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経済活動や生活が複雑化して法的なトラブルが発生しやすくなっています。そのため顧問弁護士の利用が法人はもちろん個人事業主や一般の個人の方にも広がっています。特に中小企業や個人事業主の方は法務部を設置したような意義があり、またトラブルから身を守る保険のような役割があります。
この記事では顧問弁護士とは何か、その役割や普通の弁護士との違いを分かりやすく解説します。
顧問弁護士とは
顧問弁護士とは、業務や生活上の法的な悩みごとについて優先的に相談に応じ、契約者を継続的にサポートする弁護士のことです。
健康管理のために「かかりつけ医」がいると健康の問題で不安になったときにいつでも相談することができ、自分の身体のことをよく分かっていてくれるため適切なアドバイスを受けることができます。同じように法的な問題で不安が生じたときにいつでも相談でき、自社の状況を把握してくれているため適切なアドバイスをしてくれるのが顧問弁護士です。一般的に法人や個人事業主が利用することが多いですが、最近では個人で契約する「ホームロイヤー契約」も増えています。
顧問弁護士の役割
顧問契約の本質は自社の状況を把握してもらい優先的に相談に応じてもらうことですが顧問弁護士の役割はそれにとどまるものではありません。
日常的な法律相談
顧問弁護士の本質的な役割は顧問先からの相談に応じることです。自社の状況をあらかじめ把握してもらっているため事前情報の提供も最低限で済むことから相談もスムーズに行えます。弁護士への相談は一般的にハードルが高いといえますが顧問契約を結んでおくことで気軽に相談しやすくなります。
法律書類の作成・レビュー
取引を行う場合には契約書を交わすことが大切です。口約束では証拠が明確ではなくトラブルの原因となります。その際、契約書を交わしたとしても法的に問題のある条項が含まれていたり自社に不利な条項が含まれていたりすることがあります。市販のひな型集は取引の内容に応じて適宜修正することが大切であり、そのまま利用すると損失を被ることがあります。
顧問弁護士がいれば契約書の文案をメールなどで事前にチェックしてもらいリスクを低減させることができます。特に相手方作成の契約書は自社に不利なものが含まれることが多いため顧問弁護士にチェックしてもらい法的な根拠に基づき相手方に修正を交渉する必要があります。
<関連記事>債権回収を見越した契約書の内容と作成方法
コンプライアンス研修
役員や従業員による法令違反があると企業イメージが悪化して取引先を失うなどの影響が出ます。法令違反の内容によっては訴訟を起こされたり行政処分や刑事罰の対象となったりすることもあります。トラブルが起きてからの対策とトラブルを未然に防ぐ対策とでは費用面でも大きく異なります。
顧問弁護士に相談して自社に必要な研修の実施や資料を作成してもらうことでトラブルの発生リスクを抑えられます。
トラブル発生時の対応
顧問弁護士は普通に弁護士に依頼する場合と違いトラブル時の対応が早いです。法的なトラブルが生じたときには初動が大切であり不用意な対応をとると事態が悪化することがあります。言動一つで企業の信用や法的責任に関わることがあるため細心の注意を払うことが必要です。
顧問弁護士は自社の状況を知っているため適切なアドバイスを速やかに受けやすくなります。
顧問弁護士と弁護士の違い
顧問弁護士と弁護士の主な違いは以下の通りです。
契約期間
顧問弁護士は継続的に相談に乗ってもらうことにメリットがあるため1か月や1年など期間を定めて契約を行います。顧問弁護士と違い普通に弁護士に依頼するときは何か問題が生じたときに相談するため事案ごとに契約をすることになります。
普通の弁護士の場合には事件が解決したときに契約も終了しますが顧問弁護士の場合には約束した期間が過ぎるまで契約が続きます。
顧問契約の期間は弁護士によって異なりますが1年としている所が多くなっています。長期の契約に不安があるときには1か月単位の弁護士事務所もあるので試しに利用してみるのもいいでしょう。
相談のしやすさ
顧問弁護士と弁護士との違いの一つは相談のしやすさにあります。普通に弁護士に相談する場合には自社の状況を説明するための資料集めからしなければならず時間や労力がかかり気軽に相談することができません。事前に予約を入れ事務所に訪問する必要があることも多いです。
顧問弁護士であれば電話やメールでの相談に応じることが多く相談しやすくなっています。
依頼のしやすさ
顧問弁護士と弁護士との違いの一つに依頼のしやすさがあります。弁護士は事件の依頼があっても必ず受任するわけではありません。困ったことが起きてから弁護士に依頼しようとしてもなかなか引き受け手が見つからないことがあります。多忙であるなど依頼を断る理由はさまざまですが顧問契約先の依頼はなるべく引き受けようとしてくれるはずです。
料金
顧問弁護士と弁護士の違いの一つが費用です。顧問弁護士は月額や年額などのいわゆるサブスク型で契約します。通常の弁護士は事案ごとに相談料や依頼料がかかります。顧問弁護士も契約外の依頼であれば別料金がかかりますが、その際に顧問先専用の特別料金が設定されていることもあります。
顧問弁護士の費用
顧問弁護士の費用は法律事務所によって異なりますが一般的な相場は以下の通りです。
顧問料(中小企業) |
1万円から10万円(月額) ※5万円が一般的 |
※2009年度アンケート結果にもとづく中小企業のための弁護士報酬の目安(日本弁護士連合会)参照
専門性が高い顧問契約ほど報酬が高額になる傾向があります。業務内容が多くても高額になります。月額1万円くらいで具体的な依頼のときに料金を支払う方式の事務所もあります。
<関連記事>顧問弁護士の費用・顧問料相場と顧問弁護士を雇うメリットを解説
顧問弁護士の選び方
顧問弁護士は自社のニーズに合っているかを確認することが大切です。他社に最適な弁護士であっても自社に合うとは限りません。顧問弁護士を選ぶ際は以下のポイントを確認するようにします。
自社の業界・事業への理解がある
顧問弁護士にも専門分野があります。債権回収に強い弁護士、IT関連に強い弁護士、企業買収に強い弁護士などさまざまです。
自社の業界に理解がある弁護士であれば適切なアドバイスを受けやすくなります。
実績の確認
顧問弁護士に依頼する際にWEBサイトなどでどのような案件を取り扱ってきたのか確認することが大切です。経歴を知ることで自社の顧問先として満足なサービスを提供してもらえるのか目安になります。
メール・電話へのレスポンスが速い
顧問弁護士を利用する目的の一つは相談のしやすさです。メールや電話で相談した際にどれくらいの速さで対応してくれるのか確認し自社のニーズに適しているか判断します。ある程度利用してみないと分からないため月単位やお試し期間を用意した弁護士事務所の方がいいかもしれません。
説明が分かりやすいか
顧問弁護士に相談してもその回答を理解できなければ顧問契約の目的を十分に果たすことはできません。顧問契約を結ぶ際に分かりやすく丁寧に説明してもらえるか確認することが大切です。
料金体系やサービス内容が明確
顧問弁護士と契約する際は顧問契約の内容が大切です。弁護士事務所によって顧問契約の内容は大きく異なります。顧問契約の料金体系が複雑な場合、顧問契約の中に含まれていると思っていたことが別料金となりトラブルとなることがあります。料金体系やサービス内容が明確であることは弁護士の説明のうまさとも関係します。
契約期間についてもよく確認することが大切です。1年ごとに自動更新の弁護士事務所も多く途中での解約が難しいことがあります。事前によく確認するようにしてください。
顧問弁護士を選ぶ際は料金体系やサービス内容が明確でわかりやすい事務所を選ぶことをおすすめします。
まとめ
・顧問弁護士とは、法的な問題について継続的にサポートしてくれる弁護士のことです。
・顧問弁護士と普通の弁護士の違いは、1.契約期間、2.相談や依頼のしやすさ、3.料金があります。
・顧問弁護士は1か月や1年など一定の期間を単位に契約しますが、通常の弁護士は事件単位で契約します。
・顧問弁護士は自社の状況を把握してくれているため相談しやすく優先的に依頼に応じてもらいやすくなります。普通に弁護士に依頼した場合よりも個別の料金が安くなることもあります。
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