和解とは、民事上で争っている紛争当事者同士が、互いに譲り合うことによって紛争を解決させる手段をいいます。和解は、債権の回収においても広く用いられている方法の1つです。

 

■和解という手続きの特徴とは?

 

和解とは「当事者がトラブルの解決に向けて互いに譲歩して合意し、紛争を解決する」という方法です。漢字では「和」と「解」が使われています。よって、「和やかに解決する」手続きです。

 

裁判所といえば、多くの人が真っ先に訴訟を思い浮かべることでしょう。裁判所では訴訟だけ行っているわけではありません。また、裁判所を利用する場合、必ずしも訴訟を選択する必要はありません。裁判所でできる手続きは、訴訟の他にも和解や支払督促、少額訴訟、手形訴訟などがあります。和解も裁判所の手続きの1つです。

 

和解では当事者(債権者と債務者)双方が、和やかにトラブル解決のための約束をします。裁判所の手続きの中でも「当事者がトラブルを解決したいという意欲を持っている」「判決によらなくても解決できる」「当事者同士が和解に同意している」ところが特徴です。

 

当事者が和やかに解決を試みるわけですから、和解では訴訟のように裁判官が判決を言い渡すことはありません。なお、裁判官が当事者に和解を促すこともあります。

 

■和解は「裁判上の和解」と「裁判外の和解」の2種類

 

この和解には、裁判上の和解と裁判外の和解とがあります。

 

このうち裁判上の和解とは、裁判が継続中に、当事者同士が和解に同意することで成立するものです。裁判の判決ではきわめて硬直的な判断となってしまうため、できるだけ柔軟な解決を目指すため、裁判上の和解は積極的に利用されています。

 

他方、裁判外の和解は和解契約ともいい、契約的性質の強い任意による和解といえます。そのため、内容としても裁判上の和解より一層柔軟なものを設定することができますが、和解に強制力がないため、和解内容の履行を求める場合は訴訟手続きを経る必要があります。

 

■和解の結果は「和解調書」にまとめられる

 

和解の結果は、裁判所書記官によって和解調書という公文書にまとめられます。

 

和解調書は判決ではありません。しかし、訴訟の判決と同じように強い力が認められています。せっかく和解が成立しても、当事者が約束を守らないのでは意味がないからです。

 

和解調書は申立に必要な債務名義になります。つまり、和解の結果を守らない当事者に対しては、和解調書を債務名義として強制執行を行うことが可能です。

 

■和解を選択する時の注意点について

 

和解制度は比較的広く利用される制度ですが、交渉にあたる者の能力によって大きく内容が変わるため、和解を行う場合は経験の多い弁護士に相談するのが必要といえます。

 

また、トラブルの解決方法として和解が適切ではないケースがあります。

 

たとえば、トラブル当事者の相手方が一切妥協する気配を見せない場合や、すでに何度も話し合いを試みているが話し合いの席にすらついてもらえない場合などです。また、和解はあくまで当事者双方が和解に同意し、解決に向けての意欲を持っている必要があります。和解に対して相手方が頑なな態度を見せている場合は、和解を試みても無駄足に終わる可能性があります。

 

自分が抱えている法的なトラブルを解決するために和解は効果的か。弁護士に相談した上で、他の方法と比較検討して決めることが必要です。

 

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