債権者(お金を請求できる人)が強制的にお金を回収するために、債務者が財産を処分しないように制限する手続きです。

まずは債務者の財産を差し押さえて、対象の財産を必要に応じて売却して代金から回収していくことになります。このように強制的に回収していく手続のことを「強制執行」といいます。

つまり、差押えというのは強制執行の一番はじめの手続きということです。差し押さえを受けると債務者は差押対象となった財産を自由に処分できなくなります。

 

差し押さえ対象となる財産

差押え対象となる財産はいろいろありますが、債権者はできるだけ効率よく借金などの債権を回収したいと思っているので、手間やコストのかからない財産が狙われやすいです。

 

銀行口座預金

銀行預金は差し押さえ対象になりやすい財産です。不動産や自動車などは差し押さえた後に処分しないとお金にならないため、時間や労力、費用がかかりやすいのに対し、銀行預金であれば処分の必要がないからです。差し押さえて一定期間が過ぎると債権者が預金を請求できる仕組みです。

 

換価価値のあるもの

差押え対象となる財産は経済的価値のあるもの全般です。不動産、自動車、家具、美術品、貴金属、商品などです。ようはお金に変えられるものです。

 

現金

現金も家やお店、事務所においてあれば差し押さえ対象となります。むしろ処分する必要がないので多額の現金があれば債権者にとってはありがたい財産といえます。ただし、債務者が個人の場合には後述するように差し押さえが制限されることがあります。

 

給料・退職金

月給やボーナス、退職金も差し押さえ対象となっています。ただし、原則として税金や社会保険料を除いた手取り額の4分の1(養育費等については2分の1)までしか差押えできないことになっています。ただし、給料が44万円(養育費等については66万円)を超えるときは33万円を超える額は差し押さえ可能です。給料が差押えをされると完済されるまで差押えが続きます。

これに対し、預金口座の差押えの場合には差押え後の入金分については改めて差し押さえがなければ差押えの効果は及びません。

 

差し押さえの対象外となる財産

経済的価値のある財産であれば基本的に差し押さえできますが、債務者にも生活があるため差し押さえが制限されることがあります。

※借金などの普通の債務の場合について解説します。税金滞納の場合には範囲が異なることがあります。

 

66万円以下の現金

法人ではない個人のもつ現金は66万円まで差押えができないことになっています。66万円を超えた分だけ差押えされることになります。

 

生活に欠かせない家財道具

日用品や家電製品なども生活必需品にあたるものは差し押さえができません。例えば、エアコン、洗濯機、冷蔵庫、小型のテレビなどは差押えされないことが多いです。ただし、2点以上あるときには差し押さえ対象となる可能性が高まります。

 

生活に必要な1か月分の食料や燃料

債務者にも生活があるため食料や燃料については差押対象が制限されています。

 

業務に欠くことができない器具などの物

業務に必要な道具を差し押さえられてしまうと仕事ができなくなってしまうため、個人の仕事に必要なものは差押えが制限されています。

 

礼拝や祭祀に直接供するため欠くことができない物

仏像や位牌など信仰上不可欠なものについても差し押さえが制限されています。ただし、美術品として価値の高い物については差押えの必要性が高いため差し押さえ対象となる可能性があります。

 

差し押さえまでの流れ

借金を滞納した場合を想定して、対象となる財産が差押えを受けるまでの流れについて見ていきます。

 

債権者からの督促

借金を滞納したとしてもいきなり差押えをすることはできません。時間、労力、費用がかかりますし裁判所の手続きも必要だからです。

はじめは債権者から返済が遅れていることを知らせる通知が電話やはがきなどで行われます。滞納している金額や債権者によっては訪問により督促されることもあります。

 

一括請求

督促状を受け取ったのに支払いをしないままでいると一括請求を受けることがあります。本来は分割払いで済んでいたものであってもまとめて支払う必要が出てきます。もちろん分割で支払うことも難しい状態なので支払えないことも多いです。一括請求書には「支払期限までに支払わないときは法的手段をとります。」と書いてあることもあります。

 

裁判所からの通知

督促状をもらったのに支払いをしないでいると裁判所から「特別送達」で書類が届くことがあります。これは債権者が訴えを起こしたり、支払督促という手続きをとったりしたときに送られてくるものです。この書類は郵便局員が手渡しするのでいつの間にか届いていということはありません。

特別送達郵便は無視してはいけません。無視すると強制執行の対象となる財産を差し押さえられる可能性が高まるからです。訴状が特別送達で届いたときには、答弁書という反論を書いた書面を提出したり、期日に裁判所に出頭したりしないと債権者の言い分を認めたことになり敗訴してしまうからです。敗訴すると対象財産を差し押さえられてしまう可能性が高いです。

支払督促が届いたときも無視してしまうと同様に差し押さえられてしまうおそれがあります。

 

差し押さえ

裁判で敗訴してしまったり、支払督促を無視してしまったりすると債務者の預金口座や給料などを対象に差し押さえがされる可能性が高くなります。差し押さえされると財産の処分が制限されることになります。例えば、銀行預金を差し押さえられてしまうと、差し押さえ対象の金額について引き下ろすことができなくなり、一定期間経過後に債権者が引き出せるようになります。

 

差し押さえを回避する方法

差押えを回避するにはいくつか方法があります。

 

一括返済

差押えをする目的は借金などの債権を回収することにあります。したがって、借金などの滞納分を一括返済してしまえば差押えを行う必要はなくなります。経済的な理由で支払いができないときには自力での返済は難しいかもしれませんが、家族の援助などにより返済できないか検討する価値はあります。

 

異議申し立て

支払督促は一方的に裁判所書記官が債務者に支払いを命じる手続きです。そのため身に覚えのない支払督促を受けることもあります。そのような場合には支払督促に異議を申し立てることができます。異議を申し立てると自動的に訴訟になるので裁判で戦うことになります。差し押さえそのものに身に覚えがないときにも不服申し立てをすることもできます。

しかし、借金などがあることが確かで裁判をしても勝ち目がないときには債務整理を検討した方が現実的といえます。

 

自己破産

債務整理をすることで差押えを受けるリスクを減らせることがあります。

自己破産は財産を清算して借金などの債務の返済責任を原則として免除してもらう債務整理です。税金や養育費など一部の債務は免除されませんが普通の借金などであれば免責してもらえることが期待できます。

 

<関連記事>破産宣告とは?自己破産との違いやメリット・デメリットを詳しく解説

 

任意整理

任意整理は、弁護士が債権者と交渉して返済を楽にしてもらう方法です。一般的に将来の利息をなくしてもらいつつ、35年の分割払いにしてもらう方法です。そのため、金利が低い借金やもともと長期の分割払いになっている住宅ローンのようなものには向いていません。

収入の状況や借金の種類や額によっては自己破産や個人再生をしないといけないことも多くあります。

 

<関連記事>任意整理とは?メリット・デメリットや費用について詳しく解説

 

個人再生

個人再生は、裁判所に返済計画を提出して認可をもらうことで、大幅に減らした債務を原則として3年で返済していく債務整理の方法です。一定の条件を満たしているときには住宅ローンを債務整理から除外することが可能なためマイホームを維持できることもあります。

 

債務整理の方法には一長一短があるためご自分の置かれている状況を専門の弁護士に相談し、適切な方法をとってもらうことが必要です。

 

<関連記事>債務整理とは?債務整理の種類やメリット・デメリットを詳しく解説

 

まとめ

・差し押さえとは、債務者の財産から強制的に債権を回収するために、前段階として行う財産を処分することを禁止・制限する手続きです。

・差押え対象となる財産は、経済的価値のあるもの全般です。例えば、銀行預金、現金、給料、不動産、自動車、美術品、株式などです。

・差押え対象外となる財産もあります。例えば、個人の生活や業務に必要な物は差押え対象外となることがあります。

差し押さえを回避するには一括返済や異議申し立てをする方法もありますが債務整理も有効です。

 

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財産を差し押さえられることが心配な方へ。

 

借金などの債務を長期間滞納してしまうと債権者は強制的な回収を検討することになります。なんとかご自分で返済していける見込みがあればいいのですが、完済できる見込みがないのであれば早めに債務整理を始めた方がいいでしょう。借金などには利息・手数料が発生し、滞納すると遅延損害金も発生してしまいます。

債務整理にもデメリットはありますが借金が減らない状況はストレスにもなるため一度専門の弁護士に相談されることをおすすめします。

 

私たちは「正しい知識が適切な選択を導く」をモットーに、1.中立・客観的で、2.正確かつ高度な専門的情報を、3.信頼性に責任を持って、提供します。

 

債務整理をご相談されたい方は、「借金減額シミュレーター」をご利用いただくか、「事務所概要」に記載の連絡先までお気軽にお問い合わせください。

 

依頼者の立場に立って、親切な対応と丁寧なご説明を心がけ、ご依頼案件の迅速な処理に努めます。

 

本記事の監修弁護士  前田 祥夢(東京弁護士会所属)

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