借金に応じるときはトラブルを防止するために借用書を作成することが大切です。借用書を公正証書で作る必然性はありません。しかし、借金を返してもらいやすくなるため金額が大きいようなときには公正証書の作成も検討します。

 

この記事では、借用書を公正証書で作成するメリットなどを解説します。

 

お金を貸す時に借用書を作成すべき理由

お金を貸し借りすることを「金銭消費貸借契約」といいます。お金を実際に貸し渡したのであれば借用書がなくても金銭消費貸借契約は有効です。ですが以下の理由により借金の申し込みを受けたときは借用書を作成するべきです。

 

お金を貸した証拠になる

お金を貸した相手がお金を受け取っていないと開き直ることがあります。お金を貸す際に銀行口座から出金したのであればお金のやり取りは証明できるかもしれませんが、「お金はもらったものだ」と主張されることもあります。

借用書があれば「お金を受け取った事実」と、それが「借金であること」の証拠となります。

 

返済期日を明確にする

相手が借金をした事実は認めていたとしても、借用書がないと細かい約束があいまいになりがちです。返済期日を明確にせずに貸してしまうと貸した側も請求しづらくなります。利息などの複数の条件があるのであれば口頭での約束だけでは無理があります。借用書を作ることで約束した内容が明確になります。簡単なものであっても書面に残すことが大切です。

 

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公正証書にした借用書のメリット

借用書を公正証書にすることで借金の回収がしやすくなります。

 

強制執行ができる

借金を強制執行により回収するには債務名義というものが必要です。強制執行するためのキップのようなもので確定判決書が典型的です。そのため通常は裁判所の手続きが必要となります。ですが公正証書で借用書を作り「返済できないときは直ちに強制執行に服する」旨を記載したときも債務名義となります。このような公正証書を「執行証書」といいます。

つまり、公正証書で借用書を作ることにより訴訟をしなくても強制執行することができます。

 

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訴訟の際に有力な証拠となる

公正証書は公文書であり文書が真正に成立したという推定力が生じます。公正証書を作成する際に公証人は確実な証拠により本人確認を行い、契約内容に問題がないことを確認します。そのため公正証書で作られた借用書が訴訟で提出されると借金の存在を否定することが極めて難しくなります。

 

偽造の可能性がない

公正証書は原本が公証役場で厳重に保管されるため作成日や内容等を改ざんすることはできません。

 

滞納されにくい

公正証書で借用書を作成しておくと強制執行が容易になります。財産が差し押さえられることを避けるため債務者は滞納しないように注意を払い支払いをしてもらいやすくなります。

 

借用書を公正証書にする流れ

公正証書により借用書を作成する実際の流れについて見ていきます。

 

作成する内容を決める

公正証書にする内容を決めておきます。

具体的には以下のような項目について当事者間で明確にしておきます。

 

・貸し借りの当事者

・お金の貸し借りの日

・返済方法(一括か分割返済、返済金額、返済期日、振込か手渡し等)

・利息の有無(年利〇%)

・遅延損害金(滞納した場合の利息)

・期限の利益喪失事由(全額返済しなければならない事由。ex.延滞した場合)

・連帯保証人などの担保

・強制執行を受けることに同意するか

 

条項の定め方については、「債権回収に関するひな形(フォーマット)を紹介」もご参照ください。

 

必要な書類を用意する

公正証書の作成には以下のような書類が必要です。借用書も持参します。

 

個人の場合

法人の場合

・マイナンバーカードや運転免許証など公的機関発行の写真付き身分証明書と認印

または

・印鑑登録証明書(3か月以内)と実印

・法人の印鑑証明書(3か月以内)

・法人の登記事項証明書(3か月以内)

・代表者印

※事前に公証役場で実際に必要な書類を確認してください。代理人が出頭するときは実印を押した委任状や代理人の身分証明書なども必要となります。

 

公証役場に依頼

公証役場によっては予約が必要です。事前に電話やメールで問い合わせた方がいいでしょう。公証役場によってスケジュールは異なりますが、どのような内容の公正証書を作成したいか公証人に相談し文案を作成してもらいます。作成までに数日はかかります。

 

公正証書の作成

後日、当事者が公証役場に集まり公正証書の内容を確認し署名押印することで完成します。

 

弁護士に相談するメリット

借金の問題は専門家に相談することが大切です。

 

公正証書を作る際のアドバイスをもらえる

借用書に盛り込むべき効果的な条項(遅延損害金、期限の利益喪失条項等)や、適切な担保について事前にアドバイスを受けることは大切です。借金の額や用途、当事者の属性などによって内容は変わります。公正証書の作成以外の方法が適切なこともあります。例えば即決和解が適切なケースでは費用が抑えられる可能性もあります。

 

交渉が有利になる

借金を滞納されていたとしても弁護士が請求することで支払いに応じてもらえることがあります。借用書や公正証書の作成の際にも弁護士が関与することで不利な合意をしてしまう心配がいりません。

 

法的手段を含めた適切な対応ができる

公正証書を作成したとしても借金の返済をしてもらえないときには強制執行が必要となることもあります。借金の回収はただ行えばいいというものではなくコストや時間を意識して最適な手段をとる必要があります。財産を隠されないように保全手続きを行うことや公正証書がないケースでは訴訟も検討する必要があります。

専門の弁護士であれば最適な方法で借金の回収をすることが可能です。

 

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まとめ

・借用書を作成すべき理由は「借金の証拠になる」ことや「返済期日などを明確にする」ことにあります。借用書がないと返済を求めにくくなり借金自体を否定されることもあります。

・借用書を公正証書で作成すると「強制執行しやすくなる」、「強力な証拠になる」、「滞納されにくい」というメリットがあります。訴訟をしなくても強制執行可能となるので、差し押さえを避けるため優先的に支払ってくれることが期待できます。

 

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公正証書でなくても必ず借用書を作成することが大切です。書面に残すことで証拠になるからです。相手の署名や押印があれば訴訟になった際に重要な証拠となります。法的なトラブルも生じにくくなります。

返済に不安があるときには公正証書の作成も選択肢となります。すでに滞納が生じているようなケースでは「即決和解」を検討することもできます。

 

書類の作成や手続きに少しでも不安のある方は弁護士に相談されることをおすすめします。

 

借金が返せなくてお困りの方は、「債務整理とは?債務整理の種類やメリット・デメリットを詳しく解説」をご覧ください。