お金を貸してと言われたら、相手との関係によっては断りづらいことがあります。上手に断るにはあらかじめ断り方を考えておくことがポイントです。

お金を貸してしまった場合には上手に回収していくことが必要です。

この記事では、お金を貸してと言われた場合の断り方や貸したお金の回収方法を解説します。

 

お金を貸してと言われたら注意すべきポイント

お金を貸してと言われたら、よく考えずに返事をするのではなく考えてから答えることが大切です。特にお金を貸す場合には相手との関係や金額、借金の理由などを確かめることが必要です。よく考えずにお金を貸すと相手のためにならないだけでなくトラブルに巻き込まれることがあります。

 

借金の理由が正当なものか

お金を貸してと言われたら、お金を貸す前に借金の理由を尋ねることが必要です。お金が必要な理由を聞かずに貸してしまうと、都合のいい人と思われて際限なくお金の無心をされるかもしれません。相手にとってもお金にルーズになりやすく好ましくありません。お金の問題は金額に関係なくしっかりとけじめをつける習慣が大切です。

お金が必要な理由がもっともだと思えるもので、借金の額と見合っているときにはじめてお金を貸してもいいか判断できます。

 

信頼のできる人か

お金を貸してと言われたら、その人が信頼できる人なのか考えてみることが大切です。「誠意があり周りの人からも信用されている人」と「約束を守らずいい加減な人」とではお金返してもらえなくなるリスクは違うはずです。

もちろん誠意のある人だからといって貸したお金を返してくれる保証はありません。しかし信用の有無はお金を貸すか貸さないかを判断する大切な判断材料といえます。

 

返済計画が現実的なものか

お金を貸してと言われたら、返済計画をどのように考えているのか尋ねることが必要です。返済期日があいまいなままお金を貸してしまうと「お金を返してほしい」と言いにくくなってしまいます。返済期限を約束していればその日を過ぎれば返してほしいと言いやすくなります。

「一括返済」なのか「分割返済」なのか、利息の有無なども明確にすることが大切です。

約束した事実を書面にすることで守ってもらいやすくなります。つまり「借用書」を作ることが大切です。たとえメモ用紙に手書きしたものでも目に見える形にすることに意味があります。書面には相手のサインをもらうようにします。

 

お金を返してもらえない場合のことを考える

お金を貸してと言われたら、お金を返してもらえないときのことを想像します。

「必ず返すから」と相手は言うはずですが、それは当たり前のことで実際にはお金を返してもらえないこともよくあります。

「お金をあげるつもり」で貸すのか、「法的な手続きを使ってでも返してもらう」のかなど事前に考えておくことが大切です。具体的に考えておかないとお金を貸すのか、その金額や担保をとるべきかを判断することができません。

「お金の切れ目が縁の切れ目」という言葉があるように、お金を返してもらえなかったときには人間関係にも影響があります。

お金を貸すときには返ってこなかったときのことを考えておく必要があります。

 

お金を貸してと言われたときの上手な断り方

お金を貸してと言われたら、貸すか貸さないかを決めなければなりません。お金を貸さないと決めたのに断り方が良くないと相手との関係を悪くすることもあります。頼ってくれたのに申し訳ないと後ろめたい気持ちになるかもしれません。しかし断ると決めたのであれば相手のためにも明確に断ることが必要です。

「お金は貸せない」

はじめに結論を伝えることが大切です。あいまいな態度をとってしまうと変に期待させてしまうからです。

「何かあったの?」など結論を言わずに聞いてしまうと、お金を貸してもらえると勘違いさせてしまい断りづらくなります。

相談に乗るにしても、「お金は貸せないけど話なら聞くよ」など、相手に希望を抱かせない言い方をした方がいいでしょう。

それでもお金を貸してと言われたときには、理由を示す方法もあります。

「お金がないから貸せない」

このような断り方もありますがリスクもあります。

この断り方では「お金があれば貸せる」ことになってしまうからです。「キャッシングで借りてほしい」と言われることや、お金に余裕がありそうな生活を見せないように気を使うことになります。

「家族の許可が必要だから」

このような断り方もあります。「自分の一存では決められない」、「お金の貸し借りは絶対に許可してもらえない」など自分ではどうしようもないことを伝える方法です。

「(個人間での)お金の貸し借りはしないと決めている」

このように信念を示して断る方法もあります。理由を聞かれたら「お金の貸し借りで嫌な思いをしたことがある」などお金を貸す余地がないことを伝えることが重要です。

もしも「お金は貸せない」と明確に伝えているのにそれでも「貸してほしい」としつこく言ってくるのであれば、こちらの都合を軽く見ているということであり距離を置いた方がいい人かもしれません。

 

<関連記事>個人間のお金の貸し借りトラブルの対処法を解説

 

友人にお金を貸す際にやるべきこと

お金を貸す場合には、借用書を作成する以外にも以下のような対策をとることが有効です。

 

第三者に立ち会いを求める

お金の貸し借りのトラブルとして多いことの一つは、「お金なんて借りていない」と相手から言われてしまうことです。「お金は受け取ったがもらったものだ」という人もいます。借用書のほかに証人もいればこのような言い訳自体しにくくなります。

共通の友人に貸し借りに立ち会ってもらうなど、相手に約束を守ってもらいやすくする工夫が重要です。

 

連帯保証人をつけてもらう

お金を貸してと言われて断れない場合には、なるべく連帯保証人をつけてもらうようにします。本人が返済してくれなくても連帯保証人からお金を返してもらえるからです。連帯保証人をつけることで連帯保証人に迷惑をかけないように返済の約束を守りやすくなる意味もあります。保証契約は書面でしなければならない点には注意してください。

 

連帯保証人については、「連帯保証人に支払い拒否されたらどうする?対処法をご紹介」もご覧ください。

 

担保をとる

お金を貸してと言われて断れない場合には、物的な担保をとることも有効です。金額が特に大きい場合には不動産に抵当権をつけることが考えられます。ほかにも貴金属など価値の高いものを担保にすることも有効でしょう。ただしその場合担保として預かったものが価値のない偽ブランド品などのリスクがある点には注意が必要です。

 

<関連記事>借用書が無くても貸したお金を回収できる?回収方法と弁護士に依頼するメリットを解説

 

貸した場合の回収方法

お金を貸したのに約束した日を過ぎても返してもらえないことがあります。お金を返してくれない理由は人それぞれのためまずはその理由を確かめることが必要です。

 

返済方法を話し合う

「お金を返してほしい」となかなか言えない人がいますが、約束を守らない相手が悪いので遠慮する必要はありません。むしろ相手がお金を借りていることを忘れている場合、長期間経ってから返済を求めると相手にかえって迷惑をかけることになります。

すぐに返済ができない場合に支払いを待つのであれば返済計画をしっかり立てることが大切です。具体的な返済方法が決まれば書面に残しておきます。

 

<関連記事>貸したお金を返してもらうには?催促方法や対処法について詳しく解説

 

内容証明を送付

相手が電話や手紙などを無視している場合には借金を踏み倒そうとしているのかもしれません。このような場合には毅然とした態度をとることが必要です。

借金の請求に内容証明郵便を使う必然性はありませんが、相手との関係によっては有効な場合があります。

「大した金額ではないから本気で回収することはないだろう」と相手が足元を見ているような場合、弁護士が内容証明郵便で警告するだけで交渉や返済に応じることもあります。

 

<関連記事>内容証明郵便を出す方法や費用は?弁護士に依頼するメリットも解説

 

担保権の行使

お金を貸した際に連帯保証人や物的担保をとっているのであれば担保からお金を回収していきます。連帯保証人がいれば連帯保証人も借りた本人とともに返済する責任があるので請求していくことができます。

物的担保であれば裁判所に申し立てをして競売手続きや簡易な充当手続き(民法354条、非訟事件手続法93条)などを利用して回収します。

 

法的手続き

どうしてもお金が返ってこないときには裁判所を利用した手続きをとることになります。法的手続きとしては訴訟や支払督促などの方法があります。話し合いで解決したいときには簡易裁判所に調停を申し立てる方法もあります。貸した金額や相手との関係などによって適切な手続きが異なります。

 

法的手続きについては、「貸したお金が返ってこないとき警察に相談するのはアリ?取るべき対処法を紹介」をご覧ください。

 

まとめ

・お金を貸してと言われたら、あいまいな態度を示さずはっきりと答えることが大切です。

・お金を貸す場合であっても、借金の理由や返済計画などを確かめてから結論を出すようにします。

・お金を貸してと言われたときの上手な断り方は、「お金は貸せない」ことをはっきりと伝えること、理由を聞かれた場合に備えて「お金の貸し借りはしない主義」など相手に期待を抱かせない答えを用意しておきます。

・お金を貸す場合には借用書を作成することが重要です。

お金を返してもらえないときには少額訴訟や調停など法的な手続きを検討します。

 

お金の貸し借りでお悩みなら弁護士法人東京新橋法律事務所

友人や知人からお金を貸してと言われたら断りづらいかもしれません。しかしあいまいな態度をとってしまうと相手に変な希望を持たせてしまいかえって問題となりやすくなります。お金を貸すつもりがないのであれば「お金は貸せない」と明確に伝えることが必要です。

お金を貸したのに返してもらえないときには早めに行動をとることが大切です。長年放置していると時効にかかることもあります。

金額が大きい場合には弁護士に相談されることをおすすめします。当事務所では個人の方からのご相談もお受けしております。お困りのことがあればご相談ください。

 

※借金を返済できずお困りの方はこちらの記事をご参照ください。