未払い金が発生した場合に自社で対応しきれないと判断したときには外部の専門家に依頼することになります。通常は弁護士に依頼するわけですが債権回収会社という滞納金専門の回収業者も存在します。

この記事では債権回収会社とはどのような業者なのか、また未払金回収を委託する場合のメリットや注意点などについて解説します。

債権回収会社(サービサー)とは?

債権回収会社とは特定金銭債権の管理回収を行う株式会社のことです。本来滞納債権の回収業務は弁護士と一部の司法書士にしか認められていませんが弁護士法の特例として特別に一部の債権に限定して許可されています。

もともとバブル経済崩壊による不良債権処理を行うことが目的であったため基本的に銀行等の金融債権を取り扱っています。

金銭の取り立てをする業者であるため違法な会社なのではないかというイメージをもたれるかもしれませんが法務大臣の許可を受けた適法な回収業者です。

業務の仕組み

債権回収会社は債権回収の代行と債権の買い取り業務を行っています。

債権回収会社がどのような仕組みで利益を上げているのかというと手数料収入と債権を買い取った場合の買取金額と回収金額の差額を利用しています。

回収委託

債権者が自分の代わりに回収をするように委託する方法です。受任した債権回収会社が代理人として債務者から取り立てを行うことになります。

債権買取り(債権譲渡)

債権者から貸金債権などを買い取り自らが債権者となって回収を行っていきます。元の債権者はすでに債権を手放しているため関係がなくなります。

債権回収会社に委託した方がいい場合

債権回収は自社で行うのが基本ですが債権回収会社に委託した方がいいこともあります。

債権回収に関する知識や経験不足

債権回収は専門性のある業務です。自社の債権は自ら回収するのが基本ですが滞納が長期化する恐れがあったりすでに2か月以上滞納していたりするようなケースでは委託を検討した方がいいでしょう。

債権回収は法律が絡むため誰にでもできるものではありません。一歩間違えれば違法な回収となり逆に訴えられてしまうこともあります。無理に回収しようとしても時間や労力がかかり回収コストの方が高くつくこともあります。

債権回収に失敗した場合

すでに債権回収に着手しさまざまな手段を講じたのに回収が失敗に終わることもあります。これ以上の督促を行っても回収が期待できないときには債権回収業者への依頼も選択肢となります。

債権の譲渡も検討しているとき

債権の回収を依頼するときには債権回収会社ではなく弁護士も選択肢となります。しかし債権の売却を検討しているときには買取業務も行っている債権回収会社を検討することになります。

債権回収会社に債権回収を委託するメリット

債権回収会社に債権回収を依頼すると具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。

滞納金専門の業者であるため回収可能性が高くなる

債権回収会社は滞納金の回収を専門に行う業者であることから自社で回収を行うよりも確実に回収が可能です。自社で回収業務を行うときには法的手続きまで行うことは難しい面がありますが債権回収会社は法的手続きを含む回収業務を行えるため滞納金の回収可能性が高くなります。

回収の負担がなくなる

回収業務を外部に委託してしまうことで自社の人的資源を本業に集中させることが可能となります。督促業務は本業とは異なる付随業務であることから専門知識のない従業員に担当させることで過度な負担をかけることになります。回収の際に債務者とトラブルが生じることもあります。余計な手間や時間がかかりやすく効率性にも問題があります。

専門の滞納金回収業者にアウトソーシングしてしまうことで経営の効率化を高めることになります。

債権の売却も可能

債権回収会社であれば債権を売却してしまうことも可能です。これにより債権管理や回収にかかる手間やコストを削減することができます。回収の見込みがない債権でありながらある程度の回収ができることになります。

債権を譲渡してしまえばその債権とは縁が切れることになります。そのため債権回収業者が滞納金の回収に失敗したとしても問題はありません。

<関連記事>売掛金は回収代行業者を利用して効率的に回収!回収代行サービスを使うメリット、デメリットを説明

法務大臣に営業許可が認められている債権回収会社の一覧

債権回収会社は法務大臣の許可がなければ営業することが認められていません。

債権回収会社を名乗る業者から連絡を受けたようなときには下記の表に記載されている業者であるか確認してください。

<法務大臣の許可を受けている会社>※許可順

日本債権回収株式会社

山陰債権回収株式会社

アビリオ債権回収株式会社

株式会社セディナ債権回収

ニッテレ債権回収株式会社

ミネルヴァ債権回収株式会社

株式会社整理回収機構

岡山債権回収株式会社

SMBC債権回収株式会社

エーアールエー債権回収株式会社

オリックス債権回収株式会社

株式会社ジャスティス債権回収

株式会社アトリウム債権回収サービス

アウロラ債権回収株式会社

シー・シー・シー債権回収株式会社

みやこ債権回収株式会社

のぞみ債権回収株式会社

ふくおか債権回収株式会社

株式会社山田債権回収管理総合事務所

みらい債権回収株式会社

ジャックス債権回収サービス株式会社

NTS-MG債権回収株式会社

あおぞら債権回収株式会社

ほくほく債権回収株式会社

キャピタル・サーヴィシング債権回収株式会社

きらら債権回収株式会社

株式会社沖縄債権回収サービス

株式会社住宅債権管理回収機構

エー・シー・エス債権管理回収株式会社

あけぼの債権回収株式会社

エム・ユー・フロンティア債権回収株式会社

株式会社エムアールアイ債権回収

パシフィック債権回収株式会社

オリファサービス債権回収株式会社

栄光債権回収株式会社

平成債権回収株式会社

Pepper Advantage Japan債権回収株式会社

SH債権回収株式会社

Beacon債権回収株式会社

ロンツ債権回収株式会社

ジェーピーエヌ債権回収株式会社

ジャパントラスト債権回収株式会社

株式会社日貿信債権回収サービス

アルファ債権回収株式会社

PAG債権回収株式会社

アップル債権回収株式会社

中央債権回収株式会社

リンク債権回収株式会社

やまびこ債権回収株式会社

エイチ・エス債権回収株式会社

みずほ債権回収株式会社

サン債権回収株式会社

オリンポス債権回収株式会社

パルティール債権回収株式会社

アルゴジャパン債権回収株式会社

リボーン債権回収株式会社

保証協会債権回収株式会社

株式会社グラックス債権回収

三菱HCキャピタル債権回収株式会社

札幌債権回収株式会社

九州債権回収株式会社

ベル債権回収株式会社

アイ・アール債権回収株式会社

北國債権回収株式会社

系統債権管理回収機構株式会社

アペックス債権回収株式会社

しまなみ債権回収株式会社

美ら島債権回収株式会社

ブルーホライゾン債権回収株式会社

みちのく債権回収株式会社

エム・テー・ケー債権管理回収株式会社

LENDY債権回収株式会社

ちば債権回収株式会社

にしせと地域共創債権回収株式会社

AG債権回収株式会社

池田泉州債権回収株式会社

リサ企業再生債権回収株式会社

 

※令和4年9月20日現在77社。営業許可の有無は変動するため最新の情報に注意してください。

債権回収会社に委託する際の注意点

債権回収会社を利用する場合にはいくつかの注意点があります。

特定債権しか扱っていない

一番の問題は一部の債権しか取り扱っていないことが挙げられます。債権回収会社はもともとバブル経済崩壊後の不良債権処理が主な任務であったため基本的に金融機関の貸付債権など特定債権と呼ばれるものしか取り扱ってくれません。つまり一般企業の売掛金などは対象外となる可能性が高いのです。

弁護士であれば債権の種類に関係なく滞納金の回収を行うことができます。

<関連記事>債権回収は弁護士に依頼した方がよいのか?メリット、注意点をしっかり、分かりやすく解説

手数料と売却代金

滞納金の回収を依頼すると手数料が取られることになります。ただし自社で回収する場合にもコストがかかることを考えればそれほど大きなデメリットとはいえません。

債権の買取りについては注意が必要です。債権回収会社は買い取った債権を回収しなければなりません。回収した金額との差額が利益となるため買取金額は債権額よりも低くなるのです。確実に回収できるわけでもないためリスクが高いほど買取金額は低くなります。

債権を処分しなければならない特別な理由がない限り売却ではなく回収をすることが大切です。

詐欺業者に騙されてしまう可能性

債権回収業者の中には許可を得ていないのに正規の業者であるかのように偽って広告を出していることがあります。委託料をだまし取られることがあるため注意が必要です。法務大臣の許可を得ていない限り債権回収会社となることはできません。依頼されるときには事前に正規業者であるか確認してください。

<関連記事>売掛金を債権回収会社へ取立依頼するときのメリットと注意点を解説

まとめ

・債権回収会社(サービサー)とは滞納債権の管理回収を行う業者です。回収の代行や債権の買取りを行っています。

・滞納債権の回収を業者に依頼するメリットは回収の手間を省き本業に注力できることなどがあります。

デメリットとしては一般企業の売掛金は取り扱い対象外となっている点などがあります。弁護士であれば取扱債権に制限はありません。

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