借金を滞納するとどうなる?滞納のリスクと対処方法を詳しく解説
2023/05/03 11:06
目次
借金を滞納するといろいろなトラブルが発生します。
対処法を間違えると取り返しがつかないこともあります。
この記事では、借金を滞納すると具体的に何が起こるのか、そのリスクや正しい対処方法について詳しく解説します。
借金を滞納した場合のリスク
借金を滞納すると次のような問題が起こります。
滞納期間が長くなるほど影響は大きくなっていきます。
遅延損害金が発生する
支払期日を守ることができないと遅延損害金が発生します。
支払いが遅れた場合の特別な利息です。
消費者金融やクレジットカード会社の約款には、支払いが遅れたときは遅延損害金を支払うように書いてあります。
支払い日の翌日から支払いが終わるまで、一定の割合で遅延損害金を支払うようになっています。
遅延損害金は通常の利息よりも高めに設定してあることが多いです。そのため、借金を滞納すると滞納する前よりも借金が増えやすいので注意が必要です。
遅延損害金の計算式は次の通りです。
遅延損害金=借金額×遅延損害金利率÷365(日)×延滞日数 ※うるう年は366日で計算することがあります。 |
例えば、100万円の借金がある場合に、遅延損害金が年20%とされているときは、1日滞納すると約548円、30日の滞納で約16,438円の遅延損害金が生じることになります。
新規借入ができなくなる
借金を滞納すると滞納してしまった業者から新規の借り入れができなくなります。同じ業者の発行するクレジットカードの利用も制限されることになります。
利用制限は業者による入金確認ができなかったときから行われるため、支払期日を過ぎても数日程度利用できることがありますが、近いうちに利用できなくなります。
一時的な利用制限であるため業者の指定する方法で返済すれば利用を再開できることも多いです。その場合でも入金確認に時間がかかるため利用再開まで数営業日はかかることになります。
ただし、何度も滞納しているようなケースでは解約されてしまうこともあります。
<関連記事>キャッシングを延滞・滞納するとどうなる?対処法と滞納を防ぐコツ
電話やメール、郵便、訪問で督促される
業者によって多少の違いはありますが、多くは次のような方法で督促をしてきます。
まず、入金が確認できないとハガキでお知らせが来ることが多いです。
ハガキには、入金が確認できないことや、入金方法、入金されないと利用停止になることなどが記載されています。
ハガキを受け取ってすぐに支払いをしないときや、並行して電話による督促が行われます。
オペレーターが直接督促することもありますが、自動音声での督促のときもあります。
業者によってはSMSや電報で連絡してくることもあります。
電話による連絡は携帯電話がつながらないときには、自宅や職場にかかってくることもあります。
さらに滞納を続けると督促状が届くことが多いです。
支払期日を明記し、その日までに支払わないと強制解約や遅延損害金の発生、信用情報機関への登録、法的手段の行使などペナルティーについて書かれています。
何度も督促を受けたのに支払わないでいると自宅に訪問されることもあります。
消費者金融やクレジットカード会社によっては、かなり早い段階から訪問による督促を行っている所もあります。
訪問による督促がされると家族に借金のことを知られる可能性が高くなります。
<関連記事>イオンカードの支払いを滞納するとどうなる?リスクや対処法を解説
ブラックリストに載る
ブラックリストとは、信用情報機関に、「返済が遅れている」などの事故情報が登録されることです。信用情報機関というのは、個人の借金などの情報を提供している組織のことです。
消費者金融や銀行、クレジットカード会社などが加盟していて、お互いに顧客の情報を登録することで情報共有する仕組みです。
ブラックリストに載るにはいくつかの条件がありますが、滞納の場合には「61日以上」支払いが遅れると事故情報として記録される可能性があります。
信用情報は、金融業者などが新規で融資したり、クレジットカードを発行したりするときの審査に利用されます。その際、事故情報が記録されていると審査に通りにくくなります。
住宅の賃貸借契約をする際に信用情報を確認するケースもあります。スマートフォンの分割払いも難しくなります。
ただし、ブラックリストは永久に残るわけではありません。信用情報機関や事故の原因によって期間は異なりますが一定期間が経過すると抹消されることになっています。延滞情報については契約終了から5年が目安です。
ブラックリストについて詳しくは、「クレジットカードのブラックリストとは?確認方法や対処法をご紹介」をご参照ください。
内容証明郵便で一括請求される
毎月の支払期限を守らず滞納してしまうと、残高を一括で請求されることがあります。
クレジットカードなどの契約を同時に強制解約されることも多いです。
借金の残高が多い場合には一括で請求されると返済がとても難しくなります。
一括請求をする際には内容証明郵便が利用されることもあります。
内容証明郵便というのは、郵便局が文書の内容を証明するサービスで、裁判などの際に証拠として利用することができます。
内容証明郵便の内容として、「支払わないときには訴訟などの法的手段をとらせていただきます。」などと、警告文が記載されていることもあります。
つまり、業者が訴訟などの準備として内容証明郵便を送ってきているため、何もせずに放置していると訴えられる可能性が高いということになります。
差し押さえされる
借金を滞納していると、最終的に裁判所から「支払督促」が届いたり、訴訟を起こされたりします。その後、預金や給料などを差し押さえられることになります。
支払督促というのは、簡易裁判所の書記官から支払いを命じられるものです。個人が催促するものとは違い、強力なものなので注意がいります。
支払督促を受けて放置していると、訴訟を起こされなくても財産を差し押さえられてしまいます。そのため、裁判所から支払督促が届いたときには、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。
支払督促ではなく訴状が届くこともあります。
つまり、訴えられてしまったということです。
指定された日に裁判所に出頭したり、必要な書類を提出したりすることが必要になります。何もせずにいると財産を差し押さえられることになります。
給料を差し押さえられると職場に借金のことが知られることになります。
訴状が届いたときにも、早めに弁護士に相談されることをおすすめします。
債務整理をすることで財産を差し押さえられずに済むことがあります。
借金滞納の時効は成立するのか
借金には時効があります。
一定期間が経過することで権利がなくなる制度のことを「消滅時効」といいます。
借金の消滅時効の期間は、通常「5年」です(ケースによっては期間が異なることがあります。)。
つまり、返済期日から5年が経過していれば借金が時効によって消滅する可能性があります。
5年間支払わずにいれば借金をなくせると思うかもしれません。
ですが狙って行うことは現実的ではありません。というのも、時効期間は更新(リセット)することができるからです。
つまり、支払期日から5年以上経っていても消滅時効が成立するとは限らないのです。
特に、相手方が貸金業者の場合には消滅時効を更新しようとしてくるため、はじめから時効を狙うことは無理があります。
時効が更新される原因はいくつかあります。
例えば、「権利の承認」というものがあります。
これは、借金があることを貸主に認めることです。
直接「借金があることを認めます。」と念書を書くことはもちろん、「もう少し待ってほしい」と言っただけでも、また一部を返済することでも「権利の承認」となり、時効期間が更新され、その時から5年経過しないと時効は成立しません。
また、訴えられた場合には、裁判をしている間は時効が完成しません。貸主が勝訴すると時効期間は更新されます。その場合には時効期間が「10年」に伸びます。
仮に夜逃げしても住所の特定は可能ですし、行方不明であっても訴訟を起こすことは可能です。養子縁組や結婚により名前を変える人もいますが、ごまかしきれるものではありません。
このように消滅時効は簡単には成立しません。
<関連記事>時効の援用とは?やり方やメリット・デメリットを詳しく解説
借金が返せない時にやってはいけないこと
借金を滞納して困っているときに、やってしまいがちな危険な行為があります。
特に、次のような行為は状況を悪化させるだけなので注意してください。
借金を借金で返す
借金の返済に困り、他社から借り入れて借金を返済する人がいますがやめた方がいいでしょう。問題の解決を先送りにしているだけであり根本的な解決にはならないからです。
借金には利息があるため借金で返済していると、借金額が大きくなっていき手に負えなくなります。
クレジットカードを現金化する
クレジットカードで商品を買って、すぐに業者に売ることで現金化する方法があります。
このようなクレジットカードの現金化は、カード会社の利用規約で禁止されています。
カード会社が現金化に気づくとカードの強制解約や一括請求をすることがあるため避けた方がいいでしょう。
強制解約はブラックリストに載る原因にもなっているため、他のクレジットカードの利用もできなくなる恐れがあります。
闇金に手をだす
借金の返済に困り、貸金業登録をしていない、いわゆる「ヤミ金」に手を出してしまう人もいます。
ですがヤミ金は絶対に利用してはいけません。
ヤミ金は違法な業者であり、危険な目にあうことになります。
法外な利息を請求されたり、脅迫されたりするだけではなく、犯罪に加担させられることも多いです。
よくあるのが銀行口座の譲渡(貸与)です。自分の銀行口座をヤミ金や振り込め詐欺などに利用されてしまうのです。
犯罪に利用されると口座が凍結されますが、その口座以外の自分の口座も凍結されることになります。別の銀行で口座を開こうとしても難しくなります。
そのため、アルバイトをしたり、アパートを借りたりすることも難しくなります。
警察の情報をもとにしており、信用情報機関のブラックリストとは別の仕組みのため、一定期間で抹消されるというものでもありません。
借金とは比較にならない大きなハンディキャップを背負うことになります。
<関連記事>借金返済方法のコツは?注意点や早く終わらせる方法など徹底解説
借金滞納によるリスクの対処方法
借金の滞納を解消するには返済計画を見直す必要があります。
収入と支出のバランスを見直し、無理のない返済計画を立てることが大切です。
もしも返済が難しいことに気づいたら債務整理が必要となります。
債務整理には、「任意整理」、「個人再生」、「自己破産」などがあります。その人に合った方法を選択することが大切です。
任意整理
貸主との話し合いにより返済の負担を軽くしてもらう方法です。利息をなくしてもらったり、長期の分割払いにしてもらったりします。裁判所を通さないため、手続きが比較的簡単で、周りにも知られにくい方法です。
<関連記事>任意整理とは?メリット・デメリットや費用について詳しく解説
個人再生
再生計画を裁判所に認めてもらい、認可された計画に基づき返済していく方法です。利息だけではなく元本も大きく減らすことができます。
自己破産
財産を清算し、借金などの支払い義務をなくしてもらう方法です。財産はすべて処分されるわけではなく、現金を含めて生活に必要なものは残すことができます。
<関連記事>債務整理後の生活への影響は?仕事や住宅ローンへの影響など解説
まとめ
・借金を滞納すると、「遅延損害金の発生」、「新規借り入れやクレジットカードの利用停止」、「ブラックリストへの登録」、「財産の差押え」などのリスクがあります。
・借金には時効がありますが、時効期間は更新されるため簡単には成立しません。
・「借金を借金で返す」、「クレジットカードの現金化」、「ヤミ金の利用」は危険です。
・返済計画を見直しても返済の見通しが立たないときは、債務整理が必要です。
債務整理でお悩みなら 東京新橋法律事務所
借金を滞納し困っている方へ。
一時的な滞納であれば返済計画を見直すだけで対処できるかもしれません。
ですが返済の見込みがないときや、返済に無理があると感じたときには、早めに専門家である、当事務所にご相談ください。
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本記事の監修弁護士 前田 祥夢(東京弁護士会所属)