債務とは?債権との関係や契約例を分かりやすく解説

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「債務整理」という言葉はよく聞きますが、そもそも「債務」とは何でしょうか?

「債務」=「借金」ではありません。

 

債務と似ている、「債権」というものもあります。

 

この記事では、債務とは何か、債権との関係や債務の具体例、債務が発生する契約の種類などについて解説していきます。

 

債務とは

債務とは、特定の人に対して、一定の行為をする義務のことをいいます。

この一定の行為のことを「給付」といいます。

 

例えば、「お金を支払う義務」、「物を引き渡す義務」、「働く義務」などがあります。

これらは積極的に何かをする行為ですが、「一定の行為をしないこと」が債務となることもあります。例えば、「騒音を出さないこと」などがあります。

 

お金を支払う債務のことを「金銭債務」といいます。

 

このように、誰かに義務を負っている人のことを「債務者」といいます。

 

債権とは

債権とは、特定の人に対して、一定の行為を求めることができる権利のことをいいます。

 

例えば、「お金を請求できる権利」、「物の引き渡しを求める権利」、「労働を求める権利」などがあります。

積極的な行為を請求するだけでなく、一定の行為をしないように求める権利のこともあります。例えば、「〇年間は同じ事業を行わないこと」などがあります。

 

お金を請求できる権利のことを「金銭債権」といいます。

 

このように、誰かに権利を持っている人のことを「債権者」といいます。

 

状況別の債務と債権の契約例

債務はどのような理由で負担することになるのでしょうか。

誰かにけがを負わせてしまったときには、治療費や慰謝料などの損害賠償債務が発生します。このように、意図しない理由で債務を負うこともありますが、日常的に負担する債務は、「契約」によって発生することが多いです。

 

契約にもいろいろなものがあります。契約をした当事者が、お互いに債務を負うときもありますし、一方だけが債務を負うときもあります。その具体的な内容について詳しく解説していきます。

 

また、債務がどのような理由で消滅するのかについても触れていきます。

 

双務契約

契約の当事者双方が、お互いに対価的な債務を負う関係にある契約のことを、「双務契約」といいます。

例えば、商品を売り買いした場合には、商品を買った人は「お金を支払う債務」を負いますし、商品を売った人は「商品を引き渡す債務」を負うことになります。お互いに相手が債務を実行してくれるから、自分の債務も実行に移すという関係にあるということです。

 

双方が、互いに負担している債務が経済的に見合っていると思っているのであれば、対価的な債務を負っていることになります。

 

双務契約としては次のようなものがあります。

 

・売買契約

・賃貸借契約

・雇用契約

・請負契約

・有償委任契約(弁護士への債務整理の依頼等)

・交換契約

・組合契約

・和解契約

 

身近な代表的な契約について詳しく見ていきたいと思います。

 

売買契約

売買契約というのは、一方の当事者が、財産的な価値のあるものを相手に譲る約束をし、もう一方の当事者が、代金を支払うことを約束する契約のことをいいます。

 

例えば、ABに建物を1,000万円で売った場合、ABに建物を引き渡す等の債務を負い、BA1,000万円を支払う債務を負います。

 

賃貸借契約

賃貸借契約とは、一方の当事者が、ある物を相手方に利用させること、これに対して相手方が対価を支払うことを内容とする契約のことです。

 

例えば、ABにアパートの一室を月に7万円で貸す約束をした場合、ABに部屋を使用させる債務を負い、BAに毎月7万円を支払う債務を負うことになります。

 

片務契約

片務契約というのは、契約の当事者の一方のみが債務を負うか、双方が債務を負う場合であっても、対価的な関係のない契約のことをいいます。

例えば、誰かにプレゼントをあげる約束をしたときは、「贈与契約」にあたりますが、あげる側がプレゼントを引き渡す債務を負うだけなので片務契約です。

 

片務契約としては次のようなものがあります。

 

・消費貸借契約(ローンなど)

・贈与契約

・使用貸借契約

・無償委任契約

 

お金を貸し借りするときの契約は、「(金銭)消費貸借契約」にあたります。

消費貸借契約は、書面で契約するかしないか、利息の有無などで状況が変わるので、詳しく解説します。

 

消費貸借契約

消費貸借とは、物の貸し借りをする契約の一種で、借主が受け取ったものと同じ種類、品質、数量の物を返還することを内容とするものです。通常は「金銭」が目的です。

お金を目的としたものを「金銭消費貸借」といいます。以下の説明は金銭消費貸借を前提にします。

 

原則として、消費貸借契約は、相手に目的物を引き渡すことで成立します。

借主は借りたお金を返還する債務を負うことになります。一方で、貸主はお金を引き渡し終わっているので、お金を引き渡す債務はありません。つまり、借主のみ債務を負うため「片務契約」となります。

 

ですが実際には、お金を渡す前に融資の約束をすることがあります。書面で契約することで、お金の受け渡しをする前に消費貸借契約をすることができます。書面は、電磁的記録(電子メールなど)でもかまいません。

 

書面による消費貸借契約の場合、お金をまだ引き渡していないため、貸主にも引き渡す債務があります。そのため、利息付きの消費貸借契約のときには、「双務契約」となります。

無利息のときには、対価的な関係がないため、「片務契約」と考えられます。

 

相殺

債務(債権)が消滅する理由にもいろいろなものがあります。

 

代表的な債務(債権)の消滅理由は「弁済」です。

弁済とは、債務の内容である給付を実現する行為のことです。

借りたお金を返済したり、購入した商品の代金を支払ったりすることが弁済です。

 

ところが弁済しなくても債務(債権)がなくなるケースもあります。

 

例えば、ABに商品を100万円で販売したケースで考えてみます。ABに商品を引き渡す債務を、BA100万円を支払う債務を負ったことになります。

この場合に、BAに別の商品を100万円で販売したとします。するとAもBに100万円を支払う債務を負ったことになります。

このようなときに、AとBがそれぞれ形式的に100万円を支払うことは無駄が多いように思えます。

そこで、同種の債権であることや、相殺しようとしている債権が弁済期にあることなどの条件を満たしている場合には、一方の意思表示のみで債権・債務を対等額で消滅させることができます。これを「相殺」といいます。

 

<関連記事>自働債権と受働債権とは?相殺について分かりやすく解説

 

相続

意思表示をしなくても債務(債権)が消滅することもあります。

 

同じ人が債権者と債務者になってしまった場合には、債権(債務)を残しておく理由がないため、特に理由がない限り債権(債務)は消滅します。

このように、対立する地位が同じ人に帰属することを「混同」といいます。相続などによって起こります。

相続した人は、亡くなった人の権利・義務を包括的に受け継ぐからです。

 

例えば、AB100万円を貸していた場合に、Aが亡くなってBが相続したときは、Bは債務者であると同時に、債権者の地位を相続するので、混同によって債権・債務が消滅します。

 

会社が合併したときにも混同が起こります。

例えば、A社がB社に商品代金1,000万円の債務を負っている場合に、B社がA社を合併したときには、混同により債権・債務は原則として消滅します。

 

例外的に債権・債務が消滅しないこともあります。債権が第三者の権利の目的となっているようなときです。

例えば、上記の例でB社の1,000万円の代金債権をC社が差し押さえているときは、C社の権利を守るため消滅しません。

 

このように、債権・債務には第三者が関係してくることもあります。

 

第三債務者が存在する場合の債権・債務の関係

債権者、債務者のほかに、「第三債務者」がいることもあります。

第三債務者とは、「債務者の債務者」のことです。

 

債務者も他の人に債権を持っていることがあります。その他人のことを第三債務者といいます。

 

例えば、AB100万円を貸していて、BCに商品代金50万円の債権を持っている場合、Aを債権者とすると、Bが債務者、Cは第三債務者と呼ばれます。

 

第三債務者は、債権者に直接支払いをしなければならないことがあります。

 

債権執行

債務者が弁済をしないでいると、強制執行により財産を差し押さえられることがあります。

 

対象となる財産は、不動産や宝石のような「物」だけでなく、「債権」も対象となります。

例えば、銀行預金は銀行に対する金銭債権ですし、給料請求権は雇い主に対する金銭債権ですから、いずれも差し押さえることができます。

 

債権への強制執行は「債権執行」と呼ばれます。

 

債権執行がされると、債務者と第三債務者に差押命令が送られてきます。第三債務者は債務者に弁済することができなくなります。

 

債務者に差押命令が送付されて1週間がたつと、債権者は直接第三債務者から取り立てることができます。

 

例えば、給料を差し押さえられると、雇い主が第三債務者となるので、給料の支払いが制限されます。そのため、借金などの債務の存在を職場に知られることになります。

 

差押えを防ぐには、早めに債務整理をすることが大切です。

 

<関連記事>任意整理とは?メリット・デメリットや費用について詳しく解説

 

債権譲渡

債権を差し押さえるのではなく、譲ってもらうこともあります。

 

例えば、AB100万円を貸していた場合に、BC100万円を貸していたときは、BCに対する債権をAに譲ることがあります。

 

こうすることでBにお金がなくても、Aは第三債務者であるCから直接回収することができます。

 

債権者代位権の行使

債権者代位権とは、債権者が自分の債権を守るため、債務者が第三者に対して持っている権利を代わりに行使する権利のことです。

 

例えば、ABに金銭債権を持っている場合に、BCに金銭債権を持っているが、Bの財産はそれしかないというときに、Bが取り立てをしないで放置していることがあります。

このようなときにABに代わってCに支払うように請求することができます。

このときAが直接受け取ることも可能です。

その場合、Aは受け取ったものをBに引き渡さなければいけませんが、相殺することで事実上の優先弁済を受けたことになります。

 

債務者が債務を果たさない「債務不履行」とは

債務不履行とは、債務者がきちんと債務を実行しないことをいいます。実行可能なときは強制履行を求めることができます。

 

債務不履行になると損害賠償責任が発生します。通常は、債務者に責任がなければ賠償責任を負いませんが、金銭債務の不履行については、不可抗力でも遅延損害金を支払う責任があります。

 

<関連記事>キャッシングを延滞・滞納するとどうなる?対処法と滞納を防ぐコツ

 

まとめ

・債務とは、特定の人に対して一定の行為をする義務のことです。お金を支払ったり、物を引き渡したりするなどの債務があります。債務を負っている人のことを「債務者」といいます。

・債権とは、特定の人に対して一定の行為を請求できる権利のことです。債権を持っている人のことを「債権者」といいます。

・双務契約とは、契約の当事者双方が対価的な債務を負う契約のことです。

・片務契約とは、契約の当事者の一方のみが債務を負うか、一方の債務が対価的とは言えない契約のことです。

・債務が消滅する理由には、「弁済」、「混同」、「相殺」などがあります。

・債務不履行になると強制執行を受けることになります。給料を差し押さえられると職場にも影響します。

債務整理をすることで差押えを防ぐこともできます。

 

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債務の支払いが難しいと感じたら、早めに当事務所にご相談ください。

債務の負担は債務整理によって減らすことができます。

 

債務整理には、話し合いで負担を減らす任意整理など、いろいろな方法があります。

一度、専門の弁護士にご相談されることをお勧めします。

 

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本記事の監修弁護士  前田 祥夢(東京弁護士会所属)

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