借金の利息計算方法は?金利の仕組みや借金の利息負担を減らす方法を解説
2023/09/25 07:58
目次
借金の返済を難しくする大きな原因が「利息」です。
利息は必ず発生するものではありません。また、法律で規制されているため、いくらでも取っていいわけではありません。適法な利息であっても利息の負担を減らす方法もあります。
この記事では、借金の利息の仕組みや、利息の負担を減らす方法を解説していきます。
借金の利息が発生する仕組み
借金をすると通常は利息を支払う必要があります。消費者金融などの貸金業者は、利息を支払ってもらうことで商売をしているわけですから、当然その借金には利息がつくことになります。
利息は貸してもらったお金(元本)に対して、金額と借りている期間に比例して、一定の割合によって支払われるものです。普通は、お金を借りる際に利息を支払うという約束をすることで支払い義務が発生します。
利息は約束をしたからといって、いくらでも取れるわけではありません。法律によって規制されているからです。
利息制限法
お金の貸し借りをする際に利息を支払う約束をしますが、利息をいくらでも取っていいことになると問題があります。お金に困っている人は、わらにもすがる思いでお金を借りることがあるため、とても高い金利であっても借金してしまうことがあります。それでは立場の弱い人が搾取されてしまうため、「利息制限法」という法律で、利息の上限が制限されています。
利息の上限は、元本額に応じて15%~20%までと決められています。
元本額 |
上限金利(年利) |
10万円未満 |
20% |
10万円~100万円未満 |
18% |
100万円以上 |
15% |
定められた利息を超えた場合には、その超えた部分は無効とされます。
出資法
高金利を規制する法律はほかにもあります。「出資法」という法律では一定以上の利息をとると刑事罰が科されることになっています。
特に、貸金業者の場合には規制が強くなっていて、年利20%を超える利息を約束したり要求したりすると、重い刑罰が科されます。
昔は、出資法の上限金利は、年利29.2%でした。
そのため、利息制限法と出資法との間で、上限金利に差があることになります。利息制限法の上限金利を超えているが、出資法の上限金利以下というケースが問題となったのです。
このような金利も一定の範囲では有効と考えられていました。その結果、大半の貸金業者が29.2%の高金利を取っていました。このような利息は「グレーゾーン金利」と呼ばれます。
その後、裁判所がグレーゾーン金利を認めなくなり、2010年6月18日に法律が現在のものに変更されています。
もし、利息制限法を超えた借金をしていた場合には、利息を支払いすぎていた可能性があります。
これを「過払い金」といいます。
過払い金があれば返還を請求できる可能性があります。
<関連記事>過払い金請求とは?請求できる条件と手続きをするデメリットを詳しく解説
借金の利息計算方法
利息の計算式は以下の通りです。
借入残高×年利(%)÷365(日)×借入日数=利息 ※うるう年は366日で計算することがあります。 |
「借入残高×年利」で1年分の利息が分かります。それを365で割れば1日分の利息が分かります。それを借入日数分かけることで実際に支払う利息が分かります。
例えば、50万円を年利18%で借りた場合に30日後に返済したときの利息は次のようになります。
50万円×18%÷365×30(日)=7397円(1円未満切り捨て) |
※金融業者によって借りた初日から利息をとる所ととらない所があるなど計算方法が異なります。そのため実際の利息と異なることがあります。
借金利息の相場
借金の利息は、借金の目的や借入金額によって異なります。ある程度の目安を知っておくことで、不必要な支出を減らすことができます。
消費者金融
消費者金融の利息は銀行などと比べて高い傾向があります。利息制限法の上限付近で貸し出すことも多いです。
ただし、大手消費者金融については10万円未満の借金についても年利18%を上限にしている所が多くなっています。借金の元本が多いと金利がそれなりに低くなる所もあり、銀行ローンに近い所もあります。
大手消費者金融 |
年3~18%程度 |
クレジットカード
クレジットカードのキャッシング機能でも借金が可能となっています。金利は銀行のカードローンより高めの傾向にあります。利息制限法の上限を意識した金利になっていることが多いです。
クレジットカード(キャッシング) |
年15~18%程度 |
銀行カードローン
銀行系カードローンは他のサービスと比べて金利が低い傾向があります。限度額が多いほど金利が低くなります。
銀行カードローン |
年1.5~18%(上限15%の所が多い) |
個人間の借金
個人間での借金についても利息制限法の適用を受けます。出資法による刑罰の対象にもなりますが貸金業者の規制よりも利率が高めに設定されています。そのため、基本的に利息制限法の上限金利を意識しておけばいいでしょう。
個人間での借金については、家族や友人などのよく知っている人から借りるという特徴があります。そのため利息を定めないで貸してもらうことも多くあります。
無利息での借金については利息分が贈与されたものとみなされて贈与税がかかることがあります。少額の借金であれば問題になりにくいですが多額の貸し付けについては利息を設定した方が無難です。契約書も作成しておきます。もちろん返済する際は利息も支払う必要があるので無理のない範囲で設定します。
贈与税については「親や子の借金を肩代わりする義務はある?贈与税が発生するケースについても解説」をご参照ください。
借金の利息負担を減らす方法
借金は金利が高いほど返済の負担が大きくなるため、なるべく利息の負担を軽くすることが必要です。
繰り上げ・一括返済する
繰り上げ返済というのは、通常の返済のほかに返済を行うことです。全額であれば一括返済となります。
繰り上げ返済すると、その分だけ元本が減るため利息も減り、トータルの支払額が少なくなります。
繰り上げ返済には2種類あります。「期間短縮型」と、「返済額軽減型」です。
どちらも利息が減ることに変わりありませんが、特に効果的なのは「期間短縮型」といえます。返済期間が減るので利息の支払いもその分だけ減ることになります。
ただし、繰り上げ返済には手数料がかかることがあります。
住宅ローンの場合には、税金の優遇措置や団体信用生命保険が消滅するなどのデメリットもあるため、慎重に検討する必要があります。
<関連記事>借金返済方法のコツは?注意点や早く終わらせる方法など徹底解説
低金利ローンへ借り換える
金利の安いローンに借り換えると利息の負担を減らすことができます。
ただし、借り換えに手数料がかかってしまうことがあるので、思ったように負担が減らないことがあります。また、新規にローンを組むため審査に通らないと利用することができません。利息がもともと低いケースでは、返済の負担が大して変わらないことがあります。
<関連記事>借金の借り換えとは?メリット・デメリットを詳しく解説
おまとめローンへ借り換える
おまとめローンは、複数のローンを抱えている人が借入先を一つにまとめるローンのことです。
一般的に借金の額が大きいほど金利が安くなる傾向があります。そのため、複数に分かれた借金を一つにまとめて大きなローンにしてしまえば金利を下げやすくなるのです。
また、複数の貸金業者を利用していると返済にいつも追われている感じになり安心できませんが、返済日が一つになれば余計なストレスを感じなくて済みます。返済日を忘れにくくなるため延滞しにくいメリットもあります。
ただし、借金はそのままですし、利息もなくなるわけではありません。すでに返済が難しくなっている方は焼け石に水の可能性があり、根本的な解決とはなりにくいです。
<関連記事>おまとめローンとは?カードローンをまとめて返済するメリット・デメリットを解説
債務整理を検討する
繰り上げ返済の余裕が無かったり、借り換えやおまとめローンでは借金の解決ができなかったりするときは債務整理が必要です。
債務整理をすると、利息をなくしてもらったり、元本自体を大幅に減らしたり、借金をゼロにできることもあります。
債務整理には種類があり、「任意整理」、「個人再生」、「自己破産」の3つの方法が代表的です。
任意整理
任意整理は、貸主と話し合って利息をなくしてもらったり、返済期間を延ばしてもらったりして返済を楽にする方法です。過払い金がある場合を除き、元本は通常減らせませんが、利息をカットできることが多いので返済の負担がだいぶ楽になります。
<関連記事>任意整理とは?メリット・デメリットや費用について詳しく解説
個人再生
個人再生は、返済計画を裁判所に認めてもらうことで、元本を含めて借金を大幅に減らしてもらえる手続きです。借金額によって異なりますが、5分の1~10分の1くらいに借金が減らせる可能性があります。住宅ローンはそのまま残すことでマイホームを維持する方法もあります。
<関連記事>借金救済制度とは?利用するメリット・デメリットを解説
自己破産
自己破産をすると基本的にすべての借金がゼロになります。返済する責任がなくなるのです。その代わり、高価な財産は処分する必要がありますが、すべての財産を取り上げられるわけではありません。生活や仕事上必要なものなど残せる財産も少なくありません。
収入が少ない場合や借金の額が大きすぎるときでも利用可能です。
<関連記事>自己破産をするには?やり方・手続きの流れや費用など詳しく解説
まとめ
・借金の利息は「利息制限法」により、金利の上限が年15~20%に制限されています。制限違反の利息は無効となります。個人間の借金にも適用されます。「出資法」という法律で刑罰が科されることもあります。
・利息の計算方法は、「借入残高×年利(%)÷365(日)×借入日数=利息」です。
・クレジットカードのキャッシングは金利が高めの傾向があります。
・繰り上げ返済や借り換え、おまとめローンによって利息の負担を減らせることがあります。
・返済が難しい場合には債務整理が必要です。「任意整理」をすれば利息をカットできる可能性があります。
債務整理でお悩みなら 弁護士法人 東京新橋法律事務所
借金の利息に悩んでいる方へ。
借金の返済が難しくなっている場合、利息を多少減らしただけでは問題の解決にならないことも多いです。
返済が苦しかったり、すでに滞納していたりする方は、早めに専門の弁護士にご相談ください。滞納すると、通常の利息より高い「遅延損害金」も発生します。
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本記事の監修弁護士 前田 祥夢(東京弁護士会所属)