売掛金などの支払いが遅れている場合に取引先にどのように催促をしていいのか迷うことがあります。メール、電話、手紙など連絡手段が複数ありますし具体的にどのように切り出せばいいのか困ることがあります。

 

この記事では、支払いが遅れた初期の段階でメールを使い売掛金等を回収する方法について解説します。

 

督促・催促メールとは

督促・催促メールとは、支払期日までに売掛金などの入金が確認できなかった際に、相手方に支払いを求めるメールのことです。昔は郵便を利用して催促状を送付することが一般的でしたが、普段からメールでやり取りをしている場合には一般的な回収方法となっています。

ただし、支払いが遅れている理由はさまざまであるためメールの内容が不快なものにならないようにする必要があります。

 

督促・催促メールの押さえておくべきポイント

督促・催促メールの目的は迅速に売掛金等を回収することにあります。相手との関係を良好に保つことで支払いに応じてもらいやすくなり今後の取引にも良い影響を与えることもできます。そのためには支払いを忘れている可能性を考慮した文面にすることが大切です。

 

請求書の内容を書いておく

売掛金の回収を迅速に行う工夫として支払いに必要な内容をメールにすべて書いておきます。請求金額や振込先を書いておかないと請求書を改めて送るなど二度手間となってしまい売掛金の回収が遅れる原因となります。

 

入金確認した日時を記載する

銀行振込はリアルタイムに口座に反映されるとは限りませんし入金確認後に支払いがなされることもあります。その場合、催促メールに従って二重に振り込むことがあり返金手続きや手数料がかかるなど新たなトラブルの元となります。そのため入金確認した日時を記載しておきます。

 

督促・催促メールの効力

支払期限がない債務については催促メールを送ることで相手に遅滞の責任が生じるという法的な効力があります。

支払期限がある場合にはすでに遅滞していることから催促メールをしてもあまり意味がないようにも見えます。

しかし、支払いが遅れている原因が事務処理上の問題や一時的な資金繰りの問題に過ぎないケースでは売掛金等の回収に十分な効果があります。

 

※時効期間が迫っているときには催告メールにより6か月間だけ時効期間を猶予してもらえることがあります。ただし再度の延長はない点に注意してください。

時効について詳しくは「債権回収、借金には、時効がある!消滅時効とその対処方法について解説!」をご参照ください。

 

催促メールを入れる時期

催促メールをいつの時点で送信すべきか悩むことがあります。相手方との関係にもよりますが一般的には支払期限後3日~1週間程度が一つの目安となっています。しかし絶対的な決まりがあるわけではありませんし支払いミスに気づかずに日時が経過するとかえって先方に迷惑がかかることもあるためすぐにメールで確認した方がいいケースもあります。

 

督促・催促メールの内容・書き方

督促・催促メールとして次のような内容にすることが一般的です。催促メールは支払い忘れに気づいてもらうことが主な目的のため、相手に不快感を与えないやわらかい印象にすることが大切です。

 

・件名

・宛先

・挨拶

・本文

・結び

 

件名

売掛金等の催促であることを明確にしつつ丁寧な表現を心がけます。

例えば、「お支払いのお願い」などの相手に協力を依頼するような表現にします。請求内容を特定するため請求書番号などを記載することも有効です。

 

宛先

相手の氏名を記載します。法人であれば法人名や担当部署なども記載します。

 

挨拶

送信者の法人名や担当者名を明確にしつつ本文に自然に入るための簡単なあいさつ文を入れることが一般的です。

例えば、「お世話になっております。〇〇株式会社の〇〇です。」などと記載します。

 

本文

本題となる部分ですので要件を明確かつ簡潔に示します。

 

・入金が確認できていないこと

・入金確認日時

・請求書の送付日時

・請求書の内容(請求書番号等)

・支払期日

 

入金が確認できていないことや請求書の送付日時を特定すれば相手側で状況を確認しやすくなります。

 

結び

行き違いで振り込まれた場合に備えてお詫びも添えておきます。

送信者の名前やメールアドレス、電話番号などの連絡先も記載します。

 

督促・催促メールの例文・テンプレート

催促メールのテンプレートです。必要に応じて修正してご利用ください。

 

件名:お支払いのお願い(請求書番号:〇〇〇)

株式会社X商事

営業部 田中一郎様

 

お世話になっております。A株式会社の木村花子です。

〇月〇日に送付させていただきました請求書(請求書番号:〇〇〇)につきまして、〇月〇日現在ご入金が確認できておりません。

何かの手違いとは存じますが念のためご確認をお願いできますでしょうか。

念のため請求書を添付いたしましたのでご確認いただければ幸いです。

 

本メールと行き違いでお振込みいただいている場合には、ご容赦ください。

よろしくお願いいたします。

———————————————————-

A株式会社

(営業部)木村花子

住所:〇〇〇〇

電話番号:〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇

URL:https://www.〇〇〇.co.jp

メールアドレス:〇〇@〇〇.co.jp

———————————————————-

 

督促・催促メールを出しても支払われない場合

催促メールを送っても売掛金等の回収ができなかった場合には改めて督促状を郵送することになります。

 

督促状を手紙で送付

メールでの催促は簡易的なものです。そのため内容も多少やわらかい表現を使うことが一般的です。これに対し郵便を利用して督促状を送付する際には手間や費用がかかるため強い印象を与えることになります。内容面もメールより硬めの表現が一般的です。ただし、相手との関係性や支払いや連絡ができない事情を考慮し最初から高圧的な表現にならないように注意する必要があります。

 

郵便での催促状については、「【弁護士監修】支払催促状の書き方と送付方法{テンプレート付}」をご参照ください。

 

内容証明郵便で文書を送付

正当な理由なく支払いが行われないなど悪質なケースでは内容証明郵便を利用して督促状を送付することもあります。法的手段を予告することで売掛金等の回収に成功することもあります。また、仮差押えなどの法的手続きの際に重要な資料となることもあります。

 

<関連記事>債権回収の内容証明作成方法を弁護士が解説!債権回収を効率よく解説!

 

法的手続き

他の方法で売掛金の回収ができない場合には法的手続きを検討することになります。法的手段にもさまざまなものがあります。話し合いでの解決を望むのであれば「民事調停」という手段がありますし、書類審査のみで支払いを命じてもらう「支払督促」、売掛金などが60万円以下の場合には1日で判決を出してもらえる「少額訴訟」などがあります。

 

法的手段をとらなくても弁護士から請求するだけで支払いに応じてもらえるケースもありますし、適切な回収方法の提案をしてもらうためにも早めに弁護士に相談されことをおすすめします。

 

<関連記事>顧問弁護士の費用・顧問料相場と顧問弁護士を雇うメリットを解説

 

まとめ

・売掛金の入金が確認できないときには催促メールを送ることが一般的になっています。相手方との関係にもよりますが郵便で催促状を送付すると時間がかかることや威圧感を与えやすいからです。

・催促メールは回収方法としては弱いものですが売掛金の回収の初期の段階では効果的な方法です。事務処理上のミスが原因で送金が遅れているケースでは迅速な回収が期待できます。

・売掛金の回収を迅速にするためにメールの内容を工夫することが大切です。二度手間を減らすために請求書の内容を記載しておくことが有効です。

二重振込を防ぐため入金確認日時を明記し高圧的な内容とならないように注意します。

 

未収金、売掛金の回収でお悩みなら弁護士法人東京新橋法律事務所

売掛金などの支払いが遅れて困っている方へ。

 

売掛金の回収は本業そのものではないため効率よく回収することが大切です。時間や労力、人手をとられてしまうと本業にも影響しストレスにもなります。回収が難しいケースでは自力で解決しようとせず専門の弁護士に相談されることをおすすめします。

 

当事務所は事業で生じた債権の回収に強い事務所です。

 

当事務所では、未収金が入金されてはじめて報酬が発生する成功報酬制です。

「着手金0円」、「請求実費0円」、「相談料0円」となっておりご相談いただきやすい体制を整えております。

※法的手続きやご依頼の状況により例外がございます。くわしくは弁護士費用のページをご覧ください。

 

「多額の未収債権の滞納があって処理に困っている」

「毎月一定額以上の未収金が継続的に発生している」

このような問題を抱えているのであればお気軽にご相談ください。