ECサイトの運営や通信販売事業などを行っていると代金の支払いでトラブルが生じることがあります。特に後払い方式の決済方法を導入していると未払いの問題が生じます。後払いを導入することで売上アップにつながるメリットもありますが未払いへの対処法も考えておく必要があります。

この記事では後払いで起こるトラブルや問題点について対応方法とともに解説していきます。

後払いとは

後払いとは商品やサービスの提供を先に受け代金の支払いを後回しにする決済方法です。商品やサービスの提供後に郵便で請求書(払込票)が届くため期限内に銀行や郵便局などの金融機関やコンビニエンスストアで支払いを行います。商品の場合には請求書が同梱されていることもあります。

後払いの方法には2つの種類があります。自社で与信管理や請求書の発行などをすべて行う方法と、決済代行サービスを利用する方法です。
決済代行サービスには債権保証型(債権譲渡型)とそうでないものがあります。債権保証型の場合には回収リスクがないという利点がありますが料金が高くなる点や決済代金の上限が設けられている点に注意が必要です。

後払いにおける債権管理の流れは次のようなものです。

<後払いの流れ>

1.顧客による申込み(注文)
2.与信確認(決済代行サービスを利用しているときは審査結果を待つ)
3.商品やサービスの提供
4.入金確認
5.督促・回収(顧客による支払いが確認できない場合)

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後払いを導入するメリット

インターネットを使って商品を購入する際の決済手段で1番多いのはクレジットカード払いです(「通信利用動向調査(世帯編)令和2年報告書」(総務省))。次にコンビニエンスストアでの支払いが多くなっています。平成27年までは代金引換が2番目に多くなっていたためコンビニ決済が増加傾向にあることが伺えます。コンビニ決済には前払いも含まれますが決済の手軽さから利用が広がっており後払いの増加にもつながっていると考えられます。

後払いを採用することで得られるメリットはさまざまですが顧客側と事業者側に分けて考えることが大切です。

顧客にとってのメリット

顧客にとってのメリットは安心してインターネットなどの通信販売を利用できる点です。商品やサービスをきちんと受け取れるか不安に感じることがあり先に商品やサービスを受け取ることができることは大きなメリットとなります。特に、高額な商品やあまり有名でない事業者の場合には後払いだからこそ利用できる面があります。
クレジットカード情報の入力に抵抗を感じる消費者も多く、詐欺被害に遭うケースも増えているためあえてクレジットカードをネットでは利用しない人もいます。
不良品の交換に応じてもらえなかった経験から自衛手段として後払いを利用することもあります。
クレジットカードを持っていない人が手持ちの現金が足りなくてもショッピングやサービスを利用できる点もメリットの一つです。

事業者にとってのメリット

事業者にとってのメリットは顧客を逃しにくい点にあります。希望する決済方法がないだけで購入を断念する人も多く潜在的な顧客を取りこぼしていることがあります。大手のECサイトが決済方法を多様化させている理由はさまざまなニーズに応えることで商品やサービス以外の部分で顧客が離れていくことを防ぐためです。ビジネスにとって2次的な部分にすぎない決済手段で商機を失うのはもったいないからです。

前払い方式の場合にはキャンセルが増加するという問題があります。注文をしたものの気が変わって支払いを放置するケースです。後払いにすればキャンセルの数を減らすことが可能です。配送をできるだけ早くしてほしいというニーズに応えることもできます。

インターネット上ではあえてクレジットカードを利用しないという人も多く、代金引換も手数料がかかることや配達時に在宅していなければならないなど不便があり後払いの代わりにはなりません。

後払いの導入によりさまざまな顧客層にアピールできるようになるため売上増加につながることになります。

後払いの問題点

事業者にとって後払いは売上アップにつながる反面でリスクを伴います。代金未払いというデメリットです。これは代金未回収という問題と、督促業務を行わなければならないという問題の2つに分けて考えることが大切です。

代金未払いのリスク

後払いを導入すると代金未払いという問題も生じることになります。最終的に未回収ということになればそのまま損失として処理することになります。売上がアップしても未回収が増えることは好ましくありません。

督促業務の増加

最終的に支払ってもらえるケースであっても督促業務に時間や人手をとられることになり本業に支障が出ることがあります。後払いの導入にあたっては債権回収を自社で行うのか法律事務所にアウトソーシングするのか決めておくことが大切です。
金額がとても小さかったり発生頻度が多くなかったりすれば自社で対応可能かもしれませんが、定期的に未払いが生じたり高額な商品やサービスを取り扱ったりしているのであれば専門の法律事務所に任せてしまうことをおすすめします。回収の手間がかからずかえってコストを抑えることが期待できるからです。

未回収トラブルへの対応方法

入金確認ができなかった場合には督促業務を行うことになります。電話やメール等の通常の請求に応じてもらえなかった場合にはより強力な手段を取ります。

内容証明郵便

誰に対しどのような内容の文書を送付したか郵便局に証明してもらうものです。法的手段を予告しプレッシャーをかけることで支払いに応じてもらえることがあります。特に弁護士が送付すると効果的です。

<関連記事>債権回収の内容証明作成方法を弁護士が解説!債権回収を効率よく解説!

支払督促

簡易裁判所の書記官に支払いを命じてもらうものです。相手から異議が出されると訴訟に移行するデメリットがありますが異議が出されなければ相手の預金などの財産を差し押さえることができます。

少額訴訟

通常の訴訟と異なり原則1日で判決をもらえる簡易裁判所の手続きです。和解で解決することも少なくありません。

<関連記事>少額の売掛金の回収と少額訴訟のやり方、費用、メリット、デメリットを解説

弁護士への依頼

債権回収業務をアウトソーシングすることもできます。弁護士であれば電話や内容証明で請求するだけで回収できることも多いため問題の早期解決が期待できます。
どの対応方法が自社に合っているのか専門の弁護士に一度相談されることをおすすめします。

後払いトラブルを回避する方法

後払いトラブルを完全に防ぐことはできませんがリスクを小さくすることはできます。

請求管理システム

請求書の作成、送付などを自動化するシステムです。入金管理や仕訳も自動化できるため請求漏れや誤請求も防ぐことができトラブルを減らすことに役立ちます。

決済代行サービス

後払いにおけるリスクを減らすためには与信管理が重要です。自社で顧客一人一人に対し与信審査を行っていくことは専門の部署がないと難しいといえます。決済代行会社を利用することで与信管理を任せることが可能です。ただし、債権保証型サービスには与信限度額があることや料金が高くなりやすい点に注意がいります。

<関連記事>DSK後払いで未払いが発生したら?未収金回収に向けた対応方法とポイントを紹介

まとめ

・後払いにおける問題点は代金の未回収が生じることです。督促業務が多くなれば本業に支障が生じることになり回収できなければ経営に影響が出ます。
トラブルへの対応方法としては内容証明や少額訴訟などの手段がありますが弁護士に相談することが大切です。

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