売掛金の回収方法と7つの確認したいこと

 

目次

1 「売掛金」とは「後払い」で「ツケ払い」
① 手形での支払いも後払いでは?違いは
② 売掛金は社内できっちり管理!けれど時に問題も
2 売掛金を払ってもらえない!そんな時は債権回収を
① 売掛金にも時効あり!迅速な回収を
② 売掛金の具体的な回収方法とは
③ 回収できないことを回避するため情報収集を
④ 弁護士に間に入ってもらう
⑤ 「時効の中断」を活用する
⑥ 「訴訟」も一つの解決策
⑦ 税理士にも相談を
3 まとめ

 

○ はじめに

「売掛金」という言葉は、事業を営み会社の規模を大きくして行く中で、決して無縁でいることのできない言葉です。
どんどん会社が大きくなり取引先が増えてくると、自然とこの売掛金という言葉を耳にする機会も増えてくることでしょう。
今後も取引がある先のため、もめたくないという場合も、弁護士が間に入って回収を行うことで、スムーズかつ今後への影響も最小限にとどめながら進めることが可能です。
「売掛金」とはどんなものなのでしょうか?また、売掛金を回収するためにはどんなことに気をつければいいのでしょうか。

1 「売掛金」とは「後払い」で「ツケ払い」

売掛金とは、一言でいうと「まだこちらに支払われていないお金」のことです。「後払い分の代金」と言い換えてもわかりやすいかもしれないですね。
主に会社と会社がやり取りした未払い分を売掛金といいます。
会社から個人のお客さんが商品を購入した場合は売掛金という言葉は基本的に使いません。
個人のお客さんに売った場合のお金ではなく、
主に会社と会社の「取引」においての未払い代金、要するに「これは後で払いますね」というツケが売掛金になります。
会社を大きくするためには色々な人や企業と取引をします。
もちろん、物品の仕入れなども行わなければいけません。
しかし、会社と会社の取引は時にかなりの金額になります。
たとえば、、、
12月30日にA企業から仕入れをして、
その日のうちに即金で支払うことができればとても簡単です。
しかし金額が大きいからこそ、
まずは仕入れた品物をお客さんに販売して、ある程度の利益を得てからでないと支払いが難しいということもあります。
だからこそ会社での取引には「後払い(ツケ)」がよく使われます。
「12月30日の取引だけど、支払いは1月末に現金払いでいい?」
「いいですよ。では、忘れないようにお互い記録しておきましょうね」
この会話文で1月末の支払いを約束したものが売掛金です。会社の取引の基本であるといえます。

・手形での支払いも後払いでは?違いは

会社の中には月内に発生した支払いを都度ではなく、
月末などにまとめて支払うようにしているところも少なくありません。
1日、2日、3日…とまとめて、月末に全てのところにドン!と支払う。
個人のお客さんが会社から品物を購入したら、基本はすぐに支払い、あるいは一週間以内にコンビニで支払いなどという形で、なるべく早めに支払いをしてくれるように言われるはずです。
また、レジですぐに支払いが基本です。
個人が品物を会社から買う時と、会社同士が取引をする時では、金額の大きさや会社の経理の事情も相まって、ちょっと違うということです。
けれど、ここで「あれ?」と考えます。会社と会社が後払いで取引する時には他にも方法があります。
・・・そう、手形です。
取引で得た受取手形も後払いの一つに違いありません。
手形と売掛金は違うのでしょうか。
どちらも代金を払ってもらえる会社側としては「後でもらえるお金」です。
どちらも債権には違いありません。
しかし二つには明確な違いがあります。
その違いとは、口約束と法律による強固な約束という違いです。
「後で払いますね。ツケで」
「後で払いますね。証拠(手形)を差し入れますね」
この二つには大きな違いがあります。
また、手形は自社で現金化しなくても他の会社に支払いとして渡すことができます。
例えばA会社が振り出した手形をB会社が受け取り、C会社へ商品の仕入れ代として渡してもいいわけです。この場合、C会社はA会社に支払いを要求することができます。
では、ツケの約束だとどうでしょう。
「うちは月末にA会社から支払いをしている約束をしているから、Cさんはうち(B会社)の商品の仕入れ代をAさんのところから回収してくれないか?」と言えるでしょうか。
・・・これは難しいです。
C会社は「いやいや、B会社さんがA会社さんからきっちり現金を回収してうちに支払いをしてくださいよ」と言うことでしょう。これは手形だから言えることです。
いかがでしょう。
同じ後払いでも手形と売掛金は違うところがあると簡単に理解していただけたでしょうか。

・売掛金は社内できっちり管理!けれど時に問題も

この他に、売掛金は支払日を約束しても相手の業績によっては支払い猶予をお願いされることもありますが、手形は基本的に決まった期日にきっちり現金化できるという違いもあります。
つまり、手形の方が支払いのことを考えると安定しているのです。
だからこそ売掛金の現金払いは、信頼関係ができ上がっている会社同士で行われることが多いのです。
一見さんの初取引の会社に「後払いでいい?」と言われても、「手形か即金でお願いできませんか?」という話になることでしょう。
信頼関係ができ上がっていないじゃないために一般的にはそのような対応になります。
手形は手形という証拠が残りますし、支払ってもらえない場合も普通の訴訟ではなく手形訴訟という迅速に決着をつける訴訟を利用することができます。
これは会社側にとってやはり嬉しいことです。
手形を使わず現金で後払いを許すのは、やはり会社と会社の間に信頼関係があってこそ。
しかし、ある程度の信頼関係のある間柄でも、取引は取引です。もちろんきっちり帳簿につけておきますし、売掛金が入金されるかどうかチェックします。

2 売掛金を払ってもらえない!そんな時は債権回収を

信頼関係があったとしても、売掛金が支払われないことや、支払いが遅れてしまうことがあります。
後で現金払いをするということは、手形のように期日にきっちり支払われるというものではありません。手形も不渡りになれば意味がありません。
確かに契約書や納品書は交わすかもしれませんが、
だからといってその日に100パーセント払ってもらえるという保証はありません。
売掛金は会社同士の商取引で発生するお金ですから、額は高額になりがちです。
また、信頼関係があるからといって大口取引先に現金での後払いを許していたら、
いきなり貸し倒れということにでもなれば、自社の命運を左右する大事になるに違いありません。
だからこそ、売掛金の回収について知っておくことは大切なことです。また、いざ回収できない時に迅速に動くことも回収のためには重要になります。

・売掛金にも時効あり!迅速な回収を

売掛金には時効があります。
これも、売掛金が回収できないとなったら早く動かなければならない理由の一つです。
「月末に支払う約束ですが・・・」「すまない、ちょっと待ってくれ。来月には払うから!」
の繰り返しが続くと、支払ってもらう前に時効で債権が消滅という可能性だってあります。
時効はその債権が誰とのどんな債権かによって完成までの期間に差があります。
商取引の債権の時効が5年ということで勘違いされがちですが、
売掛金の時効は種類によって3年、2年、1年と別々です。
時効のカウントやどの取引がどれくらいの期間で時効にかかるのかを判断することはなかなか難しいことです。約束の日に売掛金を払ってもらえないとなったら、早々に対応し、どうしても自分では解決できそうになければ弁護士へ相談するのが安全策です。

・売掛金の具体的な回収方法とは

売掛金の時効を気にかけると共に具体的な回収についても考えておきましょう。
「次の月末には支払うから」と言われても、その状況がずるずる続いてしまう可能性があります。
なぜなら、すぐに支払えないということは、
取引先の業績が悪くなかなか支払えない状況かもしれないからです。
取引先全てに支払えていないのか、
それとも過去の取引から順番に何とかお金の算段をつけて支払っているのかに関わらず、
「支払いが難しい」という状況が続けばいずれ取引先が自己破産をしてしまう可能性もありますから、回収をするためにはやはり急ぐ必要があると言えるでしょう。
「来月払います」という言葉を待ちつつも、
具体的にどうやって回収するかを考え、
準備をしておくことが必要です。
では、具体的な売掛金の回収方法にはどんなものがあるのでしょうか。
回収するためにはどんな手続を利用すればいいのでしょうか。

・回収できないことを回避するため情報収集を

売掛金の回収に困ってからではなく、困る前に対策を取る必要があります。
取引先であればあまり失礼なことはできませんから悩ましいところですが、
それでも「情報収集」「取引先の言動」には気をつけておきましょう。
例えば他の取引先から何時も取引をしている他社の経営状況の悪化が聞こえてきたり、
関連企業の売掛金の延滞があったりしたなどの情報は確認しておく必要があります。
資金が潤沢であればどこの会社にだって支払いをするでしょうし、延滞だってしないはずです。
情報収取の結果として取引先の経営状況に不安があれば、
口実を作ってでも手形取引をしたり、与信枠という限度額内で取引をするように注意したりといった、回収不能を防ぐための心がけが必要です。
今まで大丈夫だったからこれからも大丈夫とは限りません。
また、前述したように、回収が危うい場合は時効も考えて早めの対策と難しくて対応できそうになければ、早急に弁護士に相談することも必要です。

・弁護士に間に入ってもらう

回収が難しくなった時点で早々に弁護士に介入してもらうことは良い判断です。法的手続きもすれば良いというものではありません。
債権回収には回収戦略が必要ですので、債権回収に強い弁護士に相談することは有益な戦略でもあります。
たとえば、相手方が本当は支払えるにも関わらず
「経営が苦しいから後回しでいいや。待ってくれると言うし」という態度の場合、
弁護士が間に入って話をすることですぐに支払いをしてくれる場合があります。
弁護士が出てきたということで「これは舐めたことをしていると訴訟を起こされるかも」と危機感を相手に抱かせることができるのです。
本当に支払いもできないという場合は
弁護士が相手会社を確認することで、すぐにどんな手続をすればいいのかアドバイスをしてくれます。
また、時効についても自分で判断せず弁護士に確認するのがいいでしょう。
自分で条文を見て「これは3年かな?」と考えていても、時効には起算点という問題がありますから、うっかり計算違いをしていて時効期間が満了していたということも。
時効ぎりぎりだと次の項目でお話しする時効の中断をしようにも時間が足りないという可能性もあります。時は金なり。早く動くは一文の得。早急な動きは売掛金回収の確率を上げる、です。

・「時効の中断」を活用する

もし弁護士が時効の面で急ぎ対策をとった方がいいということであれば、「時効の中断」をしましょう。時効の中断に該当する行動を取ると、時効が振り出しに戻ります。例えば時効が2年で1年11カ月過ぎていたのであれば、時効の中断をすることによって0年というスタート地点(振り出し)に戻るのです。
・請求
・差押(仮差押や仮処分を含む)
・承認
以上の3つが時効の中断をもたらす行動です。
請求とは裁判上の手続きで請求すると言うことです。
電話で売掛金を払わない相手先に「払ってください」と言うだけでは、
この請求に該当しないことに注意してください。
承認とは、相手方に「売掛金を払っていません(払っていない分があります)」と認めさせることをいいます。相手方が「売掛金の支払いはちょっと待ってもらえない?」と申し入れてくることも承認にあたります。「待って」という言葉が、前提としてお金を払ってないことを認めている(承認している)ことに変わりないからです。また、相手に売掛金を一部払ってもらうことも債務の承認にあたります。一部を払うということは債務があるから払うに違いないからです。
これらは弁護士に相談した上で進めていくのがいいでしょう。
なお、相手方へ「払ってください」と内容証明郵便を送るなどする「催告」という方法もありますが、こちらは催告後6カ月以内に訴訟や支払督促をすることではじめて時効が中断します。訴訟などとセットで行わないと意味がないため、やはり先に弁護士に相談して進めるのがいいでしょう。

・「訴訟」も一つの解決策

いきなり訴訟を起こすのも一つの解決策です。
売掛金を支払わない相手方が破産の手続きをしてしまうと、債務が免責されてしまうため回収ができなくなってしまいます。
つまり、本来は払わなければならなかった売掛金が合法的に払わなくてよくなってしまうのです。これでは自社に大きな痛手です。
取引が長ければやはりそこに人情もあるかもしれません。
しかし、自社が大きな痛手を受けてしまえば、今度は自社や従業員が大変になってしまいます。
そこで自社が破産とでもなれば、別の取引先にも迷惑をかけます。甘さは時に破産や倒産の連鎖を起こすということです。
そうなる前に早急に訴訟などの裁判所手続きに踏み切ることも時には必要です。判決を手に、強制執行をすれば全額とはいえないまでもいくらかは回収の見込みがあります。
また、訴訟に踏み切ることには時効の面でもメリットがあります。裁判や調停で確定した債権は時効が確定日から10年になります。売掛金の本来の時効よりずっと長い時効になるのです。訴訟後の回収を考えるなら、有り難いことです。

・税理士にも相談を

額がさほど大きくなく、痛手ではあるが多大なダメージではないという場合は売掛金を放棄してしまい経理処理してしまうという手もあります。
いざという時のために引当金の準備をしておくという手もありますので、
会社の普段からできるリスクヘッジとして税理士に相談しておくのがいいでしょう。
なお、売掛金を放棄する場合の経理処理は弁護士だけでなく税理士にも相談してください。
 

3 まとめ

売掛金とは「後払いのお金」「ツケ」のことです。
会社と会社の取引は支払いが高額になりますから、この後払いがよく利用されます。
また、会社によって月末などに一気に処理して経理処理を煩雑にしないという意味でもよく利用されます。会社と会社の取引にはどうしても必要な方法なのです。
しかし、あくまで「後払い」「ツケ」です。時に払ってもらえないという問題に突き当たることがあります。
そんな時はいくつか方法があるのですが、どれも法律に馴染みのない人にはなかなか難しい方法です。
迅速に回収するためには債権回収に強い弁護士に相談すると思わぬ解決方法が見えてくるかも知れません。相談することで回収できない!困った!を減らすこともできることでしょう。

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