債権の回収がうまくいかないときや、効率よく行いたいときには債権回収代行を検討することをおすすめします。

債権回収代行者の種類は複数あるため、それぞれの特徴を押さえることが必要です。

 

この記事では、債権回収代行とは何か、外部に委託するメリットや注意点について詳しく解説していきます。

 

債権回収代行とは

債権回収代行とは、当事者の代わりに貸付金などの金銭債権の回収業務を行うことをいいます。債権回収代行の方法にも種類があり、当事者を代理して回収を行う方法や、債権を買い取って回収代行者が新しい債権者となって回収を行っていく方法があります。

 

債権回収代行を依頼できる業者

債権回収代行は誰でも行えるわけではありません。債権回収の方法によっては法律によって規制されているからです。債権回収代行については、一般的に「債権回収会社」、「ファクタリング会社」、「弁護士」の三者をあげることができます。

それぞれ債権回収代行の方法が異なるため詳しく解説していきます。

 

債権回収会社

債権回収会社とは、特定金銭債権について金融機関などからの委託による回収、または譲り受けて回収をする法務大臣から特別な許可を受けた回収代行業者のことです。

 

債権回収業務は本来弁護士のみが行うことができました。債権回収業務は法律事務に該当するため、原則として弁護士ししか行うことができなかったからです。

しかし、金融機関等の大量の不良債権処理が問題となったため特別な要件を備えていることを条件に一部の会社に債権回収業務が認められています。

 

弁護士と大きく異なる点は債権を買い取ってくれることです。債権を手放したいときには債権譲渡も選択肢となります。

 

注意点としては、債権回収会社が回収できる債権は特定債権に限られていることです。一般的な売掛金などは対象外となっています。

 

<特定債権の例>

・金融機関の有する貸付債権

・リース契約に基づいて生じる金銭債権

・資産の流動化に関する金銭債権

・ファクタリング業者が有する金銭債権(業務として買い取ったもの)

・法的倒産手続中の者が有する金銭債権

・法的手続中の者が第三者に譲渡した金銭債権

・保証契約に基づく債権など

※債権回収会社は兼業業務として特定債権以外につき集金代行等をすることはあります。

 

取り扱い債権に該当しないときには弁護士に依頼することになります。

 

<関連記事>売掛金を債権回収会社へ取立依頼するときのメリットと注意点を解説

 

ファクタリング会社

ファクタリングとは、事業者の持っている売掛債権などを期日前に債権譲渡することで資金調達できるサービスのことです。

つまりファクタリング会社とは、事業者の持っている売掛金等を支払期日前に買い取ってくれる会社のことです。

 

債権回収を代理するのではなく、売掛金を買い取って自分たちが債権者として回収していきます。債権回収会社と違い普通の売掛金を買い取ってくれます。

 

注意点としては、買い取り対象となる債権は支払期日前のものという点です。つまり、ファクタリングによる回収代行を利用する目的は、支払期日まで間があるときに資金繰りを改善するためです。

また、取引先との契約にも注意が必要です。債権譲渡を禁止する特約を結んでいることも多いので契約書をチェックすることが必要です。

 

<関連記事>債権譲渡禁止特約とは?民法改正で変わったことを分かりやすく解説

 

弁護士

弁護士は債権回収代行の専門家です。売掛金等の債権の買い取りはできませんが債権回収については制限なく行うことができます。債権回収会社の取り扱う特定金銭債権はもちろん、事業者の売掛金や個人の貸金、損害賠償金など幅広く取り扱うことができます。回収代行以外も取り扱っているため柔軟な対応が可能です。

例えば、契約書に問題があれば企業法務全般に相談に乗ってもらうことも可能です。顧問契約をすることで経営が安定しやすくなり、日常的に発生する未収金についても継続的に回収代行をしてもらうこともできます。

また、弁護士が回収代行を行うことで相手方に強いプレッシャーを与えることもできます。一般的に弁護士は訴訟の専門家として認識されているため、弁護士からの請求を無視することは難しいといえます。弁護士が代理人として交渉することで素直に支払いに応じてくれることもあります。

仮に支払いに応じてもらえなくても弁護士であれば訴訟や強制執行などの法的手段により債権回収を行うことが可能であり、回収の幅が広いという特徴があります。

 

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債権回収代行の利用のメリットとデメリット

自力で債権回収を行うよりも、債権回収代行を利用することでどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。

 

債権回収代行の利用のメリット

債権回収代行を利用するメリットには次のようなものがあります。

 

債務者とのトラブルを避けられる

債権回収代行を利用することで直接債務者と交渉する必要がなくなります。回収代行者が対応してくれるため無用なトラブルを回避しやすくなります。

 

違法な回収を避けられる

債権回収は慎重に行わなければ違法な回収であるとして問題になることがあります。債権回収代行者は法律を順守して回収してくれるため違法な回収を避けることができます。

 

<関連記事>賃貸物件所有者必見!滞納家賃の回収成功させる方法弁護士が解説

 

回収にかかる負担が少ない

債権回収を行うときは時間や手間、精神的な負担がかかります。債権回収代行を利用すれば時間や手間がかからなくなり精神的な負担から解放されることになります。

 

回収が迅速に行える

債権回収は専門的な業務であるため法律を調べるだけでも時間がかかります。債権回収代行を利用することで回収の効率性が上がり問題解決が早まります。

 

回収の可能性が高まる

債権の回収は適切に行わなければ失敗しやすくなります。専門家である債権回収代行に任せることで回収の可能性を高めることができます。

 

債権回収代行の利用のデメリット

債権回収代行を利用するデメリットには次のようなものがあります。

 

費用がかかる

回収代行は債権回収業務のアウトソーシングです。外注するため費用がかかります。

もっとも、自社のスタッフに慣れない債権回収業務を行わせるよりも、専門家に任せることで時間や手間が節約でき、回収の可能性も高まることからコスト的にも必ずしもデメリットとはいえません。

 

回収できない可能性がある

専門家である債権回収代行であっても回収に成功するとは限りません。その場合、着手金をとる所を利用すると手数料分が損失として増えてしまうことになります。

もっとも、弁護士であれば着手金をとらない成功報酬制の事務所もあるため必ずしもデメリットとはなりません。

 

<関連記事>売掛金は回収代行業者を利用して効率的に回収!回収代行サービスを使うメリット、デメリットを説明

 

債権回収代行の注意点

債権回収代行を名乗る者の中には悪徳業者もいるため注意が必要です。債権の回収を代行するとネットなどで広告を出していても、手数料をとるだけで何もしてくれない詐欺業者も存在します。

違法な業者に依頼すると余計なトラブルに巻き込まれることもあります。債権回収を安全確実に行うには専門の弁護士に依頼することをおすすめします。

取り扱える債権に制限はなくケースに応じて適切な回収方法を選択することもできます。債権回収に悩まれたら一度弁護士にご相談ください。

 

<関連記事>債権回収は弁護士に依頼した方がよいのか?メリット、注意点をしっかり、分かりやすく解説

 

まとめ

・債権回収代行とは、当事者に代わって債権回収業務を行うことです。売掛金や未収金などを債権者に代わって取り立てたり、債権を買い取って自分が権利者となったりして回収します。

・債権回収代行者には、「債権回収会社(サービサー)」、「ファクタリング会社」、「弁護士」がいます。

・債権回収会社とは、特定金銭債権について債権者からの委託による回収、または買い取って回収をする者で法務大臣から許可を受けている回収代行業者です。回収代行できるのは金融機関の貸付金など一定の債権に限られます。

・ファクタリング会社とは、事業者の売掛金を期日前に債権譲渡することで資金調達できるサービスです。期日の経過した不良債権は対象外です。

弁護士は債権回収の専門家です。取り扱える債権に制限はなく法的手段を含む事案に応じた適切な方法で回収可能です。

 

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