レンタル事業を行っているとレンタル品を期限までに返還してもらえないことやレンタル料の未払いがよく起こります。このような未回収トラブルが発生しても高額なレンタル品やレンタル料でなければ泣き寝入りしてしまう会社もあるかもしれません。
この記事ではレンタル料やレンタル品の未回収トラブルへの会社がとるべき解決策について解説していきます。

レンタル料、レンタル品の法律的関係は?

レンタル契約は法律的にいえば賃貸借契約の一種です。保有する物品を不特定多数のユーザーに有償で貸し出す賃貸借契約のことです。不動産以外の物品(動産)を対象とすることが多いです。例えば、自動車やDVD、CD、書籍、家電製品が代表的です。

したがってレンタル品の所有権は貸主にあるため契約が終了すれば返還してもらえます。賃借人が破産した場合であっても同様です。

リース契約との違いは、リースがユーザーの希望する物品を入手して長期間貸し付ける点で異なります。通常は中途解約が制限され保守管理のコストをユーザーが負担します。

レンタル料、レンタル品を回収する方法

レンタルした商品の返却期限が過ぎても返してもらえない場合、できるだけ早く行動することが大切です。期間が空いてしまうとレンタル品を紛失するなどトラブルが大きくなりがちです。返却されない理由はさまざまでありケースに応じて対応することがポイントです。

電話やメールでの連絡

返却されないケースとしてよくあるのが「借りていたことを忘れていた」というものです。このようなケースはレンタルしていた事実に気づいてもらうだけで返却や延長料金の支払いに応じてもらいやすいといえます。
債権回収の基本は効率性です。時間や費用のかからない電話やメールでの催促が基本となります。延滞期間が長期になると延滞料金も高額になり支払いを拒否されるリスクも高くなるため早めに連絡をとることが大切です。

書面での催促

電話やメールでは連絡がとれないケースもあります。このような場合には契約書に記載のある住所に催促状を送付することが基本です。
返却されない理由がわからないため文面は返却期限を過ぎていることを知らせる程度のやわらかいものにします。

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内容証明郵便

電話や通常の書面での催促では返却や支払いに応じてもらえない場合にはより強い手段をとる必要があります。内容証明郵便はどのような内容の書面を送付したか証明する郵便局のサービスです。証拠として残るため相手に与えるプレシャーが大きくなり支払い等に応じてもらいやすくなります。特に弁護士が送付すると効果があります。

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支払督促

簡易裁判所の書記官にレンタル料の支払いを命じてもらうこともできます。レンタル品の回収には使えませんが書面審理のみで利用できるメリットがあります。

少額訴訟

金銭請求にしか使えませんが1日の審理で判決まで出してもらえるため使いやすい制度です。ただし回数制限があるなどデメリットもあります。

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通常訴訟

レンタル品を回収するには最終的に訴訟を起こす必要があります。所有権が自分にあるとしても借主に無断で持ち出すことはできないからです(自力救済の禁止)。本人の同意がないのであれば法的手続きをとるしかありません。
例えば、レンタカーを借主に無断で引き上げてしまうと窃盗罪に問われるおそれがあります。

強制執行

支払いや引き渡しを命じる判決が確定しても借主が返却等に応じてくれるとは限りません。その場合には料金の強制執行については預金債権などの財産を差し押さえて回収し、レンタル品については執行官に回収してもらうことになります。

滞納者に連絡する上での注意点

返さないほうに問題があるとしても催促の仕方によっては違法性が生じることがあります。また、権利には時効があるので注意が必要です。

電話や訪問の際の注意点

電話や訪問をする場合には連絡を入れる時間帯に気をつけてください。深夜や早朝の督促行為は不法行為になる可能性があります。
貸金業者に対しての規制ですが、「午後9時から午前8時」の時間帯は本人の承諾や連絡がとれない場合など正当な理由があるときでないと許されていません。催促を頻繁に行うことも規制されています。レンタル事業者についても催促の時間帯や頻度に注意が必要です。

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消滅時効

債権には消滅時効があります。2020年4月1日以降に発生した債権については原則5年で消滅時効にかかります。
レンタル料についてはこの日より前に発生したものについては1年の短期消滅時効にかかります。ただし、営業目的で長期にレンタルしていたような場合には商事債権として5年となることもあります。

レンタル品の所有権は消滅時効にかかりません。所有権は消滅時効にかからないことになっているからです。ただし、第三者に売却されてしまったり20年以上経過していたりすると権利を失うことがあります。

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弁護士に相談する

債権の回収は法律に従いながら迅速に行うことが必要です。支払いに応じてもらえないケースでは自社で回収することが難しくなっています。回収できなくなる前に早めに弁護士に相談されることをおすすめします。時間が経過するほど回収は難しくなります。

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滞納者と連絡が取れない場合

電話が通じなかったり内容証明郵便を送っても返事がもらえなかったり、宛先不明で戻ってきたりしてしまうこともあります。

このような場合には法的手続きを検討することになります。相手が行方不明で現住所がわからないような場合でも訴訟を行うことは可能です。レンタル品や財産の所在がわかっていれば相手と連絡がとれなくても回収することができます。

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まとめ

・レンタル契約では返却期限が守られないことがよくあります。借主が借りていたことを忘れることも多いため早めに連絡をとることが大切です。

・返却や料金の支払いに応じてもらえないときには内容証明郵便や支払督促などを検討します。
・自力救済は禁止されているためレンタル品を勝手に持ち出すことはできません。
レンタル料金は何もしなければ5年で消滅時効にかかります。

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