債務整理中でも住宅ローンは組める?債務整理後にローンを組む方法も解説
2024/01/22 05:04
目次
債務整理中でも住宅ローンに通ったという話を聞くことがあります。しかし、実際には簡単ではありません。
この記事では、債務整理中に住宅ローンを組めるのか、債務整理後であればどうなのかを解説していきます。
※この記事では、債務整理をした事実が信用情報に記録されている状態を「債務整理中」と呼ぶことにします。
債務整理中でも住宅ローンは組めるのか
債務整理中に住宅ローンに通ったという話はあまり聞かないと思います。債務整理中に住宅ローンを組むことは難しいといえます。債務整理をすると信用情報機関に事故情報が登録されるからです。債務整理には「任意整理」、「個人再生」、「自己破産」という種類があるため、種類ごとに理由を解説します。
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任意整理の場合
任意整理とは、債権者(貸主)と話し合いをして利息をなくしたり、3~5年の分割払いにしてもらったりする方法です。裁判所を利用しないため比較的利用しやすい方法といえますが、過払い金があるようなケースを除き、元本を減らすことは難しいといえます。利息をなくせることが多いため高金利の借金に対して効果的です。
任意整理をすると完済から5年ほど信用情報機関に事故情報が記録されます。金融機関はローンの審査をする際に信用情報を確認するため、住宅ローンを組むことが難しくなります。
個人再生の場合
個人再生とは、裁判所が認めた返済計画に従って返済を行うことで借金を大幅に減額してもらう方法です。任意整理とは違い元本も減らすことができます。住宅ローンを残して他の借金のみ債務整理できることもあります。
債務整理の種類によって信用情報機関に事故情報が記録される期間は異なります。個人再生の場合には完済や開始決定のときから5~7年ほど記録が残ります。
信用情報機関は複数あり、登録される期間も異なります。銀行などの金融機関が主に加盟しているKSCという信用情報機関の場合には、開始決定から7年とされています。昔は10年とされていましたが短縮されています。
個人再生は原則として3年の分割払いとなるため、住宅ローンを組むことは債務整理中の7~8年程度はとても難しくなります。
自己破産の場合
自己破産とは、借金をしている人が裁判所に申し立てて、財産を清算して借金の返済義務を免除してもらう手続きです。税金など一部の債務を除いて返済責任がなくなります。生活に必要な財産は残せることも多く、収入が少なくても利用できるメリットもあります。
自己破産の場合にも個人再生と同様に信用情報機関に債務整理の事実が記録されます。永久に記録されるわけではなく、免責から5年または開始決定から7年ほどは事故情報が残ることになります。
したがって、債務整理中の7年程度は住宅ローンを組むことはとても難しいといえます。
※1 事故情報は、債務整理の事実だけでなく「延滞情報」などの複数の情報があり、また借金をした時期によって登録期間が異なることがあります。そのため事故情報がいつ消えるかはケースによって異なります。
※2 債務整理中に住宅ローンに通ることはほとんどありません。もっとも、債務整理中でも住宅ローンに通ったという方は実際にいます。その人の属性や連帯保証人の有無等により審査に通る可能性はゼロとは言えません。債務整理中に住宅ローンに通るためのポイントは債務整理後と基本的に同じです。
<関連記事>債務整理後の生活への影響は?仕事や住宅ローンへの影響など解説
債務整理後の住宅ローン審査で見られるポイント
債務整理中や債務整理後に住宅ローンを申し込む場合に、どの部分が審査のポイントになるかを解説します。
住宅ローン完済予定時の年齢
住宅ローンを組む際に重要となる審査のポイントの一つが申込者の年齢です。大半の金融機関で申し込みできる年齢は20~70才とされています。高齢でも申し込み可能なことも多いですが、完済時年齢が80歳未満とされていることが多いです。債務整理中に限らず住宅ローン審査では完済時年齢が重視されています。
信用情報
住宅ローン審査で金融機関が気にしているのはきちんと返済してもらえるかという点です。信用情報に債務整理中であることが記録されていると、返済がうまくいかなかったことがわかるため、審査に通ることが難しくなるのです。
ただし、債務整理などの事故情報はいつまでも記録されているわけではありません。完済や債務整理などから5~7年経過するとデータは抹消されることになっています。
住宅ローンを組むためには債務整理中の記録が消えるまで待つことが現実的です。ただし、事故情報には複数の種類があるためいつ抹消されるかは明確とは言えません。そのため事故情報が残っていないかを確認してから住宅ローンを申し込むことが重要です。
信用情報の開示請求の方法については、「クレジットカードのブラックリストとは?確認方法や対処法をご紹介」をご参照ください。
現在の収入や勤続年数
住宅ローンの審査に通った人は収入や勤続年数が良好な人が多いです。勤続年数については6か月以上でも審査に通る所もあるようですが、一般的に1年以上が一つの目安になっています。債務整理中の住宅ローン審査は特に厳しいので注意が必要です。
ただし、「フラット35」については勤続年数が絶対的な基準とはなっていません。そのため、勤続年数が1年未満の人はフラット35など勤続年数が重視されない住宅ローンが有力な選択肢となります。
税金の滞納
税金を滞納している状態では住宅ローンの審査に通るのは難しいといえます。税金を滞納しても信用情報機関に登録されるわけではありません。しかし、個人事業主の方などは住宅ローン審査の申し込み時に納税証明書が必要となるので税金の滞納がばれてしまうのです。
会社員や公務員の方であっても預金を差し押さえられてしまうと、その金融機関に通知がいくため住宅ローン審査に影響が出る可能性があります。債務整理中の人は税金の滞納をしている方も多いため特に注意が必要です。
<関連記事>債務整理後にクレジットカード発行はできる?対処法をご紹介
債務整理後に住宅ローンを組む方法
債務整理中や債務整理後に住宅ローンを申し込む際のその他の注意点を説明していきます。
審査が比較的通りやすい住宅ローンに申し込む
住宅ローンにも種類があり審査の通りやすさに違いがあります。審査基準は金融機関によって異なりますし、扱っているローン商品によっても違いがあります。
比較的審査に通りやすいとされているのは「フラット35」です。これは住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)が民間の金融機関と提携して取り扱う住宅ローンです。
一般的な住宅ローンと比べて金融機関側のリスクが低いため審査に通りやすいとされています。
債務整理中は住宅ローンを組むことは難しいですが、その後であれば他の属性や担保の状況がよければ審査に通ることはめずらしくありません。審査に通りやすい住宅ローンを利用することで住宅ローンを組める可能性を高めることができます。
債務整理した会社と全然関係ない銀行に申し込む
債務整理からしばらく経過すると信用情報機関の事故情報(ブラックリスト)は抹消されます。そのため、どの金融機関であっても住宅ローンに通る可能性があるように思えるかもしれません。しかし、債務整理の対象になった銀行については住宅ローンに通ることは難しいといえます。なぜなら、その金融機関のコンピューターには債務整理した記録が残っている可能性があるからです(社内ブラック)。そのため、住宅ローンを申し込むときは債務整理したことのある銀行は避けた方が無難です。
<関連記事>任意整理してもカーローンは組める?時期・審査通過のコツとは?
同時にいくつもの金融機関に申し込むのを避ける
信用情報機関に登録されるのは債務整理した事実だけではありません。延滞情報やローンの申し込み情報なども記録されます。
申し込み情報は6か月間残ることになっています。そのため、同時にいくつもの金融機関に住宅ローンを申し込むと審査に通りにくくなると言われています。「他の銀行に申し込みをしたのに申し込んできたということは、審査に落ちたのだろう」と思われてしまうのです。特に債務整理中の方は審査が厳しくなりがちのため少しでも審査にマイナスになるようなことは避けることが必要です。
頭金の準備をする
頭金がなくても住宅ローンを申し込みできるところもありますが、一般的に頭金が少ないと住宅ローンの審査は通りにくいといえます。借入金額が多くなり利息の支払いも大変になるため審査が厳しくなるのです。債務整理中であれば金融機関はさらに慎重になるはずです。そのため、債務整理中の方は特に十分な頭金を用意することが必要といえます。
<関連記事>金融機関の審査に通らない理由とその対処法
まとめ
・債務整理中に住宅ローンを通ったという人は多くありません。住宅ローンを組むことは不可能ではありませんがとても難しいといえます。債務整理をするとしばらく信用情報に記録されるからです。
・債務整理中後に住宅ローンを申し込むときは、「フラット35」など審査に通りやすい住宅ローンが有力な選択肢となります。
・債務整理中後に住宅ローンを申し込むときは、頭金を十分に用意するなど返済に無理がないことを示すことがポイントです。
債務整理でお悩みなら 弁護士法人 東京新橋法律事務所
債務整理により住宅ローンが組めなくなることに不安な方へ。
債務整理をすると信用情報機関に事故情報が記録されますが、永久に記録されるわけではありません。
債務整理を行う時期が早いほど事故情報が抹消されるのも早くなります。債務整理が必要かどうかを含めて一度専門の弁護士に相談されることをおすすめします。
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本記事の監修弁護士 前田 祥夢(東京弁護士会所属)