学習塾など各種の習い事教室を開いていると思わぬトラブルに遭遇することがあります。月謝の未払いがその一つです。1件あたりの月謝代が少額であることから未収金の回収をあきらめる人もいるかも知れません。

ですが未払いが何か月分もたまりそれが何人もいた場合にはトータルで数百万円以上になることもあります。

 

この記事では学習塾などの習い事の月謝について回収する方法を解説していきます。

 

習い事の月謝で未払いが発生した際の一般的な対応方法

学習塾などの教室を開いていると授業料(受講料)の支払いが遅れることがあります。経営する側にとって月謝は生命線であり滞納が続き未収金が増えていくと塾の存続にも関わります。

 

月謝には授業料のほかに教材費や施設利用費(教室の賃貸料)なども含まれるため何か月も滞納されたり滞納する人数が多かったりすると経営に支障が出てしまいます。

 

原因を突き止める

滞納する原因がわからなければ対処法もわかりません。まずは原因を探ることが大切です。

相手に問題があると決めつけずに状況をよく確認します。本当は受け取っていたのに勘違いしていたり帳簿に記入し忘れていたりすることもあります。

口座引き落としの場合に入金が確認できなかったり月謝袋に受領印がなかったりすれば相手に責任がある可能性が高くなります。

 

相手に責任がある場合

生徒さんの保護者に問題があることがわかったとしても支払いが遅れている原因によって対応策が変わります。

口座残高の不足により引き落としができなかった場合などうっかりミスで支払われないことがあります。このようなときには連絡を取れば解決することが多いため深刻な問題にはなりにくいといえます。

 

生徒さんのご家庭の経済事情により支払いが遅れることもあります。家計が原因のときには他の債務(住宅ローンや信販会社の支払いなど)の支払いも苦しくなっていることが多く未収金の回収が遅れると支払ってもらえる可能性が低くなります。

 

支払おうと思えば支払えるのに月謝を納めてくれない親御さんもいらっしゃいます。習い事を辞めるつもりで2~3か月滞納してそのまま退会してしまう悪質な方もいます。

このような悪意で支払いをしない方への対応は法的手段を含めて毅然とした態度で望むことが必要です。

 

学習塾で授業料の未回収が発生した際の回収方法

学習塾などで授業料の未収金が発生した場合には次のような回収方法をとっていきます。未払いの原因に応じて使い分けます。

 

電話やメール

受講生が小さなお子さんでなければ生徒さんに月謝の支払いをお願いする方法も考えられますが基本的には保護者に直接催促したほうがいいでしょう。

 

臨機応変に対応するためには電話での催促が効果的です。相手の反応がわかるため支払いが遅れた原因を知るためにも有効な方法です。

メールアドレスを知っている場合にはメールでの催促も可能です。先方とのやり取りが残せるので証拠にもなります。

 

郵便

電話が通じなかったりはぐらかされたりする場合には書面で催促することになります。支払いの遅れの原因がわからないときには高圧的な印象を与えないように注意します。

 

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訪問

家が教室の近所にあることも多いため訪問による催促をすることも有効です。電話よりもプレッシャーをかけやすいためその場で支払いに応じてくれることもあります。

ただし、訪問が早朝や深夜であったりあまりに頻繁であったりすると不法行為となるおそれがあるので注意しましょう。

 

内容証明郵便

普通の方法では支払ってくれないときにはより強力な方法をとる必要があります。

内容証明はどのような内容の文書を送ったのか郵便局が証明してくれるサービスです。証拠として残りますし法的手段を予告することで相手に強いプレッシャーを掛けることができます。弁護士が送付するとより効果的です。

 

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民事調停

裁判所を利用した話し合いをするための手続きです。相手が交渉に応じてくれなければ意味がありませんが費用も安く円満な解決が期待できます。

 

支払督促

話し合いに応じてくれない場合には強制力のある方法を利用します。支払督促は簡易裁判所の書記官に支払いを命じてもらう制度です。相手が異議を出さなければ財産に強制執行していくことができます。

ただし、異議が出されてしまうと通常の訴訟に移行するので注意して下さい。

 

訴訟

最終的には訴訟で解決することになります。60万円以下の少額の未収金であれば少額訴訟という1日で判決を出してもらう制度を利用することもできます。

 

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強制執行

勝訴したとしても相手が支払いに応じてくれるとは限りません。そのような場合には相手の財産を差し押さえる必要があります。相手の財産を差し押さえて未収金を回収する手続きを強制執行といいます。保護者の預金口座や給料債権を差し押さえることで回収することができます。

 

学習塾等の習い事での未払い金回収の際に注意する点

月謝の未収金の回収には注意点がいくつかあります。

 

消滅時効

債権には時効があるためいつまでも放置しておくと消滅してしまいます。以前は学習塾などの習い事によって生じた債権は2年で消滅することになっていましたが、改正により5年で消滅することになっています。期間が満了する前に催告したり支払いを約束してもらったりすると期間の猶予などがされますが早めに回収したほうがいいでしょう。

 

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契約書

学習塾によっては契約書を作成しないところもあるようです。ですが法的手続きをとる際に契約書は重要な証拠となります。その際できれば勤め先や利用している金融機関名を記入してもらえればいざというとき強制執行がしやすくなります。

 

他の生徒さんへの影響

塾や教室によっては他の生徒さんへの影響を心配して債権回収を断念される方もいらっしゃるようです。ですが回収を断念してしまうと他の生徒さんに対し公平でないと感じさせてしまうことになります。滞納が連鎖するおそれもあります。

特に何か月分も滞納する悪質なケースでは毅然とした対応をとることが教育上の観点からも重要なことといえます。

 

弁護士が請求することで法的手続きをとらずに解決することが少なくありません。

 

まとめ

・月謝の支払いが遅れる原因はいろいろあり対応方法も異なります。

・授業料の督促は保護者に直接行うのが基本であり電話やメールでの連絡から始めます。

・支払いに応じてもらえないときには内容証明を送るなど徐々にプレッシャーを強くしていきます。

法的手段は通常訴訟のほかに少額訴訟、民事調停、支払督促などがあります。

・授業料にも時効があり原則として5年で消滅します。

 

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