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不貞行為や交通事故などにあった場合、慰謝料が請求できる可能性があります。
ですが慰謝料はいつまでも請求できるわけではありません。
慰謝料には時効が存在するからです。慰謝料の請求は一般的なお金の請求とは異なるため、時効期間も異なります。
この記事では、慰謝料とは何か、時効期間や時効を止める方法などを解説します。
慰謝料の時効とは
慰謝料とは、精神的損害を受けた場合の損害賠償金のことです。
損害には、「財産的損害」と、「精神的損害」があります。
損害賠償というのは、損害を生じさせてしまった人が、損害を穴埋めすることで損害がなかったのと同じ状態にすることです。
財産的損害の場合には、壊れてしまった物の修理代金やけがをした場合の治療費などが損害となります。
精神的に傷つけられた場合にも、「精神的損害」が生じるため、これを穴埋めする必要があります。お金で穴埋めできる問題ではないかもしれませんが、精神的損害についても基本的に金銭での賠償を求めることになります。
この精神的損害に対する賠償金が「慰謝料」と呼ばれています。
慰謝料はいつまでも請求できるわけではありません。
一定の期間が経過すると請求できなくなる可能性があります。
このような一定の期間の経過によって権利が消滅する仕組みを「消滅時効」といいます。
慰謝料の時効とは、一定の期間が経過することで慰謝料が請求できなくなる仕組みをいいます。
慰謝料請求の時効の期間
慰謝料が請求できるのは基本的に「不法行為」があったときです。
不法行為とは、故意や過失により権利などを侵害して損害を発生させる行為のことです。
つまり、わざと物を壊したり、不注意で人にけがをさせたりして損害を与えることを不法行為といいます。
不法行為についての損害賠償請求権の時効期間は、民法という法律では次のようになっています。※他の法律で期間が別に定められていることがあるため注意してください。
|
起算点 |
時効期間 |
原則 |
損害及び加害者を知った時から |
3年※ |
不法行為の時から |
20年 |
※人の生命または身体を侵害したケースでは5年
不法行為の事実に気がつかなくても20年経過すると請求できなくなる可能性があります。
慰謝料の時効期間は、原因となった出来事によって違いがあります。
そのため、身近なケースである「離婚」、「刑事事件(犯罪)」、「交通事故」を取り上げて説明します。
離婚問題に関する慰謝料
離婚に関係する慰謝料の発生原因としては次のようなものがあります。
・不貞(不倫)行為があった ・DV(暴力)や精神的暴力があった ・生活費の支払いがなかった等 |
パートナーが不法行為を行ったのであれば夫や妻に対して慰謝料を請求していくことができます。
不貞行為については相手がいるため、パートナーだけでなく不貞行為の相手に対しても慰謝料を請求していくことが考えられます。
不倫が発覚し相手も特定できたのであれば、その時から3年が経過してしまうと不倫相手に対する慰謝料請求は時効によってできなくなるおそれがあります。
これに対して、パートナーに対する慰謝料請求については、離婚から3年経過していないのであれば、離婚した時を時効期間の起算点と考えて請求できる可能性があります。
また、DVにより怪我を負わされたケースでは5年となることがあります。
いずれのケースであっても不法行為の時から20年で時効にかかる可能性があります。
<関連記事>音信不通の相手から債権回収する方法と注意点を詳しく解説
刑事事件に関する慰謝料
暴行や脅迫、名誉毀損などの犯罪による被害を受けた場合にも慰謝料請求が可能です。
時効期間は原則として「損害および加害者を知った時から3年」です。
ただし、怪我を負わされるなど身体が害される被害を受けた場合には、「5年」となっています。
後遺障害については「症状固定日」の翌日から数え始めます。後遺障害の有無や程度が明らかにならないと「損害を知った」とは言えないからです。
いずれのケースであっても不法行為の時から20年で時効にかかる可能性があります。
交通事故に関する慰謝料
人身事故の場合には慰謝料を請求できる可能性があります。
時効期間は原則として「損害および加害者を知った時から5年」です。通常は事故の翌日から数え始めます。
後遺障害については「症状固定日」の翌日から数え始めます。後遺障害の有無や程度が明らかにならないと「損害を知った」とは言えないからです。
もちろん治療費などの財産的損害も請求可能です。
加害者本人ではなく、自賠責保険や自身で加入している保険会社に保険金を請求する場合には「3年」と短いので注意してください。起算点も異なることがあります。
いずれのケースであっても不法行為の時から20年で時効にかかる可能性があります。
慰謝料の時効を中断する方法
時効は、一定の期間が経過したとしても成立するとは限りません。消滅時効を阻止する方法が用意されているからです。また、時効は相手から「時効が成立している」と主張されるまで完成しません。
一定の事実があると時効期間はリセットされます。いくつか方法がありますが代表的な方法について解説します。
裁判で請求する
訴訟を起こし裁判で慰謝料を請求することで時効期間をリセットすることができます。
裁判を行っている間は消滅時効が成立しないことになっています。
裁判で無事に勝訴すれば時効期間はリセットされることになります。しかも期間が長くなり「10年間」に延長されます。
支払督促が確定した場合にも10年に伸びます。
支払督促というのは、簡易裁判所の書記官に支払いを命じてもらう手続きです。
民事調停や家事調停を申し立てることでも効果があります。
調停調書が作成されると判決と同じような効果があるため、時効期間が10年に伸びます。
裁判外で催促した場合にも6か月間だけ時効の完成が猶予されます。ただし、猶予中にさらに催告しても効果はないため、他の手続きをとる必要があります。
<関連記事>債権回収の裁判(民事訴訟)知っておきたいメリットとデメリット、手続き、流れを解説
差押えをする
すでに勝訴判決や調停調書、執行証書(公正証書の一種)を得ている場合には、相手の財産に強制執行することができます。
強制執行をすることで時効をリセットすることができます。
相手の財産を一時的に差し押さえる「仮差押え」でも時効の完成を猶予できますが、一時的なものなので別に裁判などを行う必要があります。
<関連記事>債権回収のための仮差押え|効力、手続きの流れを解説
債務を承認させる
相手に支払い義務があることを認めてもらうことを債務(権利)の「承認」といいます。
債務の承認をすると時効期間がリセットされることになります。
裁判などの手続きをしなくても時効を阻止できるメリットがあります。口約束では証明が難しいため書面にしてサインや押印をしてもらうことが大切です。
また、一部の支払いをすることも債務の承認となります。その際はできるだけ銀行口座に振り込んでもらうなど記録に残すようにします。
<関連記事>債権回収には時効がある!消滅時効とその対処方法について解説
慰謝料請求を弁護士に任せるべき理由
慰謝料の請求を自分一人で行うことは簡単ではありません。金額面で折り合いがつかないことや、感情的な対立が生じやすいため時間だけが過ぎていくこともあります。
交渉すること自体がストレスとなるため二次的な被害を生むこともあります。
そこで、弁護士に慰謝料請求の代理人になってもらうことに、どのような意味があるのか解説していきます。
迅速な解決ができる
慰謝料の請求に時間がかかってしまうと、相手の経済状況が悪くなり支払ってもらえなくなることがあります。
特に慰謝料の請求については感情的な対立が生じやすいため交渉がこじれやすく、問題が長期化しやすいといえます。
弁護士が代理することで効率よく交渉することが可能となり、問題を早く解決することができます。
消滅時効の心配がいらない
当事者本人が慰謝料の請求をしていると、いつのまにか時効期間が経過してしまい権利をなくしてしまうことがあります。
弁護士であれば消滅時効にかからないように必要な対応をすることができます。
特に時効期間が間近に迫っているときには法的な手続きが必要となりますが、弁護士でなければ対応は難しいといえます。
適切な慰謝料の請求
慰謝料はケースによって適切な金額が異なります。慰謝料の相場について詳しくない方が交渉すると、本来受け取ることができたはずの慰謝料よりも大幅に少ない金額で和解してしまうことがあります。
弁護士が代理することでケースに応じた適切な慰謝料を請求することができます。
例えば、交通事故の慰謝料については、本人による請求では保険会社の規定により支払われることが多いですが、弁護士が代理することで「裁判所基準」と呼ばれる類似の裁判を参考にした、より高額な基準で支払われる可能性があります。
必要な証拠を集めることができる
慰謝料を請求するためには相手の不法行為を証明する必要があります。
そのためにどのような証拠が必要なのかを判断することは簡単ではありません。
弁護士に依頼すれば、どのような証拠が必要なのかアドバイスを受けることができ、効率的に証拠を集めることができます。
<関連記事>債権回収は弁護士に依頼した方がよいのか?メリット、注意点をしっかり、分かりやすく解説
まとめ
・慰謝料とは、精神的な損害を受けたときの損害賠償金のことです。
・慰謝料には時効があるため、いつまでも請求できるわけではありません。
・時効の期間は慰謝料の発生原因によって異なります。
・時効は期間が経過しただけでは成立しません。時効はストップさせることができます。例えば、相手から「返済を待ってほしい」と言われたり、一部の支払いがあったりすると時効期間はリセットされます。
・弁護士に慰謝料請求を代理してもらうことで適切な慰謝料の請求が可能となります。
慰謝料の請求でお悩みなら弁護士法人東京新橋法律事務所
慰謝料のことで困っている方へ。
不貞行為や交通事故などの不法行為に遭われた場合、そのことで頭がいっぱいになり冷静な判断ができないことがあります。
どうしたらいいのか悩んでいるうちに年月が経ち、時効によって慰謝料の請求ができなくなることもあります。
一人で悩んでいても解決することは難しいといえます。
だれかに話をすることで解決策が見つかりやすくなります。
弁護士であれば秘密を守ることができます。
慰謝料の請求などにお悩みの場合には一度ご相談ください。