請求書の出し忘れに気づいて慌てることがあります。売掛金など商品やサービスの代金を請求するには請求書を渡す必要があります。請求書をいつまでに出さなければならないかは時効と関係します。時効にかからないためには請求書の出し忘れに気づいた時点で速やかに対処する必要があります。

 

この記事では、請求書の時効期間について解説します。

 

請求書の時効とは

請求書に時効があるのか気になる方も多いと思います。正確にいえば請求書という書類に時効があるわけではなく請求書に記載された売掛金などの金銭債権に時効が存在します。売掛金自体が時効によって消滅していない限り請求書を発行して支払いを求めることができます。そのため請求書の時効は売掛金の時効のことだとお考え下さい。

 

<関連記事>金銭債権とは? 特徴や種類、具体例を詳しく解説

 

売掛金が消滅するまでの期限

請求書の時効は原則として5年です。売掛金の時効が基本的に5年とされているからです。ただし請求書の時効期間は請求の理由となった契約の内容や時期によって異なることがあります。

2020年4月1日に法律が改正されたためその日以降に発生した債権の時効が基本的に5年とされたからです。その日より前に発生した売掛金についてはそれよりも短い期間で時効にかかる可能性があります。

 

請求書の時効をいつから数え始めるかという問題もあります。「起算日」の問題です。原則として支払期日の翌日が起算日となります。例えば、2024年12月1日に売買が成立して12月20日が支払期日であるときは、次の日の2024年12月21日が起算日となり、5年後である2029年12月20日を経過した2029年12月21日に時効にかかる恐れがあります。

 

※手形や電子記録債権など現在でも5年より短い時効期間となっているものもあります。

 

<関連記事>売掛金の時効はいつ?未回収にさせないためにするべきこと

 

未送付の請求書が発覚した際にすべきこと

請求書の未発行の事実が分かったり、発行していたのに送付するのを忘れていたりした場合には慌てずに適切に対処することが大切です。時効にかからないように速やかに下記の行動をとります。

 

・未送付であることを上司と先方に伝える

・請求書を発行して先方に送る

・原因を調査して改善を行う

 

未送付であることを上司と先方に伝える

請求書の未送付に気づいたら速やかに上司に報告することが大切です。請求書の未送付の問題は自社の売掛金が時効により消滅するリスクと、取引先の事務処理や資金繰りに与える影響、取引先からの信頼を失うリスクが考えられます。いずれの問題も請求書未送付の事実を報告するのが早いほど影響は少なくて済みます。

自社と取引先の両者に影響があるため上司と相手方に報告する必要があります。

 

請求書を発行して先方に送る

改めて入金してもらうためには請求書の発行が必要です。支払期限など必要事項に変更があれば請求書の記載に不備がないか十分に確認する必要があります。ミスが重なると取引先からの信頼も傷つきやすくなります。相手方の事務処理や資金繰りに支障がある可能性もあるため事前に予定を尋ねておき相手に過剰な負担がかからないように配慮することも必要です。

 

原因を調査して改善を行う

請求書未送付の原因を突き止めることも必要です。なぜ請求書の未送付が起こったのかを解明することで同様の問題を防ぐことが可能となります。再び請求書の未送付を起こしてしまうと取引先からの信頼が大きく傷つくことになります。

請求書の未送付にすぐに気づけなかった場合には時効にかかり債権の回収ができないこともあります。請求書を確実に発送するためには適切な売掛金管理が必要です。

 

<関連記事>売掛金管理とは?管理の仕方やトラブルの対処法を解説

 

未払いが発生した際にすべきこと

請求書の送付は完了しているのに相手が支払いをしてくれないこともあります。このような場合には次のような対策を講じます。

 

・取引先への問い合わせ

・内容証明郵便の検討

・支払督促の検討

 

取引先に問い合わせる

請求書を送付したにもかかわらず支払期限までに入金が確認できないこともあります。このような場合には取引先に原因があると思い込まず、念のために請求書の発行に不備がなかったかを確認することが大切です。請求書に記載した日付に不備があることもあります。請求書の発行・発送に問題がなかった場合には相手方に問い合わせる必要があります。ただし郵便事故等により相手方に請求書が送達されていない可能性もあり、相手方に責任がないこともあります。そのため「請求書の到達の有無」を問い合わせ、未到達の場合には請求書の再発行を、到達済みの場合には支払いがいつ可能なのかを確認することが大切です。支払日を約束してもらうことで仮にその日に入金が確認できなかったときに速やかに債権回収に移ることができます。

 

<関連記事>支払督促・催促メールの書き方とは?押さえておくべきポイントや例文をご紹介

 

内容証明郵便の検討

内容証明郵便は郵便局により「誰から誰に対してどのような内容の文書をいつ送ったか」を証明してもらえるサービスです。

相手に電話が通じなかったり通常の催促状を送付しても音沙汰がなかったりするケースでは内容証明郵便で催促することも選択肢となります。

 

<関連記事>【弁護士監修】支払催促状の書き方と送付方法{テンプレート付}

 

支払督促の検討

相手に支払いの意思がない場合には法的な手続きを検討することになります。法的な手続きにもいろいろなものがあり、民事訴訟のほかに民事調停や、支払督促という方法もあります。

支払督促は簡易裁判所の書記官から相手方に金銭等の支払いを命じてもらう法的な手続きです。相手は異議を申し立てることで訴訟に移行させることができますが、異議が出されないときには仮執行宣言というものを付けてもらうことで相手の財産を差し押さえて強制的に回収することもできます。

 

<関連記事>支払督促とは? 取引先にする場合のメリット・デメリット、手続きの流れを解説

 

請求書の時効を伸ばす方法

請求書の時効期間は原則として5年でした。しかし当初の支払期日から5年で当然に時効になるわけではありません。時効は援用しなければ効果が生じませんし、一定の事由により時効期間が更新・猶予されるからです。

 

裁判上の請求など

訴訟を起こすことで時効の完成が猶予されます。そして裁判で勝つことができれば時効期間がリセットされることになります。裁判所により権利の存在が確認されるため時効期間は10年に伸びます。

 

強制執行など

強制執行や抵当権の実行などでも時効期間がリセットされます。この場合には請求書の時効期間は10年には伸びず元のままです。仮差押えでは時効期間は更新されませんが手続き終了から6か月間は時効の完成が猶予されます。

 

<関連記事>強制執行にかかる費用とは?裁判所に強制執行を申請する手順をご紹介

 

債務者による承認

取引相手である債務者が売掛金を承認することでも請求書の時効期間がリセットされます。債務者による承認の方法は裁判所を利用しなくてもできるので手軽にできるメリットがあります。ただし後でトラブルにならないように証拠に残すことが大切です。例えば、債務承認弁済契約書を作成して署名・押印してもらう方法があります。

ほかにも証拠に残る形で一部を弁済してもらう方法もあります。例えば、銀行振り込みで弁済してもらうことが考えられます。

 

時効の更新や猶予について詳しくは、「債権回収、借金には、時効がある!消滅時効とその対処方法について解説!」をご覧ください。

 

まとめ

・請求書の時効とは売掛金など金銭債権の時効のことです。請求書そのものに時効があるわけではありません。時効期間が経過した上で相手が時効を援用すると請求権が消滅します。請求書の時効は基本的に5年間ですが債権の種類や発生時期により期間が異なることがあります。

・請求書の未送付が発覚したときは速やかに関係者に報告し請求書を発送します。

・請求書を送付しても支払いがないときは相手方に速やかに連絡をして入金予定を確認します。予定日に入金がないときには顧問弁護士への相談や法的手段を検討します。

・請求書の時効期間は更新することが可能です。一部弁済など一定の事実があると時効期間がリセットされることがあります。

 

請求書の時効でお悩みなら弁護士法人東京新橋法律事務所

当事務所は事業で生じた債権の回収に強い事務所です。

回収管理システムを活用し、大量受任も効率的・迅速に対応可能です。

 

・コンビ二振込票発行管理

請求書・督促状にコンビニ振込票を同封します。

・債務者の携帯番号やEメールアドレスがある場合、クラウドシステムからの一括督促

・自動入金処理

銀行やコンビニ振込による入金情報はCSVファイルを利用してシステムに同期させています。

 

時効到来債権(援用前)、償却(貸し倒れ)済み債権、小口債権(数千円単位)など他事務所では難しい債権の回収もご相談ください。

 

当事務所では、未収金が入金されてはじめて報酬が発生する成功報酬制です。

「着手金0円(法的手続きを除く。)」、「請求実費0円」、「相談料0円」となっておりご相談いただきやすい体制を整えております。

※個人間や単独の債権については相談料・着手金がかかります。くわしくは弁護士費用のページをご覧ください。

 

「多額の未収債権の滞納があって処理に困っている」

「毎月一定額以上の未収金が継続的に発生している」

このような問題を抱えているのであればお気軽にご相談ください。

 

依頼者様のブランドイメージを守りながら債権回収を行います。

 

債権回収に特化した顧問契約も月額9,800円でご契約いただけます。請求書に「不履行時は弁護士法人東京新橋法律事務所に委託する」旨の記載が可能となります(弊所が許可する債権に限ります。)。