契約当事者間において、あらかじめ一定の事項が発生した場合に、当事者が契約に基づく一定の権利が失われることを定める取り決めのことを失権約款と言います。例えば、貸金債務について分割払いを定めた契約を締結した場合において、債務者が分割債務を一回でも履行期限内に履行できなかった場合は、残りの債務について分割して弁済する権利を失い、一括して残りの債務を弁済しなければならないような取り決めを言います。このような失権約款は、当事者間で契約書を交わす場合に比較的多く使われる約款規定であり、契約実務においては重要な事項と言えます。
そのため、契約を締結する当事者は、相手方に不誠実な態度があった場合でも、円滑に自己の債権を回収できるよう、取り交わす契約書の内容については注意して文言を入れる必要があります。もっとも、契約書の作成に慣れていない当事者は、契約書作成に詳しい弁護士を通じて、契約書作成のアドバイスないし、契約書作成の代行を依頼することが望ましいと言えます。
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