銀行口座の差し押さえをされるとどうなる?差し押さえを回避・解除する方法を紹介
2024/03/15 05:03
目次
借金や税金などを滞納すると銀行口座を差し押さえられることがあります。銀行口座の凍結と差押えは異なるものですが、どちらも滞納を続けていると行われる可能性があります。
この記事では、銀行口座の差押えについて流れや回避する方法などを解説していきます。
銀行口座の差し押さえとは
銀行口座の差押えとは、借金などの支払い義務を負っている人の預金を処分できないようにして、強制的に債権者(お金を請求できる人)がお金を回収するための手続きです。銀行口座が差し押さえられると、債務者(お金を支払う義務のある人)は自分の口座から差し押さえられた限度でお金を引き出すことができなくなります。
あくまで差し押さえをした時点での差押え金額が使えなくなるだけなので、預金口座は基本的にこれからも使えますし、その後入金されたお金は使用することが可能です。
銀行口座の凍結とは違います。
銀行口座の凍結との違い
銀行口座が凍結されることもあります。銀行口座の差押えと凍結は同じではありません。
口座の凍結というのは銀行などの金融機関の口座の利用が停止されることです。つまり、口座からの出金だけでなく入金もできなくなります。「停止」されるだけで当然に解約されるわけではありません。
口座が凍結される理由はいろいろありますが、銀行のカードローンなどを利用していた場合に支払いができず長期間滞納したようなケースが考えられます。銀行は貸付金と預金とを相殺することで債権を回収しようとするのです。
差押えと異なり注意すべき点は、凍結が解除されるまで新たに入金された給料などが出金できなくなる点です。口座引き落としで利用していたスマホ代や家賃、水道光熱費、クレジットカードなども滞納状態になります。
ただし、凍結はずっと続くとは限りません。凍結の理由が滞納であれば銀行が保証会社から代位弁済を受けたときは凍結が解除されることも多くあります。
銀行口座が差し押さえになるケース
銀行口座が差押えされる理由はいろいろですが、借金や税金の支払いを長期間滞納すると差押えされるケースが多いです。
借金を滞納した場合
消費者金融のカードローンやクレジットカードを滞納していると法的手段をとられることも多いです。支払期限を少し過ぎたからといってすぐに銀行口座が差押えになるわけではありません。しかし、再三の催促にもかかわらず滞納を続けていると支払督促や訴訟などの法的手段をとられてしまい、銀行口座などの財産を差し押さえられるおそれが出てきます。
税金を滞納した場合
税金を滞納した場合にも銀行口座などの財産を差し押さえられることがあります。所得税や住民税、社会保険料などを長期間滞納してしまうと、行政が強制的に財産を差し押さえて回収することになります。
消費者金融からの借金など一般の債権者の場合には、銀行口座などの差押えをする場合には、事前に訴訟や支払督促など裁判所での手続きが行われるため、差押えの前兆が比較的わかりやすいです。
これに対して、税金などの公的債務の滞納の場合には、裁判所の手続きなしで差押えが可能となっているため事前に差し押さえを察知することが難しいといえます。
税金を滞納すると督促状が届きますが、地方税法により督促状を発した日から10日を経過した日までに支払わないと差し押さえをすることになっています。事前の連絡も不要とされていて差し押さえた後に通知が来ます。督促状自体は滞納から20日以内に送付されることになっています。
銀行口座の差し押さえを受けるまでの流れ
不動産や自動車、貴金属など差押えできる財産はたくさんありますが、それらは処分が必要であり時間や費用がかかりやすいといえます。そのため銀行口座を差し押さえて預金から回収したいと考える債権者は多いです。
ここでは借金を滞納した場合についての銀行口座の差押えの流れを見ていきます。
債権者からの督促
銀行口座の差押えの流れとして、はじめは返済期日を過ぎると電話やはがきなどで督促がなされることが多いです。消費者金融やクレジットカード会社などの金融業者の場合には自動音声での督促をしてくるところもあります。
クレジットカードの滞納であればすぐに利用停止となり、滞納が続くと解約されることもあります。遅延利息を請求されることもあります。
一括請求
督促されても支払わずにいると、分割払いの債務であっても一括での返済を請求されることがあります。月々の支払いが難しいのに一括での請求をされてしまうとますます返済が難しくなるので注意が必要です。
一括請求は書面でなされることが多く、その内容には法的手段が予告されることもあります。
裁判所からの通知
銀行口座の差押えの流れとして特に注意が必要なのが、裁判所から送られてくる文書です。法的手段を警告されたのに支払わずにいると債権者は裁判所を利用した債権回収方法をとることがあります。
法的手段にもいろいろありますが、代表的なものとして「支払督促」や「訴訟」があります。これらの手続きがとられると「特別送達」という特殊な郵便で書類が送られてくるのですぐにわかります。原則として郵便局の人が直接渡してくれるので他の郵便物に紛れてしまうことは考えにくいです。
支払督促や訴状を無視することは絶対にしてはいけません。適切に対応しないと相手の言い分を全部認めたものとして扱われてしまい、銀行口座などの財産を差し押さえられる可能性が高くなります。
差し押さえ
裁判に負けたとしても当然に銀行口座が差押えされるわけではありません。別途、債権者は差押手続きをとる必要があります。支払督促を無視したり敗訴してしまったりすると銀行口座がいつ差押えになってもおかしくありません。
銀行口座が差し押さえられると債務者と銀行に差し押さえ通知が送付されます。その後一定期間経過すると債権者が差し押さえた限度で預金を引き下ろせるようになります。
<関連記事>借金を滞納すると裁判になる?催促を無視するリスクや対処法を解説
銀行口座の差し押さえを回避する方法
それでは銀行口座の差押えを回避するにはどうしたらいいのでしょうか。
一括返済
銀行口座を差し押さえる目的は借金などの回収です。そのため自分から一括で返済してくれるのであれば差し押さえをする理由はないはずです。
異議申し立て
支払督促には異議を申し立てることができます。もし異議を申し立てずに放置してしまうと「仮執行宣言付支払督促」というものが送られてきて、銀行口座などの財産をいつ差し押さえられてもおかしくない状態になります。異議申立てのデメリットは訴訟に自動的に移行してしまうことです。
借金など身に覚えがないときには、差押え自体について異議を申し立てる方法もあります。
しかし、勝訴する見込みがないのであれば自己破産などの債務整理を検討した方がいいかもしれません。
自己破産
支払える見込みがないのであれば債務整理により銀行口座の差押えのリスクを減らす方法が有効です。
債務整理をすることで返済の負担を軽くしたり、返済する責任が免除されたりするため差し押さえを防げる可能性があるからです。
自己破産は、裁判所に申し立てることで財産を清算して、代わりに借金などの債務の支払い責任を免除してもらう方法です。税金など一部の債務の支払い責任は免除してもらえませんが、普通の借金などの支払い義務はなくなるため、税金の支払いもしやすくなるはずです。
<関連記事>消費者金融の借金は減額できる?減額方法と相談先をご紹介
任意整理
任意整理とは、話し合いにより借金などの返済を軽くしてもらう方法です。将来の金利をカットしてもらったり3~5年の長期の分割払いにしてもらったりします。金利の高い借金であれば月々の返済を減らせる可能性があるため滞納が解消し、銀行口座などの差押えリスクを減らせることが期待できます。
ただし、債権者が話し合いに応じてくれないと利用することができません。また、元本は基本的に減らすことが難しいため、金利が低い借金や高額な借金の場合には自己破産や個人再生の方が向いていることも多いです。
<関連記事>リボ払いは債務整理できる?知っておきたいデメリットも解説
個人再生
個人再生は、返済計画を裁判所に認めてもらい元本を含め債務を大幅に減らした上で、原則として3年で完済を目指す手続きです。返済責任は自己破産のようにゼロにはなりませんが、任意整理とは違い元本も含めて大きく減額できる可能性があります。自己破産と違い住宅ローンを残す方法を利用できる可能性があり、マイホームを維持したいときなどに検討する価値があります。ただし、安定した収入が求められるなど条件が厳しめになっています。
<関連記事>債務整理中でも住宅ローンは組める?債務整理後にローンを組む方法も解説
まとめ
・銀行口座の差押えとは、債権者がお金を回収するために銀行預金を引き出せないようにする手続きです。差し押さえ額の限度で一時的に出金できなくなるだけなのでその後入金されたものは出金できますし、口座も引き続き利用できることが多いです。
・銀行口座の凍結は、その銀行のローンを滞納したような場合に銀行が貸付金と相殺するようなときに行われるもので、凍結が解除されるまで口座が利用できなくなります。
・借金などの普通の債務と税金の滞納では差押えの流れが異なります。
・債務整理をすることで銀行口座などの差押えのリスクを減らせる可能性があります。
債務整理でお悩みなら 弁護士法人 東京新橋法律事務所
銀行口座の差押えでお困りの方へ。
銀行口座の差押えは1度行われたら終わりとは限りません。借金などを完済できていないときには他の財産も含めてさらに差し押さえを受けることがあります。
債務整理をすることで差押えのリスクを下げられる可能性があるため専門の弁護士に相談されることをおすすめします。
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本記事の監修弁護士 前田 祥夢(東京弁護士会所属)