目次
支払督促は一般の方でも利用できる裁判所の手続きです。ただ費用がどの程度かかるのか、相手方に費用も請求できるのかなど支払督促手続きについてわからないことがあるかもしれません。
この記事では、支払督促について費用や手続きの流れについて解説します。
※借金などの債務の返済ができずお困りの方はこちらの記事もご参照ください。
支払督促とは
支払督促とは、金銭その他の代替物または有価証券の支払いを目的として簡易裁判所の書記官から支払いを督促してもらう手続きです。相手が特に異議を出さなければ訴訟をしなくても「債務名義」を取得することができます。
「債務名義」というのは、債務者の財産を差し押さえるために必要な公的な書類のことです。代表的なものは判決書や執行証書(公正証書の一種)があります。つまり、支払督促手続きをすると訴訟をしなくても相手の財産に強制執行できる可能性があります。
<関連記事>債務名義とは? 取得方法と債権回収までの流れを分かりやすく解説
支払督促にかかる費用
支払督促を利用するには手続き費用が掛かります。
支払督促の申立て費用
支払督促に必要な主な費用は以下の通りです。債務者が1人のケースを想定しています。
申立手数料(収入印紙) |
後期の通り |
郵便切手(封筒) |
①140円分 ②1,250円分 |
郵便切手(はがき) |
85円分 |
資格証明書(代表者事項証明書等) |
当事者が法人の場合に法務局で取得 480円~600円 |
※2024年10月現在の東京簡易裁判所の金額。手続き費用は裁判所やケースによって異なり、また変更になることがあります。大まかな目安とお考え下さい。
申立手数料は収入印紙で納めますが消印はしません。手数料は請求額によって異なります。
請求価額 |
収入印紙 |
100万円まで |
10万円ごとに500円 |
100万円超500万円まで |
20万円ごとに500円 |
500万円超1,000万円まで |
50万円ごとに1,000円 |
1,000万円超10億円まで |
100万円ごとに1,500円 |
10億円超50億円まで |
500万円ごとに5,000円 |
50億円超 |
1000万円ごとに5,000円 |
例えば、請求額が10万円であるなら手続き費用は500円です。10万1円であるなら1,000円となります。元金のほかに利息・遅延損害金があっても元金の金額で考えます。
仮執行宣言の申立て費用
支払督促の仮執行宣言申立手数料(収入印紙)は不要ですが、郵便切手代が必要となります。
目的 |
郵便切手代 |
仮執行宣言付支払督促正本送達用 |
(債権者用)85円~ (債務者用)1,100円程度~ |
送達結果通知用 |
85円×債務者数 |
※裁判所やケースによって異なるため目安とお考え下さい。
督促異議の申立てをされた場合
支払督促に異議が申し立てられると訴訟手続きに移行します。この場合には債権者としては訴えの取り下げと訴訟追行のどちらかを選択します。
訴えの取り下げの場合
訴えの取り下げには手続き費用は掛かりません。ただし、相手方に取り下げの通知が必要な場合には郵便切手代が必要となることもあります。
訴訟の追行の場合
訴訟手続きにより債権回収を目指す場合には必要な費用を追加で納めることになります。支払督促は訴訟手続きの費用の半分で済んだため残り半分を納める必要があります。また郵便切手代が数千円~必要となります。
訴訟に関する費用については、「債権回収は弁護士に依頼した方がよいのか?メリット、注意点をしっかり、分かりやすく解説」もご参照ください。
支払督促手続きの費用負担
申立手数料(収入印紙代)、送達通知費用(郵便切手代)、資格証明書手数料も相手に請求可能です。また、申立書作成及び提出費用については一律に800円と規定されており債務者に請求可能です(民事訴訟費用等に関する法律2条6号、規則2条の2第1項、別表2第2項)。
ただし、相手に請求可能なことと実際に回収できるかは別問題です。差し押さえ可能な財産があるか事前に調べておき、実際に回収できる見込みがあるか検討する必要があります。
訴訟に移行した場合には、「債権回収の裁判(民事訴訟)知っておきたいメリットとデメリット、手続き、流れを解説」もご参照ください。
支払督促手続きの流れ
支払督促手続きがどのように行われるのか解説します。
支払督促の申立て
支払督促は債権者の申立てにより開始します。支払督促の申立先は債務者(相手方)の住所地または主たる営業所等の所在地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官です。
例えば、債権者(東京在住)が、債務者(札幌在住)に対して債権回収をするために支払督促を行いたい場合には、債務者の住所地を管轄する簡易裁判所(札幌)の裁判所書記官に支払督促の手続きを申し立てることになります。
手続きは郵送やオンラインでも可能です。
申立てに必要な書類は、①支払督促申立書、②当事者目録、③請求の趣旨および原因の写し、④申立手数料(収入印紙による支払い)、⑤支払督促正本送達費用、⑥官製はがき、⑦委任状(弁護士等の代理人により支払督促を行う場合)、⑧資格証明書(当事者が法人の場合)等です。
※必要な書類や費用については裁判所やケースにより異なることがあります。
支払督促の発付
支払督促手続きに必要な申立書類は、裁判所書記官により不備がないかチェックを受けます。問題がなければ債務者を審尋することなく支払督促が発送されます(民事訴訟法386条1項)。
仮執行宣言の申立て
支払督促が債務者のもとへ送付されてから2週間が経過しても債務者が支払いを行わない場合や、督促に対して異議の申立てがなされない場合には、債権者は仮執行宣言付与の申立てを行うことができます(同法391条)。申立てに必要な書類は、①仮執行宣言の申立書、②請求の趣旨および原因の写し、③当事者目録、④仮執行宣言付支払督促正本送達費用、⑤官製はがき等です。
※必要な書類や費用については裁判所やケースにより異なることがあります。
仮執行宣言の発付
仮執行宣言付与の申立てが適式に申し立てられると、裁判所は債務者に対して仮執行宣言付支払督促を発送します。
強制執行
仮執行宣言付支払督促が債務者に送達されることでこの書類は債務名義となります(民事訴訟法391条5項、388条2項、民事執行法22条4号)。つまり、債務者の財産を差し押さえて強制的に回収していくことが可能となります。ただし、相手に差し押さえ可能な財産がなければ現実的に回収はできません。
強制執行について詳しくは、「強制執行による債権回収|手続きの流れを分かりやすく解説」をご参照ください。
支払督促のメリット
支払督促手続きには以下のような利点があります。
手続費用の負担が軽い
支払督促手続きは通常の訴訟提起に比べて手続費用の負担が軽く手続に要する時間も少ないという特徴があります。
手続き費用は訴訟の2分の1です。必要な期間については2カ月もかからず回収できる可能性があります。
相手にプレッシャーを与えることができる
支払督促手続きは裁判所による手続きであることから、裁判所からの通知により相手方に心理的圧力を加えることができます。債権回収は費用対効果を考える必要があります。少ないコストで最大限債権を回収することが大事です。そのためには相手方の任意の支払いを促すことがポイントです。裁判所書記官から督促されることで債権者から督促されるよりもプレッシャーは大きなものとなります。支払督促は放置すると財産を差し押さえられる可能性がありますし、異議を申し立てるにしても訴訟で争うことになります。そのため債務者が任意に支払う可能性もあります。
支払督促のデメリット
支払督促手続きには以下のような不利な部分もあります。
相手の所在地が不明な場合できない
支払督促手続きは相手方に送達できないと効力が生じないので、相手方の所在地が不明な場合にはとることができません。通常の訴訟であれば相手が現在所在不明でも手続き可能です。
<関連記事>音信不通の相手から債権回収する方法と注意点を詳しく解説
異議が申し立てられる可能性がある
支払督促手続きは相手方から異議が申し立てられると通常訴訟に移行します。その結果としてはじめから訴訟を選択した場合よりもかえって解決までに時間がかかる恐れがあります。
支払督促手続きでは、債務者は2回の異議申し立てをする機会が与えられています。債権者からの支払督促に対する債務者の異議申立てのことを「督促異議」といいます。督促異議がなされると通常の訴訟手続に移行することになります(民事訴訟法395条)。
督促異議の方法は異議申立書を提出すれば足りるため実質的な理由がない場合もあります。例えば、「債権が存在していない」、「支払期限が到来していない」といった理由だけでなく、「分割払いにしてほしい」などの理由で異議が出されることもあります。
さらに問題なのは移行後の訴訟は、「支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所またはその所在地を管轄する地方裁判所」において進行することになっています(同法395条)。つまり、債務者が遠方に住んでいる場合には遠くの裁判所で訴訟をすることになります。はじめから訴訟をするときには債権者の住所地を管轄する裁判所に申し立てをすることができるため、異議申し立ての可能性が高いときにははじめから訴訟を選択した方がいいでしょう。
<関連記事>支払督促を弁護士に依頼するメリットとは?弁護士の費用相場と選ぶポイントを解説
まとめ
・支払督促は、金銭その他の代替物等の支払いを裁判所書記官から督促してもらう手続きです。
・支払督促は、手続き費用や郵便切手などが必要となります。手数料は請求額により異なります。
・支払督促に異議が申し立てられると訴訟に移行します。はじめから訴訟をした場合よりも不利益が生じることがあります。
債権回収でお悩みなら弁護士法人東京新橋法律事務所
当事務所は債権の回収に強い事務所です。
回収管理システムを活用し、大量受任も効率的・迅速に対応可能です。
当事務所では、未収金が入金されてはじめて報酬が発生する成功報酬制です。
「着手金0円(法的手続きを除く。)」、「請求実費0円」、「相談料0円」となっておりご相談いただきやすい体制を整えております。
※個人間や単独の債権については相談料・着手金がかかります。くわしくは弁護士費用のページをご覧ください。
「多額の未収債権の滞納があって処理に困っている」
「毎月一定額以上の未収金が継続的に発生している」
このような問題を抱えているのであればお気軽にご相談ください。
債権回収に特化した顧問契約は月9,800円のワンプランとなっています。請求書に「不履行時は弁護士法人東京新橋法律事務所に委託する」旨の記載ができます(弊所が許可する債権に限ります。)。