債権回収の弁護士法人 東京新橋法律事務所 https://saiken-kaisyu-law.jp 企業・法人の債権回収に強い弁護士事務所 | 債権回収の弁護士法人 東京新橋法律事務所 Mon, 12 May 2025 13:34:39 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=5.9.10 時効の中断とは?民法改正による変更点など詳しく解説 https://saiken-kaisyu-law.jp/25043001 Wed, 30 Apr 2025 13:30:38 +0000 https://saiken-kaisyu-law.jp/?p=6588 時効によって権利を失わないためには一定の手続きをとる必要があります。時効の中断と呼ばれる手続きです。しかし法律の改正により「時効の中断」という呼び方はしなくなりました。 この記事では、時効の中断とは何かを民法改正に基づい […]

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時効によって権利を失わないためには一定の手続きをとる必要があります。時効の中断と呼ばれる手続きです。しかし法律の改正により「時効の中断」という呼び方はしなくなりました。

この記事では、時効の中断とは何かを民法改正に基づいて解説していきます。

 

時効の中断とは

時効の中断とは、時効による効果を生じさせるのに必要となる時効期間が一定の事実の発生によりリセットされ始めから数え直すことです。「時効の中断」は民法改正前の呼び方で、現在は「時効の更新」という制度に変わっています。

 

時効の停止(完成猶予)とは

時効の停止とは、時効による効果を生じさせるのに必要となる時効期間が一定の事実の発生により一時的に完成が猶予されるものです。「時効の停止」は民法改正前の呼び方で現在は「時効の完成猶予」という制度に変わっています。

 

2020年4月の民法改正による変更点

時効制度は民法で基本的な内容が決められています。民法は2020年4月1日から改正法が施行され時効についても変更がありました。

 

旧法における時効の中断、時効の停止

改正前の時効の中断は次のような意味を持っていました。

 

時効の中断

時効の中断とは、改正前の民法において時効期間の進行が一定の事実が生じたことで中断する制度でした。具体的には「完成の猶予」と「時効期間の更新」(期間のリセット)の2つの意味を持っていました。

 

時効の停止

時効の停止とは、改正前の民法において権利者が時効の中断をするのに障害となる事実がある場合に一時的に時効の完成を猶予する制度でした。

 

新法における時効の更新と完成猶予

時効の中断の効果には完成を猶予する部分と時効期間のリセット部分があり分かりづらいという問題がありました。そこで「完成猶予」の部分と「時効期間のリセット」部分が明確に分けられることになりました。時効期間のリセット部分を「時効の更新」、猶予部分については「完成猶予」として整理されました。時効の停止も完成猶予として整理されています。

また改正前に存在した短期消滅時効は複雑であったため廃止されました(改正前に発生した債権については旧民法の期間が適用されます。)。債権の時効期間は原則として5年とされました。

 

債権の消滅時効(原則)

起算点

時効期間

権利を行使できることを知った時から

5年

権利を行使することができる時から

10年

※損害賠償請求権や労働基準法上の債権など例外もあります。

 

損害賠償請求権については「損害賠償請求権とは?損害賠償債権の回収について詳しく解説」をご参照ください。

 

時効が中断(更新)されるケース

時効が中断(更新)されるケースは法律で規定されています(民法147条以下)。

 

債務の承認

債務者が権利を承認すると時効が中断されます。つまり時効期間がリセットされるためその時から時効期間を数え直します。直接権利があることを認める場合だけでなく、支払いの猶予を求めてきた場合や一部弁済をしてきたような場合も権利の承認になります。時効期間満了後に債務を承認するケースもあります。この場合には原則として時効による利益を得られません。時効期間の経過を債務者が知らなかったとしても支払い義務があることを認めたことから債権者としては支払いを受けられることを期待するため信義則上時効を主張できないとされています。債務の承認はできるだけ書面にするなど証拠に残すようにします。

 

<関連記事>債務承認弁済契約書とは?ひな形や印紙について詳しく解説

 

裁判上の請求

訴訟を起こして相手方に請求することで時効の完成が猶予されます。訴えの取り下げなどがあったとしてもその時から6か月を経過するまで時効の完成が猶予されます。確定判決や確定判決と同一の効力を有するもの(裁判上の和解等)により権利が確定したときは時効期間が更新されるためはじめから数え直します。判決や同一の効力をもつものにより確定した権利については10年未満の時効期間のものであっても期間が10年となります(民法169条)。

 

調停・和解

訴え提起前の和解手続きや調停手続きによっても完成猶予や時効の更新が認められます(民法147条1項3号)。和解調書や調停調書は確定判決と同一の効力をもつため調停等により権利が確定したときには時効期間が10年より短いときであっても10年となります。話し合いがまとまらず権利が確定しなかったときには6か月の完成猶予しか認められないため時効期間を更新するには裁判上の請求などが必要となります。

 

<関連記事>債権回収における民事調停とは?手続きの流れを分かりやすく解説

 

支払督促

支払督促は簡易裁判所の書記官から金銭その他の代替物の支払いを命じてもらうものです。支払督促も裁判上の請求と同様に時効の完成が猶予されたり時効期間が更新されたりします。権利が確定せずに終了したときに6か月の完成猶予しか認められないのも同様です。

 

<関連記事>仮執行宣言付支払督促とは?取得する方法と注意点を解説

 

強制執行

強制執行や担保権の実行、財産開示手続によっても時効の中断がなされます。手続き終了まで完成が猶予され終了時から新たに時効期間が進行します。ただし申立ての取下げなどにより終了したときには6か月の完成猶予となります。

 

仮差押え、仮処分

仮差押えや仮処分をするとその事由が終了したときから6か月間時効の完成が猶予されます(民法149条)。

 

催告(裁判外)

債務者に支払いを催促することでも時効の完成が6か月間猶予されます。ただし催告により時効の完成が猶予されているときに再び催告しても完成は猶予されません(民法150条)。口頭でも催告にあたりますが内容証明郵便を使い証拠にすることが重要です。

 

<関連記事>内容証明郵便を出す方法や費用は?弁護士に依頼するメリットも解説

 

協議を行う旨の合意

権利に関して協議を行う旨の合意を書面でしたときにも時効の完成が猶予されます。以下のいずれか早い時まで完成は猶予されます。

 

・合意のあった時から1年を経過した時

・合意の中で当事者が協議する期間(1年未満に限る。)を約束したときはその期間経過時

・一方の当事者から相手に対して協議を続ける意思がないと書面で通知された時から6か月経過した時

※書面には電磁的記録を含む(民法151条4項、5項)。

 

合意による完成猶予中に再度の合意をすることも可能ですが通算で5年までです。催告による猶予中は合意による猶予の効力はありません(民法151条3項前段)。合意による猶予中は催告による猶予もありません(同項後段)。

 

天災その他避けることのできない事変

大地震や戦争などの避けることのできない事変により時効中断の手続きがとれないときには、その障害がなくなった時から3か月経過するまでの間は時効の完成が猶予されます(民法161条)。

 

時効問題は弁護士に相談すべき理由

時効の中断(時効の更新、完成の猶予)は権利を守るために重要な手続きです。長期間支払いが滞っている場合には時効により権利を失う恐れがあります。売掛金や損害賠償請求権など権利によって時効期間が異なることもあります。弁護士に相談することでいつ時効にかかる可能性があるのかアドバイスを受けることができます。時効中断の手続きも種類がありケースによって適切な方法が異なります。弁護士であれば事案に応じて適切な時効中断手続きをとることができます。大切な権利を失わないために不安なことがあれば弁護士に相談されることが大切です。

 

まとめ

・時効の中断とは、一定の事実が生じたときに時効期間をリセットする制度です。現行法では「時効の更新」といいます。旧法の時効の中断は、「完成猶予」と「期間のリセット」の2つの効果がありましたが、改正により「完成猶予」と「時効の更新」に分けて整理されました。

・時効の中断方法には「債務の承認」や「裁判上の請求」などの方法があります。

・時効の中断方法には種類がありケースによって使い分けるため弁護士に相談することが大切です。

 

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時効は何年?種類別の期間や注意事項について分かりやすく解説 https://saiken-kaisyu-law.jp/25042801 Mon, 28 Apr 2025 13:28:49 +0000 https://saiken-kaisyu-law.jp/?p=6585 お金の請求権は何年も放置しているとなくなることがあります。他人の物や権利を自分のものだと思って使っていると権利を取得できることもあります。また刑事事件では何年も解決できないと起訴できなくなることがあります。このような効果 […]

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お金の請求権は何年も放置しているとなくなることがあります。他人の物や権利を自分のものだと思って使っていると権利を取得できることもあります。また刑事事件では何年も解決できないと起訴できなくなることがあります。このような効果をもたらす制度を時効といいます。

時効は身近な問題であり基本的な知識は持っておいた方がいいといえます。

 

この記事では、時効は何年なのかなど主に民事上の時効について解説していきます。

 

時効とは

時効とは、一定の事実状態がしばらく継続している場合に、その事実状態が真実の権利関係と一致しているか否かに関係なく、その状態を法的に保護しようとする制度です。権利を持っているような状態が継続しているのであれば権利者として認められ(取得時効)、権利不行使の期間が継続しているのであれば権利が消滅したものとして扱われることになります(消滅時効)。

 

時効制度の存在理由

民事上の時効制度の根拠は主に以下の3点に求められます。

1.法律関係の安定

長期にわたり継続した事実状態を法的に保護することによって社会秩序を維持する必要がある。

2.権利の上に眠るものは保護に値しない

3.立証の困難性の救済

年月が経過することで真実の権利関係の証明が難しくなることから証明の困難さを救済するため。

 

刑事法上は、長期間の経過によって証拠が散逸して裁判が正しくできなくなる恐れや、年月の経過により刑罰を加える必要性が減るからなどの根拠があります。

 

時効の種類

時効は民事上のものと刑事上のものに大別されます。

 

民事上の時効

民事上の時効は、「取得時効」と「消滅時効」の2種類です。

 

取得時効

取得時効とは、ある人が一定期間権利者として振る舞い続けた場合に権利を取得させる制度です。

 

消滅時効

消滅時効とは、権利を適切に行使しないまま一定期間経過した場合に権利を失わせる制度です。

 

刑事上の時効

刑事上の時効は、「刑の時効」と「公訴時効」の2種類あります。

 

刑の時効

刑の時効とは、刑事訴訟において刑を言い渡されたが刑が執行されずに一定期間が経過したときに刑の執行を免除する制度です。有罪判決確定後に逃亡したような場合です。

 

公訴時効

公訴時効とは、犯罪行為終了時から一定期間起訴されない場合に検察官の訴追権を失わせる制度です。刑事ドラマに出てくる時効は一般的に公訴時効を指しています。

 

事業者が知っておくべきポイント

事業者に関係するのは主に民事上の時効であるため取得時効と消滅時効について詳しく見ていきます。

 

取得時効

取得時効が完成することで物の所有権やその他の財産権を取得することができますが、そのためには以下の要件を満たす必要があります。

 

1.所有の意思をもってする占有があること(自主占有)

所有の意思の有無は占有取得の原因となった事実により客観的外形的に決まります。例えば、賃借人は客観的に見て所有の意思があるとはいえません。

2.平穏かつ公然の占有であること

脅し取ったような場合には平穏とは言えませんし、物を隠していたのであれば公然とは言えません。

3.占有開始時に善意無過失であること(10年の取得時効の場合)

占有開始時に善意無過失だったときは時効期間が10年となります。そうでないときは20年です。権利があると信じ過失がないことを善意無過失といいます。

4.占有期間が一定期間(10年又は20年)継続したこと

※所有権以外の財産権については自己のためにする意思をもって権利を行使することが必要です。

これらの要件を満たした後に時効の援用が必要となります。時効の援用とは、時効により利益を受ける人がその利益を受ける意思を表示することです。

 

消滅時効

権利を持っていても何年もの間放置していると消滅時効にかかることがあります。消滅時効は2020年4月1日に改正法が施行されています。改正前の民法上の時効期間は原則として権利を行使できる時から「10年間」されていましたが変更されています。また改正前は業種ごとに細かく短期消滅時効が規定されていましたが廃止されました。ただし、改正前に発生した債権については旧法の規定が適用されます。

短期消滅時効については、「債権回収、借金には、時効がある!消滅時効とその対処方法について解説!」をご参照ください。

 

現行の民法上の債権消滅時効期間(原則)

起算点

時効期間

権利を行使できることを知った時から

5年

権利を行使することができる時から

10年

 

債権又は所有権以外の財産権の消滅時効期間

起算点

時効期間

権利を行使することができる時から

20年

※所有権は他人に時効取得されることはありますが消滅時効にはかかりません。

 

不法行為の時効期間

 

起算点

時効期間

原則

被害及び加害者を知った時から

3年

不法行為の時から

20年

生命、身体侵害の場合

(債務不履行も同様)

知った時から

5年

権利を行使することができる時から

20年

 

判決で確定した権利の時効期間

確定判決又は同一の効力をもつものにより確定した権利については、10年より短い時効期間の定めがあっても10年となります。権利が公に確定するからです。

 

※時効期間はここに掲げたものだけではありません。例えば、労働基準法上の債権や電子記録債権など時効期間が異なるものがあります。

 

<関連記事>損害賠償請求権とは?損害賠償債権の回収について詳しく解説

 

時効の注意事項

時効は期間が経過しただけでは当然には効果が生じません。時効の効果を得るには援用が必要です。

 

時効の援用

時効の援用とは、時効の利益を享受する旨の意思表示です。「時効により支払い義務はない」、「時効によって権利を取得した」などの意思表示を相手方にすることです。時効の援用は口頭ですることも可能ですが証拠に残すために内容証明郵便を使うことも検討します。

時効を援用する際には時効期間が経過しているかよく確認する必要があります。時効期間や起算点はケースによって異なるため数え間違えることがあります。もし時効の援用に失敗すると時効が迫っていることに相手が気づいて後述する時効対策をとられる可能性があります。

時効期間は更新されることがあるため時効期間がリセットされていることに気づかずに援用してしまうこともあります。

また、時効に関して相手の権利を認めてしまうと時効期間がリセットされる点に注意が必要です。時効期間が経過した後に権利を承認した場合にも援用できなくなります。

 

<関連記事>内容証明郵便を出す方法や費用は?弁護士に依頼するメリットも解説

 

時効を防ぐ方法

何年も権利を行使していないと時効によって失う恐れがあります。しかし当初の時効期間が経過したとしても時効が成立するとは限りません。時効は阻止することが可能だからです。時効を阻止する方法には、「完成猶予」と「更新」の2種類があります。

 

時効の完成猶予

時効の完成猶予は、一定の事実があるときに一時的に時効の完成が猶予される制度です。旧法時代は時効の「停止」といわれていました。

 

完成猶予事由

猶予期間

裁判上の請求、支払督促、訴訟上の和解、民事調停、家事調停、破産手続参加、再生手続参加、更生手続参加

・事由終了まで

・確定判決や同一の効力を有するものにより権利が確定せず事由が終了したときは終了時から6か月経過するまで

強制執行、担保権実行、換価のための競売、財産開示

・事由終了まで

・申立ての取下げや取消しにより事由が終了したときは終了時から6か月経過するまで

仮差押え、仮処分

事由終了時から6か月経過するまで

催告

 

催告から6か月経過するまで

※猶予中の再度の催告は猶予されない

権利について協議を行う旨の書面、電磁的記録による合意

※1再度の合意可能(通算5年以内まで)

※2催告猶予中は合意による猶予はない

※3合意による猶予中は催告による猶予はない

下記のいずれか早い時まで

・合意から1年経過した時

・合意において定めた期間を経過した時(1年未満に限る。)

・一方から協議を拒絶する旨の書面、電磁的記録による通知がされたときは通知から6か月を経過した時

(未成年者・成年被後見人に対する時効)

時効期間満了前6か月以内に法定代理人がないとき

未成年者・成年被後見人が行為能力者となった時又は法定代理人が就職した時から6か月経過するまで

(未成年者・成年被後見人からその財産を管理する父母又は後見人への権利)

 

未成年者又は成年被後見人が行為能力者となった時又は後任の法定代理人が就職した時から6か月経過するまで

(夫婦の一方が他の一方に対して有する権利)

婚姻の解消時から6か月経過するまで

(相続財産に関する時効)

相続人が確定した時、管理人が選任された時又は破産手続開始決定時から6か月経過するまで

天災その他避けることのできない事変

障害が消滅した時から3か月経過するまで

 

時効の更新

時効の更新があると時効期間を最初から数え直すことになります。以前は「中断」といいました。時効を阻止するには時効の更新が重要です。

 

更新事由

効果

確定判決やそれと同一の効力を有するものによる権利の確定※

時効期間のリセット(10年)

強制執行、担保権の実行、換価のための競売、財産開示手続

(申立ての取下げ、取消しがあったときを除く)

時効期間のリセット

債務者による権利の承認

※裁判上の請求、支払督促、民事訴訟法の和解、調停、破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加の場合

 

<関連記事>消滅時効援用における「債務の承認」とは?分かりやすく解説

 

まとめ

・時効とは、一定の事実状態が継続している場合にその状態が真実の権利関係と合致しているか否かを問わず法的な保護を与える制度です。

・時効は民事上の時効や刑事上の時効があります。

・権利を与えるものを取得時効、権利を消滅させるものを消滅時効といいます。時効期間は権利によって異なります。

・時効は援用することで効果が認められます。

・時効期間は猶予されることやリセットされることがあります。

 

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立ち退きとは?正当事由や手続きの流れを解説 https://saiken-kaisyu-law.jp/25042101 Mon, 21 Apr 2025 13:26:20 +0000 https://saiken-kaisyu-law.jp/?p=6582 賃貸している物件を大家さん自身が使いたかったり賃借人に問題行動があったりするときには立ち退きを検討することになります。しかし通常の不動産賃貸借では借地借家法により賃借人が強力に保護されており簡単には立ち退きは実現できませ […]

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賃貸している物件を大家さん自身が使いたかったり賃借人に問題行動があったりするときには立ち退きを検討することになります。しかし通常の不動産賃貸借では借地借家法により賃借人が強力に保護されており簡単には立ち退きは実現できません。

 

この記事では、借地借家法が適用されることを前提に立ち退きに必要な正当事由や手続きについて解説します。

 

立ち退きとは

立ち退きとは、不動産の権利者からの求めによって土地や建物を使用している人に物件から退去してもらうことです。通常は建物や土地を貸している場合に賃貸借契約を解約したり更新を拒絶したりして賃借人に出て行ってもらう場合を指します。

注意したいポイントは「家賃滞納などの契約違反による解除」と「それ以外の立ち退き」の場合とで法的な意味が違うことです。この記事では契約違反以外の建物立ち退きを中心に解説します。

 

契約違反による明け渡しについては、「明け渡し訴訟とは?検討した方が良いケースや手順を解説」をご覧ください。

 

立ち退きにおける正当事由

立ち退きには原則として正当事由が必要とされます。重大な契約違反を理由として賃貸借契約を解除する場合には正当事由はいりませんが、契約期間満了による更新拒絶や契約等に基づく解約(借地借家法27条、民法617条、618条)をする際には原則として正当事由が求められます。正当事由の有無を判断する考慮事情は次のようなものです(借地借家法6条、28条)。

・賃貸人及び賃借人が物件の使用を必要とする事情

・物件の賃貸借に関する従前の経過

・物件の利用状況

・建物の現況

・立ち退き料の有無、金額等

 

契約期間満了

通常の建物賃貸借契約では賃貸借の契約期間が満了したとしても賃貸人は当然には契約の更新を拒絶することができません。賃貸人からの更新拒絶には正当な事由が必要だからです(借地借家法28条)。賃貸人から解約申し入れをする際も同様です。

定期建物賃貸借(同法38条)の場合には期間満了により契約は確定的に終了するため正当事由は不要です。この場合には一定の通知をすれば正当事由なく立ち退きを実現できることになります。また取り壊し予定の建物賃貸借(同法39条)や、一時使用目的の建物賃貸借(同法40条)の場合にも所定時に賃貸借が終了するため正当事由は不要です。

 

借主の問題行動

賃借人の問題行動が賃貸借契約に違反しており債務不履行(契約違反)による契約解除が可能なケースであれば正当事由は不要です。しかし契約違反による建物賃貸借契約の解除には信頼関係の破壊が要件となっています。賃借人の問題行動が信頼関係を破壊する程度のものでないときには債務不履行解除はできませんが、更新拒絶や解約する際の要件である正当事由を支える事情とはなります。

正当事由になりうるものとしては以下のようなものが考えられます。

 

・賃借人の言動により周辺住民から苦情が多く寄せられている

・賃借人の問題行動により入居者が減っている

 

建物の老朽化

建物の老朽化も正当事由を支える事情の一つになります。もっとも建物が古くなっているだけでは正当な事由があるとはいえません。建物が古いからといって危険であるとは限りませんし修繕によって十分維持できることもあるからです。建物の老朽化を理由とした正当事由としては以下のようなものが考えられます。

 

・耐震性能が低く地震による倒壊の可能性が高い

・老朽化による損耗が激しく応急的な修繕では安全性を確保できない

 

土地・建物の使用目的

正当事由を判断する際に特に重要なものが土地や建物を必要とする理由です。この理由は賃貸人の事情だけではなく賃借人が物件を必要とする理由も併せて考える必要があります。賃借人としては住居に使っていたり店舗として営業していたり現に利用しているため立ち退き後の使用目的は正当事由を判断する際に重要となります。正当事由に当たりうる使用目的には以下のようなものが考えられます。

 

・木造アパートを立て替えて収益性の高い高層ビルにする

・家族の療養介護のためにどうしても必要

 

自己使用

立ち退き後の使用目的が賃貸人による自己使用の場合にも正当事由として認められることがあります。もちろん賃借人が物件を必要とする事情など諸般の事情を総合的にみて判断されますが、賃貸人自身が物件を必要とする理由が賃借人の物件を必要とする理由よりも大きければ正当事由として認められやすくなります。例えば賃貸人に下記のような事情があれば正当事由があると認められやすくなります。

 

・家族の療養介護のために他に適当な住居が見当たらない

・経済的に厳しく他に住めるところが見つからない

・物件が通院している病院に近く他に適当な住居がない

 

正当事由は当事者による物件の必要性の軽重だけで決まるわけではありません。建物の安全性や借主の問題行動などはもちろん立ち退き料も重要な判断要素となります。正当事由が弱い場合には立ち退き料で補強していくことなります。ただし立ち退き料は他の正当事由を補完するものに過ぎないため立ち退き料を支払ったからといって当然に正当事由が認められるわけではありません。

 

立ち退き手続きの流れ

正当事由を理由とした更新拒絶や解約による立ち退き手続きの流れを見ていきます。アパートの立ち退きのケースで解説します。

 

立ち退きの通知

契約更新を拒絶するには期間満了の1年前~6か月前までの間に立ち退きを求める通知をすることが必要です(借地借家法26条1項)。期間内に通知しないと更新したものとみなされます。期間の定めがないときには解約申し入れの日から6か月経過により終了します(同法27条、民法617条)。通知の方法は特に規定はありませんが期間を明確にするために書面で行います。更新拒絶や解約の意思表示がなされたという事実と日付を証拠として残すために配達証明付き内容証明郵便を利用した方がいいでしょう。

ただし相手方との関係によっては内容証明での通知の前に立ち退きについての意向を伝えておいた方がいいかもしれません。感情的に反発されてしまい交渉がこじれることもあるからです。書面は相手方にとっても証拠となるため不用意なことを記載しないようにします。

 

<関連記事>内容証明郵便を出す方法や費用は?弁護士に依頼するメリットも解説

 

立ち退きの交渉

書面での立ち退き通知は更新拒絶等の要件ですので交渉の行方にかかわらず必要なものです。しかし立ち退きをうまくいかせるためには話し合いが重要となります。誠意をもって話し合うことで無用なトラブルを避け立ち退きがスムーズにいきやすくなります。お互いの物件を必要とする理由など正当事由の有無について事情を話し合います。他の事情だけでは正当事由が不十分な場合には立ち退き料についても交渉することになります。

 

退去の手続き

立ち退きに合意してもらえたらいつどのような条件で立ち退くかを明記した書面を作成し署名押印をもらうようにします。合意書の内容に基づき立ち退きを進めていきます。

 

立ち退き交渉が決裂した場合

当事者の話し合いで解決できなかったときは裁判所を利用した手続きを検討します。一般的には訴訟か調停手続きを利用することになります。調停手続きは原則簡易裁判所に申し立てをして裁判官や調停委員に間に入ってもらい話し合う手続きです。調停がうまくいかなかったときや話し合いで解決できる見込みがないときには訴訟が選択肢となります。訴訟では正当事由の有無が争われることになります。立ち退き料の提示額も重要なポイントとなります。勝訴して立ち退きが命じられても自分から退去してくれないときには強制執行も行います。

 

長期の家賃滞納などによる債務不履行解除や強制執行については、「アパートの強制退去の流れとその注意点、費用についての詳しく解説」をご参照ください。

 

立ち退き交渉を弁護士に頼むメリット

立ち退きについて弁護士に依頼するメリットには以下のようなものがあります。

 

正当事由を効果的に主張できる

立ち退きの成否は正当事由の有無に左右されます。賃貸人側に有利な事情を効果的に主張することで交渉を有利に進めることが期待できます。

 

交渉を一任できる

立ち退きの交渉は時間や労力だけでなくストレスもかかります。賃借人が感情的に反発することもあるため話し合いは簡単ではありません。知識や経験をもち交渉に慣れている弁護士に依頼することで労力や時間、精神的な負担が軽減されます。

 

法律に基づいた適切な対応ができる

更新拒絶や解約通知、契約違反による解除は法律上の要件を満たさなければ効果が生じません。弁護士であれば法律上の根拠に基づき交渉、各種通知を行うことが可能です。

 

※立ち退きの要件や手続きは建物と土地などケースによって違いがあります。また平成4年7月31日以前に結ばれた契約は旧法が適用され取り扱いが異なることがあります。詳しくは弁護士にご相談ください。

 

まとめ

・立ち退きとは、不動産の賃借人に対して物件から出て行ってもらうことです。

・立ち退きは、「重大な契約違反による契約解除」と、それ以外の「契約更新拒絶・解約」に分けて考えることがポイントです。

・通常の建物賃貸借契約では契約期間が満了しても当然には更新拒絶はできず立ち退きを求めるには正当事由が必要です。

・正当事由の有無は、賃貸人と賃借人双方が物件を必要とする理由などが総合的に考慮されます。立ち退き料の有無や金額も正当事由を補完する事情となります。

・立ち退きは更新拒絶等の通知をすることが必要ですが交渉によって進めることが基本です。

・立ち退き交渉がうまくいかないときは調停や裁判をすることになります。

 

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立ち退き料の相場はいくら?ケース別に分かりやすく解説 https://saiken-kaisyu-law.jp/25041401 Mon, 14 Apr 2025 13:23:55 +0000 https://saiken-kaisyu-law.jp/?p=6578 大家さんの都合で立ち退きを求める際には立ち退き料が必要となるケースが多くなります。立ち退き料は物件の用途によって大きく異なります。また必ず必要というわけでもありません。 この記事では、立ち退き料の法的な根拠や内訳などを解 […]

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大家さんの都合で立ち退きを求める際には立ち退き料が必要となるケースが多くなります。立ち退き料は物件の用途によって大きく異なります。また必ず必要というわけでもありません。

この記事では、立ち退き料の法的な根拠や内訳などを解説していきます。

 

立ち退き料とは

立ち退き料とは、賃借人に物件から立ち退いてもらう場合に賃貸人から賃借人に対して支払われる補償金のことです。立ち退きを求める際には契約期間が満了するだけでは足りず立ち退きを求める正当な事由が必要とされます。立ち退き料は正当事由を補完する事情とされています。賃借人は立ち退きによって移転費用や営業上の損失などが発生するため賃貸人の都合だけでは正当事由が認められにくく立ち退きを求める際には立ち退き料が重要な役割を果たしています。

 

立ち退き料の法的根拠

立ち退き料は退去交渉を進める際に有効な手段となりますが法的にも根拠があります。建物所有目的の地上権・土地賃借権(借地権)や建物賃貸借については借地借家法という法律が関係しますが、借地借家法6条と28条に立ち退き料について書かれています。この条文に書いてある「財産上の給付」が立ち退き料のことです。

 

借地借家法28条(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)

建物の賃貸人による第26条第1項(更新拒絶)の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

※借地権については第6条に同様の規定があります。

 

つまり立ち退きを求めるには正当な事由が必要であり、それを判断するのに立ち退き料も考慮されるという意味です。

 

立ち退き料が不要な場合

立ち退き料が不要なケースもあります。

 

契約違反による解除

長期の賃料滞納など信頼関係を破壊するほどの重大な契約違反による契約解除(民法541条~)の場合には正当事由や立ち退き料は不要です。借地借家法28条における「解約の申入れ」というのは賃貸期間を定めていなかった場合や契約で中途解約を認めている場合の話です(借地借家法27条、民法617条、618条)。

 

定期借家契約等

また定期建物賃貸借(借地借家法38条)、取り壊し予定の建物賃貸借(同法39条)、一時使用目的の建物賃貸借(同法40条)は所定時に契約が終了するので正当事由も立ち退き料も不要です。借地権についても定期借地権(同法23条)、一時使用目的(同法25条)など立ち退き料が不要なケースがあります。また建物所有目的以外の土地賃貸借は借地借家法の対象ではありません。

 

立ち退き要請できる正当事由

立ち退きを求める際に必要な正当事由について説明していきます。建物賃貸借のケースで説明します。

 

契約期間満了

基本的に立ち退きしてもらう機会は賃貸借契約期間が満了するときです。建物の場合期間満了の1年前~6か月前までの間に更新拒絶通知をしなければ契約が更新されます。更新拒絶通知をする際に正当事由が必要となります。契約期間を定めていなかったときや契約で中途解約権を認めている際の解約申し入れをする際にも正当事由が必要です。期間満了自体が正当事由となるわけではありません。

ただし、定期借家契約(借地借家法38条)であれば正当事由は不要であり立ち退き料もいりません。

 

借主の契約違反や問題行動

借主の契約違反や問題行動も正当事由になりえます。契約違反の程度が重く信頼関係を破壊する程度のものであれば正当事由や立ち退き料不要で契約を解除することができます。しかしそこまでに至らない契約違反や問題行動の場合には更新拒絶等の際に正当事由が問題となります。例えば、近隣から苦情が相次いていたり他の入居者が出て行ってしまっていたりするのであれば正当事由を支える事情となります。

 

<関連記事>明け渡し訴訟とは?検討した方が良いケースや手順を解説

 

建物の老朽化

正当事由の判断材料の一つとして「建物の現況」も重要なものです。建物に倒壊の恐れがあるなど危険性があるときには建て替えなどを考えなければならず立ち退きを求める正当な事由となりうるからです。例えば、わずかな地震でも崩れてしまう恐れがあったり、修繕では対応が難しいほど老朽化が進んでいたりするのであれば正当化事由を支える事情となります。

 

土地・建物の使用目的

立ち退きの後にどのように物件を使用していくのかも正当化事由を判断する要素です。立ち退きを求める正当な事由があるというためには、賃貸人と賃借人双方が物件を必要とする理由の重さが重要となります。例えば、賃料収入がわずかしか得られないため再開発により高い収益性が見込める計画があるときは正当事由を支える有利な事情といえます。

 

自己使用

自分や家族が物件を使用したい場合にも正当事由になりえます。ただし単に物件を使用したいというだけでは足りず、あくまでも賃借人が物件を利用したい事情などさまざまな要素を加味して正当事由があるか判断されることになります。例えば、家族の介護のため同居するのに必要であったり、経済的事情や仕事の都合などでその物件がどうしても必要であったりすれば正当な事由として認められやすくなります。

 

<関連記事>家賃滞納されたらどうする?対処法と相談できる窓口をご紹介

 

立ち退き料の内訳

賃借人に契約違反などの責任があるケースを除いて立ち退きには多くの場合立ち退き料が必要となります。立ち退きを求める際に必要な正当な事由を補完するためです。立ち退き料の基本的な考え方は立ち退きに伴う損失補償です。借家権価格(借地権価格)を算定に用いる方法もあります。最終的には裁判官の裁量によって決まるため絶対的な算定方法があるわけではありません。

 

引っ越し・移転費用

立ち退きによって借主は移転を余儀なくされるため引っ越し費用がかかります。荷物の量や移転先までの距離、移転する時期などによって金額は変わります。アパートの立ち退きと大型の店舗として利用していた場合とでは費用に大きな差が出ます。

 

不動産会社への仲介手数料・礼金

移転に伴う費用は引っ越し代だけではありません。不動産を契約する際には仲介業者への手数料や礼金などがかかるため立ち退き料の算定の際に考慮されます。敷金は返還されるので基本的に考慮しません。

 

家賃の差額

同等の転居先であっても現在よりも家賃が高額となることがあります。家賃の差額も借主に不利となるため立ち退き料に含まれます。補償期間は2年程度が一般的です。

 

借家権の補償

借家権(借地権)にも経済的価値があるとして立ち退き料の算定の基礎にしたり含めたりする考え方もあります。

 

<借家権算定方法(割合方式)>

借地権価格=更地価格×借地権割合※1

借家権価格=借地権価格×借家権割合(30%)+(建物価格×借家兼割合(30%)※2)

※1国税庁の路線価図で確認できる。地域により異なるが60%前後が多い。借家権割合は30%が多い。

※2築年の経過した建物の価値は低いため含めないこともある。

 

借家権価格として算定された金額が直ちに立ち退き料になるわけではありません。借家権割合方式には異論もあり否定する裁判例もあります。

 

利益の補償

物件を店舗などとして利用していたときには営業上の損失も立ち退き料として考慮されます。顧客を失うことへの補償、休業中の損失、顧客獲得のための広告費などがあります。

 

ケース別立ち退き料の相場

立ち退き料は具体的な状況によって大きく変わります。算定方式も確立されておらず裁判官によっても変わります。しかし住居や店舗など種類による傾向は参考となります。

 

賃貸アパート・マンション

賃貸マンションに関しては、引っ越し費用、不動産仲介料、家賃差額分が立退料として考えられます。

 

立退料の内訳

引越し費用、不動産仲介料、礼金、家賃差額分等

立退料の傾向

数十万円~200万円程度

 

店舗

店舗として利用されている場合には営業上の損失が発生するため住居よりも立ち退き料が高くなります。店舗の立ち退き料は営業損失によって変わるためケースによって大きく異なります。

 

立退料の内訳

引越し費用、不動産仲介料、礼金、家賃差額分、営業上の損失、新規開店費用等

立退料の傾向

1,000万円~1億円

 

事務所

事務所に関しては店舗と比較すると常連客が離れてしまうリスクは低いですが、面積が広いことが多いため住居よりも立ち退き料は高額となる傾向があります。

 

立退料の内訳

引越し費用、不動産仲介料、礼金、家賃差額分、営業上の損失等

立退料の傾向

600万円~3,000万円

 

駐車場・倉庫

立ち退き料が必要となる法的な根拠は借地借家法にあります。借地借家法の対象となるのは建物賃貸借または建物所有を目的とする土地賃貸借(と地上権)です。そのため更地を青空駐車場として賃貸していたときには立ち退き料は不要です。

賃貸物件が「建物」に当たれば借地借家法の対象となる点には注意が必要です。つまり「建物」を駐車場などとして貸したのであれば立退料の問題が生じます。しかし建物の中の一部(駐車スペース等)については周壁等によって他の部分と区別され独占的排他的支配が可能な状態でなければ独立した「建物」とはいえず立ち退き料は不要です。

 

建物としての駐車場・倉庫の立ち退き料は事業規模などによって大きく異なります。大規模な倉庫や駐車場は代替物件が見つけづらいことや事業と密接に関係しているため場所が制限されるなどの特徴があります。

 

<倉庫・駐車場建物の立退料>

立退料の内訳

引越し費用、不動産仲介料、礼金、家賃差額分、営業上の損失等

立退料の傾向

数十万円~数千万円(事業の内容や規模によって大きく異なる)

 

※立ち退きの要件や手続きは建物と土地などケースによって違いがあります。また平成4年7月31日以前に結ばれた契約は旧法が適用され取り扱いが異なることがあります。詳しくは弁護士にご相談ください。

 

<関連記事>賃貸で立ち退き拒否された際の対処法とは?強制執行までの流れを解説

 

まとめ

・立ち退き料とは、立ち退きを求める際に必要な正当事由を補完するために貸主から借主に対し支払われる補償金です。

・立ち退き料の法的な根拠は借地借家法6条と28条にあります。立ち退き料が不要なケースもあります。

・立ち退き料は引っ越し費用や不動産仲介料、営業補償などを考慮して算出します。

立ち退き料の算定方法は確立されておらずケースによって金額が大きく変わるため専門の弁護士に相談することが大切です。

 

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当事務所は不動産法務に力を入れています。強制的な明け渡しが必要なケースでも執行官と連携しながら迅速、円滑に行っており、明け渡しに関する法律問題に適切に対応し明け渡しを実現することが可能です。

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民事裁判にかかる費用はいくら?相場や誰が払うのかなど詳しく解説 https://saiken-kaisyu-law.jp/25040701 Mon, 07 Apr 2025 13:17:41 +0000 https://saiken-kaisyu-law.jp/?p=6575 裁判をするには裁判所を利用する際の手数料や弁護士に依頼する場合の報酬費用などがかかります。 この記事では、裁判にかかる費用について目安や誰が負担するのかなどを解説します。   民事裁判にかかる費用 裁判を行うには費用がか […]

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裁判をするには裁判所を利用する際の手数料や弁護士に依頼する場合の報酬費用などがかかります。

この記事では、裁判にかかる費用について目安や誰が負担するのかなどを解説します。

 

民事裁判にかかる費用

裁判を行うには費用がかかります。民事裁判の費用は「訴訟費用」と「弁護士費用」の2種類あります。訴訟費用は原則として敗訴者が負担するため弁護士費用と混同しないように注意が必要です。

 

民事裁判の訴訟費用

訴訟費用とは、訴訟のために必要なものとして当事者や裁判所が支出した費用のうち「民事訴訟費用等に関する法律」に規定されているものです。具体的には以下のようなものです。

 

収入印紙代

訴訟を起こすには手数料を裁判所に支払う必要があり基本的に収入印紙で納めます。手数料分の収入印紙を訴状に貼付しますが金額は訴額によって異なります。窓口に持参する場合には貼付しない方がいいでしょう。過大に納付してしまうと還付手続きが必要となります(民事訴訟費用等に関する法律9条)。消印は裁判所が行います。

 

<必要な収入印紙>

目的の価額

手数料額

100万円まで

10万円ごとに1,000円

100万円超500万円まで

20万円ごとに1,000円

500万円超1,000万円まで

50万円ごとに2,000円

1,000万円超10億円まで

100万円ごとに3,000円

10億円超50億円まで

500万円ごとに1万円

50億円超

1,000万円ごとに1万円

 

例えば、300万円の貸金返還請求訴訟を提起する場合には、2万円分の収入印紙が必要です(100万円部分で1万円、100万円超から300万円部分で1万円)。

 

郵便切手代

裁判所と当事者との間で郵便物のやり取りがあるため郵便切手も必要となります。事案にもよりますが数千円程度必要となります。

 

証人の旅費や日当

裁判では証人に証言してもらうこともあります。日当や旅費についても民事訴訟費用等に関する法律で定められています。具体的な金額については裁判所規則の範囲内で裁判所が定めることになっており事案によって異なります。例えば規則で定める日当の上限は8,000円程度となっていますが実際には放棄されることが多いです。

 

裁判記録の謄写手数料等

裁判記録の謄写には費用がかかります。謄写(コピー)には1枚数十円程度は必要です。

 

弁護士費用

民事裁判を弁護士に依頼すると報酬費用も必要となります。

 

法律相談料

弁護士に法律相談をする際には原則として法律相談料がかかります。事務所によって異なりますが大まかな目安は以下の通りです。

 

法律相談料

30分ごとに5,000円~

※事務所や事案によって無料のこともあります。

 

着手金

着手金は弁護士に正式に依頼した時点で発生する費用です。依頼の成否に関係なく発生する費用です。以前は報酬基準が定められていて全国一律の金額でしたが現在は報酬が自由化となり事務所によって異なります。しかし旧報酬基準をもとにしている事務所が多いため下記に示しておきます。

 

<着手金目安>※一般民事訴訟事件

事件の経済的な利益の額

着手金

300万円以下の場合

経済的利益の8%(10万円~)

300万円を超え3000万円以下の場合

5%+9万円

3000万円を超え3億円以下の場合

3%+69万円

3億円を超える場合

2%+369万円

※(旧)日本弁護士連合会報酬等基準参考。経済的利益を算定できない離婚事件などを除きます。実際の費用は事務所によって異なり無料のこともあります。

 

報酬金

事件処理に成功した場合にお支払いいただく費用です。一部成功の場合にも割合に対して発生します。

 

<報酬金目安>※一般民事訴訟事件

事件の経済的な利益の額

報酬金

300万円以下の場合

経済的利益の16%

300万円を超え3000万円以下の場合

10%+18万円

3000万円を超え3億円以下の場合

6%+138万円

3億円を超える場合

4%+738万円

※(旧)日本弁護士連合会報酬等基準参考。経済的利益を算定できない離婚事件などを除きます。実際の費用は事務所によって異なります。

 

日当

遠方への出張が必要なケースでは費用として日当がかかることもあります。数千円~数万円程度が一般的です。

 

交通費などの実費

宿泊費や交通費などがかかることもあります。

 

弁護士費用の相場

弁護士費用は事件の内容によって変わります。費用は事務所によって異なりますが多くの事務所が「(旧)日本弁護士連合会報酬等基準」を参考にしているため目安として示しておきます。

 

債権回収

相談料

30分5,000円以上が目安となりますが一定の条件により無料となる事務所もあります。例えば、多数の未収金の滞留があったり毎月一定額以上の未収金が継続的に発生したりする場合に無料とするところがあります。

 

依頼料

着手金や成功報酬費用がかかります。事務所によっては着手金不要のところもあります。裁判ではなく調停や交渉事件として依頼するときには減額されることがあります。

 

<債権回収目安>※一般民事訴訟事件

事件の経済的な利益の額

着手金

報酬金

300万円以下の場合

8%(10万円~)

16%

300万円を超え3000万円以下の場合

5%+9万円

10%+18万円

3000万円を超え3億円以下の場合

3%+69万円

6%+138万円

3億円を超える場合

2%+369万円

4%+738万円

※(旧)日本弁護士連合会報酬等基準参考。実際の費用は事務所によって異なります。

 

遺産相続

相談料

30分5,000円以上が目安となりますが初回は無料にしている事務所もあります。

 

依頼料

着手金や報酬費用は遺産の時価総額に対して一定の割合を乗じた金額とするところが多いです。遺産分割請求事件では対象となる相続分の時価相当額が基準です。ただし争いのない部分については時価の3分の1が目安です。遺留分減殺請求事件では対象となる遺留分の時価相当額が基準です。着手金の最低金額を20万円以上としている事務所が多くなっています。

 

<遺産事件目安>※一般民事訴訟事件

事件の経済的な利益の額

着手金

報酬金

300万円以下の場合

8%(10万円~)

16%

300万円を超え3000万円以下の場合

5%+9万円

10%+18万円

3000万円を超え3億円以下の場合

3%+69万円

6%+138万円

3億円を超える場合

2%+369万円

4%+738万円

※(旧)日本弁護士連合会報酬等基準参考。実際の費用は事務所によって異なります。

 

離婚関係

相談料

30分5,000円以上が目安となりますが初回は無料にしている事務所もあります。

 

依頼料

離婚交渉・調停の着手金、報酬金はそれぞれ30万円以下が目安とされます。裁判となった場合の弁護士費用はともに40万円以下が目安となります。

 

<(旧)日本弁護士連合会報酬等基準(参考)>

 

調停・交渉

訴訟事件

着手金・報酬金

それぞれ20万円~50万円

それぞれ30万円~60万円

 

財産分与、慰謝料等の請求は上記とは別に債権回収費用が生じます。婚姻費用や養育費については得られた額の10%程度とすることが多く期間は2~5年分くらいが多くなっています。

 

<関連記事>未払いの離婚慰謝料の回収方法|強制執行の流れを解説

 

労働事件

相談料

30分5,000円くらいが目安となりますが初回は無料にしている事務所もあります。

 

依頼料(従業員)

残業代など金銭請求に関しては「債権回収」に当たります。交渉の着手金としては5万円以上、労働審判は10万円以上が目安です。解雇や労働災害のケースでは高めになり、交渉の着手金は10万円以上、労働審判は20万円以上が目安です。裁判では30万円以上が目安となります。

 

依頼料(企業)

日本弁護士連合会の実施したアンケートによると懲戒解雇無効の労働仮処分手続きの申立てのケースでは以下のようになっています。アンケートの実施年が古いため現在は高めになっている可能性があります。

 

 

着手金(回答の割合)

報酬金(回答の割合)

顧問契約がない場合

30万円前後(46.1%)

50万円前後(33.2%)

顧問契約がある場合

30万円前後(31.9%)

20万円前後(31.9%)

「アンケート結果にもとづく中小企業のための弁護士報酬の目安(2009年度アンケート結果版)」に基づく

 

事案にもよりますが顧問契約をしていない場合、総額で80万円~100万円程度が目安となります。

 

<関連記事>給料未払いの相談先は?弁護士・司法書士・労働基準監督署・社会保険労務士のメリット・デメリット

 

交通事故

相談料

30分5,000円くらいが目安となりますが無料にしている事務所もあります。当事務所も無料で受け付けております。

 

依頼料

着手金は10万円以上が目安ですが、無料にしている完全成功報酬制の事務所もあります。損害保険に弁護士費用特約が付いている場合には契約の範囲で保険会社に負担してもらうことができます。

 

<交通事故目安>※一般民事訴訟事件

事件の経済的な利益の額

着手金

報酬金

300万円以下の場合

8%(10万円~)

16%

300万円を超え3000万円以下の場合

5%+9万円

10%+18万円

3000万円を超え3億円以下の場合

3%+69万円

6%+138万円

3億円を超える場合

2%+369万円

4%+738万円

※(旧)日本弁護士連合会報酬等基準参考。実際の費用は事務所によって異なります。

 

当事務所は着手金が無料となっております。お気軽にお問い合わせください。

詳しくはこちらの交通事故サイトをご覧ください。

 

※紹介したものはあくまで一般的な目安であり事務所によって実際の費用は異なります。必ず依頼される前に費用をご確認ください。

 

民事裁判の費用は誰が払うのか

民事裁判の費用の最終的な負担者が問題となります。

 

訴訟費用は負けた側が負担する

裁判所に納める手数料などの費用は原則として敗訴者が負担します(民事訴訟法61条)。ただし訴訟を遅滞させた場合など公平の視点から勝訴者が全部または一部費用の負担を命じられることがあります。

訴訟費用を具体的に請求するには裁判での負担者と割合が決まった後に別の手続きが必要となります。時間や手間がかかるため訴訟費用が少額のケースでは請求しないことも多くなっています。

 

弁護士費用は相手方に請求できない

弁護士費用は相手方に請求できないのが原則です。敗訴者に過剰な負担をかける恐れがあるからです。

ただし不法行為による損害賠償金については弁護士費用も損害額に含まれる余地があり、相当と認められる額の範囲で請求できるとされます(最高裁判所昭和44年2月27日判決)。他にも不法行為と同視できる労災や契約で弁護士費用の負担を定めている場合などで請求できる可能性があります。

 

マンション管理費滞納のケースに関しては、「マンション管理費の滞納を回収する方法|解決策や時効について解説」をご参照ください。

 

民事裁判の費用を抑える方法

民事裁判はご自身で行うことも可能です。

 

少額訴訟の活用

請求金額が60万円以下であれば少額訴訟という簡易な訴訟手続きを利用することができます。弁護士に依頼しなければ裁判にかかる費用が少なくて済みます。

 

<関連記事>少額訴訟のデメリットとは?それでもすべき理由を解説

 

民事調停を申し立てる

裁判所で話し合いによるトラブル解決を目指す手続きを調停といいます。申立て費用は裁判の半額以下となっています。

 

<関連記事>債権回収における民事調停とは?手続きの流れを分かりやすく解説

 

民事裁判費用の負担を訴状に明記する

弁護士費用の請求ができるケースでは明示的に請求していきます。訴訟費用については原則敗訴者の負担となることが法律で決まっているため記載する必要はありませんが、注意的に「訴訟費用は被告の負担とするとの判決を求める」と記載します。

 

<関連記事>債権回収の弁護士費用の相場とは?相談するメリットや安く抑えるコツを解説

 

まとめ

民事裁判の費用は、「訴訟費用」と「弁護士費用」の2種類あります。

・訴訟費用は裁判所を利用する手数料や郵便切手代などがあります。

・弁護士費用には相談料や着手金、報酬金等があります。相談料や着手金は無料のこともあります。

・訴訟費用は原則敗訴者の負担ですが弁護士費用は不法行為などを除き相手に請求できません。

 

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訴訟とは?意味や種類、調停との違いをわかりやすく解説 https://saiken-kaisyu-law.jp/25040101 Tue, 01 Apr 2025 13:13:33 +0000 https://saiken-kaisyu-law.jp/?p=6572 訴訟には種類があり民事事件や刑事事件に対応して手続きが異なります。免許取り消しなどの行政処分に不服があるときには行政訴訟というものもあります。   この記事では、訴訟の意味や種類のほか調停についても解説します。   訴訟 […]

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訴訟には種類があり民事事件や刑事事件に対応して手続きが異なります。免許取り消しなどの行政処分に不服があるときには行政訴訟というものもあります。

 

この記事では、訴訟の意味や種類のほか調停についても解説します。

 

訴訟とは

訴訟の意味は、トラブルの解決のために公の場に訴え出て裁決してもらう手続きのことです。しかし通常はより狭い意味で、「国家機関が紛争解決のために関係当事者を参加させて審理、判断する手続き」のことです。国家機関というのは通常は裁判所のことです。

訴訟という制度がなければ実力で問題を解決せざるを得ません。自分の力で権利を実現することを「自力救済」といいますが、社会秩序が乱れてしまうため原則として禁止されています。訴訟制度があることでトラブルを解決するために自力救済をしなくて済むことになります。

 

訴訟の種類

訴訟は紛争の内容により分類することができます。一般的には民事訴訟、刑事訴訟、行政訴訟の3種類に分けて考えます。

 

民事訴訟

民事訴訟とは、私的な生活関係で生じたトラブルについて裁判所が私法を適用して問題解決を図る手続きです。例えば、契約上のトラブルや損害賠償の問題を解決するために利用されます。

 

刑事訴訟

刑事訴訟とは、犯罪事実の有無を調べて刑罰を科すことの可否を判断したり刑罰の選択をしたりする手続きです。法律家である検察官が起訴することで行われる訴訟です。刑事訴訟において訴えられている人は被告人といいます。

 

行政訴訟

行政訴訟とは、行政庁の権限行使の適法性などを争う場合に行う訴訟手続きです。行政事件訴訟ともいいます。例えば、営業停止命令や課税処分、免許取り消しなどに不服がある場合にその行政処分の取り消しを求めて訴えを起こすような場合です。

 

民事訴訟と刑事訴訟の違い

刑事訴訟は犯罪が疑われる場合に検察官が刑罰の適用を求めて起訴する手続きであり、民事訴訟は私人間の権利関係の争いを解決するものです。そのため両訴訟は関係がないように見えるかもしれません。しかし交通事故のように一つの事件が損害賠償を求める民事訴訟の対象となり、一方で過失運転致死傷罪などとして刑事訴訟の対象となることもあります。民事上の賠償責任を果たすことで刑事上有利になることもあるため刑事事件に当たるケースでは二つの訴訟に注意する必要があります。いずれも訴訟であることから手続きに似ている部分はありますが以下のような点に違いがあります。

 

当事者

民事訴訟ではトラブルとなっている一方の当事者が訴えを提起して手続きが開始されます。訴えを起こした側を「原告」といいます。反対に訴えられた側を「被告」といいます。個人の場合もあれば会社などの法人や団体が当事者となることもあります。

刑事訴訟の場合には誰でも訴えを起こせるわけではありません。刑事事件において裁判を求めて裁判所に申し立てることを公訴といいます。公訴の提起(起訴)は原則として検察官しか行うことができません(起訴独占主義)。訴えられた人は「被告人」といいます。起訴される前に捜査対象となっている人のことは「被疑者」といいます。

 

訴訟の目的

民事訴訟をする意味は、私的な生活関係上の紛争を国家権力によって終局的に解決するためです。お金や物の支払い(引き渡し)を命じてもらったり親子や夫婦関係などの身分関係を確定させたりすることが目的です。

刑事訴訟の目的は、事案の真相を明らかにして刑罰を科すことの是非を判断し適正に刑罰法令を適用実現することにあります。

 

判決内容

民事訴訟における判決は、権利関係の存否を確定させたり相手方に義務の履行を命じたりするものです。特に相手に義務の履行を命じる判決が確定すると債務名義というものになり、相手の財産を差し押さえることができるようになるため重要です。

刑事訴訟における判決は、被告事件が罪とならないときや犯罪の証明がないときには「無罪判決」となり、犯罪の証明があったときには「有罪判決」が出されます。有罪判決のときには刑又は刑の免除を言い渡します。必要に応じて執行猶予や保護観察も言い渡されます。

 

<関連記事>債務名義とは? 取得方法と債権回収までの流れを分かりやすく解説

 

弁護士の役割

民事訴訟は私的なトラブルに過ぎないため弁護士をつけずに訴訟をすることができます。民事訴訟において弁護士をつける意味は訴訟当事者の代理人となり専門的な訴訟手続を本人に代わって行ってもらえることにあります。これにより時間や労力を削減することが可能となり適切な訴訟を遂行しやすくなります。

刑事訴訟において被告人を代理・擁護する人を「弁護人」といいます。弁護人は原則として弁護士でなければなれません。刑事訴訟は刑事罰という重大な結果を招くため専門知識が要求されるからです。民事訴訟においては簡易裁判所では弁護士以外の者が訴訟代理人となれることがあります。

刑事訴訟では長期3年を超える拘禁刑に当たる事件など弁護人がいないと開廷できないケースもあります(必要的弁護事件)。このようなケースでは裁判所(裁判長)が弁護人を選任することがあります(国選弁護人)。

 

<関連記事>金銭トラブルに強い弁護士とは?依頼するメリットや選び方を解決

 

訴訟の基本的な流れ

民事訴訟の基本的な流れは以下の通りです。貸したお金を返してもらえないケースを想定して説明します。

 

訴状の提出

訴状を作成して管轄の裁判所に提出することで手続きを開始します。訴訟物の価額が140万円以下であれば簡易裁判所に管轄があり、それ以外のときは地方裁判所に管轄があるのが基本です。土地管轄については基本的に債務者の住所地を管轄する裁判所ですが、債権者の住所地を管轄する裁判所に手続きをとることも可能です(ただしケースによって異なります。)。

 

審理

訴状など必要書類を提出して訴えを提起すると期日が指定され被告に呼び出し状が送付されます。指定された期日にお互いの言い分や証拠が審理されることになります。言い分は訴状や準備書面に記載して提出するため書面でのやり取りが基本となります。弁護士が代理人となっているときは直接話を聞く必要がある場合を除き依頼人は出席する必要はありません。

 

判決

裁判所が十分審理を尽くしたと判断すれば判決手続きに移ります。原告が勝訴して判決が確定すれば強制執行できることになります。裁判所から和解を提案されることもあります。お互いに譲歩できる余地があるのであれば早期に解決できることや相手が任意に約束を果たしてくれる可能性もあるため和解に応じることも選択肢となります。

判決内容に不服があるときには原則として控訴することが可能です。控訴は判決送達日の翌日から起算して2週間以内に手続きする必要があります。控訴状は第一審裁判所に提出します。

 

訴訟について詳しくは、「債権回収の裁判(民事訴訟)知っておきたいメリットとデメリット、手続き、流れを解説」をご覧ください。

 

訴訟と調停の違い

トラブル解決の手段としては訴訟のほかに調停という手続きもあります。調停には民事調停や家事調停などがありますがここでは基本的な調停である民事調停に触れていきます。

 

民事調停とは

民事に関するトラブルについて裁判所で話し合ってお互いが合意することで解決を図る制度です。話し合いは法律家である調停主任と調停委員と呼ばれる一般市民に加わってもらい進行します。裁判と違い白黒決着をつけるようなものではないため実情にかなった円満な解決も期待できます。

 

民事調停のメリット

訴訟を起こすには訴状の作成が必要ですが、民事調停は特別な法律知識は不要であり簡易裁判所の窓口に置いてある申立用紙によりおひとりで申立てすることもできます。

訴訟よりも調停の方が申立費用は安くなっています。調停の期間は一般的に申し立てから3か月以内に終了することが多くなっています。ただし訴訟も事案が簡易なケースでは早期に終了することもあります。

訴訟の場合には公開の法廷で手続きが進行しますが調停の場合には非公開で行われるため秘密が守られます。調停委員には守秘義務もあります。

訴訟では判決が出るため途中で和解しないときには勝ち負けによる決着となります。調停では話し合いで解決を目指すため柔軟な解決がしやすくなります。

 

調停について詳しくは、「債権回収における民事調停とは?手続きの流れを分かりやすく解説」をご覧ください。

 

まとめ

・訴訟の意味は、トラブルを解決するために当事者が国家の裁判機関に申し立てをすることで行われる法律関係を確定させる手続きのことです。自力救済が原則禁止されるため必要な制度です。

・訴訟はトラブルの種類により分類することができます。一般的に「民事訴訟」、「刑事訴訟」、「行政訴訟」の3種類に分類されます。

・民事訴訟は、私的な生活関係のトラブルを扱うもので裁判所が私法を適用して解決をする訴訟です。契約や家族の問題、損害賠償請求などを扱います。

・刑事訴訟では犯罪事実の有無を調べて刑罰を科すことの可否や種類の選択が行われます。

・行政訴訟は、行政庁の権限行使の違法性を争う際などに利用されます。免許取り消しなどの行政処分の取り消しを求める際に利用されます。

・民事訴訟を行う意味としては、勝訴判決を得ることで権利を実現するために強制執行できるようになることが挙げられます。

 

訴訟でお悩みなら弁護士法人東京新橋法律事務所

当事務所では、企業法務だけではなく個人の方からのご相談も受け付けております。借金や交通事故、不動産、離婚問題などのほか刑事事件の被疑者になってしまった場合、ご家族が逮捕されて何をすればよいのかわからないなど、刑事訴訟の相談もお受けしております。

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企業の担当者の方から個人の方まで法律トラブルでお困りの方はお気軽にご相談ください。依頼者の立場に立って、親切な対応と丁寧なご説明を心がけ、ご依頼案件の迅速な対応に努めさせていただきます。

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準消費貸借契約書とは?債務承認弁済契約との違いなど分かりやすく解説 https://saiken-kaisyu-law.jp/25033001 Sat, 29 Mar 2025 23:03:03 +0000 https://saiken-kaisyu-law.jp/?p=6565 取引先から代金の支払いが遅れているような場合には利息を付してお金を貸しつけた扱いにすることがあります。あるいは何度もお金の貸し借りをしているような場合に一つの契約にまとめ直すこともあります。このような場合に作成するのが準 […]

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取引先から代金の支払いが遅れているような場合には利息を付してお金を貸しつけた扱いにすることがあります。あるいは何度もお金の貸し借りをしているような場合に一つの契約にまとめ直すこともあります。このような場合に作成するのが準消費貸借契約書です。

 

この記事では、準消費貸借契約書についてひな形などを含めて解説します。

 

準消費貸借契約書とは

消費貸借契約とは、当事者の一方が種類や品質、数量の同じ物を返す約束で相手から金銭などの代替可能な物を借り受けることです(民法587条)。普通はお金が対象となります。つまりお金の貸し借りのことを法律上は金銭消費貸借契約といいます。

何かを貸し借りすることについては「賃貸借契約」もあります。賃貸借契約の場合には借りている物自体を約束した期限に返還することになります。ですが消費貸借契約については借りた物自体は「消費」することが予定されており、実質的に同じものを返還すればよい契約です。

例えば、現金を借りたのであればだれかに支払うはずであり借りた物自体は手元にありません。貸主としては貸した物そのものにこだわりはなく実質的に同じものを返してもらえれば満足できる点に特徴があります。

準消費貸借契約とは、金銭やその他の代替可能なものを給付する義務を負う者がいる場合に、その物を消費貸借の目的にすることです。例えば、物を売却したが相手が期限までに代金を支払えないためお金を貸したことにして利息を定めるような場合です。

つまり準消費貸借契約書とは、相手が契約などによってお金を支払う義務がある場合に、そのお金を貸しつけたことにしたことを示す契約書です。

 

債務承認弁済契約との違い

債務承認弁済契約とは、契約や不法行為などによって支払いをしなければならない義務について確認をし、またどのような方法で支払い(弁済)をしていくのかを約束することです。例えば、慰謝料の支払い義務が相手にある場合に、どれだけの支払い義務があるのか明確にする必要があるときや支払方法(振り込みなのか手渡しなのか分割なのかなど)を定める必要があるときに利用されます。

これに対して準消費貸借契約書の場合には既存の債務を確認することは同じですが、それまでの債務の代わりに新たな債務を生じさせる点に違いがあります。

単なる債務承認や支払方法の変更ではなく新たにお金を貸しつけたとみられるときは準消費貸借契約書を作成することになります。

 

<関連記事>慰謝料の回収方法とは?請求相手が自己破産した場合の対処法について解説

 

準消費貸借契約書のメリット

準消費貸借契約書を作成するメリットとして複数の債権債務を1本化できることが挙げられます。例えば、何度もお金の貸し借りをしていたり売掛金が複数生じていたりすると今いくらの債務があるのか分かりにくくなります。そこで準消費貸借契約として一つにまとめてしまえば債権管理が容易となります。

準消費貸借契約書を作成することで債務が明確になるため債務者の自覚を促し支払いをしてもらいやすくなります。

準消費貸借契約書を作成することで訴訟が必要となった際の証拠にすることもできます。また時効対策としての意味もあります。

 

<関連記事>消滅時効援用における「債務の承認」とは?分かりやすく解説

 

準消費貸借契約書に記載する内容

準消費貸借契約は、既に存在している債務を消費貸借の目的とするものです。つまり旧債務を新債務に移すことになります。そのため準消費貸借契約書では旧債務を特定しなければなりません。どのように特定するか絶対的な方法があるわけではありませんが、他の債務と誤認しない程度に特定する必要があり、金額やいつ発生したどのような種類の債務なのかなどを記載することになります。例えば、売掛金であれば「〇年〇月〇日から〇年〇月〇日までの〇〇売買契約」などと特定していきます。

お金を貸したことにする金額はいくらなのかを示すため、未払いの残債務金額も記載します。

利息や遅延損害金を記載する際には利息制限法の範囲内でのみ有効となる点に注意が必要です。

債務者の信用状態が悪化した場合に直ちに残債務全額を請求できるようにするために期限の利益喪失条項も重要です。

 

<関連記事>売掛金の回収に対する利息(遅延損害金)は、とることができるのか?

 

準消費貸借契約書のひな形

準消費貸借契約は既存の債務を新債務にする重要なものであり書面を作成することが大切です。どの債務が新債務に移るのかが明確でなければ契約が無効となるおそれもあります。準消費貸借契約書のテンプレートを以下に記載します。

 

<準消費貸借契約書(記載例)>

準消費貸借契約書

貸主〇〇〇〇(以下、「甲」という。)及び借主〇〇〇〇(以下、「乙」という。)は、以下の通り準消費貸借契約を締結した。

第1条(既存債務の確認)

甲及び乙は、乙が甲に対して、(〇年〇月〇日付)〇〇契約に基づく債務として、金〇万円の支払債務を負っていることを確認する。

第2条(準消費貸借)

甲と乙は、〇年〇月〇日、前条の乙の甲に対する債務を消費貸借の目的とし、借入金債務とすることに合意する。

第3条(返済方法)

乙は、甲に対し、前条の借入金を次の通り分割し、甲の指定する下記金融機関の口座に振り込む方法で支払う。振込手数料は乙の負担とする。

1 〇年〇月から〇年〇月まで毎月末日限り、金〇万円

振込先:〇〇銀行〇〇支店(普通預金)口座番号〇〇〇〇〇〇

第4条(利息)

第2条の借入金の利息は、年〇パーセントの割合とし、毎月末日限り、当該月分を元金とともに支払う。

第5条(期限の利益喪失)

乙は、以下のいずれかの事由が生じたときは、甲から何らの催告を受けることなく、甲に対する一切の債務について期限の利益を喪失し、直ちに元利金を返済しなければならない。

1 乙が第3条の分割金の支払いを2回以上怠ったとき

2 乙が、差押え、仮差押え、仮処分若しくは競売の申立て、又は公租公課の滞納処分を受けたとき

3 乙が、破産手続開始又は民事再生手続開始の申立てを受けたとき

4 その他乙の信用状態が悪化したとき

第6条(遅延損害金)

乙は、期限の利益を喪失したときは、期限の利益を喪失した日の翌日から支払済みまで、年〇パーセントの割合による遅延損害金を支払う。

この契約を証するため本契約書2通を作成し、各自その内容を確認し署名押印の上、各1通を所持する。

〇年〇月〇日

甲(貸主):住所

氏名 〇〇〇〇 印

乙(借主):住所

氏名 〇〇〇〇 印

 

必要に応じて連帯保証人や裁判管轄などの条項を入れていきます。

 

※記載例はあくまで参考です。必ず実際の契約内容に合わせて適切なものを作成してください。自信のない方は弁護士にご相談ください。

 

<関連記事>契約書作成におけるチェックポイントと注意事項を解説

 

準消費貸借契約書の印紙税

準消費貸借契約書は印紙税法別表の課税物件である消費貸借契約書に含まれるため収入印紙の貼付消印が必要となります。

債務承認弁済契約書の場合には課税物件にあたらないときには収入印紙が不要です。課税物件にあたる契約で原契約書を作成し印紙税を納付済みの場合には200円の収入印紙が必要とされます。未納付の場合には本来の契約金額に応じた収入印紙がいります。

 

準消費貸借契約書の場合には、印紙税法別表に記載のある契約金額に応じた収入印紙が必要です(印紙税額一覧表)。

例えば、50万円を超え100万円以下のものは1,000円、100万円を超え500万円以下のものは2,000円が必要です。

 

ただし、収入印紙の貼付や消印を忘れたからといって準消費貸借契約書自体が無効となるわけではありません。貼付を忘れたときは印紙税の3倍の過怠税が徴収される可能性があります。

 

※印紙税は令和6年11月18日時点のものです。実際の取り扱いはケースによって異なるため国税庁ホームページをご確認ください。

 

まとめ

準消費貸借契約とは、金銭その他の代替物を給付する義務を負う者がいる場合に、その物を消費貸借の目的にすることであり、その内容を書面にしたものを準消費貸借契約書といいます。

・債務承認弁済契約は、既存の債務を確認し弁済方法を定めるものです。準消費貸借契約は利息をつけるなどして新たな貸付債務を生じさせる点に違いがあります。

・準消費貸借契約書を作成するメリットとして、複数の債務を1本化できること、法的手続きが必要となった際の証拠にできることなどがあります。

・準消費貸借契約は既存債務を消費貸借の目的とするため、準消費貸借契約書を作成する際は既存債務を誤認のない程度に明確に特定する必要があります。

・準消費貸借契約書に利息を記載する際は利息制限法の範囲内である必要があります。

・準消費貸借契約書には消費貸借契約書と同じ収入印紙が必要です。

 

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連帯保証人とは? 民法改正による変更点について解説 https://saiken-kaisyu-law.jp/25032801 Thu, 27 Mar 2025 23:00:17 +0000 https://saiken-kaisyu-law.jp/?p=6562 連帯保証人はお金の貸主や大家さん、経営者にとっては思わぬ損害に対処するための防衛策として重要なものです。しかしトラブルが実際に生じたときに連帯保証人が支払いできないのでは意味がありません。連帯保証契約に不備があるときや連 […]

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連帯保証人はお金の貸主や大家さん、経営者にとっては思わぬ損害に対処するための防衛策として重要なものです。しかしトラブルが実際に生じたときに連帯保証人が支払いできないのでは意味がありません。連帯保証契約に不備があるときや連帯保証人に資力がないときには債権を回収することができません。

 

この記事では、連帯保証人について保証人との違いや民法改正による影響などを解説していきます。

 

※借金などの債務の返済ができずお困りの方はこちらの記事をご参照ください。

 

連帯保証人とは

連帯保証人とは、主たる債務者(本来責任を負う人)と一緒になって債務を保証する保証人のことです。連帯して債務を保証するため主たる債務者と同様の責任を負います。

もともと保証人は債務者が支払いできなくなったときに補充的に責任を負う立場ですが、連帯保証人の場合には債務者と責任の上では特に違いがないため、債権者としてははじめから連帯保証人に支払いを求めていくことも可能となります。実際にはまず債務者に請求することが一般的ですが請求の順序を気にしなくてよくなるため債権回収のハードルが下がります。通常は保証人といえば連帯保証人のことを指すことが多くなっています。後述しますが債権回収をしやすくする目的で保証人が必要となりますが、連帯保証人でなければ債権回収に手間や時間がかかりやすいからです。

連帯保証人に限らず保証契約は書面でしなければ効力が認められません(民法446条2項)。

 

連帯保証人になれる人

連帯保証人となる資格は原則として特にありません。ただし、保証人を立てる義務が債務者にあるケースでは、連帯保証人が「行為能力者であること」や「弁済をする資力があること」が求められています(民法450条1項)。

また、ローンや奨学金を申し込む際や不動産を借りる際などに債権者から連帯保証人の資格が指定されることがあります。一般的には下記のような方が連帯保証人の条件となっています。

 

・4親等以内の親族であること

・主債務者の役員であること(主債務者が法人の場合)

・高齢ではないこと

・安定した収入や十分な財産があること

・所得証明書、預貯金残高証明書、固定資産評価証明書等の提出ができること

・日本国内に住んでおり連絡が取れること

・連帯保証人となることの意味を理解した上で承諾していること

など

※上記の要件が必ず必要となるわけではありません。

 

連帯保証人になれない人

債権者によっては連帯保証人として認めてもらえない方もいます。以下のような方は連帯保証人になれないことがあります。

 

・安定した収入や十分な財産がない人

・4親等以内の親族でない人

・自己破産など債務整理中の人

生計が同じ人

・制限行為能力者(未成年者等)

・高齢者(65歳以上等)

など

※ここに示した方が絶対に連帯保証人になれないわけではありません。例えば、高齢者であっても十分な財産を証明することで認められることもあります。

 

連帯保証人と保証人の違い

連帯保証人と保証人はいずれも主たる債務者の支払い義務を保証することは同じです。債務者が責任を果たさなければいずれも自分の財産をもって返済することになります。保証人が支払いをしたときは主たる債務者に求償していくことができます。

違いがあるのは、「催告の抗弁権」、「検索の抗弁権」、「分別の利益」という権利についてです。通常の保証人にはこれらの権利が認められていますが連帯保証人には認められていないのです。

 

催告の抗弁権

催告の抗弁権とは、債権者が保証人に債務の履行を求めた際に、「とりあえず債務者に請求してください」といえる保証人の権利のことです(民法452条)。保証人は債務者が支払わないときに代わりに義務を果たせば良いからです。しかし連帯保証人は主たる債務者と連帯して責任を負うため催告の抗弁権が認められていません。

 

検索の抗弁権

検索の抗弁権とは、債権者が保証人に債務の履行を求めた際に、「とりあえず債務者の財産を差し押さえてください」といえる保証人の権利のことです(民法453条)。保証人は二次的な責任を負う者であって債務者に財産があるならそこから回収するのが基本だからです。ただし、この権利が認められるには条件があり、保証人が、「債務者に弁済可能な資力があること」と、「強制執行が容易であること」を証明しなければなりません。

しかし連帯保証人は主たる債務者と連帯して保証しているため検索の抗弁権が認められていません。

 

分別の利益

分別の利益とは、保証人が複数人いるケースではそれぞれの保証人は、主たる債務について保証人の数で平等に分割した額についてのみ責任を負うことをいいます(民法456条、427条)。例えば、200万円の債務について二人の保証人がいるときは、各保証人は原則として100万円の責任を負えば足ります。しかし連帯保証人は主債務者と連帯責任を負っているため分別の利益が認められません。

 

 

保証人

連帯保証人

催告の抗弁権

ある

ない

検索の抗弁権

ある

ない

分別の利益

ある(例外456条、427条)

ない

 

本来保証人は債務者が義務を履行しないときに責任を果たせばいいはずです(補充性)。

しかし連帯保証人は債務者と同等の責任を負うことを約束しているため分別の利益がなく、補充性もないため催告の抗弁権や検索の抗弁権が認められません。

 

民法改正による変更点

2020年4月1日に保証人に関する法律の改正がありました。連帯保証人の中には責任の重さを十分に理解せずに契約してしまったり、責任の重さ自体は理解していたものの聞いていた話よりも不利な債務を保証してしまったりするなど連帯保証人の保護が不十分でした。そこで連帯保証人の保護が特に必要なケースで取り扱いに変更が生じています。

 

極度額のない個人根保証契約は無効

2020年4月1日以降に結ばれる個人根保証契約についてはすべて極度額の設定が必要となります(民法465条の2第2項)。それまでも貸金等債務に関する保証契約に関しては極度額が必要でしたが範囲が広がりました。

根保証とは、一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約のことです。身元保証や賃貸借契約、事業用融資などで利用されます。つまり将来的にいくらの債務になるのかわからないという特徴があります。金額による制限がないと連帯保証人が予期しないような大きな負債を抱える恐れがあります。

そこで個人が保証人となる根保証契約については責任の上限額(極度額)を定めることが必要となりました。極度額は書面で明確に定めなければ効力が生じません(同条3項、446条2項)。

 

公証人による保証意思確認手続き

個人が事業上の貸金等債務を主な債務とした保証契約を結ぶ前提として、公証人による保証意思確認手続きが定められました((民法465条の6第1項))。連帯保証人となる危険性を理解せずに多額の債務を背負いやすい事業上の融資保証をしてしまうことを防ぐためです。そのため事業と深い関係にある以下のような人たちに関しては手続きが不要とされています。

 

<公証人による意思確認手続がいらない人>

主債務者が法人

理事、取締役、執行役等、総株主の議決権の過半数を有する者等

主債務者が個人

共同事業者、主債務者が行う事業に現に従事している主債務者の配偶者

 

連帯保証人への情報提供義務

主債務者が事業のために負担する債務に関して個人に連帯保証人を依頼する場合には、以下の内容についてあらかじめ伝える必要があります(民法465条の10第1項)。

 

・財産及び収支の状況

・主たる債務以外に負担している債務の有無とその額及び履行状況

・主たる債務の担保として他に提供し又は提供しようとしているもの

 

仮に上記の事項について情報を提供しなかったり、事実と違う内容を伝えたりしたことで依頼を受けた人が誤解をして連帯保証人となった場合には、債権者が情報提供の不備を知っていたり知ることができたときは、連帯保証人は保証契約を取り消すことができます(民法465条の10第2項)。

 

主たる債務者が契約で定められた義務を怠るなどして本来の支払期限前に一括返済を求められることがあります(期限の利益の喪失)。期限の利益を失えばその分遅延利息も増えてしまうため保証人は思わぬ多額の請求を受ける恐れがあります。それゆえ個人が連帯保証人のケースでは主たる債務者が期限の利益を喪失した場合、債権者は連帯保証人に対し、利益の喪失を知った時より2カ月以内にそのことを通知しなければなりません(民法458条の3第1項)。

 

<関連記事>保証契約とは?連帯保証契約との違いや民法改正のポイントを分かりやすく解説

 

まとめ

・連帯保証人とは、主債務者と連帯して保証債務を負う保証人です。つまり債務者と同等の責任があります。

・連帯保証人の資格が指定されていることがあります。一般的には未成年者でないことや安定した収入や財産があること、高齢でないこと、親族であることなどが求められます。

・連帯保証人は保証人と違い補充性がないため「催告の抗弁権」、「検索の抗弁権」が認められません。また「分別の利益」もありません。

・民法改正により個人根保証契約では極度額の定めが必須となりました。

・個人が事業上の貸金等債務を主な債務とした連帯保証人となるには原則として公証人による保証意思確認手続きが必要です。

 

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債務承認弁済契約書とは?ひな形や印紙について詳しく解説 https://saiken-kaisyu-law.jp/25032201 Fri, 21 Mar 2025 22:58:09 +0000 https://saiken-kaisyu-law.jp/?p=6559 お金の貸し借りなどの際に契約書を作成していなかった場合や、不法行為による損害賠償金が発生しているときには、支払義務や支払方法を明確にすることが大切です。契約書があっても返済が滞っているケースなど債務や支払期日などが不明確 […]

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お金の貸し借りなどの際に契約書を作成していなかった場合や、不法行為による損害賠償金が発生しているときには、支払義務や支払方法を明確にすることが大切です。契約書があっても返済が滞っているケースなど債務や支払期日などが不明確なこともあります。このような場合には「債務承認弁済契約書」の作成を検討します。

 

この記事では、債務承認弁済契約書についてひな形などを含めて解説します。

 

債務承認弁済契約書とは

債務承認弁済契約とは、契約や不法行為などによって生じた債務について、今現在どのような債務を負っているのかを明確にし、今後どのように弁済していくのかを定める契約のことであり、その内容を書面にしたものを債務承認弁済契約書といいます。

支払いが滞っている売掛金や貸付金、不法行為などの損害賠償金について残額がいくらあるのか、また履行方法を確定させる際に利用されます。ほかにも契約書や借用書を作成していなかった場合に債務と履行方法を証拠に残すために作成することがあります。

また当初の弁済方法を変更するときにも債務承認弁済契約書は活用されます。

 

金銭消費貸借契約書との違い

金銭の貸し借りをする際に作成される契約書を「金銭消費貸借契約書」といいます。債務承認弁済契約書は金銭の貸し借りだけでなく売買代金や損害賠償金など債務全般が対象となります。

金銭の貸し借りの場合でも貸付けの時点で契約書を作成していなかったり、条件が不明確であったりした場合にも債務承認弁済契約書を作ることがあります。金銭消費貸借契約書があるときであっても支払いが遅れているときには債務の明確化や時効対策のために債務承認弁済契約書を作成する意味があります。

 

<関連記事>お金を貸した後でも借用書は作成できる?貸し借り後の書類作成を分かりやすく解説

 

準消費貸借契約書との違い

消費貸借というのは金銭などの代替の利くものを貸し借りすることです。準消費貸借というのは金銭などの代替の利くものを給付する義務がある場合に、その物を消費貸借の目的にすることです。例えば、売買代金の支払い義務が相手にある場合に新たに利息をつけてお金を貸したことにする場合です。

一方で債務承認弁済契約は既存の債務を確認して履行方法を定める契約です。

 

債務承認弁済契約書を作成するメリット

債務承認弁済契約書には以下のようなメリットがあります。

 

契約後でも作成できる

債務承認弁済契約書はお金を貸した後など契約後であっても作成できます。売買など通常の契約は書面を作成しなくても成立します(保証契約など例外はあります。)。お金の貸し借りなどの際に契約書を作成しなかったとしても債務承認弁済契約書を作成することで証拠に残すことができます。

 

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公正証書だと強制執行しやすくなる

債務承認弁済契約書は公正証書によって作成することもできます。債務承認弁済契約書を公正証書によって作成し、支払いを怠った場合には直ちに強制執行に服する旨が記載されていると相手の財産を差し押さえることが可能となります。通常は訴訟を起こして支払いを命じる判決をもらわないと相手の財産を差し押さえることはできませんが、あらかじめ公正証書により契約書を作成しておくことで訴訟の手間が省けることになります。ただし、効果が強力であり債務者としてはいつ強制執行を受けるかわからないため公正証書の作成に協力してくれるとは限りません。

 

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連帯保証人の設定が可能

元の契約について書面がないと連帯保証契約を結ぶことが難しくなります。どのような債務について保証するのかわからないからです。保証契約自体も書面でしなければ効力が生じないことになっています(民法446条2項)。元の契約について書面がなかったとしても債務承認弁済契約書を作成することで連帯保証契約がしやすくなります。

 

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消滅時効のリスクを減らせる

お金などを請求する権利には時効があります。一定の期間が経過すると時効により権利を失うことがあります。ただし時効は一定の出来事があると期間がはじめから数え直すことになっています(時効期間の更新)。債務者が債務を承認することも更新事由の一つです。そのため時効期間が迫っているときには債務承認弁済契約書を作成することで時効対策となります。

 

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債務承認弁済契約書のひな形

債務承認弁済契約書には以下のような内容を記載します

・債務の発生原因(誤認しないように債務の性質、日付等で特定します。)

・債務を承認した事実と日付(〇年〇月〇日現在)

・承認日現在の債務残高

・返済方法(一括・分割、返済金額、返済期日、支払方法等)

・遅延損害金

・期限の利益喪失

・債権者の署名押印

・債務者の署名押印

 

債務承認弁済契約書のテンプレートは以下のようなものです。

 

<記載例>

債務承認弁済契約書

債権者〇〇〇〇(以下、「甲」という。)及び債務者〇〇〇〇(以下、「乙」という。)は、以下の通り債務承認弁済契約を締結した。

第1条(債務の確認)

甲及び乙は、〇年〇月〇日現在、乙が甲に対して、(〇年〇月〇日付)〇〇契約に基づく債務として、金〇万円の支払債務を負っていることを確認する。

第2条(弁済期日及び弁済方法)

乙は、甲に対し、第1条の金員を次の通り分割し、甲の指定する下記金融機関の口座に振り込む方法で支払う。振込手数料は乙の負担とする。

1 〇年〇月から〇年〇月まで毎月末日限り、金〇万円

振込先:〇〇銀行〇〇支店(普通預金)口座番号〇〇〇〇〇〇

第3条(期限の利益喪失)

乙は、以下のいずれかの事由が生じたときは、甲から何らの催告を受けることなく、甲に対する一切の債務について期限の利益を喪失し、直ちに債務を弁済しなければならない。

1 乙が第2条の分割金の支払いを2回以上怠ったとき

2 乙が、差押え、仮差押え、仮処分若しくは競売の申立て、又は公租公課の滞納処分を受けたとき

3 乙が、破産手続開始又は民事再生手続開始の申立てを受けたとき

4 その他乙の信用状態が悪化したとき

第4条(遅延損害金)

乙は、期限の利益を喪失したときは、期限の利益を喪失した日の翌日から支払済みまで、年〇パーセントの割合による遅延損害金を支払う。

この契約を証するため本契約書2通を作成し、各自その内容を確認し署名押印の上、各1通を所持する。

〇年〇月〇日

甲(債権者):住所

氏名 〇〇〇〇 印

乙(債務者):住所

氏名 〇〇〇〇 印

※事案によって適切な記載は異なります。実際に債務承認弁済契約書を作成するときは弁護士にご相談ください。

 

契約書一般の注意事項については、「契約書作成におけるチェックポイントと注意事項を解説」をご参照ください。

 

債務承認弁済契約書に印紙は必要か

債務承認弁済契約書についても収入印紙が必要となることがあります。

対象の債務を生じさせた契約が印紙税法別表の課税物件名に記載されている契約に当たれば課税される可能性があります(印紙税額一覧表)。

 

原契約書が未作成または印紙税を納付していない場合

原契約が金銭消費貸借契約や不動産売買契約など課税物件に当たる場合には、印紙税が未納付のため本来の契約書に貼付すべき収入印紙が必要となります。

 

原契約書が作成済みで印紙税も納付済みの場合

原契約書のうち重要な事項に変更がある場合には課税対象となります(国税庁「No.7127契約内容を変更する文書」)。重要な事項については「印紙税の手引き(国税庁)」において「支払方法や支払期日」などが例示されています。

印紙税額は契約金額によって変わりますが、通常の債務承認弁済契約書はすでに成立している消費貸借契約等の債務額を確認するものにすぎず、契約金額を変更したり新たに成立させたりするものではありません。そのため「契約金額の記載のない契約書」として、200円の収入印紙が必要となります。

ただし、原契約書に契約金額の定めがない場合には債務承認弁済契約書により契約金額が証明されるため「契約金額の記載のある契約書」として課税されます。

 

動産の売掛金債務や不法行為に基づく損害賠償債務の場合

不法行為に基づく損害賠償債務や動産売買の売掛金債務など課税物件にあたらないものは収入印紙が不要です。

 

※印紙税は令和6年11月18日時点のものであり内容について保証するものではありません。実際の取り扱いはケースによって異なるため国税庁ホームページをご確認ください。

 

まとめ

債務承認弁済契約書とは、既発生の債務の内容や金額を確認するとともに弁済方法を定める契約書のことです。契約書がない場合や支払方法が不明確な場合などに作成されます。

・債務承認弁済契約書を公正証書で作成することで強制執行がしやすくなります。そのため滞納しないように気を付けてもらいやすくなります。

・債務承認弁済契約書には収入印紙が必要となることがあります。

 

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※借金などの債務の返済ができずお困りの方はこちらの記事をご参照ください。

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根保証契約とは?民法改正の影響を分かりやすく解説 https://saiken-kaisyu-law.jp/25031501 Fri, 14 Mar 2025 22:55:40 +0000 https://saiken-kaisyu-law.jp/?p=6556 住宅ローンなど通常の借金であれば普通の連帯保証契約を結ぶことになります。しかし身元保証契約や賃貸借契約、継続的な事業用の融資を受ける際には普通の保証契約では目的を達することができません。これらの契約は将来の出来事によって […]

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住宅ローンなど通常の借金であれば普通の連帯保証契約を結ぶことになります。しかし身元保証契約や賃貸借契約、継続的な事業用の融資を受ける際には普通の保証契約では目的を達することができません。これらの契約は将来の出来事によって債務の額が変わってしまうからです。このような将来の債務を担保するために根保証契約は必要とされます。しかし根保証契約は保証人に大きな負担となるため法律で規制されています。

 

この記事では、根保証契約について2020年の民法改正にも触れながら解説します。

 

根保証契約とは

保証契約とは、主たる債務者が義務を果たさない場合に備えて、債務者に代わって義務を果たすことを約束する合意のことをいいます。

例えば、ローンを組む際に保証契約を結んだ場合には債務者(お金を借りた人)が返済できなくなったときは、債権者(お金を貸した人)は保証人に代わりにお金を返すように請求することができます。もし保証人が支払わないときには財産から強制的に回収するために訴訟を起こしたり強制執行をしたりすることもできます。

 

連帯保証契約

保証契約には通常の保証契約のほかに、「連帯保証契約」と「根保証契約」というものがあります。連帯保証契約というのは主たる債務者と連帯して債務を負担する約束をする保証契約のことで、債務者と同等の重い責任を負うことになります。通常の保証人の場合には債務者が支払いできないときに責任を負えば足りますが、連帯保証人の場合には当初から支払い責任を負います。

 

<関連記事>連帯保証人に支払い拒否されたらどうする?対処法をご紹介

 

根保証契約

根保証契約とは、一定の範囲内に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約のことをいいます。普通の保証契約では特定の債務を保証しますが根保証契約では将来発生する債務も対象となります。

例えば、住宅ローンを利用する際にはローン金額が分かっているため通常の連帯保証契約を利用できますが、事業用の資金を借りる際には繰り返し融資を受けるケースでは融資を受けるたびに保証契約を結ぶのは大変です。そこで将来の不特定な債務も含めて保証するのが根保証契約にあたります。

 

2020年民法改正と根保証契約

2020年に民法の大改正があり根保証契約も改正されています。

根保証契約は将来発生するものを含む不特定の債務を担保するため保証人は想定していない多額の保証債務を負担するおそれがあります。そこで2020年4月1日に根保証契約について重要な改正がありました。

 

個人根保証契約では極度額の定めが必要

改正法施行後の個人根保証契約では責任の限度額である「極度額」を定めることが必要となりました(極度額の定めは書面で明確にしなければならず違反すると根保証契約は効力が生じません(民法465条の2第2項、3項、446条2項)。

2020年改正前(平成16年民法改正以降)についても主たる債務に貸金等債務(貸金債務や手形割引)が含まれるものについては極度額が必要でしたが対象が広がりました。

2020年4月1日以降に根保証契約が更新になる場合、ケースによっては極度額の定めが必要となる可能性もあるため顧問弁護士に相談されることをおすすめします。

 

<関連記事>顧問弁護士とは?役割や弁護士との違いを解説

 

元本確定事由が個人根保証契約一般に拡大

元本確定とは、根保証債務のような不特定の債務について債務額を確定させることです。2020年改正前は貸金等根保証契約について元本確定事由が定められていましたが、改正により個人根保証契約一般の元本確定事由が定められました(民法465条の4第1項)。個人根保証契約一般の元本確定事由は以下の通りです。

 

・債権者が根保証人の財産に強制執行や担保権の実行をしたとき(1号)

・根保証人が破産手続開始決定を受けたとき(2号)

・主たる債務者や保証人が死亡したとき(3号)

※貸金等根保証契約については主たる債務者の破産手続開始決定等も元本確定事由となります(民法465条の4第2項)。

 

公証人による保証意思確認手続の新設

個人が事業上の貸金等債務を主たる債務とする保証契約や根保証契約をする場合、事前に公証人による保証意思の確認手続きが原則として必要となりました。リスクの高い事業用融資について十分に理解せずに根保証契約をしてしまう人が後を絶たないためです。

 

一方で事業に深く関与している人については保護の必要性が低いため対象外となっています。

 

主債務者

保証意思確認手続が要らない人

法人

理事、取締役、執行役等、総株主の議決権の過半数を有する者等

個人

共同事業者、主債務者が行う事業に現に従事している主債務者の配偶者

 

根保証契約が利用されるケース

根保証契約は主に以下の4つのケースで利用されます。

 

・身元保証契約

・賃貸借契約

・事業上の融資

・事業上の継続的取引

 

身元保証契約

雇用契約を結ぶ際に被用者が使用者に損害を与えた場合に備えて身元保証契約がなされることがあります。将来の損害が不明であることから多額の保証債務を負ってしまうことがあるため「身元保証に関する法律」により保証期間などの制限が設けられています。しかし契約時点で債務額が明確にはわからないという問題がありました。

2020年4月1日の民法改正法施行後に結ぶ身元保証契約についても極度額の定めが必要となります。

 

賃貸借契約

建物や土地などの不動産賃貸借契約においても賃借人の債務を担保するため根保証契約がよく使われます。将来の賃料債務や用法義務違反による損害などは保証契約時点で確定できないため「一定の範囲に属する不特定の債務」(民法465条の2第1項)になるからです。

賃借人が賃料支払い義務などの債務を履行しない場合には根保証人に対して賃貸人は支払いを請求することができます。

2020年4月1日以降の根保証契約では極度額の定めが必要となります。

 

事業上の融資

根保証契約は事業用の融資を受ける際によく利用されます。通常の保証契約では借入債務を返済してしまうと保証債務の付従性により保証契約も終了となるため借り入れのたびに保証契約をし直す必要があります。

一方で根保証契約であれば契約の範囲内で新規の借り入れについても保証されるメリットがあるからです。

前記したとおり個人による事業用の融資に関する保証契約や根保証契約については公証人による保証意思確認手続きが原則必要です。

 

事業上の継続的取引

根保証契約は企業間の取引債務を担保するためにも利用されます。取引先と継続的に売買や請負などをする場合に経営者個人と根保証契約をするような場合です。

主たる債務者が事業のために負担する債務について個人に根保証契約を委託するときは、その際に一定の情報提供義務が生じます。

 

情報提供義務に関しては、「保証契約とは?連帯保証契約との違いや民法改正のポイントを分かりやすく解説」をご覧ください。

 

根保証契約書のひな形

根保証契約書のポイントは、「主債務の範囲」と「極度額」です。

 

<記載例>

第1条(連帯保証)

乙(連帯保証人)は、甲(債権者)に対し、丙(債務者)が甲に対して負担する下記の債務について、丙と連帯して保証する。

債務の範囲

甲、丙間の(令和〇年〇月〇日付)〇〇契約に基づく債務

第2条(極度額)

極度額は〇〇万円とする。乙は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度に責任を負う。

※契約によって適切な内容は変わります。根保証契約を締結する際には顧問弁護士にご相談ください。

 

主債務の範囲

誰の誰に対しての債務についてどの範囲で保証するのか明確に定める必要があります。また債権回収の観点からは「連帯」して保証するとの文言が重要です。

 

極度額

2020年4月1日以降の個人根保証契約では極度額を明確に定める必要があります。書面又は電磁的記録で極度額を定めておかないと根保証契約は無効となります(民法465条の2)。

 

このほかに必要に応じて元本確定期日などを定めていきます。

 

<関連記事>契約書作成におけるチェックポイントと注意事項を解説

 

まとめ

・根保証契約とは、一定の範囲内に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約のことです。つまり将来発生する賃料債権などを保証する契約です。

・2020年4月1日以降の個人根保証契約では極度額の定めが必要であり書面等で合意しなければ無効になります。また個人根保証契約一般に元本確定事由が定められました。

・根保証契約が主に利用されるケースとして、「身元保証契約」、「賃貸借契約」、「事業上の融資」、「事業上の継続的取引」があります。

 

債権回収でお悩みなら弁護士法人東京新橋法律事務所

根保証契約を結ぶ際は保証人候補者の属性に注意する必要があります。主たる債務者と関係が近いほど経済的な結びつきも強いため主たる債務者が倒産すると根保証人も自己破産することがあるからです。できれば物的な担保や債権譲渡担保なども検討します。担保が事前に取得できないときには先取特権が利用できることもありますが平時から備えていないと対応が難しくなります。

債権回収に備えるには企業法務や債権回収に強い弁護士と顧問契約を結ぶことをおすすめします。

 

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債権回収に限らず根保証契約書などの作成やリーガルチェック、新規事業の法的規制調査、資金調達助言など各種企業法務に対応しております。お気軽にご相談ください。

 

※債務の返済ができずお困りの方こちらの記事をご参照ください。

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