家賃を滞納されるとどのように対処したらいいのか分からず途方に暮れるかもしれません。

予定していた収入が入らなくなるため不安になると思います。特に借主と連絡が取れない場合や何か月も滞納されるとおひとりで解決することは難しいかもしれません。

 

この記事では、家賃滞納された場合の対処法や相談をどこにすべきか解説します。

 

家賃滞納が起こるケース

家賃の滞納にはいくつかパターンがあります。滞納の種類によって対処法も変わってくるので滞納の基本パターンを押さえておくことが大切です。

 

支払日を忘れていた

家賃滞納のパターンとして代表的なものが家賃の支払日を忘れているケースです。家賃の支払い方法としては自動引き落としとなっていることも多いですが、口座残高の不足により支払いができず滞納状態になることがあります。支払日を忘れていたために入金が遅れてしまうケースです。支払日は覚えていても残高が十分にあると思い込んでいることもあります。

 

お金がない

家賃以外に借金があるような場合にも滞納が起こりがちです。借金がなくても勤務先の倒産などにより収入が減少し家賃の支払いが後回しになることがあります。

 

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賃借人の事故・病気

家賃滞納の原因が借主の体調不良にあることもあります。突然の事故や病気により支払日に入金できないことや、長期の療養が必要なケースでは収入がなくなることもあります。

 

家賃を支払う意思がない

家賃滞納者の中には開き直って家賃を支払う気がない人もいます。このようなタイプの人は連絡を無視することも多く話し合いも難しくなります。ただし、入居者の側に何らかの不満があり支払いをしないケースもあります。

 

家賃滞納トラブルへの対処法

家賃滞納が起きた場合には原因に応じて対処法を変えることが必要です。

 

改善の余地がある場合

家賃滞納の原因が支払日の失念など一過性のものである場合には改善の余地があります。家賃滞納の原因がはっきりしない場合には以下のような対処法をとり原因を明らかにします。

 

電話や訪問による催促

電話による連絡は早くトラブルを解決したい場合に有効です。郵便を利用すると日数がかかりますが電話であればすぐに連絡がつくからです。相手の様子も直接確認できるため家賃滞納の原因をつかみやすいメリットもあります。連絡が取れた場合には支払いをいつ行えるのか約束してもらうようにします。訪問による催促にも同様の利点があります。

 

手紙による通知

電話連絡がつかない場合には書面による連絡を試みます。旅行や出張により一時的に連絡がつかないケースでは手紙を見た入居者から連絡が入ることが期待できます。

 

督促をせずに長期間放置してしまうと家賃の支払いを待ってもらえると借主に誤解されるおそれがあります。借金など他の支払いを優先させないためにも適切に督促しプレッシャーをかけることが必要です。

 

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改善の余地のない場合

長期間にわたり連絡がつかない場合や支払いに応じない場合には法的な手段を検討します。家賃滞納のトラブルについては家賃回収と物件の明け渡しの両面を考慮する必要があります。

 

内容証明の送付

家賃滞納のトラブルについては、内容証明郵便により支払いの催告を行い支払いがなければ契約を解除することが一般的です。

 

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訴訟

支払いや明け渡しに応じない場合には訴訟を検討します。退去済みのようなケースで家賃滞納額が60万円以下であれば少額訴訟も検討できます。

 

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強制執行

勝訴判決を得たとしても借主が自分から支払いや明け渡しをしてくれないこともあります。このような場合には裁判所にお願いして預金の差押えや物件の明け渡しをしていきます。

 

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家賃滞納トラブルを相談できる窓口

家賃滞納をどこに相談したらいいのかわからないときは以下の相談先に頼るのがおすすめです。

 

弁護士

家賃滞納の問題を解決するには不動産トラブルに強い弁護士に相談するのがおすすめです。

家賃滞納の問題は交渉による解決が基本であり、必要に応じて法的な手段をとることになります。大家さんご自身が催促しても支払いに応じてくれない状況であれば、弁護士から督促してもらうことや代理人として交渉してもらうことが効果的です。建物の明け渡しも相談可能です。

 

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法テラス

法テラスは国によって作られた法的な問題解決の案内所です。正式には「日本司法支援センター」と言います。トラブル解決のための制度紹介や具体的に誰に相談したらいいのかなどを案内してくれます。

無料の法律相談については収入や資産に制限があり誰でも対象になるわけではありません。経済的に困窮している方に対して弁護士費用の立替えをしてくれることもあります。

 

公益社団法人全国賃貸住宅経営者協会連合会(ちんたい協会)

具体的な法的トラブルの解決はしてもらえませんが、一般的な商慣習に基づく相談に乗ってもらうことができます。

 

公益社団法人東京共同住宅協会

賃貸トラブルなど賃貸経営についての悩みごとに対して相談に乗ってくれるようです。

 

家賃滞納が長期化している場合には弁護士による対応や法的手段が必要となります。無料相談で解決できない場合には不動産トラブルに強い弁護士にご相談ください。

 

滞納家賃を回収する際の注意点

滞納家賃を回収する際には以下のポイントを意識することが大切です。

 

滞納家賃には消滅時効がある

家賃には時効があります。長期間にわたり家賃滞納の状態が続くと時効により家賃を回収できなくなることがあります。滞納家賃については基本的に5年で時効にかかる恐れがあります。ただし、時効は一定の期間が経過しただけでは当然には成立しません。時効を阻止する方法があるからです。

 

滞納家賃の時効について詳しくは、「気を付けるべき滞納家賃の消滅時効!トラブルを避けてしっかりと回収する」をご覧ください。

 

違法な家賃回収をしない

家賃を滞納しているからといってどんな回収方法をしてもいいわけではありません。回収方法によっては違法行為となり損害賠償請求されることや罪に問われることがあります。

 

電話や訪問を深夜・早朝に行う

夜遅い時間や朝早い時間に電話で催促することは入居者の生活に支障を来すため原則として避けた方がいいでしょう。貸金業者も午後9時から午前8時の時間帯は督促を行わないのが基本です。賃借人が承諾している場合や連絡が取れないような場合でなければ上記の時間帯は避けた方が無難です。

 

玄関ドアなどに貼り紙をする

家賃の滞納があっても貼り紙で督促することは問題があります。ほかの人に家賃滞納の事実が知られてしまうため名誉棄損にあたる可能性があります。

 

部屋の鍵を無断で交換する

家賃滞納があっても入居者の許可なく部屋に入ると住居侵入罪の可能性があります。部屋の物を搬出することも罪に問われることがあります。賃貸借契約において家賃滞納の際に鍵を交換すると記載してあったとしてもそのような合意は無効と考えられます。

 

退室を求められたのに従わない

室内は入居者の生活の本拠となっています。入居者を訪問した場合に、その理由が滞納家賃の督促のためであっても入居者から帰るように求められたら指示に従う必要があります。入居者の指示に従わずに居座ってしまうと不退去罪のおそれがあります。

 

責任のない人への催促

家賃の支払い義務があるのは賃借人や連帯保証人です。それ以外の人は基本的に支払い義務がありません。例外的に賃借人の配偶者については責任を負うことがあり請求できる可能性があります。夫婦間の日常家事債務については互いに連帯責任を負うことになっているからです(民法761条)。ただし、その賃貸借契約がその夫婦にとっての日常家事に関するものと言えなければなりません。

 

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家賃の回収にこだわりすぎない

家賃滞納が長期化しており今後の支払いの見込みがないケースでは明け渡しを検討した方がいいでしょう。早い段階で新しく入居者を募集したほうが影響を最小限に抑えることができます。

 

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まとめ

・家賃滞納は原因に応じて対処する必要があります。まずは家賃滞納の原因を知ることが大切です。

・電話や訪問による催促は迅速な問題解決に役立ちますが違法な取り立てにならないように注意が必要です。

・家賃滞納に改善の余地がないときは内容証明郵便や訴訟などの法的手段を検討します。

・滞納家賃には時効があるため早めに対処することが大切です。

・家賃滞納トラブルが生じたときには不動産トラブルを専門にしている弁護士に相談することがおすすめです。

 

滞納家賃の回収でお悩みなら弁護士法人東京新橋法律事務所

家賃滞納の相談をどこにしたらいいのかお困りの方へ。

 

家賃滞納の問題が生じたときには債権回収と不動産トラブルの両方を専門にしている弁護士に相談することをおすすめします。

家賃滞納の問題を根本的に解決するには、家賃回収だけでなく物件の明け渡しも必要となるからです。

 

当事務所は債権回収だけではなく不動産トラブルにも力を入れています。

滞納家賃にお困りの方はお気軽にご相談ください。

 

※借金などの債務の返済ができずお困りの方はこちらの記事をご参照ください。