突然、相手方と連絡が取れなくなることがあります。

お金を貸していたり、売掛金が残っていたりすると途方に暮れてしまうと思います。

そのようなときにこそ落ち着いて対処していくことが大切です。

相手の住所がわからないのか、住所はわかるが電話やメールが通じないだけなのか、状況に合わせて対応することが必要です。

 

この記事では、音信不通の相手から債権回収する方法について解説していきます。

 

音信不通の相手から債権回収する方法

相手との連絡が取れなくなった場合には状況に合わせて対応を変えていきます。

連絡が取れない原因はさまざまであり柔軟に対応することが必要です。

 

催告状の送付

電話やメールなど通常の方法での連絡ができないケースでは書面で催促をしていきます。

その際、音信不通の理由が意図的に支払いを逃れるためとは限らない点に注意が必要です。

 

初めから電話番号が間違っているケースや、急病やけがにより電話に出られないようなケースなど不可抗力の場合もあるからです。

このようなケースでは支払いの意思が十分に期待できるため、連絡を取ることを重視した内容の書面を作成します。電話やメールが通じない旨と、至急連絡を入れるように伝えます。

初めから高圧的な内容の書面にしてしまうと相手との関係が悪くなり、かえって債権の回収が難しくなることもあるからです。

 

催促状を送っても何も返答がないようなケースでは、内容証明郵便などを利用して強く支払いを求めていくことになります。

 

内容証明郵便は、誰から誰に対してどのような内容の文書を送ったかを郵便局に証明してもらうものです。オプションで配達証明もつけておいた方がいいでしょう。

 

内容証明郵便は催告した証拠が残るため法的な手続きをする際に有利になります。

債権回収の本気度が伝わるため相手にプレッシャーを与えることもできます。支払期限を明記して訴訟など法的手段を予告すると効果的です。

特に弁護士から内容証明が送られてくると強いプレッシャーを感じるため、任意に支払いに応じてくれることも多いです。

 

<関連記事>【弁護士監修】支払催促状の書き方と送付方法{テンプレート付}

 

支払督促

内容証明郵便を送付しても支払いに応じてくれない場合には法的な手段を検討することになります。

法的手段は訴訟だけではありません。

比較的利用しやすい法的手続きとして「支払督促」があります。

書類審査のみで利用可能であり費用も訴訟の半分で済ませることができます。手続きは相手の住所地を管轄する簡易裁判所で行います。手続きに不備がなければ裁判所書記官が債務者に対して支払いを命じる文書を送達してくれます。

 

相手が2週間以内に異議を申し出なければ、「仮執行宣言」というものを付けてもらうことができ、相手の財産を差し押さえることができます。

 

デメリットとしては、異議が出されてしまうと訴訟手続きに移行してしまう点です。そのため異議が出されてしまいそうなケースでは利用がしにくいといえます。

 

また、相手の住所がわからないと利用することができません。相手に異議を申し出る機会を与える必要があるからです。そのため、相手の所在が分からないときにはほかの方法を検討することになります。

 

<関連記事>法人が債権回収を行う方法と注意点を弁護士が解説

 

訴訟

内容証明郵便では効果がなく、支払督促も利用が難しいケースでは訴訟を検討することになります。

訴訟であれば相手が行方不明であっても利用することができます。相手の所在が分からないときには「公示送達」ができるからです。

公示送達とは、裁判所の掲示場に訴状などの書類を渡すので受け取りに来るように張り出してもらう手続きです。受け取らなくても2週間経過すると送達されたことになります。

 

相手の居場所が分かっていても受け取りを拒否されることがあります。

このようなケースでは、訴状をその場に差し置かれたり(差置送達)、職場に送達されたり(就業場所送達)、発送した時点で送達した扱いにすること(付郵便送達)もできるため、手続きを進めることができます。

もし相手方が答弁書を提出せずに裁判に出席しなければ原告の主張した事実を被告が認めたことになります(擬制自白)。公示送達の場合には擬制自白は認められないのですが、いずれにしても相手が反論してこないため勝訴しやすくなります。

相手が争ってこないケースでは比較的短期間で判決をもらうことができます。

 

<関連記事>債権回収の裁判(民事訴訟)知っておきたいメリットとデメリット、手続き、流れを解説

 

債権回収する際の注意点

債権の回収は適切に行わなければ新たなトラブルのもととなります。

代表的な注意すべきポイントについて解説します。

 

執拗な電話での督促はしない

返済を促すため頻繁に電話を掛けたり職場に電話をかけたりすることがあります。これらの行為は状況によってはトラブルを招くため注意が必要です。

 

例えば、早朝や深夜に電話をすることは貸金業者も原則として行いません。本人が同意している場合や連絡が難しいときなどやむを得ないときに限定した方がいいでしょう。職場への電話もプライバシーに関わるためなるべく避けるようにします。

 

音信不通となっている場合には正当な催促にあたる可能性もありますが、文書での督促などほかに適切な手段がないか慎重に判断することが大切です。

 

時効期間に注意する

債権には時効が存在します。一定期間支払いを受けていないときは時効によって債権が消滅する可能性があります。

 

2020年4月1日以降に発生した債権は、原則として権利を行使できることを知った時から5年、権利を行使できる時から10年が時効期間です。

 

起算点

時効期間

権利を行使できることを知った時から

5年

権利を行使することができる時から

10年

 

支払日が定められている通常の債権であれば5年ということになります。

 

ただし、時効期間が過ぎたからといって直ちに債権が消滅するわけではありません。時効期間は一定の行為をすると更新されたり猶予されたりします。

 

※不法行為など一部の債権については期間が異なることがあります。また、2020年3月31日以前に発生した債権についてはより短期に消滅することがあります。

 

時効について詳しくは、「債権回収には時効がある!消滅時効とその対処方法について解説」をご覧ください。

 

強引な回収はしない

訪問による督促も効果的ですがトラブルも生じやすいので気を付ける必要があります。

深夜や早朝の訪問は貸金業法で規制を受けており問題となりやすいものです。

訪問した際に債務者等から退去を求められた場合には退去する必要があります。指示に従わずに居座ってしまうと不退去罪として処罰されることがあります。

 

未回収にならないためにできること

債権の回収率を上げるためには事前の対策が重要です。

 

与信管理の徹底

取引相手が法人であるか個人であるかに関わらず相手の信用力に合わせて取引を行うことが大切です。

相手の収入や資産、財務状況などの情報をできるだけ収集し、相手の信用を評価して、それに見合う範囲で取引を行うことが重要です。

 

与信管理については、「売掛金の回収が不能になった時の対応方法(貸倒損失)とは?未収金を未然に防ぐ方法」もご参照ください。

 

早期の回収

債権の回収は迅速に行うことが基本です。回収が遅れるほど相手の経済状況が悪化しやすくなりますし消滅時効の恐れも高くなります。

早期の回収を徹底するには入金確認を適切な時期に実施し、入金の遅れが確認できた場合には滞納状況に応じて速やかに回収行動に移ることが大切です。

 

<関連記事>売掛金回収は迅速に!売掛金の回収を早める方法とは?

 

弁護士の活用

債権の回収を徹底するには専門の弁護士を頼ることが大切です。

債権回収の専門家であるためケースに応じて適切な対応をすることができます。

 

支払いが遅れているケースにはいろいろなものがあり、弁護士からプレッシャーをかけるだけで支払いに応じてくれることもあれば、訴訟が必要なこともあります。

いずれであっても自力で回収を行うことは効率が悪く時間や費用が掛かりやすくなります。

 

音信不通となり相手の住所がわからないケースであっても、弁護士であれば現住所の調査が可能なケースもあります。一度専門の弁護士に相談されることをお勧めします。

 

<関連記事>債権回収は弁護士に依頼した方がよいのか?メリット、注意点をしっかり、分かりやすく解説

 

まとめ

・電話やメールで連絡ができない場合には文書で督促を行っていきます。音信不通となっているケースでは内容証明郵便を検討します。特に弁護士から内容証明を送付することで強いプレッシャーをかけることができるため支払いに応じてもらいやすくなります。

・支払督促は裁判所書記官から支払いを命じてもらう方法です。相手から異議の申し立てがなければ財産を差し押さえることもできます。ただし、相手の住所がわからないときには利用できません。

・訴訟であれば相手の住所がわからなくても行うことができます。

・強引な督促はトラブルになりやすいため配慮が必要です。

相手の住所がわからないケースでも弁護士であれば調査できることがあります。

 

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専門の弁護士であれば音信不通の相手からでも債権を回収できる可能性があります。

 

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