一般企業だけでなく病院など幅広い事業者が後払いを採用しています。後払いにはその種類にもよりますが未回収のリスクがあります。滞納が生じた場合には適切な対応をすることで影響を小さくする必要があります。

 

この記事では、後払いの問題点や未払いとなった場合の回収方法について解説します。

 

未回収リスクがある後払いとは

後払いとは、商品やサービスの提供を先に行い代金の支払いを後日行う決済方法です。支払方法は銀行や郵便局などの金融機関からの振り込みやコンビニを利用する方法、スマホ決済など多様な方法があります。

後払いは利用者の利便性を高めるだけでなく事業者にとってもメリットが大きいものです。クレジットカード払いを避ける利用者もいるため決済方法として後払いに対応していると売り上げの増加を期待できるからです。

後払いの主なデメリットは売掛金の未回収リスクです。商品やサービスを提供済みであるため代金を回収できないと損失となってしまいます。

後払いによる未払いの原因は3種類に分かれます。

 

・支払う意思はあるが忘れていた

・支払う意思はあるが支払えない

・支払う意思がない

 

未払いの原因に応じて対処法が異なります。後払いを単に忘れていたケースであれば督促すればすぐに解決することになります。

「支払う意思はあるが支払えない」ケースというのは、経済的な理由により後払い代金を支払えなくなったり、けがや病気などにより一時的に後払いの期日に間に合わなかったりした場合です。

「支払う意思がない」ケースというのは、初めから商品やサービスをだまし取ろうと考えていた場合や、商品やサービスに不満がある場合などがあります。

それぞれのケースによって対処法が異なります。

 

<関連記事>未回収リスクとその対処法|売掛金を確実に回収する方法について解説

 

未払いとなった後払い代金の督促方法

未払いとなった後払い代金を回収するには一般的に下記のような方法で行います。未払いの理由や売掛金の大きさなどにより柔軟に対応していきます。

 

メールや電話で督促する

後払い代金が未払いとなった場合にはコストや時間、労力を意識しながら回収をすることになります。メールや電話での請求は時間や費用がかかりにくいため初期の回収手段として有用です。単純な支払忘れのようなケースではメールやSMSでの督促で回収できることがあります。電話での督促は相手の状況をリアルタイムに確認できるというメリットがあります。その場で支払いを確約してもらい支払予定日を確認することもできるため入金確認のめどが立ちます。未払いの原因が分かることもあります。

電話やメールで連絡が取れない場合には郵便での督促が必要となります。商品やサービスによってははじめから郵便で督促した方がいいでしょう。ただし、郵便での督促はタイムラグが生じることや郵便料金がかかる点に留意する必要があります。

 

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内容証明郵便を送付する

後払い代金の支払いを促す方法として内容証明郵便を利用する方法もあります。支払いを促すには相手にプレッシャーをかけることが重要ですが、内容証明郵便は通常の郵便よりも心理的圧力が高いからです。しかし契約解除や時効対策など証拠に残す目的で内容証明郵便を利用する場合は別ですが、単なる督促の場面で一般の方が内容証明郵便を送付しても十分な圧力にならないことも多く過剰な期待はしない方がいいでしょう。

 

<関連記事>内容証明郵便を拒否・無視された場合の対処法|内容証明郵便の効力を弁護士が解説

 

支払督促を利用する

請求しても後払い代金を支払ってもらえないケースでは法的手段を検討することになります。法的手段はいくつかありますが有名なものに「支払督促」があります。

訴訟よりも費用が安いことや手続きが簡易なことから選択肢の一つとはなりますがデメリットも大きいため利用には十分な注意が必要です。支払督促は相手が異議を述べなければ最終的に相手の財産を強制執行できるメリットがあります。裏を返せば異議が述べられると強制執行することはできませんし、訴訟に移行することにもなっています。訴訟になった場合にも相手の住所地の裁判所で争うことになります。はじめから訴訟を起こした場合には債権者(自社)の所在地を管轄する裁判所に訴えを起こせるので、相手の住所が遠いとそれもデメリットとなります。

 

<関連記事>支払督促とは? 取引先にする場合のメリット・デメリット、手続きの流れを解説

 

少額訴訟を利用する

後払い金が60万円以下で弁護士に依頼しないケースでは少額訴訟も検討できます。少額訴訟は通常訴訟よりも手続きが簡易的な訴訟です。ただし通常の訴訟よりも制限があることや勝訴しても不利な判決が出る可能性があり、少額訴訟に適切なケースか慎重に判断する必要があります。

 

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警察への相談

後払い代金が未払いとなったときに警察への相談を考えるかもしれません。ですが単に代金の支払いがされていないだけでは単なる契約違反であり犯罪には当たらず警察は対処してくれません。もちろん初めから商品をだまし取るつもりだった場合には詐欺罪に問えることがあるため警察が対応する可能性はあります。

しかし後から支払う意思がなくなっても詐欺には当たりません。はじめから騙し取るつもりだったか否かは内面に関わるため詐欺罪に問うことは簡単ではありません。また罪に問えたとしても代金の回収は別に行う必要があります。

 

<関連記事>貸したお金が返ってこないとき警察に相談するのはアリ?取るべき対処法を紹介

 

未払いを予防する対策

代金後払いのリスクを低減するには以下の方法があります。

 

後払いをやめる

後払い決済を廃止するという選択肢もあります。後払い決済を採用することで顧客層が広がるため売り上げ増加が見込めます。一方で後払い代金の未回収が多すぎると経営に与える影響が大きくなるため本末転倒になる可能性があります。利益を圧迫して採算が取れないのであれば後払いの廃止も検討できます。

 

後払い決済業者の利用

後払い決済を専門業者に任せてしまう方法もあります。売掛金を債権譲渡するなどして請求書発行や代金回収を代わりに行うサービスです。未回収のリスクがなくなるメリットがありますが、一方で決済業者の審査を通過しないと決済できないことや手数料がかかること、利用限度額が存在するなどのデメリットがあります。

 

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後払い代金の回収を弁護士に依頼するメリット

後払い代金が未払いとなったときに弁護士に依頼するメリットとしては以下のものがあります。

 

回収の可能性を高められる

滞納の常習者は一般企業が督促をしてもなかなか支払いに応じてくれません。内容証明で警告しても法的手段まではとらないだろうと足元を見ていることもあります。弁護士から請求することで法的手段が現実味を帯びるため支払いや交渉に応じてもらいやすくなります。債権を回収するにはプレッシャーをかける必要がありますが弁護士名での請求は適切な圧力となります。

 

本業に専念できる

後払い代金の回収業務は法的な知識や経験が必要であり簡単ではありません。専門部署の設置は容易ではなく人件費もかかります。他の業務を担当している従業員に回収業務を行わせることは時間や労力がかかり本来の業務にも支障が生じます。

専門業務は外部の専門家に委託することが一般的です。債権回収業務についても専門の弁護士に任せることで貴重な自社のスタッフを本来の業務に専念させることができます。

 

法的手続きに則った確実な回収ができる

後払い代金の回収業務は細心の注意を払う必要があります。違法な回収方法をとればSNSなどで問題が拡散することや法的な責任を問われることもあります。

また法的手段による回収が必要な場合に自社での対応では限界となることもあります。弁護士であれば法的手段も含めて適切な回収手段を選択して実行することが可能です。

 

<関連記事>顧問弁護士とは?役割や弁護士との違いを解説

 

まとめ

・後払い決済は売上増加のメリットがありますが未回収のリスクが生じます。

・後払い代金の督促方法には、電話やメール、郵便による方法があります。後払い代金が少額の場合には費用対効果に注意が必要です。

・後払い代金の回収を弁護士に依頼すれば「回収の可能性を高め」、「本業に専念可能となり」、「適切な回収方法をとることが可能」となります。

 

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