債権回収は専門的な業務であるため外部委託を検討する必要があります。債権回収代行を実施できる者は限られており、それぞれ特徴も異なります。

 

この記事では、債権回収代行について外部委託先の選び方などを解説していきます。

 

債権回収代行とは

債権回収代行とは、貸したお金や売掛金などを自力で回収するのではなく、外部委託により他者が代わりに請求・回収する方法です。債権回収代行には2種類の方法があります。債権者の代理人として債権回収を実施するものと、債権を譲渡することで外部委託を受けた者自身が債権者となり債権回収を実施するものです。外部委託先により取れる手段が異なります。

 

債権回収代行の委託先

債権回収の外部委託先としては、弁護士、債権回収会社、ファクタリング会社が存在します。それぞれに特徴が異なるため詳しく見ていきます。

 

弁護士

債権回収代行を法律事務所に委託した場合、代理人として債権回収を行ってくれます。債権回収会社と異なり取り扱える債権に制限がないのがメリットです。他の債権回収代行業者と異なり債権の買い取りをしてもらうことはできません。そのため、売掛金等を現金化するには弁護士が債務者に請求し支払いが行われるのを待つ必要があるため時間がかかることがデメリットです。

支払期日を過ぎた債権の場合には外部委託先としてほとんどのケースで適切です。

 

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債権回収会社(サービサー)

債権回収会社は「サービサー」とも呼ばれる債権回収を専門に行う会社です。法務大臣から特別な許可を得て債権回収代行をしています。弁護士と同様に外部委託により代理人となり債権回収代行をするほかに、債権を買い取り自ら債権者となって債権回収も行います。買い取りの場合には債務者が支払うかどうかに関係なく債権回収できることがメリットです。その場合、本来の債権額よりも安い価格になる点には注意が必要です。

ただし、債権回収会社は取り扱える債権が制限されており、特定金銭債権と呼ばれるものしか債権回収代行できないことがデメリットです。債権回収会社の目的は主に金融機関の不良債権処理のためであり、そのため金融機関の貸付債権などが対象となります。よって依頼主が金融機関等の場合に依頼を検討できます。

 

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ファクタリング会社

ファクタリングとは、売掛債権を支払期日の前に譲渡することで資金調達することをいいます。期日前に現金化できることがメリットです。滞納された貸付金や売掛金などの回収代行をしてくれるわけではありません。

そのため、返済期日を経過している場合には債権回収代行を委託できないのがデメリットです。支払期日が先であるが現金が必要というときに利用します。

 

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債権回収代行の委託先を選ぶポイント

債権回収代行には種類がありますが外部委託先を選ぶポイントがあります。

 

特定金銭債権にあたるか

金融機関の貸付金など「特定金銭債権」にあたるのであれば債権回収会社が債権回収代行の外部委託先として候補になります。特定金銭債権にあたらない滞納債権であれば弁護士が債権回収代行の委託先となります。

 

特定金銭債権については、「債権回収代行とは?外部に委託するメリット・注意点を詳しく解説」をご参照ください。

 

支払期日が到来しているか

支払期日前の債権であればファクタリング会社が委託先として候補になります。一方で支払期日が到来してしまっているのであれば債権回収会社か弁護士が外部委託先の候補になります。

 

つまり、特定金銭債権にあたらない限り、支払期日に返済がない場合には債権回収代行の外部委託先は弁護士が適切ということになります。

 

債権回収において弁護士が代行できる内容

実際に債権回収代行を弁護士に外部委託した場合にどのようなことをしてもらえるのか説明します。

 

書類作成の代行

債権回収をする際には各種の書類が必要となります。催告書の作成・送付や法的手続きをとる際の申立書などです。弁護士に債権回収を委託すれば内容証明や訴状、和解案などの各種書類作成を代行してもらえます。

 

債務者との交渉の代行

法的な手続きをとらなくても弁護士が交渉の代行をすることで支払いに応じてもらえることがあります。

 

債権回収方法の選択

債権回収の手段にはさまざまなものがあります。話し合いでの回収、民事調停、支払督促、仮差押え、通常訴訟、少額訴訟、債権執行、不動産執行などです。債権の種類や債権額等によって適切な債権回収の方法も変わります。外部委託先として弁護士に債権回収代行を依頼すれば適切な回収方法を選択してもらえます。

 

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債権回収代行を弁護士に依頼した場合の流れ

債権回収を弁護士に外部委託した場合の流れを見ていきます。

 

催告書の送付

弁護士から催促状の送付を行います。弁護士からの請求は当事者からの請求よりもプレッシャーが強いため、この段階で支払いに応じてもらえることもあります。

 

債務者との交渉

催促状の段階で支払いに応じてもらえないときには電話や訪問などにより交渉することになります。すぐに支払いができないときには保証人や公正証書の作成など担保を提供してもらうことも考えられます。

 

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法的手段による対応

債権額や相手との関係等によりますが債務者が支払いに応じない場合には訴訟などの法的手段を検討します。法的手段にもいろいろありますが、例えば60万円以下の債権回収であれば少額訴訟も検討できます。

 

<関連記事>少額訴訟の費用相場は?費用倒れを回避する方法も解説

 

強制執行

訴訟で勝訴したとしても債務者が支払ってくれないこともあります。その場合には債権回収の手段として債務者の財産(預金、売掛金、不動産など)を差し押さえて回収していくことを検討します。

 

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まとめ

・債権回収代行を利用すると、代理人として債権回収してもらったり債権を買い取ってもらったりできます。

・外部委託先としては、弁護士、債権回収会社、ファクタリング会社があります。

・債権回収代行を依頼したい債権が特定金銭債権にあたるときは債権回収会社が外部委託先の候補となります。

・売掛金の支払期日が到来する前であればファクタリング会社が外部委託先の候補となります。

支払期日が経過した債権は、取り扱いの制限がない弁護士が債権回収代行の外部委託先として最適といえます。

 

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