債務整理中にお金を工面する方法や借り入れを行うリスクを紹介
2024/01/15 04:55
目次
債務整理中にお金の工面が必要となることがあります。収入が減少することや予期しない出費が必要なこともあるからです。
お金の工面の方法は金融業者から借金するだけではありません。公的な支援制度もあります。
この記事では、債務整理中にお金を工面する方法や、金融業者からの借金のリスクについて解説していきます。
債務整理中にお金を工面する方法
債務整理には数か月以上の時間がかかります。そのため、債務整理中にお金に困ることがあり、お金の工面の方法も知っておくことが必要です。
親族や友人に借りる
債務整理中にお金の工面が必要なときは、家族など身近な人に相談する方法があります。急な出費などでお金が足りないときに、信頼できる人に相談することで援助を受けられることがあります。
返済する必要がないお金、つまり贈与してもらうことができればありがたいですが、人間関係には気をつける必要があります。特に借金のことを知らない相手に相談するときには、借金のことを相手に知られてしまうというデメリットがあります。
贈与ではなく「借金」するときには注意が必要です。
債務整理の種類には、「自己破産」や「個人再生」という裁判所を利用した手続きがあります。これらの手続きは厳格なため家族や友人からの借金であっても、問題になる可能性があります。「任意整理」という話し合いによる債務整理中のときも、返済計画に影響する可能性があります。
そのため、家族や友人からであっても借金をするときには、弁護士に相談するようにしてください。
専門家に相談する
債務整理中にお金の工面が必要になったときは、家族から援助を受ける方法もありますが、まずは債務整理をしてくれている弁護士に相談することが大切です。弁護士に無断で借金をしてしまうと債務整理に支障が出てしまうため、むしろ相談する必要があります。
債務整理中にお金の工面に困っているのであれば、債務整理がうまくいっていない可能性があります。「収入が減ったり」、「支出が増えたり」して事情が変わることもよくあります。そのようなときには、2回目の債務整理が必要なこともあります。そのあたりの判断は弁護士に相談すれば適切なアドバイスをしてくれるので心配いりません。
弁護士費用の支払いが厳しいということであれば、相談に乗ってくれることもあります。いずれにしても、無断で借金をするようなことはしないようにしましょう。
<関連記事>借金問題を解決する方法とは?解決したいときの相談先や手続きを詳しく解説!
公的な制度や相談窓口を利用する
債務整理中にお金の工面に困ったときには公的な支援制度も検討してください。さまざまな支援制度があるためすべてを紹介することはできませんが、代表的な支援制度をご紹介します。ただし、公的な支援制度であっても返済の必要があるものについては担当の弁護士に相談するようにしてください。
生活福祉資金
社会福祉資金は、社会福祉協議会によって運用されている貸付制度です。低所得者や高齢者、障害者世帯について経済的に支援するものです。
一定の貸し付け条件を満たしていると判断されれば、低利または無利子(連帯保証人有)で融資を受けることができます。
相談先:お住まいの市区町村社会福祉協議会
母子父子寡婦福祉資金貸付金制度
20歳未満の児童を扶養している配偶者のない人や寡婦等への貸付制度です。
就学資金や事業開始資金、生活資金などを低利や無利子で融資してもらえる可能性があります。
相談先:最寄りの地方公共団体の福祉担当窓口
住居確保給付金
住宅確保給付金は、家賃の援助を受けられる制度です。家賃の支給額には上限が設けられていますが、原則として3か月間(延長は2回まで最大9か月間)、実際の家賃額が支給されます。
支給を受けるためには、主たる生計維持者が離職・廃業後2年以内である場合か、個人の責任・都合によらず給与等を得る機会が、離職・廃業と同程度まで減少しているなどの要件を満たす必要があります。
相談先:最寄りの自立相談支援機関
国民健康保険一部負担金減免等制度
医療機関等を利用した際は窓口で自己負担分を支払う必要があります。国民健康保険では自己負担分について減免や支払いの猶予措置が受けられることがあります。
災害や失業などの特別な事情により収入が減少したときは、収入金額に応じて一定期間一部負担金の減免等の措置を受けることができます。
相談先:お住まいの市区町村保険年金課など
法テラス
法テラスは公的な法律支援サービスです。法的な手続きを利用したいのにお金の工面ができず困っているときは、法テラスに相談することができます。
収入が少ない方などを対象にして、債務整理や離婚等に伴う弁護士費用の立て替えを行っています。
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生活保護の受給を申請する
生活保護とは、生活に困窮する人であっても、健康で文化的な生活を送るために必要な最小限の保護を受けるための制度です。
労働の可否や状況、保有している財産などさまざまな事情を考慮しても生活が困窮している状態であれば、債務整理中のお金の工面の方法として、生活保護を受けられる可能性があります。
ただし、生活保護の目的は健康で文化的な最低限の生活を送れるようにするためなので、生活保護費を借金の返済に充てることには問題があります。借金をした理由にもよると考えられますが、生活保護費を借金の返済に充てると保護を打ち切られる可能性があります。
債務整理の方法として任意整理や個人再生をされている方は、自己破産を検討する必要も出てくるため、弁護士に相談することをおすすめします。
不用品を売却する
債務整理中のお金の工面の方法として有効な方法の一つが不用品の処分です。お金になりそうな財産がないか調べてみるのです。フリマアプリなどを利用することで自分にとって不要な物がそれなりの金額で売れることもあります。
ただし、自己破産や個人再生をしている場合、高価な財産を処分する際には担当の弁護士に相談してからにしてください。
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債務整理中に借り入れするリスク
債務整理中にお金を工面する方法として借金をすることはおすすめできません。さまざまなデメリットがあるからです。具体的にどのような問題があるのかを解説します。
債務整理に失敗する可能性がある
債務整理をするためにはすべての借金を明らかにする必要があります。誰にいくら借りているのかを正確に計算していく必要があります。その結果として、「任意整理」、「個人再生」、「自己破産」のうち、どの債務整理を利用するのが適切か判断することができます。
もしも、借金の額が途中で変わってしまったら債務整理の手続きを最初からやり直さなくてはいけなくなるかもしれません。
任意整理の場合
任意整理は、債権者との話し合いで利息をなくしたり返済期間を延ばしてもらったりする債務整理の方法です。債務整理中にお金を工面するため借金をしてしまうと、返済プランが変わってしまうため任意整理が難しくなります。債権者からは借金をなくす気がないと思われて交渉に支障が出るかもしれません。借金の額が増えすぎると自己破産せざるを得ないこともあります。
個人再生の場合
個人再生は、裁判所に返済計画を提出して認可をもらい返済していくことで借金を大幅に減らす債務整理の方法です。債務整理中に借金でお金の工面をしてしまうと返済計画に支障が出るため裁判所の認可が下りないことがあります。認可後であっても再生計画が遂行される見込みがないことが明らかになったときは手続きが廃止されます(民事再生法194条)。
自己破産の場合
自己破産は、裁判所に債務者本人が申し立てることで財産を清算して借金をなくしてもらう債務整理の方法です。裁判所から免責してもらうと原則として借金は返す必要がなくなります。
債務整理中にお金の工面のために借金をしてしまうと、免責不許可事由にあたる恐れがあります。つまり、借金がなくならない可能性があるのです。
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弁護士に辞任される
債務整理をするためには借金を明らかにして利息などの計算をし、債務者の収入や財産などの状況を考慮して最適な債務整理の方法を検討する必要があります。もしも、債務整理中にお金の工面のために借金を増やしてしまったとしたら、債務整理を進めていくことが難しくなります。弁護士からの信頼を失うことになり弁護士が辞任する可能性があります。弁護士に依頼する際には委任契約を結ぶことになりますが、その際に借金を増やさないことも約束することが多いです。無断で借金を増やすと信頼を失ったり契約違反となったりするため辞任される可能性があるのです。
返済が厳しくなる
債務整理のうち、任意整理や個人再生では借金は残っているため返済を続けていくことになります。弁護士が作ってくれた返済計画は収入と支出とのバランスを考えてできています。そのため、債務整理中にお金の工面のためとはいえ借金を増やしてしまうと返済計画に狂いが生じることになります。当初の返済計画は突然の支出なども考慮して多少の余裕がありますが、借金を増やしてしまうことでその余裕がなくなってしまいます。
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ヤミ金業者から借り入れをする恐れがある
債務整理中にお金を工面しようとしてもローンを組むことは難しいです。債務整理中は信用情報機関に事故情報(いわゆるブラックリスト)が載っているからです。債務整理中でもお金を貸してくれる貸金業者もあるかもしれませんが、リスクが高い顧客にお金を貸す以上利息が高かったり、取り立てが厳しかったり、任意整理に応じないなどの恐れがあります。
法律の範囲内で貸してくれるのであればともかく、中には貸金業登録をしていなかったり、違法な金利で貸し付けたりする「ヤミ金」の可能性もあります。ヤミ金は違法行為を行っているため犯罪に巻き込まれる可能性もあります。
<関連記事>借金を完済するための6つの対処法と借金を完済する際のNG行動を詳しく解説
まとめ
・債務整理中にお金を工面するには公的な支援制度やご家族の援助を受ける方法があります。
・債務整理中にお金の工面のために借金をすることはリスクがあります。債務整理が失敗したり、弁護士に辞任されたり、返済が厳しくなるなどの問題があります。
・債務整理中にお金の工面に困ったら弁護士にご相談ください。別の債務整理の方法が必要かもしれません。
債務整理でお悩みなら 弁護士法人 東京新橋法律事務所
債務整理中にお金の工面でお困りの方へ。
債務整理中なのにお金の工面に苦労しているのであれば債務整理の方法に無理があるのかもしれません。事情は変化するため別の債務整理の方法が必要となることもあります。
債務整理のことでお困りのことがあれば専門の弁護士に相談されることをおすすめします。
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本記事の監修弁護士 前田 祥夢(東京弁護士会所属)